<汝の運命・神室真澄>
占い、というものがある。これは古今東西千差万別あるけれど、人の心の内や運勢や未来……とにかく直接観察することのできないものについて判断・予言することを指している。そして、学生というのは良くそれにハマるものだ。それ故、私もこうして来ている。
無人島と船上での試験を終え、懐に余裕のある私たちはケヤキモールに来ていた。ここにいるという良く当たる占い師に会うために。理由としてはさして大したものではない。元々クラスメイトの女子からその存在を知らされて、行ってくることを勧められたのが始まりだった。あれよあれよと話は進み、2人1組でないと出来ないという情報を得たところで、「孔明先生と行ってきなよ!」という強い押しに負けた。
アイツはアイツで割と乗り気だったのが腹立たしいが、とは言え興味がないと言えばウソになる。そんなこんなで夏休みのど真ん中、私たちは長い列に並んでいた。
「坂柳、随分しおらしくなっていた」
「マジで? あの坂柳が?」
「これは良い機会かもしれない。今度適当に壺でも売ってみるか……。あっさり騙されそうだ」
「捕まらない?」
「新興宗教が生き延びているんだから大丈夫さ。ま、冗談だがな。実際にやってみろ、警察の前に学校から怒られる。それは面倒だからな。霊感商法は風当たりが強いのが特徴だ」
「いや、当たり前でしょ」
「そうか? 結局、その人にとって有益かどうかなんだよ。大半の占いだって、究極言えば霊感商法の一種だろう? 大体誰にでも当てはまることを言う。そうして何となくそんな気分にする。私も良くやる手口だ。共感を与えたいときなどに、な」
「へ~、例えば?」
「そうだなぁ。例えば、『貴女は幼少期に辛い思い出がありますね……』と言う。そうすると、人は実際に辛い思い出がある無しに拘わらず思い出そうとするだろう? そんなことあったかな、と。もし明確に覚えている場合は、なおさら『ああ、あれか!』となる。大体人なんて幼少期に何かしらあるんだから、それっぽい事でも自分の中で勝手に解釈する」
「じゃあアンタは占い否定派?」
「いや、別にそういう訳ではない。たま~に本物がいるからな。スピリチュアルな世界、心霊世界、呪術に魔法。ありもしないと皆が思ってる。思ってるだけで、実際にないのか、誰も証明していないだろう?世の中っていうのは、意外と広いものなんだ」
1時間半近く待たされた。これ、ディズニーのアトラクションと同じでカップルの篩なんじゃないかと思ってしまった。長い時間待つことで、人はどうしてもイライラしたりする。そう言う時、本性が出たりするのもよくある話だ。それ故、ディズニーは別れるという俗説があるんだと思っている。まぁ私は行ったことないけれど。
案内されて中に入ると、薄暗い照明が灯っている。そのせいか、いかにもといった雰囲気だ。何に使うのか分からない分厚い本、それっぽく置かれている水晶玉。そしてフードを被った占い師とおぼしき老婆が腰掛けている。
「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経にスッタニパータか……やるな……」
なにがやるのはかよくわからないが、彼は後ろにある本に見覚えがあるらしい。そう言えば、占星術や卜占に詳しかった記憶があった。
「お掛けください」
促されるままに席に座ったら差し出されたのはカードリーダー。これに料金を払うらしい。もう少し雰囲気はどうにかならないものかと思ってしまった。
「学業、仕事、恋愛、お好きなものをどうぞ」
そんなに興味があったわけでは無いので、基本のプランでお願いする。基本プランと言っても5000ポイント近く持っていかれるので、結構な出費になるだろう。そもそも、あまり無駄遣いの出来ない空間なので、5000ポイントでも大金だ。というか、本来は5000円は学生にとってすればかなりの額だ。良くない良くない。ここにいると金銭感覚がおかしくなる。
「ではまず……そちらのお嬢さんから。お名前は?」
「神室真澄です」
「私の占いは相手の顔、手、そして心を見る。その中で貴女が見られたくないものも見えることがあるが?」
「問題ありません」
「まず手相……健康は問題なし。大病も無いだろう。大怪我も無い。守護者がありと出ておる。金運もさして問題なし。平凡ではあるが、苦労はせんだろう。学業は精進あるのみだが、教師運は最上じゃ。問題なかろう。望む進路が叶う」
「なるほど」
どうなんだろうか。確かに当たっているようにも見える。教師運というのは真嶋先生の事でもあるだろうし、隣で占い師の手つきや目つきを観察しているコイツにも当てはまると思う。真嶋先生は比較的いい先生だと思うし、コイツの指導力は本物だ。それに守護者というのは……他に考えられないだろう。
え、私の人生コイツに依存してるの?そう思うと少し困惑するしかなかった。
「最後に恋愛……ほぅ、回り道長し。されど、最終的には位人臣を極めるような未来があるだろう。まぁありていに言えば玉の輿じゃな。それと、絵を能くしておるな。望むものを描けば、結果が伴うだろう」
「そ、そうですか……。ありがとうございます」
玉の輿?え、私社長夫人とかなのだろうか。困惑しかない。私に当てはまるような事はそんなに言われなかった。むしろ、これからの人生や私の知らないことについての話が多かったように思われる。特に、誰でも当てはまるような内容では無い事を言われた。つまり、これはこれからの未来で起こる……ということ?
