ようこそ孔明のいる教室へ   作:tanuu

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信頼なくして友情はない、誠実さなくして信頼はない。

『サミュエル・ジョンソン』


35.僕たちは、1人では強くなれない

 結果が発表される。生徒全員が電光掲示板に目を向けた。カウントを始めた掲示板の数字が増えていく。全13種目の結果、勝利したのは……。

 

『勝者赤組』の文字が表示された。まぁ正直見えていた結果である。八百長し放題な2年Aクラス、団体戦ではほぼ完勝状態の1年Aクラス。全ての点数がいい3年Aクラス。これらを有しておいて負けるというのはよっぽどの事態だろう。次いで、各クラスの点数が発表される。

 

1位 1年Aクラス

2位 1年Bクラス

3位 1年Dクラス

4位 1年Cクラス

 

 Bクラスは龍園が堀北に夢中な間隙を縫って個人競技で上手く点数を稼いだ。女子では騎馬戦以外勝っていたし、推薦競技でも悪くない成績だったのでムラのあるDに僅差勝利だった。これによりcpの量も変動する。白組は-100されるので、一部クラスは大分悲惨なことになりそうだ。

 

Aクラス……+50(1位であり赤組なので負債無し)

Bクラス……-100(2位だが、白組の分の負債)

Cクラス……-200(最下位兼白組の負債)

Dクラス……-50(赤組なので負債は無しだが3位)

 

 これを受けて最終的なポイントは

 

Aクラス:1439

Bクラス:743

Cクラス:402

Dクラス:412

 

 

Aクラス:1489

Bクラス:643

Cクラス:362

Dクラス:202

 

 となるため、またしても龍園クラスがCに再浮上する結果となった。また、Bクラスもやや後退。堀北率いるCクラスは再びDへと転落する結果となる。勝利組にいて、なおかつ1位になる事が唯一のプラスになる方法だったが、我々は見事達成している訳だ。Bクラスは素の能力では上の方だったが、やはり白組だったのが響いた形になっている。

 

 現在我々は圧勝中。Bクラスに2倍の差をつけている。これで負ける事はそうそうないだろう。万が一大敗を喫しても、簡単には逆転できない点差になっている。どこまでやれるかは未確定なところのあった体育祭だが、最上の形を勝ち取れたと言えよう。

 

「それでは最後に各学年の最優秀選手を発表する」 

 

 さて、ここからは個人の計算だ。私の出場競技は全部。私個人が走った競技は全て1位だし、最後のリレーも優勝。という事は、貰えたと思って良いだろう。電光掲示板には『1年最優秀賞はAクラス・諸葛孔明』と書かれている。個人の点数的にはコンスタントに1位2位を取り続けてたBクラスの柴田もかなり惜しいところだった。私がいなければ彼が取っていたに違いない。その本人は悔しそうだが、どこか晴れ晴れとした顔なので性格的には好青年なのだろう。

 

 ポイントは個人競技で1位×5回なので2万5000ppとなる。ここに最優秀選手の賞金1万を足すと、3万5000ppが今回の収入だ。う~んしょっぱい。だが、クラスは盛り上がっているので良しとしよう。櫛田の裏切りがあったとは言え、各競技で奮闘したのは彼らなのだから。写真係もまぁ、頑張っていたと言えよう。

 

 解散指示が出される。この後はもう好きにして構わない。教室に戻ってもいいし、寮へ戻っても構わない。元々今日はどういう結果になるにしろ、打ち上げをやることになっている。全40名で店を予約中だ。時間は午後6時から。まだまだ十分時間はある。真澄さんから回収した重箱を1回洗ってしまいたい。だが、その前にクラスのまとめをしないといけないだろう。

 

「皆さん、よくやって下さいました。結果は最上と言えるでしょう。各々死力を尽くして戦ってくれたことの結果だと思っています。皆さんと戦えて光栄でした」

 

 歓声と拍手が起きる。

 

「今晩は楽しむとして……最後に写真でも撮りましょう。坂柳さんも入れて。では、少し並んでください」

 

 隊列を整えて、先生も引っ張ってくる。Aクラスの勝利に先生の顔もどこか嬉しそうだ。しっかり団結して勝利を勝ち取っていることに喜びを感じているのだろう。通りかかった先輩にお願いして、集合写真を撮ってもらう。また1つ、思い出が出来た。

 

 そして解散指示が出る。だが、私には1つ気になる事があった。坂柳の動向である。写真家に専念していた彼女だが、リレーの後から様子がおかしい。どこか興奮した様子でCクラスの様子を見ている。隠しているつもりでも、あまり自分を気にしている人間がいない中なので視線がどうしても普段より色濃く見える。その先は綾小路に向いているように思えた。

 

