もう空っぽだよ?
水着スズカ来たよ?
でも、本命は水着タキオンなんだよぉ~
ジェルないよぉ~
お金も無いよぉ~
回せないよぉ~
だから書く
「あの、トレーナーさん?」
『へ?』
▽
はぁ・・・ため息をつきながら残業を終え
時計は既に24時を過ぎていた
ギリギリ間に合った終電に乗り
終点を目指す
当たりには誰も立っていない
辛うじて2、3人
終電でこれだけ空いているのは珍しい
(ウマ娘、立ち上げるか)
ギリギリ今日の判定なので
デイリーレースを進める
(うし、育成意外は何とか終わったな)
アナウンスで終点の放送が入る
(降りるか)
⏰
コンビニで弁当を買い、帰路を歩く
「くぁっ。」
眠い
スマホをチラ見すると
「んん?」
普段ならホーム画面
つまり、学園のロビーが写る筈のウマ娘
「誰の部屋だ?コレ?」
『スズカさ~ん、もう寝ましょうよぉ~』
『そうなんだけど、ん~』
(え?いや、
なんでスズカとスぺの部屋?)
ついつい見入って歩くのを止めてしまう
一応道の端、街灯の下で目を離せなかった
『ん~、やっぱりダメ、
走ってくるわ』
『うぇえええっ!?もう日付変わってますよぉっ!?』
『ごめんなさいスぺちゃん』
スルスルを着替えを始めるサイレンススズカ
(おっと、コレは流石に不味い)
画面を一旦落とし、家路を急ぐ
⏰
弁当をレンチンしながら
再度スマホの画面を立ち上げると
『サイレンススズカ、
貴様、コレで何度目だ?ん?』
『ぁ、エアグルーヴ』
『あ、エアグルーヴさん!』
『スペシャルウィーク、
またか』
『はい、またなんです』
『(そ~っと)』
「あ、エアグルーヴに頭掴まれてる。」
『いだだだだだっ!?』
『サイレンススズカ、
強制的にベッドに括り付けても良いんだぞ?』
『でもぉ』
『でももヘチマもあるかっ!!
近所迷惑の苦情も入ってるんだぞ!!
明日(あす)一日中
草むしりなり地域の清掃活動を
やって貰うぞ!!』
『そんなぁ』
『え、エアグルーヴさん』
『お前も同罪だ、スペシャルウィーク』
『へ?』
『オグリキャップと一緒に
飲食店を食い尽くしたそうだな?』
『あ゛っ』
『ぇ?スぺちゃん?』
『食材の補填は学園の食堂で賄えたから
良かった物の
貴様は《出禁》の札を
ありがたく受け取るんだな』
『がーん』
⏰
(なんだったんだろうなアレ)
画面は何時ものロビーへ
(まぁ、明日は休みだし、寝るか)
⏰
休みが消えた
クソ上司 お前の案件だろうに
なんで俺に振ってくんだよ?
いいぜ?既に証拠はバックアップも取ってある
監視カメラの録画も
音声もICレコーダーも
ぜーんぶ、〈会長〉に添付して配達してやった
そして
【辞表】も、な
⏰
部屋には俺だけ
明かりはPCの明かりとスタンドライトだけ
余分な電機は点けていない
冷蔵庫からビールを一本取り出し
ぷしゅ、飲む
「ふぅ・・・また無職か。」
実はこうして仕事を辞めるのは3度目だったりする
『はぁ』
そして〈点けた覚えが無いのに〉ウマ娘が
立ち上がっている
『走りたい』
「だろうな。」
『え?』
(ん?)
『あの、トレーナーさん?』
「へ?」
ここで冒頭に戻る
▽
『は、初めまして』
「こうして喋るのは初めまして、だな、
サイレンススズカ。」
『はい、トレーナーさん』
「走りたいなら、練習コースはどうなんだ?」
『それが、
熱中症アラートが出てしまって
今日のトレーニングも室内でした』
「ぁ~、そっちも暑いのか。」
『そっちも?』
「こっちも35度越えだよ。」
『うわぁ』
「最近どうだ?」
『最近、ですか?』
「あぁ、育成もなんか頭打ちだし、
俺の指導不足かなぁって。」
『いえ、
毎日走らせて貰って、嬉しいです』
「そか。」
『はい、でも』
「ん?」
『もっと、走りたい、です』
「もっとかぁ・・・
ん~・・・山行くか?」
『山、そうですね!』
「まて~、今からじゃ夜中で
どこも泊まれないぞ~。」
『ん~・・・』
トレーナーさんのお家に泊まれば
朝早く行けますよね?
