昭和石ノ森特撮世界転生~最強怪人を添えて~   作:大回転スカイミサイル

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第25話「仮面ライダー編その二 三人の男、二人のライダー」⑥

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ギィ……

 

誰もいない教会のトイレは、当時らしく暗くて不気味な様子だった。

 

私は……用をたすふりをしてトイレの個室の中に入ると扉を閉めて鍵をかける。

 

今着ているのは貸洋服なので破ったりするわけにもいかないので、変身する前に脱いで畳んでトイレットペーパーの置いてある棚に置いた。

 

後で取りに来れば良い、と考えながら。

 

……響鬼方式なのでこう言うところが辛い。

 

私は下着姿で「むん」と力を丹田に込めると、体はすぐに青いワンピースに覆われた。

 

そうして小さく「変身」と呟けば、私はすぐさま最強怪人グランザイラスの姿へと変わっていく。

 

「よし。これで後は……」

 

私は体内のメカニズムを使い、教会を走査していく。

 

90年代めいたワイヤーフレームの解析画像が脳裏に浮かんでは消えて……一つ大きな熱源がこちらに近づいていることに気づいた。

 

「この反応と形状は……もしかして?」

 

私は扉を壊さないように慎重に外へ出て、トイレの前の廊下を歩いて行く……

 

天井をコソコソと動き回りやがって。

 

奇襲する隙を伺っているのだろうが、そうは問屋が卸さない。

 

「見えているぞ、ショッカーの怪人。諦めて出てくるが良い。出てくるなら殺さないでおいてやることも考慮に入れよう」

 

私はそう理不尽極まりないと自分でも思うセリフを吐いて、天井の何者かが潜伏しているあたりを睨めつけた。

 

バギッィ!

 

天井が突如破られ、落ちてきたのは―――

 

『クワックワァアァァッ……!よく俺がいるのがわかったな、グランザイラスとやら!』

 

間違いなく、そこにいたのは改造コブラ男であった!

 

「なるほどな……貴様を復活させるために、ゲバコンドルが血を吸った女の絞りカスでも使ったのか?動物の代わりに?リサイクル怪人め」

 

私はにべもなく言い放ち、空手の構えを取る。

 

油断はしない。

 

やはりコブラ男は蘇っていた……おそらくは、私を足止めするために!

 

―――改造コブラ男。

 

仮面ライダーに敗れ、爆発四散したコブラ男を再生、再改造し、動物の血で蘇らせた怪人―――のはずである。

 

そのために動物を研究すると偽って犬猫を買い集め、同時に犬猫を持ってきた人間を拉致し、戦闘員や実験体として使っていたのが本来の流れだ。

 

この世界では、どうやら私の介入によって違う流れになったようだが……!

 

『ヒュヒュヒュヒューッ!』

 

狭い教会の廊下に、改造コブラ男の鳴き声がこだまする。

 

腕の蛇は既に火炎放射器に変わっているはずだ。

 

このままだと、奴に教会を燃やされてしまう。

 

一緒に借り物の洋服も、である。

 

ショッカーの怪人の仕業となれば、立花さんは許してくれるだろうが、同時に私の正体がバレる危険のあることでもあった。

 

「懲りない連中だ」

 

ほんの僅かに焦った私は、心にもないそんな事を言ってコブラ男へと突貫した。

 

ダンッ!

 

床を蹴り、私はコブラ男の頭部を左手で掴み上げる。

 

『ぬぐっ!?』

 

「お前たちの施設なんだろうが、派手な騒ぎにしたくはないんだ。さあ、来てもらおうか!」

 

私はそうして、ガラスを破り壁を破壊してそのまま外へ出る。

 

『はっ、離せっ!』

 

「そうはいかん。来てもらうと言ったはずだ!」

 

外に出ると、そのまま私はコブラ男の足をつかむ。

 

『何をするつもりだ!?』

 

「最強怪人のジャイアントスイングで何処かへ飛んでいけい!!」

 

そう叫んで喚くそれを遠くへと放り投げた。

 

ヒューーーーッ!

 

風を切る音が心地良い。

 

『アッァァァァァァァッ!?』

 

「トゥッ!!」

 

悲鳴を上げながら飛んでいくそれを追いかけて、私は火の玉となって飛んでいった。

 

「……投げた方にライダーがいると良いんだけど」

 

私は飛びながら、いつもの口調でそう零す。

 

―――運命力というものがあるのであれば、導いてほしい、と。

 

 

その頃、我らの仮面ライダーは新怪人ゲバコンドルの前に苦戦していた。

 

友人・滝和也とその夫人となったばかりの女性を逃した仮面ライダー。

 

しかし、これまでの怪人たちの長所をよりすぐったというその怪人は、これまでにないパワーで仮面ライダーを追い詰めていたのだ!

