オレはとっくに諦めた   作:安代圭

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reloaded_log

timeline_1.17

2X22/7/18

便宜上、これを第1タイムラインの17ブランチとする。

現在までに1回の大規模な時空間歪曲と、17回の微小な歪曲を観測した。最新の歪曲による時間差変異は4時間。

何度の大規模なタイムライン変更があったかは不明だが、これが一度目の時間軸ではないことは確実だ。

 

現在の状況と判明している事実を書き出す。

1. 何者かによって時間の操作が行われている。犯人の特定には至っていない。

2. 時間を操作している犯人は地上の人間ではなく地下のモンスターである。我々はレーザー干渉計による空間歪曲の観測にによって時間異常を検出した。地下各地に設置されている干渉計の記録から時空波の震源を解析したところ、いずれも地下が発生源となっていた。

3. 決意抽出機内のストレージに書き込まれた情報のみ、時間軸を超えて維持することが可能である。

4. おそらく、時間異常には二種類が存在する。2X22/3/28に最初にして最大の振幅の時空波を観測した。これが時間異常の起点と考えられる。その後の時間異常は遡行時間の3分の1乗に比例した振幅の時空波を検出した。

 

判明している第3の事実により、これからは決意抽出機内のストレージにログを保存することにする。

 

今までの経緯。

基底世界の周期変動の観測結果との照合から、マイケルソン干渉計によって観測された未知の時空波が時間異常によるものであるという結論に至った。

ただし、観測装置の精度は高くなく、時計として使うには不便であったため、決意抽出器内のプログラムで時間を数え上げさせることで、時間変動の影響を受けない時計を実現させることにした。

それと同時にコントロールルームの時計とも通信、参照させ、1秒以上の齟齬が生じた際に記録する方式にしている。記録する内容は、時刻、時間変動の大きさ。これに加え、干渉計の解析結果から得られた座標も後から書き込むようにした。

 

 

timeline_1.18

2X22/8/2

4日間と3時間34分の時間遡行を確認。

現在より、この時間軸を「第1タイムラインの18ブランチ」と定義する。

 

震源の探索を行なったが、またも空振りに終わった。魔力その他の痕跡は見つからなかった。

これが人為的なものなのか、未だ決定打となる情報は得られていない。自然現象の可能性も排除できず、原因の究明に進展はない。

 

決意抽出機のストレージに時間異常以外の研究日誌も入れていたおかげで、アマルガムの容体急変を予知することができた。

皮肉なことだが、今回ばかりは時間異常に助けられたと言ってもいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

timeline_2.0

2X22/3/28

前タイムラインから引き継いだ情報を全て確認した。決意抽出機のストレージ内のデータに破損はない。

このストレージをデータのセーフティ・ゾーンとして使えることが保証された。

 

今回我々が観測した時空波を解析したところ、やはり大規模な時間歪曲が観測されていた。

タイムライン1から引き継いだマイクロソン干渉計の生データの解析も行った。

遡る時間の長さと時空波の振幅の間には、全ての時間異常で同じ相関関係が成り立っていることが確認できた。

 

 

timeline_2.1

2X22/4/1

8時間の時間遡行を確認。

このログが研究員のいたずらによるものではないことが確認された。今日はエイプリルフールなのにな。

時間異常は事実だ。

クソッタレが。

 

 

timeline_2.23

2X22/5/7

2日間と15時間56分の時間遡行を確認。

 

時間異常の規則性について分かったことを書き下す。

便宜上、起点への遡行を「リセット」と呼ぶことにする。

リセット以外の時間遡行において、「一度やり直しを始めた地点より前」に戻った記録は見られない。

これは時間遡行の制限と見られる。

 

ここからは推測の域になるが、他のタイムラインでの考察に役に立つかもしれないので書き留めておく。

前提として、この現象が人為的なものであると仮定し、時間荒らしの犯人をXと呼称する。

Xは任意の時間点を保存できる。これは「セーブ」と考えるとわかりやすい。

そして「ロード」を行うことによって、「セーブ」した時間に戻ることができる。

「セーブ」できる時間点は一つだけなので、一度「セーブ」した時間の前に戻ることはできない。

雑な理解をするなら、こういう仕組みなのだろう。

 

要するに、”詰んだ状態でセーブをさせたら無力化できる”。

 

 

timeline_2.24

2X22/5/11

なぜ決意抽出機のみ時間軸を超えて情報を保持することができるのか?