 解散指示が出た後すぐに、自グループの女子に何事か頼みごとをしている。予定変更だ。重箱の洗浄は後でやろう。この後アイツが何をする気か分からない以上、警戒するに越した事は無い。万が一今の地位を落とされると私は非常に不安定な地位に置かれてしまう。これは避けねばなるまい。綾小路の走りに惚れたとかいう単純な行動なら良いのだが、そうでない場合が非常に困る。尾行することにしよう。相手が他の誰かならいざ知らず、綾小路なのも気がかりだ。

 

 それはそうと、龍園の方はどうなったのだろうか。綾小路に情報を売った事は悪いと思っているが、櫛田にこれ以上関わるのは危険だ。悪く思わないで欲しい。

 

 色んな所に思いを飛ばしながら、周りを取り囲んでいるクラスメイトの対応をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 人のいない学校の廊下。夕暮れにそまるそこを、険しい顔で堀北は歩いていた。須藤に名前呼びを許可するなど色々あったが、彼女にとって重要なのはそこではない。今回の敗戦、自分にも原因があったのは明白だ。須藤を抑えきれず、作戦を盗まれた。その結果、再びDクラスに落ちる失態をしでかしたのだから。しかし、Aクラスが圧倒的であったおかげで堀北を責める生徒はいなかった。まぁ諸葛君相手だし仕方ないよねと言う空気に助けられたと言えよう。

 

 ただ、周りはどうであれ堀北本人はこれは明確な敗戦であるし、自分の視野の狭さや実力不足が招いたことだと思っていた。普段はやる気のない綾小路も今回は頑張って2位を何回も獲得していたし、色々アドバイスもしてくれていた。しかしそれを無為にしたのは自分だった。後悔しない訳がない。ただ1つ良い事があったとすれば、須藤を仲間に出来たことだろう。

 

 

 

 

 体育祭の昼休憩の際、堀北は保健室に呼び出された。そこで待ち構えていたのはDクラスの自称王・龍園と、同じクラスの生徒である木下。不遜な態度で椅子に腰掛ける龍園と違い、木下はベッドで横になっていた。その脚には湿布が貼られており痛々しい。

 

 彼女は障害物競走で転倒した時の怪我が痛むと主張した。その恨み言をぶつけるだけに留まらず、2人は堀北がわざと木下を転倒させたのだと言う。勿論、言いがかりだ。事実、木下がわざと転倒したのである。しかし証拠はない。

 

 だが、自らの潔癖を信じる堀北はこれをきっぱりと否定した。そんな思惑はこれっぽっちもなかったのだから当然だ。その程度の罪悪感や圧力で屈するほど堀北は弱い人間ではないし、普通に向こうが悪いと思っているので罪悪感など抱きようがない。

 

 ただ、ここで問題が発生する。競技の最中、堀北がチラチラと後ろを振り返っていた事実が映像に残されていたのだ。これは近くを走っていたAクラスの生徒からも証言が出ている。彼女は堀北や木下の後ろを走っていたため、堀北が振り返る姿を目撃していた。

 

 その様子は木下に接触するためにタイミングを窺っているように見えなくもない。だがあれは木下に何回も名前を呼ばれたのが原因だ。堀北はそう主張するも、「もしそうなら勝ちたい気持ちが先行してしまっただけだ、ルール違反ではない」と言い、堀北が悪いという意見を向こうは一切曲げることはなかった。悪意の証明が出来ない以上、どれほど怪しくても被害の大きい木下の方が有利だ。

 

 木下は(龍園が盛りに盛りまくった)内心憧れの目で見ている孔明が自分を心配しているという話を聞かされ、やる気満々になっていた。いつになく、名演技が光っている。激しく堀北を詰り、自らの陸上部としての選手生命が終わったらどう責任を取るんだと叫ぶ姿に頼んだ龍園もやや引いていた。なお、その憧れは神室にご飯を渡している頃である。

 

 抵抗する堀北だったが、生徒会で審議と言われた瞬間に一気に闘志が冷めていった。兄である学に裁かれる。迷惑をかける。それだけは彼女の絶対に嫌な事であった。そんなことになるくらいなら、謂れのない罪でも被った方がマシ。そう思ったのである。

 

 その一心から、最終的に100万ポイントの賠償を払った上で土下座をするということで話は纏まった。完全にヤクザの手法にハマっている。それは堀北も薄々気づいているが、どうしようもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「よう、逃げずにやって来たようだな鈴音」

 

 空き教室には今回の当事者龍園、そして仲介役の櫛田がいた。彼女に場所を指定され、堀北はやって来たのだ。

 

「ここで逃げ出したら、私は救いようもない人間になるもの。出向きもするわ」

「いい心掛けだ。前よりも魅力的な女になったな」

 

 その褒め言葉を受けて、嫌そうな顔をする堀北。嬉しいはずがない。

 

