「本日もありがとうございました。」
『良いって事よ』
そう、こんな日常で良かったのだ
▽
「お前、
またこの書類の不備指摘入ってるぞ?」
「え?まさか、
延々と資料作って
10回は見直した書類が?」
「あぁ、ほれ、ここ。」
転送されるデータを
《元のデータ》と見比べる
(あの野郎、
また勝手に水増し請求と
納期弄りやがったな)
「・・・はぁ、もう、いいか。」
「何がだよ?」
「お前はどっか宛はあるか?」
「あて?なんの?」
「転職。」
「まぁ、無くはねぇけどよ・・・
やるなら、一枚噛ませろよ。」
「・・・材料は?」
「俺も幾らかストックしてるからな、
いつやる?」
「早い方が良い、
丁度、外回りに出るから
お前も行くか?」
「あぁ、奇遇だな
〈俺も外回り〉なんだ。」
▽
そして、
色々なデータと紙に起こした証拠書類
そして、労基署に突撃した
▽
テレビから流れるのは
不祥事と延々と上司による
書類偽造やら水増しの法外請求等々
よくもまぁ
あちこち手広く真っ黒やってた物だ
カシュ
「んぐ、んぐ、ぷはぁ~・・・
何年振りだろ、酒。」
本当に何年振りかの酒を飲み干す
(さて、当面の資金は何とかなるけど、
早く次を・・・)
「なんか、変だな。」
なんで仕事に追われてたんだっけ?
なんで今までやって来たんだっけ?
なんで?なんで?何のために?
ごとっ
「っと、スマホ、スマホ。」
そうか、これがあったから
俺は繋ぎ止められてたのか
「ちょっとやるか。」
『ウマ娘プリティーダービー』を立ち上げる
『オスッ、本日もご指導ご鞭撻のほど
よろしくお願いいたします!』
「あぁ、今日も頼むよ、
ヤエノムテキ。」
『はい、トレーナーさんも
すっきりしたお顔で何よりです』
ん?
「なぁ、ヤエノムテキ。」
『なんでしょうか?』
「あ、後ろにクモがぶら下がってる。」
『なっ?!後ろを獲られ・・・
あれ?いませんよ?トレーナーさん』
ん~?
「ヤエノムテキ。」
『はい』
「話してるのわかってる?」
『はぁ、ちゃんと聞こえておりますが?』
・・・わぁぉ
『トレーナーさん?』
「いや、こうしてスマホ越しとは言え
ちゃんと会話出来るとは
おもわなせなんだ。」
『・・・はっ!?確かに!!』
どう言う訳か直接会話出来てるな・・・
「まぁ、なんだ、
表情も見えてるなら、
改めて『初めまして、ヤエノムテキ』」
『初めまして、トレーナーさん、
って、なんだか
初めて感がありませんね』
「そぅ、かな?
まぁ、こっちは選択肢を
選んでるだけだったから
ちゃんと指導出来てるのか
不安だったからな。」
ま、スキップでかっ飛ばして育成してたから
ほぼほぼトレーニング指示とレースだけしか
見てなかったから、何とも言えんが
『いえ、そのご指導のお陰で
皐月賞、日本ダービー、菊花賞、
大坂杯、天皇賞・春、宝塚記念、
天皇賞・秋、ジャパンカップ、
有馬記念、名だたるタイトルを
獲らせて頂いたのですから
感謝以外ありません』
「・・・そぅ、か。」
『トレーナーさん?』
「ん?」
『いえ、なにかお悩みでしょうか?』
「ぁ~・・・色々あってな、
〈こっちでの仕事を辞めたんだ〉」
『成程、それでは
〈こちらでトレーナー〉として、
トレセン学園に
就職されてはいかがでしょうか?』
「え?いや、俺がそっちに行けるのか?」
『え?こちらでは
タブレット端末で見ているので
通れる・・・通れませんね』
「だろ?」
『確か、アグネスタキオンさんが
頭を突っ込めば入れると言っていた様な』
アグネスタキオンかぁ~
「いや、ちょ、
流石にやめとこうか?
