逃げ適正らしいですが、せっかくなので追い込みで勝とうと思います(勝てるとは言っていない) 作:ツルハシブンブン丸
4月。
桜舞う季節。
スギ花粉が飛び交う季節でもある。
くしゃみが止まらん鼻水も。クソが。杉〇ねぇ!
通りすがりのうp主が叫んでいるのを横目で見ながら、少女は意気揚々と歩いていく。
トレセン学園の制服を身に纏い、ドヤ顔も顔負けだとでも言わんばかりにご満悦な表情で、通学路をてってこせっせと歩いていく。
そう。少女はめでたくトレセン学園に合格することが出来たのだ。
勉強が苦手なので筆記試験には自信がなかったのだが、どうにか合格ラインを満たすことが出来たようだった。
その後に行われた実技試験では、個人でのタイムアタックだったこともあって日頃から1人で黙々と走り続けていた少女にとってなにも緊張することなく本来の実力を如何なく発揮することが出来た。
最後の面接においても、トレセン学園理事長の秋川やよい――どう見ても同い年くらいにしか見えなかったが立派な理事長らしい――から直々に「歓迎!」と言われるほどには受けが良かった。
何にせよ、無事に合格できた少女は今日、トレセン学園の入学式に向かうため意気揚々と桜舞う通学路を歩いていく。
校門をくぐり、全身緑色の不審者に挨拶をして――なぜか「面接の時に会ったじゃないですか!」と謎の言葉を言われたが、細かいことは気にしないのである――その絢爛たる校舎を見上げる。
「…………私たちのレースは、これからだ!」
打ち切りみたくなるから止めなさい。
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入学式も終わり、教室でのガイダンスも終わった。今日の午後は暇である。
……否、正確には暇ではない。
入学初日の午後は、トレセン学園中の各チームが練習見学会を開催しており、新入生はどこかのチームの見学に行くものである。
チーム側は将来有望なウマ娘に自分のチームに入ってほしい。
ウマ娘側は有力なチームで素晴らしいトレーナーに担当してほしい。
双方の利益が合致した、いわば見学会という名の囲い込み、あるいは内々定を出すための説明会といったところか。
とにかく、そんなチーム見学会に足を運ぶウマ娘の多い中、少女はといえば――
『はちみー』
そう書かれたワゴン車に目が釘付けとなっていた。
通学カバンの中から財布を取り出す。
その中には、母親からもらった愛情という名のお小遣いが入っている。
値段の書かれた看板と財布の中身を見比べて、少女はうんと強く頷く。
「スーパーでハチミツ買って舐めよう!」
どうしてそうなる。
「ワーイボクハチミーダイスキー!!」
舌っ足らずな声でワゴン車に駆け寄っていく幼女――自分のことは棚に上げる主義である――とは反対方向に足を運ぶ。
チーム見学会とやらの存在は、頭の中からどこかへ吹っ飛んでいってしまっているようだった。
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夜、寮の一室にて。
同室の子と他愛ない雑談をする中で、1つの質問が投げかけられた。
「そういえば、今日はどこのチーム見学に行ったの?」
「??? チーム? 見学? 何それ?」
存在自体知らなかったんかい。
もう続かない。