捨てられたナリタブライアンの話です。
キャラ崩壊、暴力描写、オリウマ娘(名前だけ)が出てきます。

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衝動書き


捨てられたナリタブライアン

「ハァッ…ハァッ……くそっ、2位か!」

 

長いとも思えたレースを走り切り、息をつく。今回は惜しくもリトルココンに敗れてしまったが、次は負けない。この戦いは、次の勝利への糧となるだろう。

 

「リトルココン、良い勝負だったな。またやろう」

 

「ええ、そうね。次も私が勝つわよ、ナリタブライアン」

 

「フン、その鼻必ず挫いてやる。さらばだ」

 

私は一抹の悔しさを噛み締めながらトレーナーの元へ戻る。トレーナーは膝を落としてガックリと項垂れている。そんなに悔しかったのだろうか。私の敗北をそこまで悔しがってくれるのは、本当はいけないのだが、少し嬉しい。

 

「トレーナー、すまない。私は負けてしまった。だが、次がある。ドリームリーグでの勝負が私達を待っているぞ。さあ立て」

 

「……………なぜだ。何でだ。どうして勝てなかった?」

 

「リトルココンの能力が、私を上回っていただけの話だ全ては私の責任だ。だからトレーナーが気に病む必要は無い」

 

「そんな筈は無いんだ!お前は最強だ、お前以外のウマ娘など塵芥に等しい筈なんだ!だってそうだろう?お前は13戦して来て、一度たりとも負けなかった!純粋な能力でも、技術でもお前の方が上だった!なのに何故奴が…リトルココンなんかがURAファイナルズで勝つんだ!」

 

「ど、どうしたんだ急に!トレーナーはそんな事を言う人じゃ無かった筈だろう!?とにかく落ち着くんだ、トレーナー!」

 

すると、トレーナーはブツブツ何か言ったと思ったらすっと立ち上がり踵を返した。

 

「待ってくれ、トレーナー。もう大丈夫なのか…?」

 

そう言って私が追いかけようとすると、

 

「来るなッ!敗北者にもう用は無い。お前との契約はこれで終わりだ。お前には見込みが無かった、お前は俺のチームにはいらない。何処へなりとも消えてしまえ。碌な因子も持ってないウマ娘…しかもURAファイナルズを勝ってすらいないなんて…」

 

「な、何を…!?何も言うんだトレーナー!私は三冠を取った、天皇賞も取った、国内のG1を沢山取ったんだ!そんな優良ウマ娘を捨てるつもりか!?」

 

「俺はもうお前のトレーナーじゃない。それに何だ?三冠?天皇賞?G1?ハッ!下らないね。そんなもの俺が育成すれば誰だって取れるようになるのさ。勿論、あのハルウララですらG1で一着は余裕だ。それも無敗でだ!お前はどうだ?負けた!最後の成長のチャンスを掴み取る事が出来なかった!」

 

「っ!だから次があると言っているだろう!お前の他に誰が私のトレーニングをしてくれるんだ!?お前しか居ないんだ!………頼む、捨てないでくれっ…!」

 

目からぼろぼろ涙が溢れてくる。

 

「嫌だっ!捨てないで!私を独りぼっちにしないで!」

 

「今度は泣き落としか?もう良い。じゃあな。三年間おつかれさん、二度と俺の前に顔を出すなよ」

 

私の中から何かがひび割れ砕け散った音がした。

 

  _________________

 

 

「何?ナリタブライアンが部屋から出て来ない?」

 

生徒会室で執務をしていた私に飛び込んできたニュースを聞いて、私は驚愕した。あのナリタブライアンがそんな状態になってしまうなんて。

 

「事情を何か聞いてないのか?」

 

「はい、聞いても答えずただ涙をほろほろ流すだけで…」

 

ナリタブライアンが泣く…!?一体何があったらそんな事が起きるんだ。早急に対応しなければ。私は、事務作業を全て片付けエアグルーヴと共にナリタブライアンの部屋へ直行した。

 

「ナリタブライアンっ!どうした、何があった!」

 

見ると、酷く憔悴し切ったナリタブライアンが膝を抱えて泣いていた。一体何が彼女をそうさせたんだ…!