「でもあなたとの話の前に……いい加減茶番は終わりにしない?櫛田さん」

「え? 茶番? 一体どういうことかな?」

 

 櫛田は小首をかしげる。多くの男子が恋するその仕草も、堀北からすれば欺瞞にしか見えなかった。

 

「この場に立ち会っていい人を気取るのも良いけれど、それが目的じゃあないでしょう?今回の体育祭。貴女が情報を漏らした。だから龍園君は事を上手く運べた。違和感を拭い切れなかったのよ。私の言った事、違うかしら?」

「……やだなぁ、そんな話、誰に聞いたの? 平田君? それとも綾小路君?」

「いいえ、教えてくれたのはその2人ではないわ。それにこれは、私自身が感じていたことでもあるの。あくまで疑いだったけれど、教えられて証拠も出揃ったわ。今この場には彼以外誰もいない。いい加減向き合うべきじゃないかしら」

「向き合うって……何に、かな?」

「私は最初、バスで高円寺君に席を譲るよう説得しているあなたを見かけた。正直に言えばあの時はあなたのことが分からなかったの。でも、すぐに思い出したわ」

 

 今まで敢えて言わなかったのは、必要が無かったから。しかし、今はそうでは無い。 

 

「櫛田桔梗さん。あなたのような生徒が、私の中学にいたってことをね」

 

 笑顔とは、本来攻撃的な表情である。そんな言葉を堀北は思い出す。櫛田はまさに、攻撃的と形容するに相応しい顔をしていた。 

 

「すぐに思い出しもするよね。私は色々……『問題児』だったもんね」

「その表現は正しくないんじゃないかしら。あなたは問題児なんかじゃない。今のクラスでのあなたのように、誰からも信頼される生徒だった。でも──」

「やめてもらっていいかな。それ以上昔の話をするのは」

「……そうね。今更過去のことを語っても意味がないわね」

「話が繋がったならもう分かるよね。私がどうしたいと思っているのか」

「ええ。もういい加減気づいたわ。あなたが私をこの学校から追い出したいと考えていることは。でもそれは、あなたにとっても大きなリスクじゃないかしら。私が真実を暴露すれば、今の地位は失うことになるんじゃないの?」

「私と堀北さん。どっちが人間として信用されているかは明白だし、リスクヘッジってやつだね」

「けれど暴露されればあなたは困ることにならない?たとえ私の話を誰一人信じなかったとしても疑念は残る。少なくとも同じ中学だったことは否定できない材料だもの」

「そうだね。でも、万が一あんたが私のことを誰かに話したら、その時は徹底的にあんたを追い詰めてやる。それこそ、あんたが敬愛するお兄さんを巻き込んでね」

 

 少しだけ身をこわばらせる堀北。だが、彼女にはカウンターが存在していた。綾小路が用意してくれた情報である。諸葛と取引をした綾小路は同時に諸葛が櫛田が裏切り者だという情報を話したと櫛田に対して告げる許可を取り付けた。諸葛孔明側も櫛田とこれ以上関わるのはリスクであるし、今後Dクラスに落ちる堀北たちは龍園と死闘を繰り広げるであろうことから切り捨てるべきだと判断した。

 

 この学校において、自クラスにスパイがいるというのは非常にマズい状況であるし、逆に他クラスからすれば本来は非常に有益な存在であるはずだ。それをあっさり切り捨てたのには理由があり、1つは櫛田が1人であることだった。スパイは複数いればいるほどこの学校では良い。数が多ければ特定も難しいし、集団が瓦解する可能性もある。だが櫛田は1人。しかも、感情で動いている。加えて綾小路や堀北は優秀だ。こんな状況下で櫛田を利用することは、それを通して逆に利用されかねない。諸葛孔明はそう踏んだ。

 

 もっと言ってしまえば、櫛田にその程度の価値しかないと思っているのである。

 

「貴女にそれが出来るのかしら。そもそも、私のことなんて無視すればいいじゃない。私が人と関わらないことも、余計なことに首を突っ込まないことも知っているでしょう?」

「今はね。でも、この先の保証はどこにもない。私が私であるためには、過去を知る人は全部いなくなってもらわないと困るんだよね」

「そう。それなら精々頑張る事ね。相手は複数いるわ。私もそう。そこの龍園君だってそう。それに……頼みにしている悪魔の片方はもう頼れないかもしれないわよ?」

「……は?」

 

 固まった櫛田を見て龍園はゲラゲラと笑い出した。

 

「残念だったな、櫛田。お前はもういらねぇってよ」

「どういうこと!?」

「切り捨てられたんだよ。どうせお前の事だ、諸葛と二股掛けてたんだろ?それで情報を渡した。アイツはそれを得てまんまと高得点を叩き出し、終わればお前はもう用済みだから鈴音に売った。ククク、食えないヤツだぜ」