私が目を白黒させていると、彼の番がやって来る。
「ほぅ? 健康、金運、学業全てさして問題なし。金運は山谷あるだろうが、それでも凡そ高い水準を保つと出ておる。幼少期から今に至るまで、苦労の多い生活だったようだが、お主の性質がそれを上書きして相殺する、もっと言えば更に良い方向になるようにしておる。絶望の中でも希望を捨てぬ者の持つ手だ。これは強いだろう」
「恋愛運はどうです?私、結婚できますかね」
「出来る」
「それは良かった」
「珍しい手相を見せてもらった。礼と言っては何だが、これもやって進ぜよう」
占い師が並べたのは裏返されたカード。数は22枚。有名なタロットカードというやつだろう。表と裏で意味が違ったりするそうだ。と言っても、私はそんなに詳しくはない。ファンタジーとかでたまに出てくるから知っている程度だ。彼は少し思案した後、スッと1枚引いた。
「これは……なるほど。やはりこうなるか」
「21番の正位置ですか。本当ならば、幸運な事です」
「壁は多いだろうが、必ず栄達へ辿り着けるだろう」
「どうもありがとうございました」
お礼を言って外に出る。照明が暗かったせいで、一瞬眩しかった。
「珍しい。あれは本物だな」
「あぁ、さっき言ってたやつ?」
「久々に出会った。日本の、こんな都市部にいるとはな」
「それにしても、結婚願望なんてあったんだ」
「そりゃあるさ。私の願いは平和で幸福な日常なんだから」
「なにそれ。普通にあるもんじゃない?」
「う~ん、日常の定義にもよるけれどね。少なくとも、ここや中学時代のような時間が、私にとっては日常なのさ」
「ここの生活が日常はちょっと嫌だけど」
「君にとってはそうかもしれないな。……21番、か」
「さっきのカード、どんなヤツだったの?」
「タロットカード大アルカナの21番。カード名『世界』。その正位置だから――意味は完璧、成就、完成、永遠不滅。そして……約束された成功」
「それなら良いじゃない」
「あーまぁうん、そうだな」
どうにもこうにも歯切れが悪く彼は言う。少しだけ考えてみた。彼の望みは平和で幸福な日常。それでもタロットカードは成功を謳っている。幸福な日常は成功とは言い難いだろう。つまり、彼の望む結末と、彼にとっての成功は別物なのかもしれない。もし、平和と幸福な日常とは違うものが成功なのだとしたら……きっとそれは私では想像もつかない非日常なのだろう。
その時、私は何をしているのだろうか。今のように、しているのだろうか。少しだけ悲しそうな横顔を見て、そう思う。だが、考えても仕方のない事だろう。先のことはどうやっても分からない。取り敢えず、今はアドバイスに従って美術部として作品を作る事にした。
<ドラゴン無双②、弁護士編・IFルートCクラス>
「はぁ~使えない」
放課後の学校に呆れ気味の声が響いた。龍園はあまりいい気分では無いが、約束通り、己の軍師の話を聞いていた。
「はっきり言ってガバガバ。何です、この酷い作戦要綱。再提出以前の問題ですね」
「何が悪い」
「全部」
「……」
「なんです、この特別棟に呼び出す作戦。ひどすぎる。怪しさ満点じゃないですか。こういう時は自分が被害者になるようにしないといけないんです。特に怪しくはない状況で。それなのに……石崎君はいりません。むしろ邪魔」
「そこまで言わなくても……」
「ああ、すいません。石崎君の存在が邪魔なんじゃないです。この計画ではいらないんです。だってバスケ部の話で呼び出したのに、バスケ部以外がいるのは不自然でしょう? にも拘らず用心棒って。いつの時代ですか」
「じゃあ、お前ならどうする。言っておくが、須藤を嵌める計画自体は中止しない。軍師なら主の望む行動が出来るようにしろ。過程は任せる」
「……あのですね、軍師は時には諫め、主君の行動を中止させるのも仕事なんですけどね。まぁ良いです。そこまでやりたいなら仕方ありません。では、まず近藤君と小宮君は今後品行方正に振舞ってください。呼び出す理由も変更です。調子乗ってるとかヤンキーみたいな言いがかりは止めて、もっと素行を改めるように注意する方向に。あくまで正論で怒らせ、暴力を振るわれましょう。あと、必ず病院に行って診断書を貰うようにします。これで少しはマシでしょう。場所はむしろ、他人に見られていた方が良い。台本は用意します。それを暗記するように。これでどうですか?」
「あ、あぁ、それで行こう」
龍園はすらすらと悪辣な事を言い始めた配下にドン引きしているが、そもそも自分も同じ穴の狢だとは思っていない。そう言うところである。
「あと、龍園君。君、私の課題やってます?」
「あぁ?学力なんか不要だろ」
