ゴジラ・タクヤ・ヨシヤ 大淫獣挿入撃   作:ほろろぎ

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後編

 半世紀以上の時を経て復活した大怪獣、ゴジラ。

 箱根の大桶谷に上陸したゴジラは、全身の筋肉に鳥肌を立てながら人々に恐怖を振りまくり痙攣しまくり白目剥いて吠えまくり。

 

「これが、かつて日本を壊滅に追い込んだゴジラですか……。怨念に憑りつかれた怪獣は破壊することしか考えないのか」

 

 偏見交じりの私見をこぼす平野。

 確かに今のゴジラは、憑依した恨みの力によって破壊の権化へと変わり果ててしまっている。

 だが、すべての怪獣が破壊と恐怖しかもたらさない訳ではないのだ。

 

 その証拠に、先ほど平野が壊した祠の地下から、希望の光ともいうべき一つの力が、地上へと姿を現した。

 

『あーっ! おぅううっす!』

 

 咆哮と共に地中から出現したのは、性獣の一体である『タクヤ』。

 屈強な上半身による肉弾戦が得意な、パワー型の怪獣である。

 

「目覚めたか、タクヤ! 頼む、ゴジラを止めてくれ!!」

『ウッス!』

 

 平野の言葉に応えたのか、タクヤは雄たけびを上げゴジラに飛び掛かった。

 さあ、大怪獣同士による格闘ショーの始まりや。

 

『すっげーエロかっけー奴だ!』

 

 ゴジラの黒光りする屈強な肉体に目を付けたタクヤ。

 興奮を隠そうともせず、正面から抱き着くようにしてその動きを止める。

 

『ゴジラ、また胸デカくなったな!』

 

 胸板に頬刷りするタクヤを鬱陶しく思ったのか、ゴジラは尻尾を一振り。

 鞭のようにしなるぶっとい尾が、タクヤの貧弱な下半身をなぎ倒す。

 

『そろそろ終わりの時間だぜ』

 

 転倒し、ひっくり返され起き上がれない虫の様にのたうつタクヤ。

 余りにも無様なその姿は、これが日本を守る性獣の姿か……? と人々を落胆させた。

 

 うめくタクヤに伸しかかったゴジラは、拳を振り上げ腹筋ボコボコにパンチを食らわせる。

 ゴジラが覆いかぶさった拓也ゎ前見えねぇし、息ゎ苦しいし、性獣最後の三分間ゎ三十分以上にわたり、絶対負けるはずのないタクヤが倒れる。

 

「そんなのあり得ない!」

 

 平野の叫びもむなしく、タクヤは徹底的にタクヤはゴジラに打ちのめされていく。

 哀れ、ついにタクヤは怪獣王の前に敗北してしまった。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 タクヤを降したゴジラは、大桶谷をあとにする。

 平野は、ゴジラは東京方面に向かっていることを察知。

 先回りするべく、乗り捨てられた車を拝借した。

 

 そして、場所は横浜。

 平野源五郎の前では、侵攻してきたゴジラと第二の性獣『ヨシヤ』がバトルを繰り広げていた。

 

 しかし、なんということだろう。

 ヨシヤはゴジラにされるがまま、一方的に痛めつけられていたのだ。

 

「そうか! 北を守る性獣タクヤと、南のヨシヤは双子怪獣……タクヤを欠いては、ヨシヤ一体だけではゴジラに敵うはずもない!!」

 

 平野の言う通り、この場にタクヤがいてくれればヨシヤの力になっていただろう。

 しかしタクヤはすでに……。

 

 そして、ついにはヨシヤもまた、タクヤの様にゴジラの強烈な一撃を受け、地に伏してしまった。

 

「こら! なに敗↑北↓している!」

 

 奮起をうながす平野の叫びも、もはやヨシヤには届かない。

 二体の性獣を打ち負かされ、平野は決意した。

 

「けしからん 私が喝を 入れてやる」

 

 SMバーで用いている私用の緊縛縄を取りだし、ゴジラに挑もうとする。

 そんな無謀極まりない平野を、盟友の声が制止した。

 

「ふざけんじゃねぇよオイ! 誰が命を無駄にしていいっつったオラァ!」

 

 拡声器など使わずとも、大声で聞こえてきたその声は

 

「蓮さん!」

 

 虐待おじさん率いる防衛隊が到着したのだ。

 無数の戦車、戦闘機を従えたおじさんは、ヨシヤの死体を見て悔しそうに顔をゆがませる。

 

「悲しませてくれるねぇ……嫌いだよ、そういう顔」

 

 ゴジラに敵わず、無念をにじませるヨシヤの表情。

 防衛隊の隊長として、共にゴジラと戦う仲間として、葛城蓮はヨシヤの……すでに亡きタクヤの想いを引継ぎ、隊に指示を飛ばす。

 

「悪い子はお仕置きだど~」

 

 隊長の号令を受け、防衛隊の全部隊が一斉に、ゴジラに向けて攻撃を開始した。

 ミサイル、砲弾、銃弾が雨あられと黒い巨体に降り注ぐ。

 しかし……

 

「攻撃が効きましたか?(小声)」

 

 効きませんでした。(絶望)

 そう、人類の総力を結集したと言ってもいい総攻撃はしかし、ゴジラに対して傷一つつけることは出来なかった。

 

『GOAAAAAAAAAAAA!!』

 

 お返しとばかりにゴジラは咆哮を上げ、必殺の熱戦を見舞った。

 防衛隊は成すすべもなくゴジラに蹂躙され、数分と立たず壊滅させられたのだった。

 

「そ、そんな……やはり我々は、ゴジラに対してなにも出来ず、滅ぼされるしかないのか……ッ」

 

