<IF・もしも高育に行っていなかったら編(別名:幼馴染√) side孔明>
「お~い、起きろ~」
ピピピと目覚ましが鳴っている。カーテンがガバっと開け放たれて、差し込む陽光に強制的に起床を強いられた。目をぱちぱちしていると、目の前に顔が現れる。
「おはよう。ねぼすけさん」
「ん……あぁ……真澄か……」
「さっさと起きなさいよね。アンタの頼みでギリギリまで起こさないようにしてるけど、朝ご飯冷めるじゃない」
「分かってる分かってる」
大あくびをして目を覚ました。赤紫に近い黒髪のサイドテールが私の前でヒラヒラと揺れていた。服装は同じ学校の女子制服。彼女の名は神室真澄。東京都内にある我が家の隣室の住人。向こうは1901号室。うちは1902号室だ。出会ったのはもうかれこれ十数年前。こっちへ引っ越してきたころだから……幼稚園の頃になる。いわゆる幼馴染だ。
帰化した中国人で翻訳家の母と日本人で大学教授の父親を持つ
発端はある冬の日のことになる。彼女の家は共働きだ。そしてあまり彼女に関心が無いようで、小学校1年生の頃から1人で留守番する事が多かった。母は様子を気にしていたようだが、人様の家の事なのでそれまでは密かに気にかけるしかできなかったと聞いている。その日は凄く寒い日だった。そして彼女は運悪く鍵を家に忘れると言うミスを犯した。結果、家に入れず寒いロビーで座り込んでいるのを遊びから帰ってきた俺が発見し、ウチの中へ入るように勧めた。
最初は拒んでいたが、寒さには耐えきれなかったのか、最後には手を引かれながら家の中に来た。母は驚きこそしたが、事情を聞いた結果そのまま家にいると良いと言って身体を温めるために風呂に入れ、夕食も食べさせた。その後向こうの両親が帰宅すると何やら話し始め、その結果この奇妙な関係はスタートしたのだった。
母が主張したのは、もし良ければウチで面倒を見る。何かあったら責任は私が取るからというものだった。向こうの両親は普通であれば遠慮するであろうところをじゃあよろしく、とだけ言ったらしい。ゴキブリを瞬殺し、ひったくりを病院送りにしたなど、あまり滅多なことでは動じない母もこの対応には唖然としたと、後でぷんすか怒りながら言っていた。
彼女は俺と過ごすことを嫌がらなかった。俺も特に嫌では無かった。学校でも揶揄われることもあったが、別に気にはならない。何故か? 有体に言えば可愛かったからだ。俺は聖人君子じゃあない。これでもし平凡な子だったら、もっと言い方を悪くすれば不美人であったのならば俺は嫌がったかもしれない。
けれど彼女は小学生の頃から十分に美人だったのである。故に嫌がることなく受け入れ、むしろ仲良くなろうとコミュニケーションに努め、なるべく側にいて理解を示せるようにした。そこにはお世辞にも両親に可愛がられているとは思えない彼女への同情なんかも混じっていたのかもしれない。
時が経つにつれ、彼女がウチの家族と過ごす時間は増えていった。最初は放課後だけ。その後朝も。そして休日も。中学の卒業時から高二になる今までの間では旅行なんかも一緒に来ている。母は自分の娘のように彼女を可愛がっている。俺が蔑ろにされている訳では無いが。父はあまり他人に興味がない。良くも悪くもだ。ただ、あまりよろしく無かった彼女の成績には興味があったようで、俺に教えるよう促した。
なんでもお前には教える事に関して天賦の才があるとか何とか言っていた。偶に父自身が彼女に教える事もあった。悔しいが、父親は天才だ。教えるのも上手い。塾講師だったら今頃カリスマと言われていただろう。もう老境に入っている人物だが、それでも知性は現役だ。彼女はそれに若干の憧れを抱いている。
同じ都内の名門国立高校に入れたのでこうして生活リズムも似てきている。向こうは美術部、こちらは生徒会兼馬術部だ。不束者ながら、1年の頃から会長をさせてもらっている。それでも帰りは待っていてくれるのでありがたい。
一瞬で彼女との出会いを回想しながら、寝ぼけ眼で洗面所へ行き顔を洗う。サッと制服に着替えてからリビングへ向かった。父は優雅にコーヒーを飲んでいる。ムカつくキメ顔だ。母はゴミ出しに行ったのだろう。仕事は在宅なので、ほぼ家にいる時間はほぼ専業主婦と変わらない。そして彼女はちょこんと椅子に座りながら俺を待っていた。
「ゴメン、先食べといてくれても良かったのに」
「良いの。アンタと食べるのが大事なんだから」
「それはどうも……頂きます」
「はい、どうぞ」
「作ったの?」
「そうだけど」
「凄い上手になったな。最初はレンジに卵を入れようとしてたのに」
「……」