「そんな……裏切ったってこと?」

「お前には言われたくねぇだろうな。それに、お前がアイツと契約したとして、その証拠はあるのか?」

 

 そこで櫛田は初めて自分が口約束だけで動いていたことに気が付いた。勿論、口約束も有効になる場合がある。しかしそれは証拠が無くてはいけない。音声証拠など何もない櫛田に、諸葛孔明を訴えることは出来ない。どうせ挑んでも勝てないのはわかりきっている。泣き寝入りするしかない状況だった。

 

 同時に龍園も櫛田を切る事を考えていた。諸葛が捨てたという事は、つまり危険と言う事。必要があり有益なら彼は切る事はしなかったはずである。しかし現実はそうでは無い。と言う事はこれ以上櫛田を使うのは龍園としても避けるべきだと判断したのだ。

 

「ま、少なくとも諸葛はお前より鈴音の方が有能だと思ったって事だろうよ」

 

 この言葉によって櫛田の目に憎悪の炎が灯る。その理不尽な怒りの対象は堀北だった。

 

「この話は一旦置いておいて話を済ませましょう。ポイントと土下座だったわね。あなた達の望みは」

「先に断っておくが、木下とお前の接触は完全に事故だ。そこには他意も悪意もない。世の中もそうだろ。事故をすりゃ示談話の一つや二つ出てくる。そんなもんだ」

「そうね。証拠はないもの。私が加害者になるのは明白ね。でも、その上で言い切っておくわ。今回の事件はあなたが仕組んだことだって。あなたが木下さんに命令して私を転倒させた。そう確信している」

「被害妄想だな」

「妄想でも構わないわ。だからせめて聞かせてくれないかしら。あなたがこの体育祭で、一体どんな罠を仕掛けたのか」

「せっかく土下座するんだ。お前の妄想がどんなものか想像するならこうだろうな」

 

 楽しそうに笑いながら、龍園は語り出す。

 

「俺は体育祭が始まる前、櫛田にCクラスの参加表を全て入手させた。そして適材適所の人材をぶつけた上で、Cクラスを潰すことだけに全てを注いだ」

「それが理解できないわ。私やCクラスを無視していれば、もっと上の成績を取れた可能性はあったんじゃないかしら。少なくとも、私にエース級を2人も当てる必要はなかった。しかもその内の1人は怪我でリタイア。とても釣り合っているようには思えないわね」

「お前を潰す。それだけで十分ってことだ。総合点で勝つことなんざ端から興味なかったからな」

「でもあなたの作戦は運に頼ったものだったわ。良かったわね。木下さんに私を転倒させるように命令して実行させた時、2つの偶然に救われて。私が続行不可能な怪我を負ったこと、木下さんが自分から転んで大怪我したこと、どちらも狙って出来るようなことじゃないもの」

「確かにお前の怪我の度合いは偶然の産物だ。狙って怪我をさせるとなるとどうしても露骨になる。下手に接触すれば痛い目を見るのは木下の方だ。だから俺は木下に1つのことを徹底的に練習させた。相手と接触し自然に転倒するように見せる練習をな」

 

 それが出来るのが彼の強みだった。諸葛孔明ですら、そこまでの強制力はない。一之瀬や堀北は言うまでもない。他に出来る存在がいるとすれば南雲ぐらいなものだろう。

 

「それから木下の怪我だが……あれが偶然なわけあるかよ」

「えっ……」

「あいつは確かに転んだ。だが当然、大怪我なんぞ簡単には出来ない。だから痛がる素振りだけさせて体育祭からドロップアウトさせた。あとは簡単だ。治療を受ける前に俺があいつに直接傷を負わせてやったのさ。──こうやってな」

 

 言いながら、龍園は思い切り床を踏みつけた。バン、という音が廊下に響き渡る。あの蹴りを脚に直接受けるなど、想像するだけで痛々しい。容易な怪我では収まらないだろう。

 

「あなたが傷つけた……? 彼女を……?」

「50万分け前をやるって言ったら承諾したぜ? 金の力ってのは恐ろしいよなぁ」

 

 流暢に話す龍園。しかし堀北にも秘策があった。

 

「そんなことを問われるまま、ペラペラと喋ってもよかったのかしら」

「なに?」

「私が今の話を録音していたとしたらどうするつもり?」

 

 堀北は懐から携帯を取り出す。そこには録音中の画面が表示されていた。

 

「今思いついたハッタリだろ?」

「最後の賭けとして誘導くらいするわ。思いの外話してくれて正直驚いているけれど」

 

『俺は体育祭が始まる前、櫛田にDクラスの──』と言う龍園の声が流れ出てくる。

 

「あなたが私を訴える、あるいはポイントと土下座を要求するのなら、私はこの証拠を持って戦うわ。そうなれば困るのはどちらかしら?」

「鈴音……お前……」

「私としても事を荒立てたくはない。だから今回はこれで──」

「クク、ク……ハハハハハ!」

 

