ウマ娘ショートストーリー?   作:扶桑畝傍

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ヒシアケボノで久し振りに
自己ベスト更新したから


ちゃんこ鍋はみんなを笑顔にしたい

「トレーナーさーん!」

 

トレセン学園を振動させながら

俺の個人ルームへすっ飛んで来るのは

 

『我が担当ウマ娘、ヒシアケボノ』

 

ズパン!と勢い良く引き戸が開かれ

扉が軋むが壊れない

ただ、タニノギムレットの蹴り

カワカミプリンセスのパンチは防げない

 

「ぼの、少しは静かに歩く練習しような?」

「は~い。」

 

彼女、ヒシアケボノは

サクラバクシンオーに次ぐ

『生粋のスプリンターウマ娘』で

ギリギリ現役と被った

結果、惨敗

 

表情は引きずっていないように見えるが

『ちゃんこ鍋の味であからさまに解る』

 

「それでね~?」

「はいよ。」

 

つい先日、ヒシアケボノ自身から

『引退』を言い出された

 

まぁ、俺はわかっていて、

『ヒシアケボノ自身に言わせたのだ』

ピークは最初の『スプリンターズS』

以降は入着が良くて

最後にした

3回目の『スプリンターズS』で着外の9着となった

2回目が、

サクラバクシンオーの最初で最後の勝負となり、

サクラバクシンオーはその後、引退している

 

こうしてほぼ毎日ちゃんこ鍋雑談を

聞いて返してあげている

 

そして、急に

 

ずしっ

 

「ぼの、動きづらい。」

「・・・ちょっとだけ、だめ?」

「わかったよ。」

 

後ろに回り、二つのスイカを頭に乗せて来る

 

正直、柔道を嗜んでいなければ

『首が逝く』かと思った

 

10分だろうが1時間だろうが

黙って、そのまま動かない

 

すると

 

「もぅ、大丈夫、だよ。」

そっと離れるが今日は違う

 

「ヒシアケボノ。」

「うわわっ!?」

 

体格差で敵わないが

勢いは負けてない

 

仮眠用ベッドに気合で押し倒しマウントを取る

 

「あぅ、どうしたの?トレーナーさん?」

抵抗する気は無い様だ

 

「毎回毎回、そんな泣きそうな顔してる

 担当ウマ娘を気づかないと?」

「だ、大丈夫だよぉ。」

嘘だ、身体は震え

瞳に滲む涙は本音を叫びたがっていた

 

「『どうして泣いてくれないんだ?』」

「っ、だって、

 トレーナーさん、私に。」

 

あぁ、こんなにも我慢させていたのか

 

俺が言った

『ちゃんこ鍋がみんなを笑顔にするなら、

 ぼのも、笑顔でレースを終わろうな?』

 

これが彼女に呪いを

仮面の笑顔を強要していたのか

 

「ヒシアケボノ。」

覆い被さる様に彼女へキスをする

「もぅ、良いんだ、

 『ちゃんこ鍋だって泣く事もある』

 『泣いて良いんだ、ヒシアケボノ』」

 

すると

 

ひっ ひっ ひぅ

 

大柄な体格とは対照的に

静かに泣き出した

 

「まだ、はしりたいよぉ~、

 美味しいちゃんこ鍋たべたいよぉ~。」

 

小さな声で本音を言ってくれた

 

「ヒシアケボノ、ごめんな、俺が悪かった。」

 

再度キスをし

 

泣き止むまでその顔を隠し続けた

 

 

外は既に暗い

 

スマホを確認すると

 

「あ。」

フジキセキからめっちゃ着信が来ていた

 

プルル〈はい、フジキセキだよ?〉

「すまん。」

〈困るねぇ外泊届は出してないし

 誰も行き先を知らないし

 個人ルームは外出中の表記だし〉

「ぁ~、ビコーに伝えてくれるか?

