黄龍さんの間違いでは?   作:メケ子

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第零話 龍之刻 9

動きはまさに、人外だが持っている<力>はそのままなのか、近くに立っていた不良たちも私に向かてくる。

しかし、動きが単調なので不良たちは掌底で気絶させていく。

 

最後の一人を戦闘不能にさせてから、上を向くと鬼になった莎草が殴りかかってきたのを、間一髪で避ける。

 

体が軽くはなった、でも何でだかは分からない。

道場での闘い以上の氣を自分から感じる。

 

目醒めよ、あのわからない言葉は何だったんだろう。

莎草の攻撃を避けながら、さとみたちから距離を取るようにする。

 

 

(魔人…だったっけ。父さんたちが闘ったのは、こんな奴らだったのかな。)

 

 

掌底を喰らわせても、なかなか怯まない。

逆にあちらの攻撃を喰らったら、私は下手したら一発で倒れる。

 

私には……死ねない約束がある。

 

呼吸を整える。例え、莎草に何があっても……それでも…。

 

少し考えていたのがダメだったのだろう。

莎草は引き離した二人に気付いて、二人に向かって走り出す。

手を伸ばし、二人を傷つけようと……。

 

 

「さ、……せるかあァァッ!!」

 

 

同じタイミングで走り出し、莎草の目の前に立ち攻撃を真正面から受け止める。

頭を防いでいる手がミシミシ、と嫌な音と激痛が走る。

攻撃が一度緩んだ瞬間に、龍星脚を放ち吹き飛ばす。

 

 

「ひ…緋勇……。」

 

「焚実、怪我は?」

 

「俺もさとみもないッ!でも、お前が……ッ!」

 

 

爪が掠ったのか、頬から血が流れていた。

そして、気付くのが髪の毛だった。

 

私の髪の毛がざんばらに、切られていた。

 

別に髪に対して思い入れがある訳でもない。

それでも、少し嫌だ、と思った。

 

 

「邪魔ヲスルナッ!!」

 

「何さ、話せるのか。莎草……私を怨んでくれ。」

 

 

きっと、この集中した氣を喰らったら莎草はどうなるのか、わからない。

だから、アイツの意識がある内に、言った。

 

 

「雪蓮掌ッ!!」

 

 

私の出した氣が凍るように冷たくなって莎草に襲い掛かる。

暴れまわっていた莎草の動きが、ゆっくりになっていく。

 

そして、完全に動かなくなった。

 

 

「ウオォッッ!!カッカラダガ溶ケル…」

 

 

まるで崩れていく様に、溶けていく莎草を見届ける。

死にたくない、と泣き叫ぶ莎草の最後を。

 

そして、莎草はこの世から消えた。

 

 

「いったい、何が…、何がどうなっているんだ……。莎草は…。」

 

「……。」

 

 

動揺している焚実の言葉には、何も答えられない。

その間に、さとみが目を覚ました。

 

 

「ひーちゃん……。」

 

「あァ、緋勇が救けに来てくれたんだぞ。」

 

「う…ん…。莎草くんは…?」

 

「あッあァ……。」

 

 

さとみの疑問に焚実は私の方を向く。

不可解なモノを見る目で。

 

 

「莎草は……、私が殺した。」

 

「え……?」

 

「緋勇、お前…。」

 

 

二人との関係をこれで終わっても構わない。

約束も二人も護れた。

でも、私も知らなくてはならない事が増えた。

 

 

 

病院へと向かう二人を見送り、私は鳴滝さんの道場へ向かう事にした。

 

着いたのは、深夜。

扉をそっと開けると鳴滝さんがずっと待っててくれた。

 

 

「無事に還って来たようだな――。よく生きて還って来た。」

 

「鳴滝さん……。」

 

 

疲れ切った私の頭を撫でて、安心したように誇らしげに笑う。

私の言いたい事は分かっていたのだろう。

それでも、今日は休むように言われて、お言葉に甘える事にした。

 

 

 

 

1997年12月19日

 

 

早朝、道場で目覚めた私の前には変わらずスーツで決まっている鳴滝さんがいた。

一瞬、夢かと疑ったのは内緒だ。

 

朝ごはんを、いただきながら昨日の話を聞く。

 

 

「龍麻さん…。君には先天的な武道の才がある。やはり、君の身体には緋勇の血が流れている――。あの弦麻の血が―――。」

 

「鳴滝さん、私は父の様にはなれません。だけど、強くなりたい。」

 

「そうか……それでは、大切なものを護り抜く自信はあるか?」

 

「……。ある。」

 

 

覚悟は決めた。

未だ私の言葉は、若輩の戯言。

それを真実にするために、私は強くなりたい。

 

 

「大した自信だな。」

 

 

哀しそうに笑い、鳴滝さんは続ける。

 

いつでも、護ろうと思って護れるものではない。

何かを失った時その哀しみに耐えられるのか……。

 

それを、乗り越えられなければ、強くなる事はできない。

だから―――。

 

 

「……新宿に行きたまえ。新宿の真神学園へ―――。」

 

「真神学園……莎草がいた?」

 

「ああ、君は行かなければならない。君の<力>を必要とする者たちのために―――。」

 

 

それでも、<力>をうまく使えるように、鳴滝さんの下古武術を学ぶ事になった。

きっと、これから辛い事もあるのだろう。それでも、

 

 

「よろしくお願いします!!」

 

 

頭を下げる、もうこんなやるせない気持ちにはなりたくないから!

 

 

 

 




はいはーい!!
東京魔人學園剣風帳、24周年!!
おめでとうございます!

間に合ったー!!
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