「愚か者。学力は基本です。王が馬鹿とかどうしようもありません。仮にも王を名乗るなら、それ相応の知識と教養を身につけて下さい。さもないと舐められますよ」
「……」
「今後の人生、全てに逆張りして生きていくつもりですか?地頭は悪くないのですぐに伸びるでしょう。そもそもあなたのその隠しきれない粗暴さが椎名さんのような優秀な人材の登用を妨げる要因では無いんですかね。良いからつべこべ言わずにとっととやりなさい」
「チッ!やれば良いんだろ、やれば」
「まったく。私の気分はどちらかというと孔明より君主の育成しているマーリンですよ……。龐統役がいないと結構キツイので、早く椎名さんを出仕させてください」
「……」
「返事!」
「分かったからデカい声出すな」
「ならばよろしい」
龍園が丸め込まれている姿に、石崎たちは戦慄と恐怖を覚えながら諸葛孔明を見た。厳しい上に口も悪く龍園に接しているが、そこにはしっかり敬意がある。そうでないとため口になっているだろう。自分の主として仰いでいるからこそ、彼は龍園に厳しく当たるのだった。
その後、近藤・小宮のバスケ部組は須藤を人目のある場所に敢えて呼び出し、日頃の素行を注意。須藤の素行の悪さが、バスケ部全体にも悪影響を及ぼしている。チームプレイなのに、キツイ言葉を吐いていると連携に支障が生まれる。相手を思いやって欲しいなど、割と正論をぶちかまし、なおかつその中にチクチクと煽りを入れたことによって激昂させることに成功。胸倉を掴まれてもなお「そういうところだぞ」と冷静に言い続けて怒りを煽り、遂には暴行に及ばせたのだった。
その後、状況の判断と処分の審議を行う会がCクラスの訴えによって起こされる。被害者と加害者に加え、Dクラスからは堀北と綾小路。Cクラスからは諸葛が出ている。がしかし、Dにとってすれば白昼堂々の行為。カメラには会話は残っていないが、先に胸倉を掴む須藤と、無抵抗のCクラスの顔が映っている。しかも生徒会長の手元には病院の診断書、須藤の素行調査の結果、そして中学時代の起こした問題についての資料が揃っていた。全部諸葛孔明が揃えたものである。年齢詐称の結果ではあるものの、一応中国の司法試験を突破している身。それくらいは余裕である。
圧倒的不利の中、どうあがいてもDクラスが勝てるはずもなく。堀北学も唸る弁論の結果、見事Cクラスの完全勝利を勝ち取ってきたのであった。
「よくやった。これでDの馬鹿どもも少しは肝が冷えただろうさ。須藤はさぞかし大変だろうなぁ、笑えるぜ」
「学力ではそこまで差は無いですけどね」
「……水を差すなよ」
「慢心を止めただけです。驕る事の無いように。次の試験、勝ちに行きますよ」
「あぁ、無人島だろ。サバイバルは得意だぜ」
「それは結構な事です」
悪い笑顔を浮かべる龍園。冷静な顔でそれを見つめている諸葛。見た目は広域指定暴力団龍園組のツートップであった。
そしてその後。
「あなたが揉め事を好いていないのはこれまでのお付き合いで知っています。しかし、私がいなければ龍園君はもっと悪い方向に流れてしまうかもしれません。ルールの中で争う必要があります。ここに在籍している以上、争いは避けられない。それでも、どうにかまともな方向に持っていくことは出来ます。私がいればいいのですが、常に一緒にいる訳にも行きません。金田君は伸びしろはあるのですが、まだ龐統役にはなれません。いつか馬良や法正のようになって欲しいのですが……。それはさておき、私には、そしてCクラスには、あなたの力が必要です。このクラスを、よりよい方向に導くために。どうか、お力を貸していただけませんか」
「……やはり私には、龍園君を好きになれそうにはありません。ですが、諸葛君の事は信頼しています。あなたが頑張って龍園君を軌道修正している事も。これまで沢山お話させてもらったので、人柄も少しはわかっているつもりです。お役に立てるか分かりませんが、2つの条件を呑んでくれるのでしたら、お力をお貸しします」
「その条件とは?」
「1つは私の趣味に割く時間とポイントを確保して下さる事」
「分かりました。お約束しましょう」
「そしてもう1つは、龍園君ではなく諸葛君に出仕するという事です」
「……それはつまり?」
「あなたの副官役、という事でしたら、やぶさかではないという事ですね」
少しだけニコッと笑った少女に、諸葛はスッと頭を下げる。
「光栄な話です。どうぞ、よろしくお願いします」
かくして、劉備に仕える孔明の元に龐統が仕えるという良く分からない状況になりながらも、Cクラス最強格の人員を迎え入れ、彼らは無人島試験の訪れを待つのであった。
<アルティメット堀北②、理想の教師編・IFルートDクラス>