半目で睨みながら対面から軽く足を蹴っ飛ばされた。もう……と言っているが、これは照れ隠しであると分かっている。十年くらい一緒にいれば何となくわかるものもあるというものだ。取り留めのない雑談をしながら朝食は進む。間もなく高校に入ってから二回目の文化祭を迎えようとしている。そろそろ秋の風が吹く時期だ。
並べられていたのはしっかりとした和食。焼き鮭と卵焼きとご飯、そして味噌汁。母は良いところのお嬢様だったそうなので、礼儀作法にはうるさい。その為、真澄もその恩恵を受けており箸の使い方は恐ろしく上手い。魚の骨の外し方がここまで上手な女子高生も珍しいのではないかと密かに思っている。
ガチャっとドアが開き、母が帰ってきた。
「あ、そうだ真澄ちゃん。こないだ見に行ったわよ、展覧会。また最優秀賞取って、凄いわね」
「ありがとうございます」
「将来はやっぱりそっち系?」
「う~ん、まだ分からないです。何処まで通用するか分かりませんから」
「私は絶対いけると思うけどね。ねぇ、お父さんもそう思うでしょう?」
「……」
「まーたこの人なんも聞いてないわね。全く。話聞いてない人はどうでも良いわ。今大事なのは真澄ちゃんよ。ホント、嫁に来て欲しいくらいだわ」
「お願いされたならすぐにでも行くのですけどね」
彼女はジトっと視線をこちらに向けてくる。確かに彼女は民法上はもう結婚対象年齢に入っている。しかし残念ながら俺はまだ17だ。後一年は無理である。それを分かっていての冗談だろう。母はニコニコしながら我々二人を眺めている。
彼女との関係はニつある。一つは幼馴染。そしてもう一つは……恋人関係であるという事。告白したのは中二の冬。学区が同じだから中学までは一緒だが、高校はそうはいかないだろうと気付いたので離したくないが故に告白した。受けてもらえたのは嬉しかったが、当時はまだ中学生。そこまで大きく関係性に変化は出なかった。高校に入るとドンドンと距離は近付いていき……これ以上は野暮だろうか。
「ごちそうさまでした。大変美味しかったです」
「お粗末さまでした」
挨拶とお礼はしっかり言う事がルールだった。どんなに喧嘩していても、挨拶はする。それが人間関係を続けるルールとして定まっている。これは家族の間の掟でもあり、彼女と自分との間でも決めていたことだった。尊重しあえないカップルは破局するという記事を見て焦ったこちら側から提案したことだったのが些か格好のつかない部分ではあるが。
あんまり広くはない洗面台で歯を磨き、支度を整えて部屋を出る。彼女の荷物は半ばこっちにある。本来の家には寝に帰っているような状態だ。それが良いのかは分からないが……そもそも彼女の両親も似たような状況なので誰も不都合がない。それも1つの家族の在り方ではあろうけれど、余りにも寂しい気がした。
テレビからはニュースが流れている。
『先日逮捕された綾小路元衆議院議員に関して、新たな展開です。指定暴力団大場組との関係性により逮捕された綾小路元議員ですが、違法施設の建設と運営に関わっていたとして、警察は本日同氏を監禁・誘拐・傷害などの容疑で再逮捕しました。警察は現段階での認否を明らかにしていません。また、今回の事件には前市民党幹事長の直江氏が関与しているとの情報もあり、警察は捜査を進めています』
物騒なニュースだが、俺たちには特に関係ない。この世界には、平和な時間が流れている。珍しく親父がニュースに対して表情を見せた。
「痴れ者め。己が身に過ぎたる野望を抱えたからだ」
「なんだ、この人知ってんの?」
「昔、少しな。己が才能の限界を知らず、愚かにも暴れまわった男だ。所詮は、凡俗の犬よ。飼い主が倒れれば、諸共だ」
「ふーん」
「お前はこんな男とは違う。愛も慈しみも知らぬこの男のようにはなるな。お前の愛する者を大事にしろ」
「何を今さら、言われなくても」
いきなり説教臭いことを言い始めた親父に、言われずともと返事をする。それを聞いて、鼻で笑いながら親父はコーヒーを飲んだ。母は全くこの親子は、と言わんばかりの顔で我々を見つめている。
「行かないのー?」
彼女が呼んでいる。リビングから廊下へ急いだ。靴を履き、玄関を開ければ冷たい秋の風。
「寒っ!」
「そんなに引っ付かなくても」
「何?嫌なの?」
「いえ、お願いします」
「素直でよろしい」
彼女はこちらの腕に自分の腕を絡めながら引っ付いてくる。繋いだままの手は仄かに温かい。俺の幸せはここにある。いつも通りの日々と、隣にいて欲しい人がいつも隣にいてくれる。それがどうしようもないくらいに幸せだった。もし、違う運命を辿っていたとしても、俺は必ず彼女に巡り合うと信じている。
「行ってらっしゃい」
「「行ってきます!」」
母の声に見送られ、2人で声を揃えて歩き出した。今日もきっといい日になるだろうと信じて。
<IFルート・もしも高育に行っていなかったら、幼馴染編 side真澄>