 肩を震わせていた龍園は、唐突に大きく笑い声を上げ始める。どこまでも人を嘲るような、そんな声色。堀北は眉を顰める。決定的証拠を出されて、なおも笑うとはどういう神経なのか。

 

「本当に楽しませてくれる女だな、お前は。俺は最初に言っただろ。あくまでも今のは架空の話。被害妄想に付き合っただけだ。お前が脳内で勝手に作り上げた物語を、俺が想像しただけだってな」

「だとしても、その想像が本当かどうか確かめる術はあるのかしら。あなたが妄想や想像だと告げた部分だけ削除して、音声を加工することだって出来るのよ?」

「もしそうなれば、俺は元のオリジナルを提供するだけだ。問題なんて起きねえよ」

 

 龍園は不敵に笑いながら、ポケットから携帯を取り出す。

 

「こいつが何か分かるか? 一部始終を録音──いや、撮影している動画だ」

 

 音声以上に確実な証拠は、最初から龍園の手の中に収まっていた。

 

「認めるか鈴音。お前の完敗だって現実をよ」

 

 全て読まれていた。その事実が堀北のプライドをへし折る。何をどうしても、自分が有利になれる要素を見出せないでいた。

 

「プライドを捨てて土下座して見せろよ、鈴音。お前は甘ちゃんすぎるんだ。そんなザマでAを目指そうなんざ、軍師野郎が聞いたら腹抱えて笑い出すだろうぜ」

「……分かったわ」

 

 死刑宣告を受けた堀北は、ゆっくりと膝を折る。

 

「私は、負けを認め──」

 

 と、その時である。ピロン──と、その場に似つかわしくない音がすぐ近くから聞こえてきた。堀北は顔を上げた。そこには、険しい顔で龍園が自分の携帯を覗き込んでいた。

 

『いいかお前ら。Cクラスの堀北鈴音を罠に嵌め、潰すにはどうすればいいか、その策を授けてやる。面白いものを見せてやるよ』

 

 その声は龍園のものだった。先ほど堀北にも聞かせた作戦の内容を、事細かに説明している。

 

『障害物競走でお前は鈴音と走って接触しろ。何でもいいから転倒するんだ。あとは俺が怪我を負わせてあいつから金をぶん取ってやる』

 

 恐らくクラス内で交わされたと思われる会話。しかし堀北に理解できたのはそこまで。櫛田にも堀北にも今一つ事態が呑み込めないでいた。

 

「……どういうことなのかな、龍園君。その音声は何?」

「……なるほど、なるほどなるほど。なるほどなぁ」

 

 愉快そうに、愉悦を顔に浮かべ、彼は笑う。獰猛な目には、一層益々戦意が宿っていた。 

 

「クク、面白いじゃねえか。これがどういうことか分かるか? 裏切り者はCクラスにもいるってことだ。そしてそいつは、陰でお前らだけじゃなく、俺も手のひらで転がしたってことだ。櫛田の裏切りも、鈴音が俺の前に敗れることも、全て計算していたってことさ。ククク、ハハハハ! 面白ぇ!面白ぇなオイ!! お前の裏で糸を引いてやがる奴は最高だぜ!」

 

 傑作だと言わんばかりに、龍園は髪をかきあげつつ腹の底から笑い声を上げる。

 

「利用されたんだよ。裏切り者がいて、俺たちに参加者リストの情報を流すことも計算してやがった。何もかも読んでやがったんだ。軍師野郎じゃねぇな。アイツならもっと上手くやる」

「裏切り行為を、最初から想定してた……? 誰がそんなこと出来るっていうわけ? もしかして綾小路君? あの足の速さは知らなかったし……」

「まぁ奴も候補の一人だけどな。決めつけはしねぇ。こんな録音を用意できる奴が、そう簡単に尻尾を出すかは別だ。鈴音も綾小路も、場合によっては平田をも動かす奴がいるかもな。それをこれからじっくり探し出すんだよ。鈴音からポイントと土下座を引き出すことには失敗したが、収穫があっただけよかったとするか」

 

 堀北にはその正体が綾小路であるとは推測が付いている。しかし、敢えて言う必要などないため黙っている。或いは、諸葛孔明はこれすらも読んでいた?龍園すら嵌めた策を立てれる人間がCクラスにいると知っていたから、櫛田を切ったのか。堀北は戦慄するばかりだった。

 

「今回はこれで終わりだ。このメールの差出人も、これ以上は追及して来ないだろうさ」

「それでいいの?もしその録音を元に脅されたら?」

「学校に出すつもりならもっと後で出す。俺らが訴えた後の方が効果的だからな。土下座こそさせそこなかったが、俺としては目的の半分は達成できた。上出来だ。それよりも、今後を心配するべきなのはお前だぜ」

