昭和石ノ森特撮世界転生~最強怪人を添えて~   作:大回転スカイミサイル

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第26話「仮面ライダー編その二 三人の男、二人のライダー」⑦

 

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「いや、もう駄目だと諦めていたんですけどね、そこに仮面ライダーが来てくれて助けられたんですよ」

 

「ええ、本当に」

 

稲城中央病院では、滝和也とその奥さん……洋子さんが検査結果を病室で待ちながら、立花さんにそう言って安堵していた。

 

設定上は偽装結婚ということなんだけど、その後も結婚してるって発言はあったはずなので、もしかしてアメリカに奥さんがいるのだろうか……?

 

それとも洋子さんとは本当に結婚していたのだろうか?

 

私はそんなことを考えながら、本郷さんの胸をドンと叩いて「車も壊されてしまったからな。迎えに来てくれて助かったよ、本郷」と言う滝さんを見つめていた。

 

それは原作にはなかったやり取りである。

 

それは当然といえば当然のこと。

 

本郷猛役の藤岡さんはバイク事故で入院中だから、同じ画面にいたらおかしいのである。

 

この現実となった世界ではそんなこともなく。

 

「滝。お前たちが無事で安心した」と笑った本郷さんは旧友との再会とその危機を救えたことに心底からの安堵の表情を見せていた。

 

早瀬……さそり男のことも念頭にあったのだろう。

 

―――なお、あの後教会のトイレまでたどり着いて、ぎりぎり着替え終わってから気絶した私を迎えに来た立花さんによれば―――

 

「あの教会、まるごと無人になっていたぞ。オルガン弾いてた婆さんのシスターもいなきゃ神父も消えとった」

 

そう言って「ハリもトイレで気絶しとったし、壁は派手に壊れていたし、間違いなくあそこはとんでもない場所だったんだ」と腕を組む。

 

「そりゃ……あの教会はショッカーの誘拐施設かなんかだったってことか」

 

滝さんの目が一瞬鋭くなる。

 

「きっとそうに違いない。ワシはそう思うぞ」

 

立花さんはそう言うと本郷さんの顔を見る。

 

「ええ。実際に所有者を調べてみないと」と答えて、本郷さんは窓の外の晴れやかな空を見上げた。

 

その顔には純粋に親友が狙われた怒りが浮かんでいる。

 

「良かったんですか、本郷さん、立花さん。仮面ライダーやショッカーのことを話してしまって」

 

私がそう聞くと、「仕方ないわ。怪人を見てしまったんだもの」とルリ子さんが浮かない顔で私の肩に手をおいた。

 

「それにしても許せないな。そんな恐ろしい組織がこの世にあるなんて」

 

パシッと拳で掌を叩き滝さんは怒りを示す。

 

「そうね。おちおち平和な暮らしも出来ないわ」

 

洋子さんの言葉に滝さんは肯んずると、「本郷。本当に世話になる」と真剣な顔で言った。

 

『世話になる』

 

その真意は―――きっと私と洋子さんしか知らないことだろう。

 

 

 

その後、病院で検査を行った滝さんの奥さんは、原作のように後遺症が残るようなこともなく、普通に退院していった。

 

そう、それでおしまい。

 

ゲバコンドルの起こした事件はそこまでで終わったのである。

 

しかし、私と本郷さんの顔色は優れない。

 

本郷さんはおそらく同型の飛蝗男と戦うことになるであろうことに。

 

私は……滝さん、ほんとに来るんだろうかなあ、ということも含めて。

 

次のエピソードが確実に起きるわけではないということは、滝和也もその通りではない可能性が高いということだ。

 

因みに、後日教会を訪ねてみると、更地になっていた。

 

露骨なまでに何もありませんでした、と主張するようなススキ野原になっていたのである。

 

土地の所有者も出鱈目で、北海道に住んでいる人ということになっていたが、連絡を入れても全くそんなことは知らないの一点張りであり、ショッカーの協力者なのではないかと疑うほどだった。

 

それからすぐにどうにもならないことはどうにもならないので、次に目を向けようと本郷さんと立花さんは決める。

 

そうして数日後、本当にどうにかなるかなど誰にもわからないが……とりあえず明日は気分転換にツーリングへ行くことになった。

 

「猛さん、あんまり深刻な顔してるんだもの」と言ったのは当然ルリ子さんである。

 

―――どうかヤモゲラスが出ませんように。

 

仮面ライダー第12話「殺人ヤモゲラス」。

 

人間を一瞬で白骨にしてしまうほどの熱線を放つ光源「デンジャーライト」を発明した白川博士を狙うショッカーの新たな作戦。

 

ウサギを一瞬で白骨にするところまで実験しておいて、結構大金を使っていたろうに発表もせんと封印しようとしていたが……

 

広範囲ルビーレーザー発射装置かなんかだと思うんだけど、そんなもん意図せず開発しちゃったらそりゃあかんでしょ……である。

 

案の定助手の柴田はショッカーの協力者であり、ヤモゲラスに改造されると博士を思いっきり襲って光線の秘密を奪おうとするのである。

 

てか、助手のくせに研究の内容よく知らないとかすげえなお前、とツッコんだのは私だけではないだろう。

 

そして本郷さんとルリ子さんはツーリングの途中で、博士を襲うヤモゲラスを発見するのであるが……

 

「……ま、いいか」

 

どころの話ではないんだけども……

 

私は明日のツーリングに一緒に連れて行ってもらうことになったので、もしそれがヤモゲラスとの遭遇だった場合どうすればいいんだろう……

 

そんな事を考えながら、目の前のわたしの3倍は悩んでいる本郷さんの横顔を見つめるのであった。

 

 

 

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