私が彼に出会ったのは、運命の日。冬の、とても寒い日。その日の私はツイていなかった。コケたり忘れ物をしたり、色々。でも究極的にツイてなかったのは鍵を忘れたことだ。ウチの家は深夜になるまで誰も帰って来ない。マンションの廊下で思わず立ち尽くした。だがどうしようもない。親に電話をしても助けてはくれないだろう。廊下で待ってるよりはマシだろうとマンションのロビーへ行く。けれど、特に暖房があるわけでもない。寒かった。
寒さで凍えながら縮こまっていると不意に声をかけられた。それがきっと運命。思い出補正もあるんだろうけれど、今思い出す彼の姿は白馬に乗った王子様みたいだった。その王子様は私に手を差し伸べて言う。
「大丈夫?」
「……大丈夫」
「いや、どう見ても大丈夫じゃないでしょ。鍵、忘れたとか?」
「……そう。だったら何なの?」
「ウチ、来る?」
「いい」
「そっか」
そう言いながら彼は私の隣に座った。その時に彼のジャンパーを私に羽織らせる。少しだけ、暖かくなった。
「何してんの?」
「1人で待つより2人で待ってた方が暖かくない?」
「……別に。同情なんかいらないから。どっか行って」
「俺が勝手にここにいるだけだよ」
「……」
変なヤツだと思った。私は彼の事自体は知っていた。小学生はカッコよくて足の速い子が好きになる傾向にある。彼はそれに当てはまっていた。ませた子だと付き合いたいだとか言っている、他クラスのイケメン。そして、私の隣人。多くの男女の羨望を集める、
「神室、真澄さんだよね?」
「そうだけど、何で知っての。ストーカー?」
「違う違う。お隣じゃん。知ってるよ、そりゃ。それに神室さん可愛いし」
「はっ!? 何言って……」
私を優しそうに見つめながら彼は笑った。
「どう? 喋ったら少し暖かくなって来ない?」
「こない!」
「そうかぁ、残念だなぁ」
彼は笑いながら話を続けた。取り留めのない話。小学生の話なんて、そんなものだろう。テレビがどうとか、クラスの子がどうとか、先生がどうとか。そんな話。私は相槌を偶にうつくらいだったけれど、不思議とそこまで寒くは無かった。
「へっくしゅん!」
大きなくしゃみを彼はする。小一時間くらい一緒に座っていた。凄い長かった時間があっという間に感じる。彼は本気で深夜まで私と待つつもりの様だった。後で思ったが、図書館とかに行けばよかったし、学校に助けを求める事も出来ただろう。けれどそこまで頭が回らなかった。彼は頭は良いのに、そういうとこは抜けてる。彼も思いつかなかったらしい。まだまだ私たちは子供だった。
「……家、行きたい」
「どこの?」
「アンタの!」
「お、そう? じゃ、行こうか」
彼は私の手を引いて立ち上がる。とても寒いはずなのに、その片鱗すら見せないように気を遣いながら。同学年の男子なんてガキみたいと思ってた。けれど彼はそんな中では異質だった。そして、私の初恋だった。
そこから彼のお義母様の助けもあり、幼馴染としての生活はスタートした。淡い初恋は恋に変わる。だけれど、そんな簡単に彼は靡かない。それに周りによってくる女の子も多い。今は良いだろう。けれど中学、高校、大学となった時にいつまでもいてくれる可能性は低いと思ってしまった。だから努力した。時に彼の両親を頼りつつ、日常の象徴として側にいるように努めた。
幸運なことに、彼もそばにいてくれたわけだ。これは感謝しかない。おかげさまでボッチだった私は人並みに友人関係も作れるようになった。勉強も、運動も、そして得意だった絵も伸ばせた。誰にも見てもらえなかった私の絵は、彼の両親と彼に見てもらえるようになった。凄いと言ってくれたその言葉が、私にはどんなものよりも嬉しかった。私がずっと、実の親から欲しかったものを、彼の家族はくれたのだ。
そして月日は流れる。中学二年生の冬。忘れもしない、出会ったあの日と同じ日付。その日に私は彼から告白された。凄く嬉しかった。努力が実ったのもそうだし、好きな人と公然といられるのもそう。とにかく関係が進んだことが嬉しくてたまらなかった。あまり他人に興味のないお義父様ですら認めてくれた。天にも昇る気持ちとはこのことだっただろう。
幼馴染は負けヒロインとか言ったヤツ、見てるか! 私は勝ちヒロインだぞ! と叫びたかったのを今でも覚えている。世の中の幼馴染は覚えておくと良い。日常の象徴として安らぎを与えつつ、それはそれとして好意を示して刺激を与える。このバランスを上手く取ると勝利への道が開けるのだと。とは言え、彼はちょっと特殊な人なのであんまり参考にはならないかもしれないが……少なくともざまぁはされないだろう。多分。