最近までの我々の実験との関係性を否定できない。

アマルガムに未知の能力があるのか?

解明を急げ。

 

 

timeline_2.24

2X22/5/13

一通り監視カメラの画像を確認したが、Xを見つけることはできなかった。

Xが監視カメラの配置を把握しているか、あるいはXなど存在せず、この時間異常が自然現象によるものかのどちらかだろう。

いずれにせよ、このタイミングで起きている事件だ。

決意の実験と何らかの関わりがあると考えるべきだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_3.1

2X22/3/29

5時間の時間遡行を確認。時空波の原因が時間遡行によるものであると裏付けられた。

時空異常への対応の責任者はサンズになった。

犯人の特定を最優先する方針。

 

 

timeline_3.8

2X22/4/15

Xは勘がいい。追手の気配に敏感だ。気付かれずに現場を取り押さえる方法を探さなければ。

サンズが震源付近を探索している途中で6回もの細かな時間異常が発生した。

おそらくサンズはXを発見した。消し飛ばされた過去で。だから巻き戻されたのだ。

Xが我々の敵か味方かはわからないが、我々に知られることを避けているのは事実だろう。

厄介だ。

 

 

 

 

 

 

 

timeline_5.0

2X22/3/28

蜘蛛とゴーストに協力を要請し、遺跡の捜索をしらみつぶしに行なった。

狭い隙間や地中を抜けられる彼らでも、人間の痕跡を見つけることができなかった。

遺跡以外に生物が生きて結界内に侵入できる場所がないか捜索していく予定。

 

 

 

 

 

 

 

timeline_8.17

2X22/4/23

時空間に関わる魔術を使うモンスターがいないか調べている。

今のところ該当するのは俺の近道だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_21.45

2X22/7/24

監視カメラに顔認識機能を搭載した。

各地区におけるモンスターの出入りを全て記録し、時空波の震源になり得ない場所にいたモンスターを候補から除外していく。

消極的な手法だが、他に有効な手段がない。

 

もしXが時間だけでなく空間に干渉する術を持っているなら、この監視カメラによる除外式の犯人特定は無意味だ。

だが、タイムライン3でサンズから逃げるために6回もの時間遡行を行っていたことから、この可能性は低いと判断された。

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_28.13

2X22/6/15

全てのモンスターがリストから除外された。

捜査が振り出しに戻った。

研究員はみな落胆している。

今日は早く帰って休もう。

次の計画を考えなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_78.15

2X23/1/27

地上の伝承にいわく、「パンドラの箱には予知が残った」そうだ。

未来を知らないからこそ、希望を持って生きていけるのだと。

俺たちは未来を知らされている。俺たちはこの未来がXによっていずれ握り潰されることを知っている。俺たちは時間軸ごと存在を抹消され、この文章の中にしか残らない。

この状況でどうやって希望を持てというんだ?

Xが善人だろうが悪人だろうが関係ない。史上最悪に傍迷惑なことだけは確かだ。

俺たちから逃げ回ってるってことは、少なくとも後ろ暗いとは思ってるんだろうな。それとも他に理由があるのか?

 

 

2X23/1/28

タイムラインで記憶を引き継げないのは幸運かもしれない。少なくとも、自分の努力が徒労に終わったことを覚えていられずにすむのだから。

最終的に記憶ごと消されるんだから、割にあわないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_156.38

2X22/4/13

最近、各地で失踪事件が起きている。

この事件は今までのタイムラインでもあったのか?

研究員総出で時空の歪みとの関係性を探っている。

ロイヤルガードたちが忙しそうだ。私たちも監視カメラの情報を洗い出している。

 

 

timeline_156.82

2X22/4/14

みんな殺された。スノーフルは全滅。ウォーターフェルも絶望的な状況。ロイヤルガードと連絡が取れない。全滅したと考えるべきか。

現在はホットランドに逃げ込んだ生き残りをラボの地下格納庫に匿いながら、遠隔でこのログを書き込んでいる。

王に人間の魂を取り込んで迎撃するべきだと伝えたが、あの怪物に勝てるかわからない。

 

このタイムラインは終わりだ。

 

次のタイムラインがあることを期待し、君達に望みを託す。

 

何としてでも間に合わせろ。

あれはただの災害ではなく虐殺者だった。

あの悪魔を止めてくれ。

俺たちは何もかも遅すぎた。

 

 

 

 

 

 

 

timeline_157.0

2X22/3/28

タイムライン156番の記録を受け、現在の研究の大半を中止し、全てのリソースを未知の時間操作存在Xへの対抗に注ぐことが決定した。

なぜ前回のタイムラインが破棄されたのかは不明。魂を取り込んだ王に勝てなかったのか?