緊張をDクラスが包んでいた。地獄のような5月1日から数週間。月末に近いこの日。中間テストの結果返却の日であった。Dクラスはこの間地獄のような授業を受けていた。恐らく、多くの生徒が人生で1番勉強しただろう。堀北や幸村のような優秀な生徒は、追加課題を出されていたため休む暇もない。100点取れるんですか?を口癖に、諸葛孔明はその確かな指導力で以て生徒1人1人に合った指導をしていた。綾小路と高円寺というやらなくてもいい生徒2名を除き37人分。これを全部用意していたのである。しかも内容は別々。
これは、4月の間中におおよその原型を作り、月末の小テストを見て実力を知った後に追加で修正し、印刷されたテキストである。取り敢えず、目下の試験を乗り切ることを目的としていた。とは言え、最初の中間テスト。そこまで中学と差はない。過去問を既に入手している諸葛は、それを元に必要レベルを逆算。過去問本体を一切使う気は無いが、参考文献扱いしていた。他クラスが頑張って探した試験の突破法もこの程度の扱いである。
鬼のような学習期間を経て、これでもし点数が微妙だとどうなるか。Dクラスの生徒は粛々とその時を待った。そして、茶柱先生が入室する。その顔は何とも言えないものだった。
「あーお前たち。まずは良くやったと言おう。退学者は無し。そしてお待ちかねの結果はこれだ」
ザっと公開される5教科10科目分の結果。全教科最低点――英語・須藤健・68点。最高点――多数の科目・多数の人・100点。
過去問を一切使わないでこの結果である。正直言って異常な数値。職員室が騒然としていたのは言うまでもない。だが生徒たちの顔は堅いままだ。喜色を見せる様子は無い。そんな中、諸葛孔明はスッと立ち上がり、教壇に立つ。
「邪魔です」
「あ、ああ、すまない……」
先生を一言で退かすと、じっと結果の書かれた表を見る。数分後、生徒の方向に向き直った。その顔に笑顔はない。が、よくよく観察すると機嫌がいいのが分かる。余裕のある綾小路はそれに気付いていた。
「全員、この後返却される自身の解答用紙を提出しなさい。結果について講評を述べると……やればできるじゃないか。良くやった。今はそう言っておきましょう」
そこらかしこから歓声が聞こえ、ガッツポーズをしている生徒も多い。ホッとしている者や、緊迫のあまり魂の抜けかかっている者もいた。ここまでの期間でも褒められることはあったが、それでも厳しい事の方が多かった。そんな後でのこの言葉は彼らの心にも響いたのだ。彼らの多くは親からも先生からも見捨てられた出来損ない。勉学で褒められた事などほぼない。だからこそ、刺さるのだ。茶柱先生に言われてもあまり刺さらない言葉も、自分達を1カ月近く辛抱強く教え続けた人間の言葉なら刺さる。
「ですが、この結果で満足しないように。あくまでも初回のテスト。簡単に出来ています。次もこういう結果になるように。そして、範囲の決まった定期テストごとき、100点を取れて当たり前の意識になるように。これからも指導はしますので、変わらない努力をしましょう。良いですか、人生100年時代。3年なんてあっという間です。今やらないでいつやるのか。今だけです。勉強してれば褒められるのは。なので、やりましょうね。勿論、私もお手伝いをしますので。返事は?」
「「「「はいっ!!」」」」
運動部もかくやの返事が返ってくる。茶柱先生は最早所在なさげに端っこに立っているだけの存在になっていた。満足そうに生徒たちを見渡した諸葛は次の話題を話す。
「今日から進路面談を始めます。自身の希望進路を考えて指定の時間に来るように。その際に6月分の課題を渡します」
戸惑っている生徒たちに向かい、彼はそう言い放つ。茶柱先生はいつの間にか職員室に戻っていた。
軽井沢恵は怯えながら席についていた。眼前には恐怖の対象が莫大な量の紙束と共にいる。4月の間は気さくなイケメンだった彼は、今や鬼より怖い教師と化していた。それでも、自分が出来るようになっている自覚が持てるだけマシなのだが。かつてのいじめっ子達よりは、何倍もマシだった。
「それでは面談を始めましょう」
「……はい」
「軽井沢さんの前回の結果がこれですね。最底辺近かった初回の小テストに比べればかなりの進歩です。さて、これからの将来に関して希望はありますか?」
「大学は、行きたいかなって、思ってます」
「なるほど。希望大学・学部などは?」
「それは……まだ無いです」
「分かりました。そうですね……1つお勧めの進路と言いますか貴女に向いてそうなものをご用意しました。これです」
「これ……school lawyer? 学校の……俳優?」
「それはactorです」