だがしかし。その気持ちは無くなりはしないものの新たな不安に覆われる。中学高校はまぁ良いだろう。しかしだ。大学は危うい。これに私は高校入学時に気付いた。私の志望は東京芸大。彼の志望は同じ東京が名前についていても本家本物の東大。つまりは東京大学である。大学が別。つまり他の女子を牽制出来ない。困ったことになったと思った。
そして悩んだ私は解決策を思いつく。そうだ、結婚しよう。そうすれば指輪が彼の左手の薬指に嵌る。そんな男性に声をかけられる勇気のある女子は少ないし、彼自身のストッパーになるはずだ。だから私は頑張って一層励んでいるのだが、いまいち通じているのかは分からない。それでもこの気持ち、好きだという気持ちは本物。それは自分で言うのもアレだが疑いようがない真実である。
隣を歩くこのクソボケ彼氏は私の意図には気付いているはずだ。だが、何も言われない。どういう真意があるのか分からない以上、聞き出せもしない。出来れば向こうから言って欲しいなぁ……という欲望があるからだ。
まぁ今はそれでもいい。触れたらヤケドしてしまいそうなほど熱い幸せを感じながら、私は彼と手を繋ぎ朝の道を行く。まだ寝ているショウウィンドウはそれでも朝日を浴びてキラキラと光っていた。その中を2人だけしかいないような雰囲気で歩いていく。同じ歩幅で確実に。この幸せを噛み締めながら。
「もう二年生ね」
「年月が経つのは早い。あっという間に卒業してしまいそうだ」
「どんな進路にするのかあれだけ悩んだのに、もう次の進路選択が来るなんてね。でも……ホントにあの高校に行かなくてよかったの?」
「別に何でも。真澄がいるなら、どこでもいいかなって思ってたし。それに珍しくあの親父が高度育成には行くなって言うからさ」
「お義父さんが? それなら行かなくて正解ね」
「そういえば、次の冬休みの旅行は銀山温泉だって」
「山形の? 美味しいものあるかな」
「そればっかりだなぁ」
呆れたような顔で笑う彼の表情が愛おしい。もうすぐ冬が来る。私の好きな冬が。あなたと出会った冬が。あなたを好きになった冬が。ツンと冷え切った空気だからこそ、あなたの手が暖かい冬がやってくる。ぎゅっと手を握った。離したら、消えてしまいそうだったから。
世界の中心で私は叫びたい。私はあなたを愛してる。そう、誰にも負けないくらいに。
<ドラゴン無双⑥、両手の華編・IFルートCクラス>
我らが龍園率いるAクラスは歓喜に沸いている。何故か。簡単だ。元Aクラスが崩壊したからである。坂柳は起死回生を狙いまずは一之瀬の排除へ動いた。結果は大敗。理由は至極単純で、こちらのスパイが潜り込んでいたからである。結果犯罪まがいの行為で一之瀬を排除しにかかった坂柳は学校側によりお縄となり謹慎停学を命じられている。
結果坂柳派は崩壊。葛城派と責任の擦り付け合いをしている。一之瀬は辛くもクラスを守りきれたが、別に彼女がどうこうしたわけではない。全て龍園と私の策謀によってなされたことだった。そして今回のポイントは、利用したスパイの使い方である。神室真澄を利用したわけだが、我々は彼女の持った情報を確認したうえで我がクラスが使うのではなく学校へ訴えさせた。
クラスにしてみれば裏切り者ではあるが、人倫的には非常に正しい行いをしたわけだ。彼女を責められる者はいない。坂柳は苦し紛れに彼女も万引き犯であると公言したが、最早坂柳の話を信じる者などいなかった。そしてそんな一躍時の人となった彼女は今、我がクラスの教壇で挨拶をしていた。
「本日より龍園による引き抜きで我がクラスに加入することになった神室真澄さんだ。挨拶を」
「えっと……期待に応えられるように頑張ります」
クラスは歓迎ムードである。正義の人、とクラスメイトは信じている。それに厄介だった元Aクラスを崩壊に追い込んでくれたのでクラスメイトからしてもありがたい存在だった。加えて言えばこれまでの功績から龍園の行動に文句を言う者はいない。彼は暴君ではあるが暗君ではない。悪のカリスマ的存在として、宇なくクラスを統治している。
この前の体育祭で運動の出来ない生徒がそれを謝ったところ、「運動が出来ないのは悪い事じゃねぇ。お前らにはお前らが役に立つ場所がある。今回は、足引っ張らない程度に頑張れば、それで良い」と言っていた。生徒の能力もしっかり把握しているようなので、龍園について行きたいと自ら言う人も増えている。何だかんだクラス単位で最初から勝利しようとしていたのも好印象なのかもしれない。
休み時間になると神室は良くちょこちょこと私の側に来る。彼女の私を挟んで反対側には椎名がいて、どういう訳かニコニコしながらも謎の視線を交わし合っている。