このタイムラインで全てを解決できるかはわからないが、やれる限りのことをしなければならない。

 

今回からは王とロイヤルガードとも密に連絡を取り合っていく予定。

 

 

2X22/3/29

モンスターを殺戮するようなやつに対抗する手段を探さなければならない。ロイヤルガードが倒されたのだから、並の戦士では通用しないはずだ。

情報の収集を行わなければならない。

博士のブラスターの設計図も探しておく。あれは地上戦争時代で最も優秀な兵器のひとつだったらしい。

 

 

timeline_157.13

2X22/4/12

怪物がやってきた。

またもロイヤルガードからの連絡が途絶えた。

エレベーターを破壊し、ラボから地下研究施設への侵入経路を塞いでいる。このデータを発見されることだけは阻止しなければならない。次のタイムラインに情報を伝えられることだけが俺たちの希望なのだから。この記録を最後に、決意抽出機以外の全電子機器を破壊する。

兵器の開発はあれの襲来に間に合わなかった。俺たちは近いうちに死ぬか、時間軸ごと抹消される。

このタイムラインが消えるのだとしても、次に伝えられる情報の中に俺たちは生き続ける。

 

Xが時間異常を起こした回数が、前のタイムラインよりも少ない。

あいつは殺しに慣れてきている。

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_158.0

2X22/4/17

住民が次々に殺害されている。間違いなくやつだ。だが、手がかりが見つからない。

 

2X22/4/18

監視カメラの記録を精査したが無駄だった。

姿を消せるゴーストか、擬態が得意なモンスターなのかもしれない。それとも、レンズに映らない未知のモンスターがいるのか?

 

2X22/4/19

あれが相当な量のLOVEを積んでいることだけは確実だ。

カルマを観測する装置を作れば、敵を先に見つけることもできるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_160.0

2X22/4/5

カルマ計測器の試作に成功。

下手人の発見に使用する予定。

 

開発経緯。

殺しをしたことのあるモンスターの協力を得た。

ガーソンなど、地上での戦争を生き延びたモンスターたちだ。ロイヤルガードの中にも、地下に落ちた人間を殺したことがある者がいた。

彼らは地下世界を危機から救うためならばと、快く協力を申し出てくれた。

 

カルマ計測器の設計書をストレージに残しておく。

以降のタイムラインでは、アズゴアとガーソンの協力を得て計測器の較正を行うといいだろう。

 

 

 

 

 

 

timeline_163.0

2X22/4/8

ブラスターの量産と改造は上々。このペースなら襲撃には間に合うだろう。あの怪物が相手では、焼け石に水かもしれないが。

俺はショートカット理論の改良を進めている。うまく調整できればXとの戦闘にも使えそうだ。

今日の思いつき:カルマを背負っていることが確実ならば、カルマを利用して攻撃を増幅するのが有効かもしれない。

 

 

2X22/4/9

見つけた。博士の論文が残っていた。地上戦争時代直後の論文だ。この理論なら、魔力に相手のカルマを利用した呪いを組み込むことができるはずだ。

 

 

2X22/4/13

理論は完成した。

しかし、時間がない。

前タイムラインでラボが襲撃を受けた日時が迫っている。

実を結ぶの他のタイムラインでもいい。

平和を手にすることができるならば、この俺たちが時間軸の彼方に消え去ったとしても、意味は残るはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_217.0

2X22/4/10

カルマと共振させてダメージを倍増させる呪いが完成した。ブラスターを通しても問題なく発動することを確かめられた。

 

この呪いの威力は使用者のステータスに反比例する。これはある意味で当然なのかもしれない。罪なきもの、善良なものほど、断罪者に相応しいということなのだから。

対X兵器の使用者はサンズに決定した。

 

