『トレーナーさーーーん!!』
はて?なんでスペシャルウィークの声がするんだ?
ちょっと時は戻る
⏰
何もない何時もの日
「デイリーしゅうりょ~。」
寝転びながらクーラーの効いた部屋で
〈ウマ娘〉をダラダラ眺める
(はぁ、だる)
仕事を辞めて早一年
なんで辞めたって?
んなもん《人付き合い問題》ですよ
ぁ~思い出しただけで胸糞悪ぃ
再び育成をダラダラ進める
『トレーナーさん、
今日のトレーニングはなんですか?』
速度振りでポチポチ
んでSS止まり
「なんでやねん。」
エセ関西弁でツッコミを入れる
サポカなのかトレーニングの運なのか
どうにも伸びきらない
まぁ、楽しいから続けてんだけどな
「なにすっかな。」
空っぽの冷蔵庫を眺めて
「買い物、行くか。」
⏰
車でひとっ走り
近場のスーパーで
一週間分を買い込む
⏰
「ふぅ。」
適当に作ったメシを食べ終え
今度はPCの電源を入れる
『トレーナーさん、
こんな遅くまでご苦労様です』
例え決められたセリフでも
返事が来るのは嬉しい
「スペシャルウィーク、
キミこそ、毎日返事してくれてありがとう。」
『ふぇ?』
え?
「スペ?」
『あ、あの、
タキオンさん、
パソコンからお声が聞こえるのですが』
『ほぅ、どれどれ?
スペシャルウィーク君のトレーナー君、
聞こえるかね?』
「ぉ、おぅ、聞こえる。」
『おぉ、どうやらトレーナー君の
パソコンと直接繋がったようだね』
『ふぇええっ!?ほんとですか!?』
「えっと、つまり?」
『直接会話が出来る
まぁ、私はモルモット君で
何時も実験してるから良いけどね』
『あぁ、あははは』
「タキオンさん?」
『なんだね?』
「一度PC落とすとまた繋がるの?」
『どぉだろうねぇ、
スペシャルウィーク君の
PCは
一応私がメンテナンスしているが
このPCは基本点けっぱなしだからねぇ
メンテナンス時は流石に落とすけど』
「ふむ。」
『あの、トレーナーさん』
「なんだ?スペ?」
『もっとお話ししたいんですけど』
「あぁ、夜中だもんな、門限?」
『はぃ~、そろそろですぅ』
『おぉ、
ならPCはキミの相部屋に
持って行こうか?』
『いいんですか?』
『勿論、
そもそもが
《人参の箱》の置き場が無いから
ここにPCを置いてたのだろう?』
『あ』
「あぁ、おかあちゃんから
送られてくるアレか。」
『そうなんです、
そうすると・・・タキオンさん、
すみません、もうしばらく
こっちに置いていて貰えますか?』
『別に構わないが、
まだ人参の箱があるのかね?
この間二箱貰ったけど』
『はい、今年は豊作だったそうで
スズカさんのスペースにはみ出してるんですぅ』
『え゛?』
『そうだ!タキオンさん!
また貰ってくれますか?』
『ぁ~・・・カフェに聞いてみたらどうかね?』
『私に振らないで下さい、
私もスペシャルウィークさんから
貰っていますので』
『は?カフェも?』
『はぃ?そうですよ?』
『そうなんです、
なんでもご近所(200km圏内)の方も
一緒に送ってくれているそうで
実はトレセン学園の冷蔵庫も借りてましてアハハハ』
『・・・今度、
業務用の大きい冷蔵庫を手配しておくよ、
理事長にも連絡して置くよ』
『お、お願いします』
「・・・スペ、俺にも一箱送ってくれる?」
『えっと、出来ます?』
『さぁ?
トレセン学園の宅配窓口に
聞いてみてくれ
そろそろいい時間だよ?』
『あぁっ!!
すすすみません!!
トレーナーさん!また明日お願いします!!』
「おぉ、お休み、スペ。」
『はい、おやすみなさい!トレーナーさん!』
『で、だ』
「タキオンさん?」
『正直、何時繋がりが切れるかわからん』
「まぁ、でしょうね。」
『おや、冷たい反応だねぇ』
「そもそも論
繋がる事自体が『イレギュラー』でしょう?」
『・・・ふふ、わかってるじゃないか』
「まぁ、念のためこっちのPCは
つけっぱなしにしときますよ。」
『トレーナー君、電気代は大丈夫なのかね?』
「家、ソーラー発電と蓄電池あるから
電気代0円。」
『なんと』
「・・・後は、仕事辞めてるから
『時間』はあるよ。」
『・・・無理はするなよ?
スペシャルウィーク君が悲しむ』
「・・・だな、お休み。」
『あぁ、お休み』
⏰
んで
『トレーナーさーーーん!!』
と、冒頭に戻る
「朝からどした?」
『私!!トレーナーさんの
住所知りませーーん!!』
「ぁ~・・・スペ、
タキオンさん起きてる?
メールで住所送りたいんだけど。」
『あ、それでしたら!』
スペシャルウィークは
スマホを画面にかざして
『これです!!』
いや、なにが?