クラスの数は41人になったが、最後尾を上手く調整することで列には収まる形になった。坂上先生はウハウハである。毎日機嫌がいいため、生徒からも苦笑されていた。それはともかくやって来た彼女だが、上手く働いていた。ただし金田や椎名に比べると学力は見劣りする。なので、私の個人授業でスキルアップを図っていたのだが、随分と懐かれてしまった。それは別に良いのだが、これが原因でまた1つ問題が発生してくるのだった。
「私は……もういりませんか?」
放課後。無人の教室で半分涙目になりながら椎名は言う。彼女は大分身長が小さい。なのでかなり私を見上げる形になるのだが、私を見上げつつ彼女は捨てないでと願うペットのように懇願していた。
「神室さんは運動も出来て、決して成績も悪くありません。今孔明君のおかげでその成績もぐんぐん上がっています。いずれ、私の上位互換になってしまうでしょう。そうなった時、私はもう、いりませんか?」
「いや、別にそんな事は……」
「でも、最近は彼女にかかりきりで私ともお話してくれなくなりました」
「あぁ、それは……」
やるべき課題を優先していた結果、彼女に付き合うのを忘れていたのは事実だ。
「私が邪魔ならば、そう言ってください。孔明君がクラスのために働いているのは
「椎名さ「ひよりです」……ひよりさんは邪魔などではありませんから、安心してください」
「ですが……」
彼女はしょんぼりしたように下を向く。こうされると大分罪悪感が湧いてきてしまうものだ。ガラガラと扉が開け放たれて龍園が入ってくる。
「おい、コイツをちょっと借りていくぞ、ひより」
彼女の返事を待たず、龍園は私を連れ出した。階段で龍園は私と向き合う。珍しく真剣な顔をしていた。いや、最近は真剣な顔も増えたか。
「お前には感謝してるぜ」
「なんですか、いきなり藪から棒に。死ぬんですか?」
「違う。だが、感謝してるのは事実だ。お前のおかげでAまで上がれた。しかも1年の間にな」
「それはどうも」
「お前に問う。お前の主は誰だ」
「貴方ですが?」
「そうだよなぁ。じゃあ、お前に命じたっていい訳だ」
「それは勿論」
「では命じる。諸葛孔明、しばらくクラスの運営から外れろ。俺がいいと言うまでな」
「……追放ですか?狡兎死して走狗烹らるという奴ですかね」
「そんな狭量な事はしねぇさ。だがこれには理由がある。お前のおかげでAまでこれた。坂柳は壊滅したし、一之瀬は伸び悩んでる。Dは論外だ。であれば今は一時的に余裕が出てるな。だからこそお前に運営から外れてもらう。勘違いするなよ、遊べと言ってるわけじゃない」
「では、何です?」
はぁ、と龍園はため息を吐く。
「お前は優秀だ。だがその頭脳を対人関係に振り分けてない。それも特定分野だけなぁ。お前、どっかで気付いてるだろ。お前が持ってきた神室も、そしてひよりも、確実にお前に気がある」
「……はぁ。それは貴方が恋愛小説の読みすぎとかでは無いのですか?」
「違うな。これでも色んなヤツを見てきた。その手の事に詳しいかと言われればノーだが、それくらいはわかる。どうしてお前が分からないかの原因は2つだろうな。1つはお前がそっちに頭を振り分けてない。もう1つはお前が無意識下で拒否してる。俺はその拒否してる原因なんか知らないし、どうでも良い。だがこのまま優秀な軍師を人間関係で能力が発揮できない状況に置くのは得策じゃねぇ」
「……」
「だからこそお前に命じる。諸葛孔明、しばらくクラスの運営から離れて、お前の側にいる奴の事を考えてやれ。それがお前が今1番するべきことだ」
「私にはそうは思えませんが」
「これは命令だ。お前の感想は聞いてねぇ。俺は必要だと判断した。お前のためにも、クラスのためにも、あの2人のためにもな。解決したと判断出来たら、また戻してやるよ。それまでのゴタゴタは俺たちでどうにかする。だからお前は俺の命令をこなせ。良いな?」
「……了解!」
もっと理不尽な命令はいっぱい聞いてきた。しかし、ここまで困惑した命令は初めてだ。龍園は一体何を言って……いや、分からないフリはよそう。私はどうするべきなのか。その答えは暫く出そうになかった。
「悩め、軍師。それがお前に必要なことのはずだ。だが必ず解決できると思ってるぜ。なにせ、お前は俺の軍師だからな」
ククク、といつもの不気味な笑いを浮かべながら龍園は階段を上っていく。誰かのために考えるのは慣れている。自分のためでもだ。だが、こういうことについて考えろと言うのは全くの未経験である。それも見越して私の弱点を拭おうとしているのならば、彼は本物の王なのかもしれない。ふと、そう思った。私の見出した存在は思ったよりもずっと、玉座に座る価値のある人間だったようだ。
<IFルート・Aクラス もし船上試験で調整を選ばなかったら・その後>