幾ら一人暮らしとは言え、
男の部屋だぞ?」
『はい、トレーナーさんのお部屋ですよね?』
・・・あ、この娘、どっか足りないんだっけ
「ぁ~・・・ヤエノムテキ、
今、学年は高等部で良かったのか?」
『はい、今年で三年目になります』
「つまり、高校生な訳だ。」
『はぁ、はい、ヒト耳と合わせるなら
高校生で合ってますね』
「未成年の女子高生は
ホイホイと簡単に
異性の部屋に入らないぞ?
特に、年上は。」
『・・・ふぇ?』
あ、やば、可愛い
『とと、とし?としうえ?』
「あぁ、
今年で37になるおじさんだが?」
『へぁ?』
まぁ、そう言う驚いた顔に・・・
顔?
「ヤエノムテキ、
俺の顔見えてるんだよな?」
『ひゃい///』
ひゃい?
「ヤエノムテキ?」
『あ、ヤエノムテキさん?
どうされたんですか?』
『ぴゃっ!?
さささ、
サクラチヨノオーさんっ?!』
『はい、
サクラチヨノオーですよ?』
「ぉ~・・・犬っ娘。」
『犬じゃ無いです!
サクラチヨノオーです!
って、この方は?』
「あぁ、
ヤエノムテキの担当を
させてもらってる
___トレーナーと言う者だ。」
『へ~・・・え?』
『あぅあぅあぅ』
『うぇえええっ!?
ヤエノムテキさんの
トレーナーさんですかぁああっ!?』
「ぉ、おぅ、そうだ。」
『結構渋めなおじさんなんですね?』
「まぁ、
キミらよりは一回り年上だしねぇ。」
『年上?』
「あぁ、ヤエノムテキにも言ったが
今年で37だ。」
『・・・なんか、すみません』
「ぁ~、別にいいよ、
そうだ、サクラチヨノオー、
アグネスタキオンって
近くにいるのかな?」
『ぇ~っと、
さっき、マンハッタンカフェさんに
追いかけられてましたので
暫くは戻って来ないかと』
「ぁ~、
コーヒーになんか
薬品入れやがったんだな。」
『あははは、いつも通りなのが
困り物なんですけどね』
「ん?ヤエノムテキ?
さっきから静かだけど、どうした?」
『ヤエノムテキさん?』
なんか燃え尽きてらっしゃる
『大丈夫、では無いですね』
「今日は部屋に連れていってくれるか?
詳しくはまた時間がある時に。」
『えっと、私、
お邪魔しちゃいました?』
「まぁ、俺が
〈そっちに行くか行かないか〉の
話だったからな、
俺にも準備がある。」
『わかりました、
ヤエノムテキさんにも
後でお伝えしておきますね』
「あぁ、頼んだ。」
⏰
(さて、
半日しか経ってないけど)
アプリを立ち上げると
『質問!貴殿は
こちらに来る覚悟はおありか?』
・・・はて?
なんで理事長室なのだろうか?
「えっと、
秋川やよい理事長で宜しいでしょうか?」
『謝罪、すまん、
つい気が流行ってしまった、
しかし、慢性的なトレーナー不足は
直近の問題なのだ』
「でしょうね、
下手に基準を下げると
〈ウマ娘〉の未来を潰し
そしてトレセン学園に
不利な話題が起こりかねませんからね。」
『堅実、うむ、
私の前任の初期は
表沙汰にはならなかったが
男性トレーナーが
生徒に対し不祥事を起こした過去がある、
故に〈ヤエノムテキのトレーナー〉である
貴殿の力をどうしても貸して欲しいのだ』
(ま、その為に銀行も解約して
部屋も引き上げるから良いけどさ)
「それは了承します、
ですが一つ質問が。」
『感謝!
して、質問とは?』
「どうやってスマホからそちらに行けと?」
『・・・あ』
流石にスマホからは入れないだろうに
『それにつきましては
案外大丈夫なんですよ』
「えっと、駿川たづなさん?」
『はい、
最近は〈ルールの説明をすっ飛ばされて〉
暇だな~とか、
URAをだ~れもやらないな~とか
ぜ~んぜん、思ってませんよ?』
(ぶっちゃけ育成は、
〈凱旋門と三女神で事足りるからなぁ〉)
「ぁ~、すいません。」
『いえいえ
ち~っとも、暇だな~なんて
思ってませんよ~』
「それで、そちらに行く方法は?」
『はい、今、呼んでいますので
もう少し』コンコンコン
『来ましたね』
『ヤエノムテキ、入ります』
『勤勉!入室を許可する』
『ヤエノムテキさん、
ご足労ありがとうございます』
『いえ、大丈夫です、
お昼はもう食べましたので、
それで、なにかあっ・・・た』
「おう、ヤエノムテキ。」
『はぅ///』
『不安?ヤエノムテキ
大丈夫なのかね?』
『ひゃい!らいじょうぶれふっ!!』
『・・・ヤエノムテキさん、
一旦、
トレーナーさんの〈お部屋に向かって〉
〈トレーナーさんの手を引いて〉
こちらに戻ってください、
それで、トレーナーさんは
こちらに来れます』
なんですと?