「はぃ?」
そう言って身支度を済ませるサイレンススズカ
「ちょ、ちょっと何言ってる・・・おぅ。」
にゅ
画面からサイレンススズカの頭が出て来た
「あ。」
「おま。」
そのまま椅子は倒れ
俺は下敷きになり
「ひゃん?!」
抱きかかえる時にお尻に触れてしまう
「~///」
「す、すまん。」
「い、いえ、私が・・・
あの、重くないですか?」
「ん~・・・
ちゃんと食べててこの軽さ?」
「はい?」
(正直、心配になるほど軽く感じる)
「・・・とりあえず起きようか。」
「あ、はい。」
⏰
「さて、こっち来ちゃったのかぁ。」
「だめ、でした?」
「こっちには『ウマ娘がいない』からねぇ。」
「あ。」
「耳を隠せる帽子かぁ、あったかなぁ。」
クローゼットを漁ると
(ぁ、昔の彼女の帽子だけど、
これなら隠せるし、あご紐で
落ちない・・・と、思いたい)
「これで、どうだ?」
やや大きい麦わら帽子で被せて見る
「あ、大丈夫です、
耳にも引っ掛かりません。」
「問題は、
『走る所とエアグルーヴ』だな。」
画面から
『サイレンススズカーっ!!
何処に行ったーーーっ!!』
「あ。」
『スズカさーーーん!!どこですかーーっ!!』
「どするの?」
「電話してみますね。」
▽
Prrr
「はい!!スペシャルウィークです!!
スズカさん!?今どこですかっ!?」
『ごめんなさいスぺちゃん
今、トレーナーさんのお家に居るの』
ミシッ
「と、トレーナーさんのお家にですか?」
「ん?スペシャルウィーク、
誰からだ?」
「スズカさんからで、
《トレーナーさんのお家に居る》と。」
「貸せ。」
「ハイ。」
「サイレンススズカ!!
貴様は何をしているか
わかっているのかっ!!」
キーン
『うるさいわよ、エアグルーヴ、
これこそご近所迷惑よ?』
ブチッ
「誰のせいだぁああっ!!」
「どうしたのだ、エアグルーヴ、
そんな大声で?」
「会長!!サイレンススズカが
トレーナーの家に逃げ込んだのです!!」
「ほぅ、電話を変わって貰えるかな?」
「ぇ?あ、はい、どうぞ。」
「サイレンススズカ、
シンボリルドルフだ。」
『あ、会長さん、こんばんは』
「あぁ、こんばんは、
今日は戻って来れそうなのかな?」
『いえ、明日はトレーナーさんと
山にピクニックに行くので
2、3日ほどかかります』
「ふむ、
出来ればちゃんと外出届けと
外泊届を書いて欲しかったのだがね?」
『ぁ、すみません』
『スズカ、FAXで良いなら書くか?