点滴が腕に繋がれたまま真澄さんは眠りこけている。かれこれ2日になろうとしていた。龍園たちが真澄さんを囮に私を呼びよせてから早2日。この日の間に凄まじい勢いで物事は動いていた。それよりも私は全く見舞いに来ない彼女の親に困惑している。殴られても文句は言えないと思っていたが、生きていることを確認するとお任せしますの一言だったと真嶋先生も困りながら言っていた。
さて、肝心の龍園たちの処遇であるが、当然のことながら警察で事情聴取を受けた。当たり前である。警察もかなり悪質であると判断し、入念に取り調べを行ったらしい。真澄さんの衣服から龍園や他の生徒の指紋・靴の一部などが見つかり、彼女が決死の抵抗として噛んだ龍園の腕の歯形も彼女の物との一致。必死に抵抗を試みたことが伺えた。
真冬に野ざらしで監禁したこと、水を掛けたこと、しかも顔に布を当てていたことは十分に殺人未遂であると判断された。ついでに言えば、彼らの発言を録音していたことも功を奏したと言えるだろう。どうなっても良いのか、などの台詞から殺意は存在していたと解釈された。警察とて人間。当然印象などは関係してくる。どうも、必死に彼女の名前を呼び、祈りながら何時間も病室で一緒にいた私に心打たれた人もいたらしい。それと反比例するように龍園たちの心証は悪くなっていった。
外傷は怪我なので何とかなる。内傷も骨折が多いが、内臓系はそこまで大きな怪我ではないとの話であった。何針か縫う事にはなったようだが、顔に目立った外傷がないのがせめてもの救いかもしれない。今は疲れて眠っているだけであろうとも言われている。しかし、だからと言って安全視は出来ない。霊的には寝ている間が一番危ない。それに医学的にも術後は危険だ。
「……早く目覚めてくれ」
公欠を貰い、病院に一日中詰めている。中華系の影響がある病院に運よく搬送されたので、融通が利く。本国の金を全力で引き出して、高級個室にしてもらっていた。部屋でただただ早く目覚める事を祈っていると、コンコンと戸が叩かれる。
「どうぞ」
「お邪魔するよ」
初老の男性が入ってくる。顔はかなり疲れ切っていた。坂柳理事長である事が分かったが、一瞬で分からなかったのはかなり顔がやつれていたからである。
「彼女は、どうかな」
「……命に別条はありません。骨折等もリハビリでは治るでしょう。しかし、心的なところはわかりません」
「そうか……彼女には済まない事をした」
「理事長のせいではありませんけどね……いや、間接的には龍園たちを入学させたあなたのせいか」
「言い訳のしようもない話だ」
「されたら殴っていたところですよ。確かに今回の件は詰めを誤り、判断を誤り、龍園たちを追い詰めすぎた私が動機になってしまったのでしょう。しかし、私は何の罪も犯していない。私には、彼らを糾弾する権利があるはずだ」
「それは……その通りだね」
「理事長、あなたが最終的に入る生徒を決めているのですよね」
「そうだね。僕が、面接等の結果を見て最後に判断している」
「もし彼女が目覚めなかったら、私はあなたを許さない」
「……」
「世間は大騒ぎですね」
彼がやつれている原因はそれだ。私は、警察によって龍園たちがひっ捕らえられると同時にこれまでの高育で行われた事を全てまとめたデータと、今回の顛末を全てまとめたデータを合わせ、混乱の中真澄さんの付き添いという名目で学校外へ出るとマスコミに全てをバラまいた。結果、ストップが入る前に新聞や週刊誌各社が一斉に報道。不自然な規制が入るもインターネットは止められず、高育は大炎上している。
何故そんな事をしたのか。理由は簡単だ。いかな閉鎖空間とは言え、こんな犯罪者を生み出すような環境、もっと言えばこんな暴力性のある人間に何の指導もせず野放しにしている空間、もっと言えば実力至上主義の名の下に認めている空間など正しい教育機関ではない。殺人未遂事件だ。もしかしたら潰れてしまうかもしれないと思っている。けれど私はそれでもやるつもりだった。そこまで考えて、実行した。葛城や一之瀬のような苦学生には申し訳ないと思っている。もし高育が潰れるなら出来る限り支援はするつもりだ。
病室のテレビを点ければお昼のワイドショーがやっている。連日連夜高育についての批判で一杯だ。理事長の顔が更に暗くなる。
「マスコミは全て面会謝絶の名の下に断っています。あなたも早くお帰り下さい。でないと、記者がうるさい」
ブラインドから外を見れば、何台かのマスコミの車が停車している。十中八九理事長をつけて来たのだろう。さっきまではいなかった。
「あぁ……失礼させてもらうとするよ。彼女が目覚めたら知らせて欲しい」
「善処します」