「は?」

「あの軍師野郎が録音もせずにてめぇと会話してると思うか? 勿論、口約束の部分はカットされてるだろうけどよ。下手するとアイツに都合のいい部分だけ切り取られて、お前の正体まで全部バラされるぞ。俺はダメージなんざないが、お前はどうだろうな。お前の影響力は確かにあるが、1年がどっちを信じるか見ものだな。少なくともAクラスはアイツを信じるだろうよ」

「そんな……」

 

 カラカラと笑いながら、龍園は教室を後にした。それに続くように顔面蒼白で櫛田も走り去る。残された堀北は無力さを感じながら、ただ佇むことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 一之瀬帆波は無力感に苛まれながら、生徒会室にいた。書類関係で少しばかり用事があったのである。彼女の心中を悩ませるのは自クラスの事だった。今日の体育祭。今回は行けると思った。沢山練習を重ねてきたはずだし、地の力だって十分あったはずだった。DとCは抗争中であるから、その間を突けばAクラスにだって勝機はあるはず。そう睨んでいたのだが……蓋を開ければ敗北。壁の高さを思い知らされるだけの結果になった。

 

「はぁ……」

 

 どうしたら良いのだろう。何が足りないのだろう。そんな思いがため息となり形になる。

 

「どうしたんだ、そんな顔して」

 

 声をかけられ顔を上げればそこにいたのは副会長の南雲だった。

 

「南雲先輩……」

「そんな顔してたら美人が台無しだぜ。諸葛に負けたのが悔しいか?」

「それは……はい。何が足りないのかなぁって」

「気持ちはよくわかる。俺も今日、アイツに負けたからな。言い訳のしようがない完敗だ。だが次は勝つ。必ずな。そう思って努力すりゃ、道は拓けるぜ」

 

 一之瀬は南雲に警戒するように堀北学からも諸葛孔明からも言われていた。実際警戒していたのだが、働いてみると軽薄なところはあるが話で聴くよりもずっと親切で明るい人間であるように思えていた。それも南雲の戦略なのだが、警戒心は薄まっていたのである。その上でここに来て共感できる悔しさ。けれどため息を吐くだけの自分と違い、南雲は再戦を見越している。このファイト精神がAに上がらしめた要因ではないか、そう思っていた。

 

「俺と手を組まないか」

「え……?」

「現状最もAを倒せる可能性のあるのはお前らだ。考えても見ろ、CとDじゃ点差がデカすぎる。不可能とは言わないが、かなり厳しいだろうな。それに比べお前らは良くやっている。あの諸葛相手に抑えきったと言うべきだろうぜ。だからこそ俺と組めば、上を目指せる。2年を使って全力でバックアップしてやれる」

「そんな事が……」

 

 と言ったが一之瀬は南雲が2年を仕切っているのを知っている。無理な話ではないことはすぐに分かった。

 

「ポイントとかは特に要求しねぇ。それも大事な武器だ。諸葛を引きずり下ろすのに使え」

「私は……」

「このチャンス、無駄にするやつに上に行く資格はないぞ。お前を信じているクラスメイトのためにも、決断しろ。断っても恨んだりはしない。しっかり考えろ」

「……」

「だがな、並大抵のことじゃあアイツには勝てないぞ。アイツにもしかしたら色々俺の悪い噂を吹き込まれたかもな。勿論嘘もあるが、全部嘘だとは言えない。だが当然だろう? 俺だってクラスを導くためには汚い事もしないといけなかった。それによ、アイツがお前に俺の噂を話す目的、考えたことはあるか?」

「目的、ですか?」

「ああ。アイツはな、警戒してるんだよ。BからAに上がった俺と、お前が手を組むのを。だからこそ妨害した」

 

 確かにそうかもしれないと彼女は思ってしまった。現に、忠告した彼によって既にBクラスは何度も痛い目に遭っている。彼女の心の中に、大きな揺らぎが一つ起こった。起こってしまったのである。

 

 

 

 

 

 

 閉会式のすぐ後、綾小路は1人の女子生徒に呼び出されていた。話があるらしい。しかしその時は具体的な内容は伝えられず、5時に玄関前で待つとだけ言い残して彼女は足早に去ってしまった。異性からの呼び出し。まず最初に思い浮かぶのは告白だ。事実、クラスメイトからもそう揶揄された。けれど少女からそのような気配は感じ取れなかった。

 

「それで、話ってなんだ?」

 

 約束通り玄関に赴くと、件の少女が仏頂面で待ち構えていた。早速要件を聞き出す。

 

「ついてきて下さい」

「ついてって、どこにだ?」

「特別棟です」

 