 

「ぐすっ……ぁ、会長…すみませっ…わた、私…」

 

「もう安心しろっ、無理をするな!私が付いている!何があった?聞かせてくれないか?」

 

すると、ナリタブライアンは唇を震わせながら絞るような声で「捨てられた」と言った。

 

「捨てられた…だと?祈者トレーナーにか?何があった。お前と祈者トレーナーはとても仲が良かっただろう?そう簡単に捨てられるとは思わないのだが…」

 

「私が、私が負けたから…URAファイナルズで負けたから!ううっ!うわあああああっ!!!」

 

なん…だと…!?まさか、URAファイナルズで負けたくらいで?確かにナリタブライアンは負けたかもしれないが、あれは大接戦の上の敗北だ。賞賛されこそすれ、決して捨てられる程の物では無い筈だ!ナリタブライアンの話が本当なのだとしたら、私は彼に問い詰めねばならないだろう。

 

私は祈者トレーナーの部屋に行き、ノックした。すると、普段と変わらない調子で出てきたモノだから、思わず殴ってしまった。

 

「ぐはっ!?な、何をするんだ…シンボリルドルフ!」

 

「貴様、ナリタブライアンを捨てたらしいな?何故だッ!答えろ!答えねばその命無いと思え!」

 

「あぁ…?何だ、クソ、復讐のつもりかよ。なぁ、そこに居んだろ?ブライアン」

 

何?まさかついてきていたのか。

見ると、恐る恐るこちらを覗くナリタブライアンがいた。

 

「ひっ…ち、違うの!私はただっ!」

 

「そうだろうなぁ、わかってんだよ。お前ら勝てないクズどもはいつもそうだ。負けて捨てられるとすぐに俺に当たりにくる。ロイヤルスピーチも、カテゴリーエイトも、デンドーイリも!その他のクズどもはみんなそうだった!だから自主退学させた!」

 

なん…だと…?この男、今何と言った。ロイヤルスピーチ、カテゴリーエイト、デンドーイリはある日突然自主退学してしまった優秀なウマ娘だ。まさかこの男がそれの黒幕だったとはな。

 

「もう貴様は許してはおけん。理事長に掛け合い、貴様をトレセン学園から追放しトレーナー資格も剥奪させて貰う」

 

「はぁ!?何でだよ!先に手を出してきたのはアイツらだ!良いのか!?俺以外のトレーナーにトレセン史上最高傑作とも呼ばれたシンソクゴッドを作れるのか!?作れねえだろ!」

 

「黙れ下郎。シンソクゴッド先輩が強かったのは貴様の手によるものではない。彼女の類稀なる才能と絶え間ない努力の成果だ。断じて貴様の功績では無い」

 

そうだ。シンソクゴッド先輩が最高傑作とも呼ばれたのは彼女のファンを想う気持ちとその精神性故だ。強さだけが価値では無いのだ。

 

「何だとぉ!?この世界は強い奴が全てなんだ!弱え奴が輝ける世界じゃねえんだよ!俺はボロ雑巾みてえだったシンソクゴッドを強くした!俺の持ちうる全ての技を使って強くした!その結果が無敗の神バだ!それ以外は必要ねえんだよ俺には!」

 

そうか、この男は初めから担当ウマ娘など見てはいなかったのか。ずっとシンソクゴッド先輩の影を追っていたのか。

 

だが、それでも許せない。私の友人を愚弄しただけでは無く、優秀な後輩達を失わされた。これが許せるものか。私は祈者トレーナーの顎を蹴り飛ばし気絶させると理事長室へ連行した。

 

「驚愕ッ!シンボリルドルフ君、君がこのような事をするとは!」

 

「突然すみません。ですが聞いてください。この男が何をしていたのかを」

 

そうして、私は祈者トレーナーから聞いた話と所業を伝えた。

 

「閉口ッ!この男がよもやこの様な人物であったとは!たずな、気づかなかったのか?」

 

「はい…こんな事をするような人ではありませんでしたが…シンボリルドルフさんの話は納得行きます。どうなされますか?」

 

「当然ッ!追放する!トレーナー資格も剥奪しておけ!」

 

「了解しました」

 

その後、事態は迅速に動いた。祈者トレーナー…いや、元トレーナーが目覚めた後追放令が出され、文句や意見を封殺。URA協会へ掛け合い祈者元トレーナーのトレーナー資格を剥奪。ナリタブライアンは精神科に通う事になった。

 

 

私は、どんな事があろうとも彼を赦せそうにも無い。普段より広い生徒会室を見ては、ナリタブライアンを思ってしまう。あぁ、何という劇物を残して行ったのか。

 

それだけが、本当に悔やまれる。




ナリブは良くコンディション落ちるからそこだけ何とかしてほしい。

名前の元ネタ解説
・祈者トレーナー
プレイヤー(player)→プレイヤー(prayer)→祈る者→祈者

・シンソクゴッド
神速神。スピードパワー育成。無敗で国内のG1を総なめした。交通事故で死亡。

・ロイヤルスピーチ
皇室演説。賢さ育成。菊花賞に勝てず育成を諦めた。拉致され不遇の死を遂げる。

・カテゴリーエイト
俺の者だ!ニゴリエースと呼ばれている。バイクとキックが好き。悪の組織と戦い行方不明。

・デンドーイリ
殿堂入り。スタミナ根性育成。有馬記念で5着を取り育成失敗。自ら腱を切り引退。引退後イケメン俳優と結婚した。

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