理事長は去って行く。ため息を吐きながら今後のことについて考えた。もし高育が潰れた場合、真澄さんをどうにかして良い学校へ送りこまないといけない。幸い、彼女の成績なら上位の高校にも入れるだろう。彼女の個人情報は徹底的に秘匿している。マスコミは上、それこそ経営陣から凄まじい圧力がかかっているはずだ。被害者については報道するな、という。大使館には後で頭を下げておく必要がありそうだ。
もし首の皮一枚で高育が残ったとしても大分制度の変革を迫られるだろう。情報公開も必要になるはずだ。その頃には私はいないだろう。彼女をこんな風にした責任は取らねばならない。私がいなければ、彼女は傷つく事は無かったのだから。兎にも角にも早く目覚めてくれ。そう祈る。
「う、うぅぅ……」
考えていると、唸りながら彼女が目を開けた。ぼんやりとした目で私を見ている。祈りは天に通じたようだ。私は神など信じないが、今だけあらゆる神に感謝したい。
「何……泣いてんの……アンタ」
クスクスと笑いながら彼女は言う。急いでナースコールを押した。口の中にしょっぱいものが入って来たが、何の気にもならないくらい、今は嬉しかったのだ。
脳波等に異常は無いのでこれからリハビリをしつつ、数週間で退院できるという説明を受ける。さっき途切れ途切れだったのは喉が渇いてたのと寝起きだったかららしい。今は稼働式ベッドの上で身体を起こしながら普通に起きていた。
「高育、無くなるかも」
「あ~、まぁ、そうかもね」
ワイドショーを見て何となくの状況を察したらしい。クラスの方はもう授業どころではなく、保護者と生徒への説明会に追われているとの事。南雲会長は半狂乱だそうだ。葛城や坂柳の指揮の下でクラスはなんとかまとまっているが、龍園のクラスは酷いものだと言う。一之瀬たちも混乱の中何とかまとめていたが、外のニュースは嫌でも入ってくる。みんな身の振り方を考え始めていた。自主退学を考える生徒もいると言う。
クラスの方を問いただす私の連絡に、葛城は堂々と『お前は神室の事を心配していろ。こっちは任せてくれ』と言い切っている。素直にカッコいいと思えた。坂柳も龍園とそれを入学させた父親が悪いと言って好きにするように勧めている。彼女はこの状況を楽しんでいる気がするのだが……まぁいいだろう。
「もし無くならないとしても私は学校を去る。それが唯一のケジメだ」
「……やだ」
「やだって、そんな子供みたいな」
「やだ! 私が嫌だって言った」
「えぇ……」
「私=被害者。アンタ=特に何も悪くはないけど勝手に責任を感じてる。つまり私の方が立場は上。OK?」
「はい……」
「私が辞めて欲しくないと思った。つまりアンタは残らないといけない。そして私が健常な日常生活を送れるようにサポートする。OK?」
「OK、です」
「よろしい。辞めるとか言わないで。何も悪くないでしょ? 呼び出されてノコノコ行った間抜けは私。勝手にボコられたのも私。悪いのはボコったあいつら。アンタは悪くない。私は私の意思で、龍園に抵抗したの。全てに責任を感じてるつもりかは知らないけど、それは傲慢よ。私たちはまだ高校生なんだから」
「……ありがとう」
「何に対するお礼かは知らないけど、どういたしまして」
私は少しだけ許された気がした。全てに責任を持つのは傲慢、か。今まで私の身直にいた人間、つまりは部下のやる事は全て私の責任だった。だからこそ、そういう思考が板についていた。けれど、彼女は私の部下ではあるけれど他の者とは違う。それが彼女が私に傲慢と言って諭した原因だろう。
人は、自分の行った行為への責任を持たねばならない。自分の行った行為がもたらした結果にも責任を持たねばならない。まだ高校生。そう言えばそうだった。ここでの私は陸軍の軍人ではなく、いや正確には軍人ではあるけれど、それ以上に高校生であった。高校生だから、というのは免罪符にはならないけれど、もう少し高校生らしく考えてもいい。そういう意味も込めて、彼女は敢えて強い口調で言うことで私を許そうとしたのかもしれない。その証拠に彼女はそっぽを向いている。照れている時にする仕草だ。本当に何に対するお礼か知らなかったら、そんな仕草はしない。
「もし、無くなっちゃったらどうする」
「……さぁ。どうしようか。私は国に帰るけど、真澄さんはどこかに転校するんじゃないの? 常識的に考えて」
「国に帰ってどうするの?」
「生憎と仕事があってね」
「その仕事って、元々の予定だと後2年はやらなくていいものでしょ?」
言われてみれば確かにそうとも言えるかもしれない。元々の予定では2年生と3年生の2年間は少なくともまだ日本にいる予定だった。
「じゃあ、休んでも良いんじゃない?」
「休む、か。ゲームして、本でも読んでとか?」
「もっと長い間。2年もあるんだよ?」
「そうだなぁ……」
考え込んでいる私を彼女はジッと見つめる。病室には午後3時の冬でも温かい光が差し込んでいた。チクタクと時計が鳴る。彼女は不意に口を開いた。
