昭和石ノ森特撮世界転生~最強怪人を添えて~   作:大回転スカイミサイル

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第20話「仮面ライダー編その二 三人の男、二人のライダー」①

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―――あの声は一体何だったんだろうか。

 

カメレオン男との戦いから3日ほどたって、ルミちゃんの誕生パーティーの翌日、私は苦手とする漢字の書き取りをしながらため息をついていた。

 

確かに『3』となにかをカウントするような声が、あの場を去るときに聞こえたんだよなあ。

 

「うーん……わからない」

 

悪筆をなんとか修正しながら、「宿」という漢字を1ページびっしり書き終えると、私は腕を組んで首を傾げる。

 

ちなみに、今は立花さんの家で時間は夜の八時である。

 

……とは言えあそこまではっきり聞こえたんだ。

 

なにもないと断じるのは危険すぎるが……

 

「今考えても何も出ない、かぁ」

 

はふぅ、と嘆息して私はベッドに腰を下ろす。

 

机の方は別の部屋から持ってきたビジネス机で、椅子だけは高さを調整できるタイプの椅子だ。

 

本格的な学習机を買ってやるという立花さんの申し出は丁重に断った。

 

学習机はどこまで行っても学習用の机でしかないため、どうせ高校あたりになれば手狭となり、邪魔になってしまう。

 

私が女子であることを考えても、ビジネス机で十分である。

 

いわゆる袖机タイプのため、プリントや教科書ノートも収納できるので本当にこれで十分であった。

 

机の上には簡易な本棚と照明スタンドがあり、これも屋敷の中から見つけてきたものである。

 

「……というかまあ、この目があるから照明はいらないんですけどもね」

 

私は洗面台の鏡に写った自分の目をよくよくと見る。

 

電気を消し暗視機能を意識的に起動させれば、この目は赤外線で紅々とした光を放つ。

 

それはもう不気味に。

 

自分の容姿を見て、どこかの電子の妖精かな?と最初は思ったものだが、暗闇に煌々と光る瞳を持つ美少女とか、吸血姫美夕あたりに出てきそうだな~と90年代がアニメ視聴の全盛期だったおっさんらしい気持ちを懐いて嘆息する。

 

―――それはともかく、あれがなにかのカウントなどであるならば、何をカウントしているのか。

 

3という数字からすれば、私が原作の流れを変えたのはたしかに3回。

 

微々たるものだが、私は伊藤老人を助け、ちか子さんを早期に救出し、そして仮面ライダーと共にナチスの財宝を狙う怪人たちと戦った。

 

それだけは間違いないが、さてそれがどれほどの違いとなっているかは分からない。

 

ただ、それなら3という数字は納得がいくのだが……

 

検証が必要ではあることだが、ことショッカーのこととなれば人死が容易に出るわけだからこちらから積極的に動いて取り返しのつかないことにすることだけは避けたかった。

 

「うーん、どーしよどーしよ……」

 

私は鼻と唇の間に鉛筆を挟んで、ベッドの上でウンウンと唸る。

 

唸ったところで解決するわけではないので、私はそろそろ立花さんが帰ってくるだろうと思い軽食の準備をすることにした。

 

―――準備とは言え料理自体はさせてもらっていないので、冷蔵庫のサンドイッチを外に出しておくだけなのだが。

 

流石に冷え冷え過ぎるのはどうか、と思っての行為だが……

 

電子レンジがあればなあ、と思いつつも業務用のターンテーブル式電子レンジが本邦で発売したのが1966年で5年前。

 

家庭用レンジのエレックさんが登場するのは今年だが、流石に資産家の立花さんでもまだ購入はしていなかったため温める方策が今時点ではなかったのである。

 

「……グランザイラスパワーで温める……?いや、不審に思われるし、なんかそれってどっかのスーパーマンが似たようなことをやってたような」

 

私が死んだときにはまだ連載中だった漫画のことを思い出し、フッと笑ってサンドイッチを立花さんの部屋の机の上に置くと私は伸びをした。

 

「う~~~ん……大阪万博跡決戦では大変だったからなあ。疲れちゃった」

 

もう寝ちゃってもいいかなあ、などと思いつつ自分の部屋へと戻ると、私はまたベッドへ腰を下ろした。

 

「明日も早いしなあ……まだ自転車登校は駄目みたいだしなあ……」

 