「スペ?」
『私のウマッターアカウントです!!』
「うま・・・(あぁ、ツ〇ッ〇ーの事か)
これにメールすれば良いのか?」
『はい!!』
「送ったけど、どうだ?」
『ぁ、あれぇ?文字化けしてますぅ』
「ぁ~、口頭でいいか?」
『あ、はい!』
⏰
『それでは!窓口に行って来ますね!』
「あ、ちょ。」
『やれやれ、
彼女は時折そのまま突き進む事があるんだよ』
「良く知ってる、
届くと思うか?」
『正直、同じ住所はあっても
《そっちとこっち》
無理だろうねぇ』
ドドド
「どどど?」
『うん?なんの音・・・ぉ?』
画面にはスペシャルウィークが
走って来る姿が見えた
こけっ
『あ』
『ぁ~』
そのまま画面に突っ込んで来た
すぽっ
ずどむっ!!
「ぐほぅっ!?」
PC画面から出て来た
《彼女の頭突きをもろに喰らう》
「いたたた・・・だ、大丈夫です、か?」
「スペ、止まれる速度で走れって
校則じゃなかったか?」
「わわわわっ?!トレーナーさんが
目の前にいますぅうっ!?」
「いや、《お前が出て来たんだよ》」
「へ?」
『いやぁ~・・・こんな事が起こるのだねぇ』
「がっがががが、
画面の向こうにタキオンさんがいるぅううっ!?」
『ぁ~・・・スペシャルウィーク君、
手を突っ込んで貰えるかね?』
「え?あ、はい。」
PC画面に言われるがまま手を突っ込む
「と、通りました。」
『お~、ホントに繋がってる』
「つまり?」
『どうやら行き来出来る用だね、
なら都合がいい、
人参の箱も通るだろうから
そっちで預かってくれないか?
また《届いたそうでな》』
「えぇっ!?また届いたんですかっ!?」
「ぁ~・・・何箱?」
『50箱』
「ごじゅうっ!?」
「・・・まぁ、入るよ。」
「入るんですかっ!?」
「まぁ、な。」
⏰
「でっか!」
「家、業務スーパーを改造した家なんだ。」
「スーパーを?」
「いちいち建てるのがめんどくさがった
亡くなった親が
『業務スーパーに住んじゃえば
買い物行かなくてよくね?』とか
言い出した結果がコレだ。」
「うわぁ。」
『は~、コレは凄いね』
「んで?」
「タキオンさん行けそうですか?」
『ベルトコンベヤーを伸ばして来たけど
画面に通るかねぇ?』
にゅ
『あ、通った』
「と、通りましたね。」
「まぁ、いいか、
スペ、パレットに積んでくれ
俺がフォークリフトで運ぶから。」
「あ、はーい!」
⏰
「50じゃなくて500箱だったな。」
「ですね、疲れましたぁ~。」
『あの~、こちらにスぺちゃんいますか?』
「あ!スズカさん!」
『え?スぺちゃんが画面の向こうに?』
⏰
「通れちゃいました。」
「トレーナーさん!
スズカさんです!」
「あ、はい、サイレンススズカさんで?」
「はい、スぺちゃんのトレーナーさん。」
(ほっそ、
学生服からでもわかるけど
線が細いなぁ~)
「それに比べてスぺは・・・。」
むちっ むちっ どん
「スぺ。」
「はい!トレーナーさん!」
「ダイエット決定。」
「うぇえええっ!?」
「そうよスぺちゃん、
また体重増えてるんだから、
レースに向けて減らさないと。」
「す、スズカさんまでぇ。」
⏰
「ファイト、ファイト。」
自転車でスペを引っ張る
「づがれまじだ~。」
「まだ20キロしか走って無いわよスぺちゃん。」
「えぇ~。」
「帰ったらにんじんハンバーグ作ってやるから
頑張れ。」
「え?」
「スズカさん!!お先に失礼します!!」
ぐぃっ!!
「ちょ、まっ!?」
「ふふ、
先頭の景色は譲らないわ!」
きゅっどん!!
のぉおおお~っ!?
⏰
「ふ~紅茶が美味しいねぇ~。」
「タキオンさん。」
「なんだいカフェ君?」
「知ってて『繋げたんですか?』」
「さぁ?」
(あんな死にそうな顔をした
トレーナー君より
生き生きとしたトレーナー君の方が
よっぽど良いだろうに)
「そろそろ戻っておいで~。」
『え?』
「いや、彼を元気づける為に
繋げた訳じゃ無いんだけど?」
『こっちのランニングコース
走りやすくて』
「ぁ~・・・同じ住所に
同じコースがあるから
こっちで走り給え。」
『はぁ、わかったわ
スぺちゃん、
〈トレーナーさんも一緒に〉
こっち来てって』
「え?ちょ、スズカ君?」
『え?いいんですか?』
『いいのか?』
「ぁ~。」
『先に帰るわねスぺちゃん』
『あ、待って下さいよぉ~!』
ぐいっ
『おま、スぺっ!?』
ずどどどど
「お、重いわスぺちゃん。」
「ぉ~。」
「なっ///」
「スぺちゃん?」
「す、スぺ、すまん、
ファーストキス、だったか?」
「ききききすしちゃいましたぁああっ!!」