 

史実ではゲバコンドルに敗れたライダーは、しかし脱出に成功し逆襲に成功するのだが……

 

「トゥ!!」「フゥエァァアーッ!!」

 

二人の改造人間は、一進一退の戦いを繰り広げている。

 

―――今は。

 

「キィッ!キィィェ!」

 

「くっ……!」

 

仮面ライダーは徐々に押されている。

 

「くそっ!くぅっ!!」

 

滝和也はそこから逃げ出さんと自らの妻となったよう子を連れながら戦闘員と戦っていた。

 

バキィ!ドカァッ!

 

戦闘員は全く滝の相手にはなっていない。

 

そう、彼らは人間の何倍の能力を持っているにも関わらず、である。

 

「―――見つけた!コブラ男はいないけども!」

 

その様子を―――空を飛びながら投げ飛ばしたコブラ男を捜索していたグランザイラスが発見したのだ。

 

「ここで奴を逃したら、罪もない女性が何人も犠牲になる……ここはなんとしても加勢しなければ!」

 

グランザイラスは、飛行一転急降下を始める。

 

仮面ライダーに加勢し、女性らを助けることができる存在は今は自分だけである、と。

 

玻璃の内心―――即ち、前世で仮面ライダーをよく知る人間だった記憶が作戦を練り上げていった。

 

「―――原作でライダーが勝てたのは―――」

 

立花藤兵衛のただ一言である。

 

―――グランザイラスは。

 

否、桃山玻璃は叫んだ。

 

「サイクロンに乗って逃げろ、仮面ライダーッ!!」

 

今や投げ飛ばされんとしている仮面ライダーは、その一言でハッとしてゲバコンドルから距離を取る―――

 

それが反撃の合図であった。

 

 

 

「サイクロンに乗って逃げろ、仮面ライダーッ!!」

 

声の限りに張り上げた声は、無事仮面ライダーに届いたのだろう。

 

「―――わかった!」

 

ただ一言そう言うと、仮面ライダーはゲバコンドルと組み合うのを諦めて後ろへ下がる―――そこにあったものは。

 

サイクロン号。

 

仮面ライダーの戦友、流星のマシーン!

 

「よぉし!」

 

『何がヨシだッ!』

 

私が大地に轟音とともに降り立つと同時に、そんな声が聞こえて私の周りを3人の怪人が。

 

蜂女、死神カメレオン、そして改造コブラ男が取り囲んだ。

 

「また来たか、再生怪人!」

 

改造コブラ男はダメージを負っているのか、動きがわずかに鈍い……だが、それ以外の二人は違う。

 

『ホホホホホホッ……よくも私の計画を破綻させてくれたな!』

 

『ナチスの財宝を太平洋に捨てさせたのは貴様だな……!?』

 

二人の怪人はそうして、はっきりと私が過去にコイツラの作戦を失敗させる一助になったことを知っていると嘯いた。

 

「ふん……私にはなんのことかわからないな」

 

死神カメレオンの負っていたナチスの財宝の件はともかく、蜂女の計画を早期失敗させたのは確かに私の入れ知恵である。

 

しかし、よく考えてほしい。

 

どっちにしろ仮面ライダーが防ぐはずだった作戦である。

 

私に言われてもお門違いというものだ。

 

「第一、私がそこのコブラ男をはじめ計画を失敗させる要因になったとしてなんだというのかね。私は正義の味方。仮面ライダー、そして彼と志を同じくする仲間たちの味方だよ?邪魔をして当然ではないかね」

 

巨大な頭をかしげて不思議そうに呟いてやると。

 

『ええい!馬鹿にしおって!まずは俺がやる!クワーァッアッアッ!!』

 

シュバァァァッ!

 

コブラ男の口から、人間程度なら低出力でもあっという間に火葬してしまう高温の火炎が吹き出した。

 

だが……である。

 

『な、なにっ!?』

 

炎に包まれた私は、包まれたままでゆらりと怪人たちへ向けて歩みだす。

 

「済まないが、私は数千度の高温でも平気なんだよ」

 

言うまでもなく、あのロボライダーの装甲板を溶かせる威力の火の玉になれるのだから、人間を火葬できる程度の火炎でダメージを受けるはずもない。

 

『お、おのれ!』

 

「河豚が自分の毒で死ぬか?いや、実は死ぬんだが」

 

私はそう言ってずんずんと炎の中をコブラ男へと近づいていく―――

 

『おのれッ!ならばこれはどうだ!』と蜂女が毒針を放つ―――が、当然のようにグランザイラスの装甲にカキンカキンと弾き返されていった。

 

『ぬぅ……!撤退するぞ!ここで死んでは首領に申し訳が立たん!』

 

カメレオン男がそう言うと、改造コブラ男の周りに蜂女とカメレオンが集まった……ッてそう言うのできるのか、お前!?