私はそのままうつらうつらと夢心地になる。

 

―――3のことはまた明日考えよう。

 

そう思いながら。

 

 

 

それから3日後。

 

私が色々悩んでいる間に、本郷さんは蜂女の事件を察知していた。

 

メガネに仕込まれた洗脳音波によって毒ガス製造工場の作業員を確保しようとする蜂女の作戦は、偶然公園で昼寝をしていた本郷さんに察知されて失敗の憂き目を見るのだ。

 

偶然とはいえないのだろう。

 

まさに運命の思し召しとでも言うのだろうか。

 

「……急にそんな失踪したら気づかれそうなものだけど、まあ時代が時代ですからね」

 

42人も蒸発していたら警察も動きそうなものである。

 

ルリ子さんの手を掴みながら、私は小さくそうつぶやいた。

 

そうして私は、ルリ子さんと一緒に影村眼鏡店へやってきたのである。

 

「影山眼鏡店……か」

 

そう、この眼鏡店で眼鏡を買った人間が42人も失踪していることを調べた本郷さんがそれを立花さんやルリ子さんに伝えると、ルリ子さんが眼鏡を買ってみると言い出したのだ。

 

危険な賭けであったが、ルリ子さんは割とこういうとき強情っぱりをする。

 

サングラスを買うだけなら平気だというルリ子さんが心配になった私は、自分も一緒に行くとワガママを言ったのだ。

 

……ぶっちゃけ立花さんには止められたが、ルリ子さんが心配すぎて私は一緒に来ていたのであった。

 

サングラスを買ったルリ子さんは、そのサングラスをすぐにつけたがったのだが、私は……

 

「いやあ、お似合いですよお嬢様」と店長が言うのを無視するかのようにサングラスを取り返して、「今は必要ないですよね?」とルリ子さんの目を見つめた。

 

怪しい物品をいきなり身につけようなどと言語道断である。

 

(まずは本郷さんに相談してからでしょう)

 

私は彼女にそう耳を寄せた。

 

(そ、そうね……)

 

私の言葉をちゃんと聞いてくれた彼女は、「……そうね。買っては行きますけど、今は着けないでいくわ」と言ってくれたので、まずは一安心。

 

陰気な主人がその瞬間、チッ、と小さく舌打ちしたのが私の耳には聞こえた。

 

「ありがとうございます。それじゃあ帰りましょ、ハリちゃん」

 

そうして私たちは店の外へ出る。

 

―――少しだけ戦闘員が襲ってくるような気もしたが、それはついぞなかったのだった。

 

 

 

後は、ルリ子さんが人質とされなかったこと。

 

そして私が一言「ライダーに変身してから行くほうが良いと思います」と本郷さんに入れ知恵したことで、まぁまぁ簡単に蜂女は落とされたようだった。

 

私も行く準備はしていたが、その必要もなく。

 

蜂女は諜報や謀略用の改造人間らしく、戦闘員のナイフでもダメージを受けていたくらいだから弱いのは確実ではあるのだが、しかし……

 

やはり仮面ライダーは強い。

 

彼がいれば大丈夫だとは思ってしまうのだが、それだけではショッカーには勝てない。

 

あの男が来なければ。

 

私は彼がいつ来るのかと瞑目して考える。

 

目の前にはまだ記憶がはっきりとしていない眼鏡の被害者のお父さんがいて……私は強く、より強く怒りを覚える。

 

そう、あの男とは……FBI捜査官・滝和也。

 

あのともすれば生身の仮面ライダーより強いのではないかと言われる、通称「FBIの犬」さんである。

 

彼はコブラ男前後編……本郷猛を演じる藤岡弘、……当時は読点なしの藤岡弘だった俳優がバイク事故で一時降板となったことを契機に投入された狂言回し。

 

仮面ライダー第2号登場後は、一文字隼人に当時売れっ子俳優だった佐々木剛が配されたことで、多忙で出番を少なめにせざるをえない佐々木氏をサポートする形で活躍したもうひとりの主人公。

 

藤岡弘、復帰後もやはり役者側の事情で出番が少なくなった本郷さんの代わりに話を回し続けた、千葉治郎―――現・矢吹二朗演ずる滝和也がいなければ。

 

その登場は第11話「吸血怪人ゲバコンドル」。

 

―――その邂逅はもうすぐのはずである。

 

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