昭和石ノ森特撮世界転生~最強怪人を添えて~   作:大回転スカイミサイル

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第21話「仮面ライダー編その二 三人の男、二人のライダー」②

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―――そして、コブラ男の暗躍が始まる。

 

私は小学校に通いながら、その動向に注目していたが……

 

私はどうすれば誰かを救うことができるのだろうか、と思い悩んでいた。

 

あのカウントらしき声が何なのかはわからないが、私は細やかに正義の味方をしなければならない。

 

仮面ライダーが、そしていずれ現れるヒーローたちが取りこぼすかもしれないものを拾っていくのだ。

 

それが今の私の使命であろうと思った。

 

コブラ男前後編の被害者は多くはない……具体的にはコブラ男のキバを奪いおそらくは寿命で亡くなった老犬ダミー、そして実験台に使われた使い潰しの戦闘員と金保管庫の警備員……後は、あのトレーナーらしき女くらいだろうか。

 

もう戻れない戦闘員やショッカーに魂を売った女などは知らないが、あの金保管庫の警備員を助けられないかと私は思案して。

 

その金保管所がどこなのかわからないという致命的な問題に頭を抱えていた。

 

「事件が起きてからじゃないと動けないのは、ヒーローの最大の弱点だ。私はそれを補わなければ」

 

とはいえ、なかなか難しいところではある。

 

結局のところ、情報源がないのではどうしようもないのだ。

 

少年仮面ライダー隊を立花さんが組織しようと思った気持ちもわからなくはなくなってきたところだ。

 

遅いのだ。

 

凄まじく、私が前世で大人として生きた時代―――2000年代以降に比べて情報伝達の速度が遅い。

 

量も足りない。

 

人々の噂話が足りない。

 

―――インターネットも匿名掲示板もSNSもない時代では、一般人が噂から重要情報の抽出と統合を行おうなどかなり難しい。

 

そのためのネットワークを作るための試みだったのだ、少年仮面ライダー隊は。

 

……とすれば、最初考えていたとおりにそれをなくしてしまったら、より一般人の犠牲者は増えることになるだろう。

 

私は深く嘆息して、目の前に置かれたおやつ……シローさんが置いてくれたきんつばを見てふぅっとため息をもう一つついた。

 

「なんだいなんだい。せっかくマスターが用意したおやつにため息つくなんてどんなお子様だよ」

 

私に聞こえないように小さな声で彼が悪態をついたことに私は苦笑して、「ごめんなさい。私、子供ですけど乙女なもので」と彼に笑いかけた。

 

「えっ、聞こえてたのかい」

 

「私、耳が良いんです。おやつのことへのため息じゃないんで、シローさんは気にしないでください」

 

バツの悪い顔をするシローさんに、私は気にしてないと微笑んでまたきんつばを見る。

 

どうしようかなあ。

 

そう考えていると、奥から立花さんが現れる。

 

「あ、立花さん。おかえりなさい。買い出し終わりですか?お疲れ様です」

 

「ああ、ただいま。いや、お前さんが気を使ってくれて嬉しいよ。どこかのバーテンとは大違いだ。はっはは」

 

そういって立花さんは私の頭をなでてくれる。

 

……ある意味ファンならもう、今から26年後に生まれるサラブレッドをモデルにした馬で娘のように尊死しているくらいに嬉しいことである。

 

私は思わず満面の笑みで立花さんを見つめてしまう。

 

(うひぃー……良すぎて死ぬぅ!)

 

内心はこんなものであったが。

 

「ったく。マスターも俺に気なんか使わないくせに」

 

「おいシロー、そんなコト言ってると給料下げるぞ。いいから夜営業の準備するぞ。ハリは奥にいてくれ」

 

そう言われた私は、素直に「わかりました」と言ってきんつばをひょいと口に入れ、モゴモゴさせながら奥へと引っ込む。

 

さっさと宿題やって、しばらくのんびりしようと思いながら。

 

―――その翌日のことであった。

 

大蔵省の金保管所が何者かに襲われ、警備員が犠牲になるも金塊は無事であったというニュースが世間を賑わすのは。

 

 

 

「今度こそは、きっとショッカーの尻尾を捕まえます」

 

本郷さんが、本郷さんの声でそう言って水を一口ぐいと飲んだ。

 

真剣なその様子に、私はかっこよすぎると思いつつも少しだけ心配になった。

 

仮面ライダー第9話「恐怖コブラ男」。

 

その中の出来事だ。

 

「はい、これ」

 

ルリ子さんがロケットペンダントを本郷さんに渡して微笑んだ。

 

「え……これは?」

 

「ロケットの中に、お守りが入っているの」とルリ子さんはにこやかに本郷さんの瞳を見た。

 

―――なおそのロケット、発信機つきである。

 

「はっはっは。猫の首に鈴だよ!お前は放っておくとどこへ行くかわかったもんじゃないからな。なあ、ハリ」

 

立花さんが愉快そうにそう言うと、私も「はい、私もそう思います」と笑った。

 

「ハハハハ……」

 

本郷さんが小さく笑い、私はその顔をじっと見つめる。

 

「誰より遅くやってきて、誰より早く去っていく」と仮面ライダーSPIRITSにて滝和也は彼のことを評したが、彼はまさにその通りの男なのである。

 

発信機の10や20は着けておいても損はあるまい……

 

さて、今回は大蔵省を始めとする各国が保管する金をコブラ男によって強奪し、ショッカーの資金源としようというものである。

 

国家の金保有量なんて全然詳しくないが、それでも数百トンくらいは持っていたはずである。

 

いや、普通に考えたら日銀にあるはずの金がなぜ大蔵省にあるのか私にはわからない。

 

ぶっちゃけ金融に詳しかったらもう少し前世での生活は裕福だったはずである。

 

私は笑顔の裏でそんな馬鹿なことを考えながら、結局金保管所の警備員を助けられなかったことに臍を噛んでいた。

 

「ハリちゃん、どうしたい?」

 

「いえ、またショッカーの犠牲者が出てしまったのだな、と……」

 

私はうなだれる。

 

もう既に私が仮面ライダーの正体を知っていることを知らされている立花さんが「ハリ、お前が気にすることじゃない。悪いのはショッカー一味だ」と言ってくれる。

 

「わかってます。わかっているから、悔しいんです」

 

「そうだね。だから、僕はその犠牲を少なくするために行ってくるよ」

 

そう残して、本郷さんはロケットを身につけると足早にアミーゴを出ていった。

 

―――私も追う準備をする必要があるだろう。

 

何しろ、この後仮面ライダーは、老犬ダミーの飼い主の少年を守るためにコブラ男に捕まってしまうのだ。

 

まかり間違って脳改造されてしまったりしたら、完全にゲームオーバーである。

 

そんなことにならないよう、私も行くのだ。

 

私は、立花さんとルリ子さんが話している間に、そっと裏口を目指すのであった。

 

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