「あ、そっか……。lawは法律だから、裁判官?」
「惜しいですね。弁護士です。特に学校内の問題を中心にした事件を解決する仕事です。内容は主に保護者トラブル、教師間や生徒と教師間でのパワハラ・セクハラ。そして――イジメ問題」
「イジメ……」
「軽井沢さん。貴女は痛みを誰よりも知っている。被害者の無念、その辛さ、惨めさ。そして加害者の卑劣な手段も、なにもかも。知り尽くしているからこそ、貴女向きの仕事ではないかと思いました。まぁあくまでも私の考えで、ですが」
彼女は考えた。軽井沢恵は誰かに寄生して生きていく人間だった。しかし、それが良いとは自分でも思っていない。こんな風になってしまったのは過去の人生が原因だ。もし、この仕事に就いたなら。多くの子供たちを助けられるだろう。その中で、過去の泣いているだけだった自分も、救済できるような気がした。自分を縛り付けるお腹の傷への思いが少しでも消えるのならば。彼女はそう思わずにはいられなかった。
「これ、目指すなら、どうしたら良いの?」
「そうですね。まずは弁護士資格を取るべく、司法試験――日本でも最難関クラスの試験を受ける必要があります。この試験は選りすぐりの優秀な受験者が受けて合格率は30%強。非常に難しいです。勿論、その前に法学部に入らないといけませんが。ただし、不可能ではありません。今からなら、問題なく合格できるでしょう」
「絶対、行けるの?」
「貴女の頑張り次第ですが、貴女がしっかりやるのなら、必ず」
「分かった。頑張る。だから、教えてください」
「良いでしょう。貴女の目指すべき志望校はここです」
出されたパンフレット。そこには、誰もが知っている大学の、一番有名なシンボルが映っている。赤い門と特徴的な造形の講堂。かつて多くの才人・賢人を輩出した日本最難関の学府。東京大学文科一類。これが彼女の受験先に決定した瞬間だった。併願に慶應と中央の法学部という私立でも最難関の法学部も用意してある。
「大丈夫。この短期間ですら貴女の成績はしっかり伸びている。下地がない分苦労もありますが、やるべきことをやれば必ず伸びます。大学受験はそういう試験ですので。これが今後の課題です。指示は全て書いてあるので、その通りにやって下さい」
「分かった」
「質問があれば、気軽に。もし進路等で相談があれば、また今後いつでも受け付けます。それでは次の方を呼んできてください」
「ありがとうございました」
彼女は夢を抱き、部屋を後にした。これまでの人生は惨めだった。だから、ここから変わるんだ。変われるんだ。そういう夢を抱きながら。希望に満ちた目をしていた。
彼は夢を笑わない。どれほどフワフワしたものでも。どれほど遠い目標でも。医者だろうが、プロのスポーツ選手だろうが、政治家だろうが、官僚だろうが。承認欲求の高い少女にはニュースキャスターや女優などの芸能界を。お洒落好きにはファッション業界。噂好きには記者。パソコンオタクにはゲームクリエイター。父親に反発する夢のなかった真っ白な青年にはその教育を否定するために、そして親の影響力を排除するために、この学校での教師の道を。それぞれに合った進路を提示する。勿論、決めるのは彼らだ。しかし、今まで何もなかった未来の青写真を描けるだけで、彼らにとっては大事な事だった。人から与えられた夢だって、抱き続ければ本物なのだから。そういう理念の元、基礎学力をつけた後にその人物の目指したい未来を目指せるようなカリキュラムが設定されていた。
どんな夢でも絶対に嗤う事は無い。必ずそれに導いて見せる。見捨てられた最底辺。そう学校にまで嘲笑われている彼らに、希望を見せる。それこそが彼がかつてからやっていたこと。絶望の中にも、希望はある。そう謳い続けるのだ。
「堀北さん、貴女はイギリスとアメリカ、どちらが好きですか?」
「特に好みなどは無いのだけれど。もし、強いて言えば……イギリス?」
「そうですか。では、貴女のお兄さんを超えるために、まず進路はオックスフォードに設定しましょう。この学校内では生徒会長を目指しましょうね。そうすれば、少なくとも一角の人物にはなれるはずですよ?」
「でも、それは貴方の力を借りただけで……」
「人は1人では強くなれません。足りないならば、教えを乞うて強くなればいい。そうやって人類は進歩してきたのです。先人に倣い、教導者に倣いながら」
そして、孤独な少女は誰かの力を借りることを覚えた。
<おまけ・感想欄で希望があったDクラスIFルートにおける軽井沢さんの将来>