『おぉおお手をわわたしがぁっ!?』
『はい、
不思議な事に
トレーナーさんとウマ娘に
〈深い絆〉が結ばれていると
無条件でこちらに来れるんですが
手を繋いでいないと
〈トレセン学園の外に出てしまうので〉
出来ればここまで来る距離を
短縮したいんです』
『懇願、頼めるか?』
『~っ///
わ、わかりました!!』
そう言って
画面にヤエノムテキが目一杯に映る
『ゆ、ゆきますっ!!』
「おぅ。」
すぽん
そんな間抜けな音が出て
ヤエノムテキが俺に落ちて来る
「なぜにっ!?」
「ひゅぇっ!?」
真正面から抱え
俺より小柄なヤエノムテキの顔が
俺の腕の中に納まる
「きゅぅ///」
「あ、ちょい、
ヤエノムテキ!!
気絶するな!!」
『トレーナーさん、
後でオハナシしましょうか』
「絶対不可抗力だ。」
『早急!そろそろ
お昼休みが終わってしまうぞ!』
『ん~、ヤエノムテキさ~ん
起きてくださ~い』
ぷしゅ~///
「ダメそうですね。」
『・・・トレーナーさん、
責任を取って
放課後か、明日、
ヤエノムテキさんを
〈府中競馬場〉へお連れください』
「府中競馬場に?」
『こちらからJRAに連絡しておきますので』
「あ、はい。」
『くれぐれも
お手付きはしませんように』
「しないですよ。」
⏰
「ん・・・んぅ、あれ?」
辺りを見回すと見た事が無い部屋
「お、起きたかヤエノムテキ。」
「と、トレーナーさんっ!?」
「おっと、もう夜遅いから静かにな。」
「夜っ!?」
カーテンを開けると
秋の夜空が広がっていた
「しまったっ!?午後の授業!!」
「あぁ、たづなさんから
メールで連絡来てたよ、
午後の分は補習してくれるってさ。」
「くっ、なんたる失態を。」
「さて、メシの準備もあるし、
シャワーでも浴びて来い、この紙袋に
ヤエノムテキの着替えが入ってるそうだ。」
「あ、ありがとうございます、
ん?私の着替え?」
「中身は見てねぇぞ、
サクラチヨノオーが
見繕って来たらしい。」
「成程。」
「使い方、先に教えるぞ。」
「あ、はい。」
⏰
「ふぅ、あがりました。」
猫耳パーカーを羽織るヤエノムテキ
そしてほこほこしてるとか
俺の理性を殺しに来てやがる
「おぅ、
先に食べててくれ、
俺もシャワーを浴びて来る。」
「あ、はい、
すみません、お先に頂きます。」
「おぅ。」
⏰
(はて?
なぜ私はトレーナーさんのお部屋で
夜ご飯を食べているのでしょうか?)
「確か、理事長さんに呼ばれて
理事長室に入っ///」
一気に心臓が跳ね上がるかのように
顔が熱くなった
「ひゃぅ~///」
両手で顔を覆い悶えてしまう
(あぁ~///
私はなんて事ぉおお~)
「ふぃ~、
ヤエノムテキ、味はどうだ?」
「とれ・・・。」ぶっ
「ちょ、おま、鼻血鼻血っ!!」
⏰
「ずびばぜん。」
「構わんよ。」
氷嚢と鼻をタオルで覆ってくれている
(と、言うか
トレーナーさん!!
なんで上半身裸なんですかぁああっ!!
物凄く引き締まっておられるし
腹筋も8?八つに
割れてるじゃ無いですかっ!!)
(はて?