 瓦礫と化した横浜で、平野は無力感と共に膝をついた。

 

「やめろばか……諦めんな!」

 

 平野の背後から聞こえた激。

 それは、鹿児島へヨシヤを目覚めさせに向かったポイテーロのものだった。

 ヨシヤから遅れて、ようやくこの場へやって来たのだろう。

 

「ポイテーロ君。しかし、すでにタクヤもヨシヤも……」

「ぜってぇお前の犬になんかならねぇ。絶対おめぇの奴隷になんかなってやんねぇ」

 

 未だ絶望にあらがうポイテーロの瞳。

 その視線の先から、最後の希望がやって来た。

 

「あれは……性獣!?」

 

 平野の目にもそれが映る。

 それは、富士の樹海に封印されていた三体目の性獣……タイトだった。

 

「俺がパパパッと封印を解いてきたんだ」

 

 とポイテーロ。

 しかしそこに、平野は強烈な違和感を覚える。

 

「待ってくれ、君は鹿児島へヨシヤの封印を解きに行ったはずだ。そこから富士の樹海まで、この交通のマヒした状況で、こんな短時間で行けるはずがない」

 

 平野とポイテーロの前で、タイトとゴジラが激しくぶつかり合う。

 そこに、ゴジラの攻撃から辛うじて生き残った虐待おじさんもやって来た。

 

「おじさん、平野さん。今こそ明かそう、俺の正体を……」

 

 ポイテーロは、これまでひた隠しにしてきた自らの実態を口にする。

 

「俺は、ゴジラに憑りついた怨霊と同じ……太平洋戦争で犠牲になった者の一人なんだ」

「なんですって!?」

「つまり……お前も幽霊ってことか?」

 

 驚愕する平野と蓮の言葉に、ポイテーロは静かに首を縦に振った。

 

「タイトだけじゃ、ゴジラには敵わない。だから、俺も行くよ」

 

 ポイテーロの体が、出しぬけに光りはじめる。

 そして、懐から一粒の種を取りだすと、それを連に渡した。

 

「おじさん、これを」

「なんだ、こいつは?」

「『アーク・シード』……希望の種、さ。これをゴジラの体内に打ち込むんだ。そうすれば、ゴジラは封印できる」

「体内って、どうやって……」

 

 すべてを言い終わらぬうちに、ポイテーロの体は完全に光に包まれる。

 ポイテーロだった光は、ゴジラと戦うタイトの元へ飛んで行った。

 

 タイトの体にポイテーロの光、そして共に戦ったタクヤ、ヨシヤの魂も吸収され……黄金に輝く完全なる性獣、『クボタイト』が誕生した。

 

「なんという神々しさだ……」

「まさに、神か」

 

 クボタイトの眩いまでのボディーに目を細める平野と蓮。

 二人の眼前で、ついに最後の大怪獣同士による戦いが始まった。

 

『GYAOOOOOOOOOO!!』

『なんだその偉そうな……すわわっ!』

 

 二つの巨体がぶつかり、衝撃波が走る。

 そして地は揺れ、空気が振るえるだろうね。

 

『もう許せるぞオイ! もう許さねえからなぁ?』

 

 三体の性獣とポイテーロの魂が合わさったクボタイトの力は凄まじいものがあり、あの怪獣王の異名を持つゴジラを圧倒するほどだった。

 

『お前もう生きて帰れねぇな?』

 

 ついにクボタイトは、筋力だけでゴジラを地に組み伏せた。

 そしてゴジラの腰を持ち上げると、誰にも見られたことのない怪獣の王のケツマンをおっぴろげる。

 

「蓮さん!」

「ああ、そういうことか!」

 

 クボタイトの視線を受けた二人がうなづき合う。

 ゴジラの肛門を通して、体内にアークシードを撃ち込ませようということだ。

 

 蓮は近くで横転していた装甲車から、一丁のバズーカを持ち出しゴジラに向けて構える。

 

「薬は注射より飲むに限るぜ、ゴジラさん!」

 

 バズーカの弾頭に括りつけられた種は、砲撃と共にゴジラの雄膣めがけて、一直線に飛んでいく。

 ミサイルは尾を引く煙を残して、押し広げられたゴジラの、底深き奇妙かつ美しい谷の亀裂へと飲み込まれた。

 

「AOOOOOOOOON」

 

 挿入され腸内で割れた種が、ブラックホールのようにゴジラに憑りついた怨念を、そしてゴジラの肉体をも吸収していく。

 そして、クボタイトの肉体と、そこに一つとなったポイテーロたちの魂さえも。

 

 蓮も平野も、日本を守るため共に戦った同士が消えゆくのを、ただ黙って見つめていた。

 

ポイテーロ(覚えてろ)!』

 

 姿を消す二大怪獣を見送る二人の元に、青年の最後の言葉が聞こえてきた。

 

「『覚えてろ』……か」

 

 蓮が、感傷に浸るようにつぶやく。

 友の肩に手を置きながら、平野が応えた。

 

「ええ、我々は覚えていなければなりません。今の平和な世界のために、犠牲となった人々のことを」

 

 葛城蓮は防衛隊の隊長としてではなく、一人の人間として、敬礼で同志の魂を見送った。

 平野源五郎は、今回の激闘を小説として書き記し、後世に残すことを決めた。

 

 二人とも、今回の出来事で犠牲になった人々のことを、いつまでも覚えているだろう。

 それが、命ある者の責務なのだから。

 

 ……だが、種はいつか花開く。

 今を生きる人々が、平和の(いしずえ)とされた者たちの哀しみを忘れ去ってしまった時に、必ず……。

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