 今日は泊まりだって。」

〈全く、丁度ここに居るから〉

〈ヒシアケボノさんどこにいるんですかっ!?〉

「うるさ、

 すまんな、ビコーペガサス、

 今日は家に泊まらせるから。」

〈えぇっ!?〉

〈トレーナーさん?

 今度はちゃんと外泊届出してね?〉

「あぁ、わかってるよ、代筆を頼んだ。」

〈初犯だし、良いよ、

 それと〉

「ん?」

 

まだ卒業して無いから食べちゃダメだよ?

 

「・・・そうか、

 お前のトレーナーに言っておくよ

 『準備万端でフジが待ってる』って。」

〈よし、条件を聞こう〉

「ビコーペガサスが俺の家に突撃しないように

 見張っててくれ。」

〈契約成立だね、

 はい、ポニーちゃん

 今日はおねんねしようね~〉

〈わっ!?ちょ、

 フジ先輩~っ!?〉プッ

 

「ふ~・・・

 イツカラ起キテタノ?」

 

毛布から覗く姿は

普段では絶対見られない程

顔が真っ赤になっていた

 

サイショカラ///

 

マジデスカ~

 

「あの。」

 

うは~、芋顔系ほっとけないウマ娘な

ヒシアケボノがここまで変わるとは・・・

 

「買い出ししながら、

 家に行こう、今日はちゃんこ鍋

 『俺のオリジナルちゃんこ鍋』を

 教えてやる。」

「え?ほんと?」

「嘘は言わんよ、ほれ、立てるか?」

「うん♪直ぐにいこー!」

 

がばっと起き上がるのはいいが

 

「あ。」

「おぅ。」

 

逆に押しつぶされる

「ぐぇっ!?」

「あははは~、大丈夫?

 トレーナーさん?」

「・・・言うまいと思ってたが、

 ヒシアケボノ。」

「な~に~?」

 

重い

 

 

くつくつ煮えるちゃんこ鍋

 

「はい、あ~ん♪」

「はふはふ、うまっ!」

「えへへ~///」

「ほれ、ぼの。」

「うぇっ!?わわ、わたしもっ!?」

「ほれ、冷めちまう。」

「ひゃぅ~///」

 

ぱく

 

「ほひぃれふ。」

「そか。」

 

 

ずどどどど

「ち~こ~く~す~る~!」

 

「こ~ら~!

 ヒシアケボノさん!

 そんなに走ったら危ないですよ!」

「あ、たづなさーん!

 おはようございまーす!」

 

(‘、3_ヽ)_ シ、シンデシマウ

 

「ヒシアケボノさん、

 トレーナーさんをどうやって

 引っ張って来たんですか?」

「あ~っ!?」

 

スーツの襟を掴まれそのまま

引っ張られればこうなるわな・・・

「トレーナーさーん!!」

がくがく揺らされ

危うくリバースする所を

必死に耐えた俺を褒めたい・・・ガクッ

 




ヒシアケボノのトレーナーさん

『全長165cm』

嗜(たしな)む程度だが、
柔道をやっていた事を
今ほど感謝する事は無かった

先のやり取り後
ビコーペガサスに蹴られかかったが
ヒシアケボノが軽くいなしてくれた

ヒシアケボノ

『身長180cm』

ちゃんこ鍋・目
スプリンター・科
トレーナーさんに抱き着くのは
恥ずかしくない系ウマ娘

卒業後、ちゃんこ鍋料理研究家になり
トレーナーさんと一緒に
日々アレンジの研究

そこから体重は増えなくなり
維持し続けている

フジキセキ

他のトレーナーさんをおちょくる系
自爆型手のひら返し系ウマ娘

尚、自身のトレーナーさんに
告白はされているが
未だに返答していないヘタレ枠

ビコーペガサス

チョイ役

ヒシアケボノと同じく
サクラバクシンオーと接戦を繰り広げた

たづなさん

久しぶりのチョイ役
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