 

 

 

 

 

 

timeline_218.0

2X22/3/28

戦闘の詳細は残っていないが、前回のタイムラインで、我々はXに127回の繰り返しをさせたらしい。この数分単位の細かな時間異常の記録が誤りではないのなら、だが。

今回のタイムラインでXが我々に挑んでくるかはわからない。諦めてくれたならいいのだが。

万全を期し、前タイムラインの作成した指示書に従って迎撃準備のみ進めておくこととする。

この兵器を使わずに済むことを切に祈る。

 

2X22/3/29

モンスター達の行方不明事件。

間違いなくXだ。

 

2X22/3/29_log2

おかしい。速すぎる。前回と行動パターンが違う。

このままではブラスターへのカルマ攻撃組み込みが終わる前に地下世界が破滅する。

どうしたらいい?

 

2X22/3/29_log3

諦めるな。作業を続けろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_219.0

2X22/3/28

我々は失敗したらしい。リセット前に時間異常の記録がなかった。

一度もやつを殺すことがかなわず敗北したと解釈する他ない。兵器の開発が間に合わなかったのだろう。

 

2X22/3/29

前タイムラインからの伝達に従い、不眠不休で準備を進めている。

細かい調整は後回しだ。ともかくも兵器が動く状態まで持っていかなければならない。

 

2X22/3/29_log2

間に合わない。

 

2X22/3/29_log3

今日は前回のタイムラインでモンスターが殺され始めた日のはずだ。

だがやつはまだ来ていない。なぜだ?

やっと脅威が去ったのか?

 

 

2X22/4/15

ロイヤルガードから速報が来た。

モンスターの遺体が発見されたらしい。

迎撃の準備は整っている。

 

 

 

 

 

 

 

timeline_220.0

2X22/3/28

前回のタイムラインにおけるXの遡行回数は56回。タイムライン217の半分だ。

あいつはブラスターの攻撃に慣れ始めている。

 

正直なところ、自分が死んだ数を数えるのも、殺した数を数えるのも、最悪な気分だ。

相手が虐殺者であれ、自分が殺しを犯したという記録が信じられない。

 

 

2X22/4/10

ブラスターの飛行速度を改善した。これで多少はマシになるといいが。

 

 

 

 

 

 

timeline_223.0

2X22/3/28

前回のタイムラインにおけるXの遡行回数は23回。タイムライン221よりはマシだった。ブラスターの光砲収束部分の改造のおかげか。

本タイムラインでは有効射程の向上を目標とする。

 

 

 

 

 

timeline_231.0

2X22/3/28

前回のタイムラインで、一度も「ロード」が行われていない。「リセット」以前に時間異常が起きていない。

我々は完全敗北したらしい。

 

時間を操る者に抵抗することなどできないのか?

 

 

2X22/4/1

カルマへの攻撃とブラスターだけでは足りないのは確かだ。他の武器が必要だ。

 

俺の専門分野は時空間理論だ。相対性理論は最も慣れ親しんだ道具のひとつだ。

レーザー干渉計も近道も、全てここに通じている。俺は研究者だ。俺の最大の武器はこの空っぽの頭蓋骨だ。

 

相対性理論は重力の理論だ。

 

 

 

 

 

 

timeline_234.0

2X22/4/3

重力操作に成功。理論は多少面倒だが、技術面はそれほどでもなかった。適性もあるだろうが、コツさえ掴めば他分野の研究員でも習得可能だろう。多分、研究者以外でも。

 

これでやつを詰ませてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_235.0

2X22/3/28

前回のタイムラインの俺たちは、どうやら成功したらしい。

遡行回数は78回。今まで0が続いていたのだから快挙だ。

問題は、前回のXがこれを「諦めた」のか、「突破した」のかということだ。

 

 

2X22/4/2

同僚に手伝ってもらって、回避しにくい骨攻撃のパターンを組んでいる。今までも戯れ程度に骨の弾幕を張ったことがあったが、重力操作のおかげで自由度が増えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつは遊んでいるんだ。

俺たちと戦うことを楽しんでいる。

そうでなけりゃ、なぜ俺たちに時間の猶予を与えているんだ?