あの懐かしい学校を卒業してもう10年以上になる。私は昔の自分では想像もできない姿をしている。東大合格なんて、中学時代の私に言ったら鼻で嗤われるだろう。両親の号泣姿を見て嬉しかったし、地元の奴らの唖然とした顔にスカッとした。彼の教えは大学に入った後も役に立った。そして法学部を卒業し、法科大学院へ行き、司法試験にストレートで合格した。
金色だった髪は黒に戻した。それでも私の価値は変わらないから。今まで何十件もの依頼を受けて、本とかも書いたりした。これでも結構話題になった。いじめは犯罪だ。この意識を植え付ける事が私の使命だと信じている。
今回の案件では落書きや悪口、悪い噂の拡散、物隠しが多いようだ。時々箒等で叩かれることもあるそうで、事実青いあざがある。
「娘をよろしくお願いします」
「分かりました。私は絶対に○○ちゃんの味方だよ。だからお姉さんに教えて欲しいの。○○ちゃんは、どうしたい? ○○ちゃんのお願いの通りになるように頑張るから、教えて?」
「お友達はいるの……でも、嫌がらせしてくる子もいるの……。だから、嫌がらせしてくる子とは会いたくないの」
「そっか。分かったよ。お話してくれてありがとう」
子供にだって意思はある。それをまず第一にしないといけない。その上で、お母さんは怒り心頭だ。損害賠償を求めている。この子の要望だと、賠償に相手の転校措置とつけるのが妥当か。ただし、学校は非協力的。でも、この程度なら何度もやって来た。
「○○ちゃんは、その子たちがいないなら学校は好き?」
「学校は好きだよ!」
「そっか。じゃあ、○○ちゃんが楽しく学校に行けるように頑張るね!」
「軽井沢先生、どうかどうかお願いします」
「お任せください。最大限、努力させていただきます」
お母さんは何度も何度も頭を下げて帰って行った。バイバイと手を振る娘さん。依頼人が帰った後、にこやかだった顔を引っ込める。まずは情報収集から。必ず解決してみせる。それが私のプライド。失敗しない弁護士・軽井沢恵。それが私の異名だ。
被害者を少しでも助けて、私みたいな子を作らないようにしたい。そうすればいつか、私の背中を見てくれた子が私みたいな道を選んでくれるはずだから。孔明先生、私は貴方みたいに誰かを導けていますか?彼みたいになれるまで、私は止まらない。
記憶の中の、幼い私が優しく笑った気がした。
<坂柳有栖の受難Ⅱ>
地獄のような日も今日で終わりです。私は歓喜していました。この最悪な状況からも脱せるからです。今日はクルーズに出ていた1年生の帰還する日。同時に心霊現象の解決できる能力を持った人物が返ってくる日でもあります。1週間ほど生きた心地がありませんでしたが、それも今日でさようならだと思うと心も晴れやかです。
ピンポーンとインターホンが鳴りました。ついに来た!と思い腰を浮かせ、ある言葉を思い出します。「私が来ても安易に開けるな。招かれない限り、相手は入れない」と、彼はそう言っていました。ハッと時間を見ます。帰還予定時刻は午後3時。今はまだ……午前中です。しかし、もしかしたら予定が早まったのかもしれない。そう思い、一応扉越しに対応することにしました。
「すみません、開けて下さいますか?」
聞き覚えのある声です。しかし、疑うと違和感しか感じなくなってきました。
「諸葛君ですか?」
「ええ、そうです。解決に来ました」
「すみません。ですが、諸葛君であることを証明させて下さい」
「困りましたね。どうすれば良いですか?」
「私の言う事を復唱してください。『もしもし』」
「……」
「どうしましたか?」
「チッ!」
大きな舌打ちの声が聞こえます。同時に、扉が激しく揺れます。この世のものではないような声も、外から聞こえてきました。明らかにそこにいるのは生きている人間ではありません。私は悲鳴を上げるのを我慢しながら必死に部屋に戻り、布団の中に包まりました。数分揺れていましたが、その後静かになります。しかし、私は布団から出られず、震えていました。
数時間後、携帯を確認すると午後3時半ごろになっていました。確かに、先ほどから生徒の声が聞こえます。ガチャ! と扉が開く音がしました。思わずヒッと声をあげてしまいます。しかし、今度はちゃんと存在感のある声でした。鍵も閉められる音がします。恐る恐る顔を出すと、諸葛君(本物)の姿がありました。
「あぁ、まだ生きてましたか。良かった」
「え、あ、どうやって」
「真澄さんに頼んで、彼女名義で管理人さんに合鍵を貰いました。これがそれです」
「さ、さっき、諸葛君の偽物が」
「ん? あぁ、やっぱりですか。古典的ですが、よくある手口ですね。さて、問題を解決しましょう。部屋を拝見しましたが、風水的によろしくは無いです。ですが、こんな怪奇現象を引き起こすほどではありません。明らかに原因は他にあります。心当たりは?」