 説明もなしに歩き出した少女の背中を少し遅れて追い掛ける。綾小路の記憶では、彼女は確か1年Aクラスの生徒だったはずだ。ただ、顔を見ただけで名前は知らない。何故そのような人物がどうして自分なんかを呼び出したのか。いくつかの推測は浮かぶものの、どうも確信が得られずにいた。

 

 やがて、2人は特別棟の3階へと辿り着く。校舎内では数少ない、監視カメラの設置されていないエリアだ。かつて須藤の暴力事件のあった場所でもある。綾小路からすれば少し懐かしさを感じる場所だった。

 

「一体なんだ──」

「少しここで待っていて下さい」

 

 綾小路をその場に待機させ、1人歩き出す少女。彼女は振り返ることなく廊下を進み、角に差し掛かったところで小さく呟いた。

 

「ご要望には応えました。もうよろしいですか?」

「はい、ありがとうございました、山村さん」

 

 静かに曲がり角の向こうへと姿を消す少女。それと入れ替わるようにして、1人の人物が姿を現した。綾小路も彼女のことは知っている。1年Aクラスの──坂柳という名の女子生徒だ。

 

「あんたがオレを?」

 

 綾小路が問い掛けるが、坂柳はすぐには答えなかった。無言のまま見つめ合う両者。夕日に照らされる校舎の中、2人だけがいた。

 

「最後のリレーは大注目を浴びていましたね。綾小路清隆君」

 

 何かと思えばそんな事かと綾小路は思った。

 

「あー悪い。ちょっと先に一通だけメールを送ってもいいか? 待っている人がいるんだ」

「どうぞ」

 

 これが龍園宛てのメールである。船上試験。そこでは諸葛孔明が暴れたせいでろくにディスカッションの無かった自グループだが、そこにいる軽井沢と真鍋が揉めていた。そこで綾小路は仲間を増やすべく仲介に入る。1度は真鍋を退かせ、軽井沢に態度を改めるよう促すも、一蹴される。それは想定内だった彼は、試験が終わっても何度も突っかかる真鍋に辟易している軽井沢に何度も何度もしっかり懇切丁寧に話をした。

 

 ついにしびれを切らして軽井沢を呼び出し、暴力を振るう真鍋一行。それを尾行していた綾小路は割って入り真鍋たちを脅迫。スパイに仕立て上げる事に成功した。逃げ去る真鍋を見て、軽井沢は自分のために何度も注意をしてくれたことを思い出し、綾小路に罪悪感を抱いた。

 

 それを理解している彼は、代わりと言っては何だがと言い、Aクラス行きに協力して欲しいと要請。自分は親が権力者であり虐待を受けていた。警察も動いてくれず、ここに逃げ込んできたが圧力がかかり退学になってしまうかもしれないし、卒業したらまた逆戻りの可能性がある。だからAクラスで卒業し、親の息のかからない場所へ行きたい。そう話した。暴力を受けたなどの話をすれば、いじめを受けていた軽井沢は共感。おのずから協力を申し出たのだった。

 

 事実、そこまで突拍子もない嘘ではないため、信ぴょう性があった。妙に感情が無い理由も、虐待の結果心を殺し続けたからだと軽井沢は勝手に過去の自分と重ねて推理する。それに、親の息のかからない云々は綾小路の本心でもあった。かくして、綾小路は至極真っ当な手段で軽井沢恵を仲間に引き入れる事に成功する。女子の中でも影響力のある彼女を仲間に出来たのは大きい事だった。

 

 諸葛孔明に勝つには仲間を増やさないといけない。そして、その仲間を強化しないといけない。難しい課題だったが、綾小路にとっては新鮮でもあった。オレたちは1人では強くなれない。真の強さとは、集団で戦える事だ。綾小路はそう考えていた。

 

 それはさておき、メールを送ると言っても嫌な顔一つせず、笑顔のまま頷く坂柳。それにやや不気味さを感じながら綾小路は送信した。

 

「……それで、お前でいいのか? オレを呼び出したのは」

「はい」

 

 改めて投げ掛けられた問いに、今度は即答する。

 

「それで、何の用だ? 出来れば早く本題を切り出してほしいんだけどな。これから平田や軽井沢と飯に行く約束なんだ」

「あなたの走りを見ていてあることを思い出したんです。その時の衝撃を共有したいと思ってつい呼び出してしまいました。まるで告白の前触れみたいですよね」

「何のことだかさっぱりだ」

 

 カツン、カツン、と杖をつきながら、坂柳は綾小路の隣へと並んだ。

 

「お久しぶりです綾小路君。8年と243日ぶりですね」

「冗談だろ。オレはお前なんて知らない」

「ふふ、そうでしょうね。私だけが一方的に知っていますから」

「……ストーカーか?」

「違います!」

「いや……そういうのをストーカーって言うんだぞ。用がないなら帰らせてもらう」

 