トレセン学園の番号教えてくれる?』
『あ、はい』
「おぉ、
キミがサイレンススズカのトレーナー君か。」
『あ、はい、会長』
「書式は任せるよ、
それと、彼女はまだ学生の身分だ、
キチンとしたお付き合いをしてくれ。」
『え?』
「なに、前例なら、そこに居る
スペシャルウィーク君が居るのでね、
スズカ君もいずれはと思っていたのだ。」
『ぁ~・・・』
⏰
翌日
「どこも暑いな。」
「暑いわね、トレーナーさん。」
うじゃぁ
「うわぁ。」
「わ~、人い過ぎ。」
TV中継で眺める鎌倉の海岸は人だらけでヤバイ
「どうする、山も暑い、海も人だらけ、
かと言って
近隣のトレーニングジムも人だらけ。」
「はぁ、走りたいのに・・・。」
「・・・実家、行くか。」
「トレーナーさんのご実家ですか?」
「まぁ、一応。」
「一応?」
⏰
車でひた走る山の中
「あの、ここは?」
「実家があった場所。」
「あった?」
山の中に開けた広大で平坦な『トラック』
ある程度陸上施設の面影が幾つか残っていた
「トレーナーさん、ここは?」
「俺が使ってた
『練習コース』昔、な。」
「あの。」
もう走りたくてウズウズしている
「着替えるならそこな、
今、クーラーの電源は入れたからすぐ冷えるよ。」
⏰
あぁ、走る彼女は美しいな
トラックはある程度雑草が生えそろい
芝生の用になっていた
「はぁ、はぁ、はぁ、
トレーナーさん、少し、きゅう、けい。」
「ほれ、スポドリ。」
「い、ただき、ます。」
やべ、めっちゃ〇〇い
喉の渇きを潤す彼女に目を奪われ
男として、彼女を見てしまう
「ん?トレーナーさん?」
「ぉぅ、どした?」
えっち
「おま。」
「なんの考えも無しに、
薄着のトレーニングウェアなんて着ませんよ?」
透けるナニカとは言わない
「スぺちゃんが、
あそこまで動いたんですから、
私も、ね?」
「おぅ。」
冷えた更衣室で向かい合うが
「きゅぅ。」
「でしょ~ね~。」
キスだけで伸びたサイレンススズカだった
⏰
自室に彼女をおぶりながら帰り着く
「お、PCが立ち上がってる。」
『やぁやぁトレーナー君、
アグネスタキオンだよぉ~』
「何事?」
『いや、なに、
〈ウマ娘用の避妊薬〉が完成したんでね、
いるかい?』
「いらん、卒業まで待つよ。」
『おや、キミは男だろう?』
「だな、だが、
意識の無い行為はせん。」
『ほぅ』
「それに、
こっちを捨てる、
んで、スズカの側に居る
そう、決めたんだ。」
『ぉぅ、潔いねぇ』
「やよいちゃんに言って貰える?
住居空いてるとこ無いかって。」
『今、メールしたよ、
2、3日で準備出来るそうだ』
「そりゃぁ助かる。」
『で?サイレンススズカ君、
彼はこう言っているが、
良いのかい?』
「あん?」
「~っ、トレーナーさん。」
「スズカ。」
「あの、好きなだけ
走らせてくれますか?」
「勿論。」
「家事とか、あんまりしませんよ?」
「俺がやる。」
「実は卒業が怪しい感じなんですけど、
それでもいいですか?」
「ちょっと待て、
何が不味い?」
「・・・数学。」
「ぁ~、俺が教えるよ、
タキオン、数式はこっちと変わらないんだろ?」
『あぁ、
違うのは〈ウマ娘と馬〉だけさ、
後は物価ぐらいかねぇ』
「なら問題ねぇ、
俺もこの画面を通れば?」
『あぁ、こっちに来れるよ?』
「やよいちゃんの連絡待ちだな。」
『了解したよ、
ふふふふっ、
スズカ君も行く時は行くんだねぇ』
「もぅ、タキオンさん?」
『ただ、本当に避妊薬は要らないのかい?』
「おい。」
「いるわ。」
「おーい。」
『ほれ』
画面から出て来る避妊薬
「ありがとう。」
『どういたしまして』
「いや、良くない。」
「いいえ、良いの。」
早速一錠を飲み込んだスズカ
バタン
「す~、す~。」
『寝たかい?』
「あぁ、だろうと思ったよ。」
『睡眠薬兼避妊薬だからねぇ、
なぜか成分を分離できなくてねぇ、
そして、性欲もしっかり抑えられる』
「そいつは助かる、
ヒト耳はウマ娘に勝てないんだろ?」
『瞬発的な身体能力はね』
「ん?」
『まぁ、夜の相手はヒト耳に勝てないのが
ウマ娘なんだよコレが』
「なんでやねん。」
『そうでなければ
〈共存し共生〉出来なかっただろうねぇ』
「確かに。」
『ま、避妊薬も本物だ
別にいいんだよ?』
「やらん。」
『つれないねぇ』
⏰
トレセン学園
「トレーナーさん。」
「なんだ?」
「・・・赤点でした。」
「お前なぁ。」
「嘘です。」
差し出される成績表
「やっと、卒業出来るのか。」
「はい!」
レースも走り、トレーニングでも走り
テストでも走ろうとしたので止めたり
卒業まで2年延長されたが
「サイレンススズカ。」
「はい。」
「結婚してくれますね?」
「勿論。」
ようやく《異次元の逃亡者》を捕まえた