「特には……」
「そうですか。では、ここ最近何か変な事はありますか? この夏に入る前でも良いです」
「あまり体調が良くない日が多くなりました。休むほどではないにしても……。そのせいで念のため今回も欠席しました」
「それはいつから?」
「4月ごろです」
「なるほど。その間に寺社仏閣へ行きましたか?」
「行ってません」
「では、何か貰いものでもしましたか?」
「貰いもの……。そう言えば……少し待ってください」
貰いものという言葉には私の記憶に反応がありました。クローゼットの奥にしまっていたものがあります。
「これです」
「これは……ペンダント?」
「はい。中学生時代の友人からもらいました。この学校へ行くと分かった時に餞別という事で」
「あなた、お友達いたんですね。てっきりお友達という名の召使いかと」
「お世話になる事は多かったですが、普通の関係だったはずです……」
「ま、踏んだ象は踏まれたアリの事を覚えていないものです。あぁぁ! 明らかにこれですね。原因は」
彼はペンダントの宝石部分をパカッと開けました。そんなギミックがあったとは知りませんでした。くれた時にも何も言われなかったのに、確かにそこには空間が存在しています。どす黒い色で何か文様が書かれていました。
「これは血ですね」
「血」
「はい。血文字です。この文様は東洋呪術の種類の1つ。これ自体は問題ないのですが、血で書きそれを相手に持たせ、そこへ向かって念を送ると呪術が発生します。つまり、これは座標なんです。呪いの行き先を示す地図アプリの目的地ピンみたいなものですね。体調不良はこれのせいで間違いありません。じわじわと弱らせるタイプでしょう。毎日飛んでくる呪いにこの閉鎖された学校に溜まった怨念や恨み、憎しみ、負の感情が巻き込まれ、肥大化していったのでしょう」
「でも、どうして急に夏休みになって……」
「あーそれは多分、貴女がこういう存在を知覚してしまったからでしょう。ないと信じたいと思いながら、あるのではないかと疑った行動を取ってしまった。今までは考えもしなかったため、チャンネルが閉じていましたが、開いてしまいましたので」
「……それ、諸葛君のメールのせいでは?」
「あれはあくまでもアドバイスのつもりだったんですがね」
絶対ウソです。橋本君曰く、怪談話をしていたそうなので、間違いなく嫌がらせでしょう。しかし、それが分かったとしてもどうしようもありません。私はここで彼に頼るしかないのです。悲しい上に屈辱を感じますが、もう仕方のない事なのです。
「まぁこれはこうすれば……はい消えました。これで終わりです」
彼は油性ペンで血文字を塗りつぶしました。呆気なく呪いの解除は終わってしまいました。
「えぇ……」
「あくまでもこれは座標。元々の効力もお呪い程度にしかありません。これで座標は消失。問題なくなりました。しかし……」
「しかし?」
「貴女を狙う怪異は別物です」
「あれは、何なんですか?どうして私を……」
「明確な名前はありません。貴女を狙うのは器が欲しいから。あの存在は不安定です。意思を持っていますが、形がない。ですので、器を探していました。器にはなるべくヒトに近いもの、人間の身体が最上です。本来はもっと違う者を狙うのですが、生憎ここには貴女しかいなかったので、標的となりましたね。――おいでなすったようです」
ドンドンと玄関のドアが鳴らされます。彼はズンズンとそれに近付いていきます。私は怯えながらもその背中に隠れつつ玄関へ向かいました。
「ちょっと、開けて欲しいんだけど」
神室さんの声がします。手を伸ばしてドアを開けようとした私の手を、彼はピシャリと叩きました。
「油断しないように。真澄さんですか?」
「そう。暑いんだけど。用事終わった?」
「はい、もうじき片が付きます。終わったら何か食べますか? 坂柳さんのおごりでドーナツでも。前5個くらい食べてましたし、好きでしょう?」
「はぁ? 私、そんなに食べないんだけど」
「はい、ダウト。真澄さんはそんなこと言いません。食べる! と目を輝かせて言います」
「……」
扉の向こうは沈黙しています。彼は黙って懐から紙を取り出しました。人型に切られたそれは、式神のようです。そこには私の名前が書いてありました。「髪を1本拝借」と言って彼は私の髪を引っ張り、その人形の首に結び付けます。そして思い切り叫びました。
「お入りあれ!」
バンッ!という轟音と共に扉が開き、黒い影が躍り上がります。私は腰を抜かしてへたりこんでいました。見ているだけで恐怖心が増してきます。気持ち悪さと恐怖とが混ざり合い、涙が流れ出しました。風が一気に私の部屋に流れ込んできました。彼の長い髪はそれによってバサバサと揺れています。