 

私は思わず叫びそうになったが、しかしその声無き叫びを無視するかのように三人の再生怪人は虚空に溶け消えるようにいなくなってしまった。

 

『ハハハハハハ!これだけ足止めできれば十分だ!仮面ライダーが死ぬところをとくと見ろ!』

 

哄笑が虚空にこだまして―――

 

「ハハハハハハ!笑うのはこちらの方だ、怪人共!仮面ライダーがそう簡単に死ぬものか!」

 

私は仮面ライダーがゲバコンドルともみ合っていたあたりを指さした。

 

そこには―――

 

ドウルンッドゥルゥンッ!

 

響くスロットルとバイクのエンジン音―――そう、仮面ライダーはゲバコンドルの猛攻から逃れてサイクロン号に跨っていたのだ!

 

「行くぞ、ショッカーの怪人!」

 

ブォォォォォッン!!

 

銀輪が走り、ゲバコンドルへと突っ込んでいく―――!

 

そう、この時期の仮面ライダーの技としては最大威力の必殺技―――

 

「サイクロンアタック……!」

 

私は絞り上げるような声音で、その技の名前を呟く。

 

『フゥェェェェェーーーッ!!』

 

私はその時、気がついた。

 

ゲバコンドルが―――

 

最後の悪あがきのようにサイクロン号へと向かっていくはずのゲバコンドルが逃げようとしている!?

 

だが、ここで逃がす訳にはいかない!!

 

ここで逃がせば、若い女性が何人も殺されるッ!!

 

「逃がすかァッ!!」

 

私は飛んで逃げようとするゲバコンドルの後ろを取るために火の玉となって空を駆ける。

 

『な、何をするーッ!?フゥェェェェェーーーッ!!』

 

「逃さんといったはずだ!!」

 

実態に戻ってガシリと背後から羽交い締めにしたところに―――

 

「ライダー!私は平気だ!構わず突っ込め!!」

 

「わかった!!」

 

空中で静止した怪人二人に―――

 

バガーーッ!!!

 

サイクロンの最大速力350km/hの運動エネルギーが突き刺さった!

 

「ガハッ!!」『フゥエエエエエエ!?!?』

 

バギィッ!!

 

私は跳ね飛ばされて地面へ、ゲバコンドルはそのまま空中高くへと弾き飛ばされる―――

 

そして、ドゴォンッ!バキキキッ!!と爆発に続いて文字通りゲバコンドルは四散したのであった。

 

グシャアッ!

 

一瞬遅れて、私も地面へとぶつかり―――変身を解く訳にはいかない。

 

そのまま「仮面ライダー!あとは任せた!」と叫んで、火の玉に再び変化して空を飛ぶ―――

 

めっちゃくちゃ痛かった。死ぬかと思った。

 

その気持だけを虚空に残して……

 

そして。

 

その瞬間、私は―――確かに聞いた。

 

『6―――コード規定値を突破―――シナリオ[**********]を起動します』

 

―――規定値を突破?シナリオ?なんのことだ?

 

私は虚空を見回すが、何もない―――悔しがる怪人たちの声も今は聞こえない。

 

その声は空しく消えていき……そして、サイクロン号から降りた仮面ライダーがこちらへと近づいてきた。

 

「ありがとう、グランザイラス。助かった」

 

「どういたしまして……気をつけろ、仮面ライダー。既に敵は何か得体のしれない事物に手を出しているやもしれん」

 

礼を言う仮面ライダーへ、私はそう返して。

 

「もう一度言う。気をつけろ仮面ライダー『1号』」

 

続けて言って、仮面ライダーを見た。

 

「……1号だと?初めてお前と出会った時も言っていたな。どういう意味だ?」

 

「……文字通りだ。一つの、文字通りだよ、仮面ライダー。今はそれ以上は言えん」

 

私自身はっきりしたことは言えない。

 

「……そうか、わかった。何か重大な事態が起きる前触れを感じたということなんだな?」

 

「その通りだ。だが、確証はもてん。察しているだろう―――君はショッカーの改造人間なのだ」

 

だから私は本郷さんにこうとしか言えない。

 

そしておそらくそれで本郷さんは、仮面ライダー第1号は察することだろう。

 

「私が『1号』、ということは私と同じ改造人間を……」

 

「そうだ。その通りだよ、仮面ライダー1号」

 

今度こそ私ははっきりとそう言って、体を火の玉に変えて浮き上がった。

 

「ではさらばだ、仮面ライダー!トゥ!」

 

高速で去る私に、仮面ライダーの声は聞こえない。

 

私は最悪の可能性へ心を動かした。

 

「――原作特撮版のように脳改造寸前に助けられたりすればいいが……」

 

もしも、もしも原作萬画版やS.I.C HERO SAGAのように―――

 

「13人の仮面ライダーが現れたとしたら」

 

私はそうして空を征く。

 

せめてライスピのように5人くらいならば……と憂鬱と焦燥を抱えながら。

 

 

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