ヤエノムテキは一体
なにを見て・・・あ)
「すまん、上着を着るべきだったな。」
「いえっ!!眼福です!!」
「え?」
「は?」
再びタオルが染まっていく
「・・・上着、
着て来るからタオル押さえとけ。」
「ふぁい///」
⏰
漸く落ち着いた
「数々の失態をお見せしてしまい
申し訳ございませんっ!!」
「ぁ~、ま~、
俺も悪かったよ、
普段の癖で下は履くが
上着はちょっとしてから着るんだ、
済まない、
女子高生に見せて良い物じゃないよな。」
「いえ!!
その鍛え上げられた肉体は
並々ならぬ努力の結晶!!
一体どれだけの
研鑽を重ねて来られたのですか?」
「・・・趣味が鍛える以外なかったからな。」
「ご趣味で?」
「あぁ、仕事以外は
特になんも無かったからな、
後は、〈ウマ娘プリティーダービー〉
これぐらいかな。」
「・・・トレーナーさん。」
「なんだ?」
「本当にこちらに
来て頂いて宜しいのですか?」
「まぁ、
ダチもいなきゃ
そう言う身内も居ねぇからな、
両親は既に墓の中だ。」
「っ、ご兄弟は?」
「居ねぇよ、俺だけだ。」
「寂しくは。」
「ヤエノムテキ。」
「はい。」
そっと抱きしめる
「寝よう、
明日には〈そっちの世界だ〉
そっち行ってから
これからの事を決めて行こう。」
「ひゃぃ///」
⏰
「・・・寝れませんでした。」
「なぜに?」
『質問、改めて
こちらに来て
トレーナーをして貰えないだろうか?』
「はい。」
『では、ヤエノムテキさん
手を繋いで〈スクリーン〉に
手を突っ込んでください』
「ひゃぃ///」
「うし、行くか、
ヤエノムテキ。」
「で、では!お手を///」
⏰
すぽん
「んぉ?」
「え?」
どーして出口が空中なん?
どー足掻いても
俺が下敷きになるんですがコレっ!!
どしーん
「ね、熱烈///
そ、そうひゅうのは
卒業してからして貰えないだろうか///」
「トレーナーさん、
オハナシ、しましょうか?」
「・・・緑の悪魔さんよ、
どう見ても事故だ、
責任を取るとかどうとか
これから決めるってのもあるんだ、
ヤエノムテキ、
早くどいてくれ・・・ヤエノムテキ?」
ぷしゅ~///
「サクラチヨノオー!!
助けてくれーっ!!」
タタタタタ キキーッ!!
「サクラチヨノオー!!
まいりました!!」
「サクラチヨノオー、
ヤエノムテキを
部屋に運んでくれないか?
また、気絶しちまった。」
すん
サクラチヨノオーの表情がなにかおかしい
「サクラチヨノオー?」
「ヤエノムテキさんの
トレーナーさん。」
オハナシしましょうか
「なんでお前もなんだよ!!
事故だってのっ!!」
___トレーナー
ヤエノムテキのトレーナー
趣味は鍛える事
仕事はまごう事なきブラック企業
労基署にタレコミ
その企業は消え去った
身長は176cmと
ヤエノムテキよりは大きい
体重は筋肉が多いのでやや重め
水に浮けない
37には思えない細マッチョ
そして
柔道・テコンドーを独学で習得している
ヤエノムテキ
武道とレースは同じ目
実は筋肉フェチ科
イケオジがストライクなウマ娘
トレーナーの顔を見て発熱し
上半身を見て鼻血を吹き出し
お泊まりした際、
抱き締められたまま
一夜を明かし寝不足に陥るも
〈保健室〉一発で治った
サクラチヨノオー
犬耳髪型目
チヨノートを豆に付ける科
トレーナーさんに
抱き締められているヤエノムテキを見て
理解できない状況だったので
オハナシを慣行する
秋川やよい
ちっさい目
語録を考えるのがめんどい科
最近、謎のウマ娘に
攫われかけたウマ娘疑惑な理事長
いや、
マジで語録考えるのがめんどくさい
駿川たづな
緑色の悪魔目
大抵のトレーナーさんは
オハナシ確定科
チヨノートの一部を複写して欲しい
ウマ娘疑惑な秘書
オハナシしないトレーナーさんでも
担当ウマ娘と卒業後、
結婚して行くのを見て
〈煮えくり返る何かを押さえつけている〉