「汝の器はこれである!」
突き付けた人形に黒い影が吸い込まれていきます。完全に吸い込まれた時、思いっきり彼はそれを踏みつけ、意味の分からない中国語を唱えています。数分後、蠢いていた人形も大人しくなりました。
「これで器に閉じ込めました。後はこちらで処分しておきます」
「い、今のは……?」
「こいつは怨念の塊。思念の集まりです。器を探していましたが、仕方なく貴女を選んだだけであり、より空虚な方に寄せられていきました。貴女に入ると貴女という自我と戦わないといけませんからね。だから、貴女を脅かし、恐怖で無防備にさせようとしていたんですよ。ともあれ、これで心霊現象は解決しました。暫くは大丈夫でしょう」
「ありがとうございました……」
パンパンと埃を払い、彼は帰り支度を始めました。少しだけ冷静になった私は、1つ疑問が浮かびました。
「あの、さっき呪いは解除したと言いましたけど、まだ呪ってる相手は呪いを発してるんですよね」
「ええ。よっぽど深い恨みみたいですね。坂柳さん、貴女何したんです? 普通はこんなお呪い程度で大それた効果にはなりませんよ」
「呪ってる相手はどうなるんですか」
「坂柳さんがお出かけしました。家を出て数分後、携帯を見たらその行きたかった先が潰れてしまっていたことを偶然知りました。もう他に行きたい場所はありません。どうしますか?」
「帰ります」
「そうですよね。呪いも同じです。行き先の座標が消え、行き場を失ったので帰ってきます。あなたを殺さんとしていた強い怨念が、他の恨みも拾って肥大化しながら」
「そ、それじゃあ、あのペンダントを送った私の友人は……」
「さぁ、それは知った事ではありません。お呪い程度と言いましたが、お呪いも呪いも原点は同じです。そもそも違いなどさしてありません。良く言うでしょう? 人を呪わば穴二つってね」
どうぞ素行にはお気をつけになって。そう言い残して彼は去って行きました。ちゃっかりお礼を要求するのを忘れずに。まぁそれは良いです。もし呪いに気付かなければ、数年後に死んでいたかもしれませんし。この年になるまで、非合理性の塊だと思って心霊現象やスピリチュアルな世界の事は興味も持ちませんでしたし、知りもしませんでした。しかし、実際にないと証明できないどころか、あると私自身の身を以て証明する羽目になりました。これからの人生、苦労しそうです。
ですが、実のところ私は人を呪わば穴二つをまだ信じられずにいました。しかしそれは数日後、強制的に信じさせられることになります。お昼のニュース番組を適当につけたときに流れたニュースのせいでした。
『続いてのニュースです。先日、東京都世田谷区の公園で遺体で発見された女性は、同区に住む16歳の高校生、水森愛奈さんのものであると警察の身元確認の結果判明しました。水森さんは数日前、自宅にいるときに突如失踪。行方が分からなくなっていました。警察は、遺体には強い鈍器で殴られたような跡が全身にあり、また野犬に噛まれたような傷が顔を中心にあった事から、きわめて強い遺恨によるものと見て、捜査を進めています』
それを見て、気付きます。彼はあのペンダントと怨念の籠った人形を持っていきました。処分したかは見ていません。祓えるということは、呪う方法も知っているという事。それに、心霊でなくても恨みを買い続けると、いつ報復されるか分からないと思い知りました。私の身体では、さしたる抵抗も出来ず害されるでしょう。恨みは、買わない方が得なのかもしれません。それに呪いはあるのです。だって……
ニュースで放送されていたのは、私にペンダントを送った人物の死でしたから。
<Cクラスルートの裏話>
隣の席設定の椎名さんが優秀と見抜いた孔明は『シャーロック・ホームズ』を原文で読むという行為を行い、あまり他人に興味のなかった椎名さんを「!?」とさせて向こうから話しかけるように仕向けました。その上で当然のように把握してるミステリー小説の知識でパーフェクトコミュニケーションを取り、オタクじみた知識にも対応。好感度を凄まじく上げています。龍園君を裏切らない理由は、ごねながらも最後にはちゃんと諫言を聞き入れる君主は貴重だからですね。
ただ、今後は無茶な龍園の作戦をなんとかしつつ、椎名さんに失望されない戦略に仕上げるという苦難が待ってます。それができると王・龍園翔、作戦参謀・椎名ひより、前線指揮官・諸葛孔明、後方支援・金田悟、精鋭兵・Cクラス生徒という図式が出来て強いです。
<Dクラスルートの裏話>
堀北さんがアメリカを選ぶとマサチューセッツ工科大学かハーバード大学になってました。行かせる気満々です。