実際、初めて奴を殺すのに成功した第127タイムラインの次は、兵器開発の時間を与えず、真っ先に殺しに来ていた。

間違いない。あれは俺たちと戦うためだけにこの時間を繰り返している。

ふざけるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_346.0

2X22/4/14

また弟との約束を守れなかった。

不甲斐ない兄ちゃんでごめん。

俺ももうすぐ、そっちに行くから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_1052.0

2X22/4/3

改造版ブラスター設計書の画像ファイルがストレージを圧迫しているため、旧版の情報を整理し、余分な画像を破棄した。

タイムラインの数が多すぎる。これからは引き継げる情報に限りがあることに気をつけるべきだろう。

 

この戦いはいつ終わるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_1127.0

2X22/3/30

過去の資料を精読した。何が足りないのかわからない。俺たちに何ができるのかわからない。

前回の俺たちは最善を尽くしたはずだ。

本当に怪物を止める手なんてあるのか?

 

それでもやらなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_1294.0

2X22/4/1

ログを読み終わった。

まだ理解が追いついていない。時間変動の記録のみセットアップが完了している。

明日から設計書に従って装置を作成していく予定。他の研究員も困惑している。

 

 

2X22/4/8

ガスターブラスターver23.14を作りつつ、試作段階の23.15の調整をしている。光砲発生部への負荷を抑えつつ出力を上げるのが難しい。

 

 

2X22/4/13

まだやれることがあるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_1562.53

2X28/2/17

「リセット」されてからもうすぐ6年が経とうとしているが、未だ襲来者の気配はない。

モンスターの失踪事件の報告も皆無。平和そのものだ。

時間荒らしの怪物が何を企んでいるのか不明。

もしかしたら諦めたのかもしれないが、楽観的になるべきではないだろう。

やつの目的すらわからないのだから。

襲来に備え、迎撃用兵器の開発を進めておく。

 

 

 

 

2X29/3/25

今日まで戦闘訓練を詰んできた本人が言うのもなんだが、正直に言って、ステータスオール1のモンスターを戦士に仕立て上げるなんて、正気の沙汰じゃない。

攻撃することへの忌避感を保ったまま、殺しの技術を高めるなんて、矛盾の塊みたいなもんだ。

昔、ゴミ捨て場で地上の本を拾ったのを思い出す。

その本にはこう書いてあった。

「他人に武器を向ける時、自分の魂にも武器を向けているのだ」

まさにその通りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_1563.0

2X22/3/28

何が起きたのか不明。

前タイムラインのものと思われるログを精査したが、手がかりは見つからなかった。

この巻き戻しの原因はなんだ?

研究員総出で調査を進めている。

 

 

timeline_1563.1

2X22/5/2

今日、5日間の時間の巻き戻りを観測した。

もし次のタイムラインがあるならば忠告する。

脅威はまだ存在している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_1564.2

2X22/3/30

タイムライン1563が電子化した新聞を全て持ち越してくれた。

データ容量を圧迫しているが、これは貴重な資料だ。前回の我々の判断を讃えたい。

このタイムラインの出来事と全て照合して変更点を探す。

 

 

 

 

 

 

 

timeline_1621.156

2X43/6/14

156回目の時間異常を観測した。

リセットからは二十年が経過している。

未だ襲来はなく平和だが、あいつはまだ地下にいる。

わかるのは一つだけ。

これを書いている俺も、いずれはやつの気まぐれで時間軸ごと握りつぶされる。

この人生に何の意味がある?

 

 

2X43/6/15

それでも備えなければならない。

ここは王国直属の研究所だ。国民のために全力を尽くすのが俺たちの使命だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

timeline_1678.15

2XXX/8/5

指示書に従い、怪物を迎撃するための用意を全て終えた。

 

しかし、襲来者は消えた。直近100以上のタイムラインで、襲撃は行われていない。

使わない兵器の改良に意味はない。

この研究所の本来の設立目的は都市インフラの整備及び地下脱出である。

本タイムラインをもって、研究所のメインテーマを地下脱出に向けた研究に戻し、研究員及び資材のリソースの大半をそちらに傾けることが決定した。

 

以降のタイムラインがあるならば、時間荒らしの犯人Xへの対応は、兵器の製造および指南書にある範囲の戦闘訓練のみにとどめるように助言する。新たな兵器開発の必要はない。

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