「私、やりたいことがある」
「何?」
「世界を見たい」
「世界……?」
「そう。色んな所へ行って、色んなものを見て、色んなものを食べて、色んな人と出会って。そして絵なんかも描いたりして」
「世界旅行、か」
「そんな感じね。――そしてその最後に、アンタの国に行きたい」
「え」
「分かってるわよ。どこか違う国から来たんでしょ? 何となくだけど察してたし」
「そうか……。まぁその疑問に答えるなら真実だよ。私は日本人じゃない。中国人だ」
「そっか。自分の国は好き?」
「……まぁ一応は」
支配者は嫌いだ。だが、そこに住んでいる人は嫌いじゃない。みんな毎日必死に生きている。文化を誇りながら、食べ物に舌鼓を打ちながら。そんな暮らしは嫌いじゃなかった。
「そう。なら、アンタの育った国を見たい。どんなものを見て、何を感じてきたのか、知りたい。アンタの大切にしているものを。勿論、それまでの過程も全部アンタと一緒に」
「いや、だけど」
「私をこんなにした責任、取って」
間違いなく第三者に聞かれたらアウトな言葉を用いて脅してくる。本気で脅している訳では無いのはわかるが、結構したたかだ。こんなだったかなと思ったが、完全に私の影響だろう。
「分かった分かった。何処へなりともお供しようじゃないか」
「よろしい」
むふーと息をこぼしつつ笑いながら、彼女は言った。
数か月後。結局あの後覆水盆に返らずという言葉通りの結末となった。与野党内部からの批判。国内外からの批判。連日連夜のデモ活動。与野党両方の支持者が珍しく一致団結した抗議運動は文部科学省の心を折るのに十分だった。多くの在校生は別の学校へ転校。AやBの生徒、並びに下位クラスの成績優秀者はそれでよかったが下位者は大変だったようだ。それでも何とか全員受け入れ先が決まったと風の噂で聞いている。
葛城や一之瀬は返済無用の奨学金を出すよう指示をしておいた。彼らに罪はない以上、私が全てを破壊した責任は取らないといけない。その後は何とか平穏にやっているようだ。坂柳も適当に高校に入ったが、張り合いがなくてつまらないらしい。高校生クイズでもやってみればと勧めたら、存外ハマったようだ。最近は随分のめりこんでいると聞いている。
我が国の中央に持ち帰ったホワイトルームの情報を中央政府は大々的に発表した。その結果、またしても日本は混乱状態にある。今日も今日とてホワイトルームの施設に強制捜査に入った検察特捜部の姿がニュースで取り上げられている。
日本は今、全ての既得権益への批判という点で1つになろうとしていた。変革の風が吹き荒れている。そんな中、私と彼女は成田空港のターミナルで飛行機を待っている。幸い金なら幾らでも……では無いがかなりある。2年間世界を飛び回っても余裕でお釣りがくるだろう。爺はごねていたが、部下たちが銃口を突き付けて許可をもらってきてくれた。軍上層部も今ウハウハなので休んで来いと言われている。尤も流石にノータッチとはいかないだろうが。
「それで? 今日まで行き先を知らされてこなかったんだけど、結局何処へ行くの」
「まずは定番のヨーロッパでしょ。そしてヨーロッパで絵描きがまず行きたい場所と言えば……そう、ルーブル!」
「あぁ、フランス。真澄さん、フランス語喋れるの?」
「ボンジュール?」
「だけかよ。まぁ良いよ。私が喋ってあげようじゃないか。その代わり、離れないでくれ」
「大丈夫。地球の歩き方で注意事項は完璧に抑えたから」
「だと良いけど」
アナウンスが入り、搭乗ゲートへの案内が始まった。これから2年間の休暇になる。
「何してんの、行くよ?」
「はいはい。ちょっと待ってくれ」
トラブルも多そうだが、それもまた楽しめそうだ。案外こういう結末もそんなに悪くはないかもしれない。早く来いと手を振る彼女を追いかけながら、そう思った。
幼馴染編のルート分岐は『鳳教授(孔明父)が綾小路父と協力しない』になります。その後孔明&奥さんと一緒に東京大学に転勤。その際に住んでいるマンションの隣の部屋がたまたま神室家だったというのがルート解法条件です。どんな運ゲーだよ。なお、諸葛桜綾(孔明母)は正史だと過労で早期発見が遅れましたが、この世界線だと普通に病院に行って完治してます。
この幼馴染編だと、高三の文化祭の後夜祭でプロポーズされます。やったね、真澄さん大勝利! なお、高校は筑波大付属とかを想定しています。スペック的には本編の孔明の方が上ですが、精神状態とかは圧倒的にこちらの方が健全ですね。もっと男の子っぽい見た目になっていますし、一人称とかも違います。真澄さんも自己肯定感を得られている上に、家族関連の寂しさも無いため、当然犯罪はしていません。