 そう言うと綾小路は踵を返して歩き始めた。

 

「ホワイトルーム」

 

 背後からの声に無意識に、足を止めてしまう。それは綾小路が抱える中で最大の秘密。さしもの彼も、なぜ、どうして、という疑惑が広がっていく。予想外の不意打ちに少しだけ動揺していた。少しだけ、と言うあたりが傑物の証でもある。

 

「嫌なものですよね。相手だけが持つ情報に振り回されるというのは」

「お前は……」

「懐かしい再会を果たしたのですから、挨拶をしないわけにもいかないと思ったんです」

 

 綾小路にその記憶はない。過去に記憶を喪失したという事実も存在しない。この少女、坂柳と会ったのはこの学校が初めてのはずだ。その事実に間違いはない。

 

「無理もありません。あなたは私を知りませんから。でも、私はあなたを知っている。これも不思議な縁、なんでしょうね。このような場所であなたに再会するなんて。正直言って、二度とお会いすることは無いと思っていましたから。しかし、これで謎が解けました。今までのDクラスの行動。その裏で糸を引いていた人物はあなただったのですね」

「何のことだか。うちには何人か参謀がいるからな」

「参謀とは、堀北鈴音さんのことですか? それとも平田洋介くん? どちらにせよ、あなたの存在が出てきた以上、誰がいても関係はありませんけどね」 

 

 頬を赤くしながら、坂柳は言う。

 

「安心してください。あなたのことは一先ず、誰にも言うつもりはありませんから」

「話せば楽になるんじゃないのか?」

「邪魔されたくありませんし。偽りの天才を葬る役目は私にこそ相応しい」

 

 カツン、という細く高い杖の音が廊下に響いた。

 

「今の私に、少しだけですが楽しみが出来ました」

 

 そんな坂柳の姿を見ながら、冷淡な目で綾小路は口を開いた。

 

「1つだけ、言っても良いか」

「何でしょうか?」

「お前に――――オレは葬れない」

「――――なんですって?」

 

 坂柳の目つきがキッと厳しくなる。少女の物とは思えないほど低い声が響いた。

 

「お前にはオレを倒す資格もない。クラスを率いる事すらできなかった、今のお前にはな」

「……」

「オレを葬れるかもしれない存在は何人かいる。堀北だってそうだし、龍園やお前でも可能性はゼロではないだろう。だが、現時点で全てを以てオレを倒せる可能性がある存在は1人だけだ。それが誰だか、お前も良く知っているだろう」

「諸葛……孔明」

 

 軽く綾小路は頷く。彼から見れば、坂柳は明らかに運動能力で自分に勝てない。その点、諸葛孔明にはそこでも勝ち目がある。障害物競走。あれは勝てると踏んだ。力を出し切ってはいないが、それでも行けるだろう。しかし、敗北した。勝てると思って敗北するなど、彼にしてみれば初の事だった。

 

「オレ達は必ずAに上がる。その時相手するのは、お前じゃあないだろうな」

「達?」

「ああ。諸葛が教えてくれた。真の強さとは何なのか。それは、自分だけが強くなるのではなく集団を強くして勝ちあがる。それこそが真の勝利だという事をな」

 

 言うだけ言って綾小路は今度こそ踵を返す。細杖の少女に、彼はもう興味が無かった。歯牙にもかけない。眼中にすらない。何故なら彼女は脅威になりえないから。ピリリと彼の携帯が鳴る。掛けてきたのは平田だった。

 

「もしもし、平田か。ああ、問題ない。大した用事じゃなかった。ああ。すぐ行く」

 

 電話をしながら歩き去る綾小路。相手にすらされなかった少女は、静かに膝から崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、それを両名に気付かれることなく盗み聞きしていた男がここに1人。諸葛孔明その人である。坂柳の闘志を無駄に焚きつけたんじゃないかと綾小路にイラっとしながらも、聞き逃せない単語をしっかり耳にしていた。

 

 坂柳も綾小路もいなくなってから彼は急ぎ自室に戻り重箱を洗うと緊急回線を開く。

 

「どうされましたか、閣下」

「中央軍事委員会連合参謀部情報局へ繋げ。緊急だ」

「了解しました」

 

 打ち上げまでの時間はまだまだ残っている。ホワイトルーム。明らかにそこに何かがある。歴戦の勘でそう気が付いた男は、これに気付いていて秘匿した、或いは気付いてすらいなかったのどちらかである軍情報局を問いただすべく、回線を開いたのだった。




<現状収支>

・収入→78万4300ポイント(8月分の10万5400pp+9月分の14万3900pp+船上試験での50万pp+体育祭の3万5000pp)
・支出→1万ポイント(食費1万pp)ちょっと贅沢した事もあり、少し高め。
・現状保有ポイント→217万7700ポイント(既に所持の140万3400pp+収入ー支出)
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