動きはまさに、人外だが持っている<力>はそのままなのか、近くに立っていた不良たちも私に向かてくる。
しかし、動きが単調なので不良たちは掌底で気絶させていく。
最後の一人を戦闘不能にさせてから、上を向くと鬼になった莎草が殴りかかってきたのを、間一髪で避ける。
体が軽くはなった、でも何でだかは分からない。
道場での闘い以上の氣を自分から感じる。
目醒めよ、あのわからない言葉は何だったんだろう。
莎草の攻撃を避けながら、さとみたちから距離を取るようにする。
(魔人…だったっけ。父さんたちが闘ったのは、こんな奴らだったのかな。)
掌底を喰らわせても、なかなか怯まない。
逆にあちらの攻撃を喰らったら、私は下手したら一発で倒れる。
私には……死ねない約束がある。
呼吸を整える。例え、莎草に何があっても……それでも…。
少し考えていたのがダメだったのだろう。
莎草は引き離した二人に気付いて、二人に向かって走り出す。
手を伸ばし、二人を傷つけようと……。
「さ、……せるかあァァッ!!」
同じタイミングで走り出し、莎草の目の前に立ち攻撃を真正面から受け止める。
頭を防いでいる手がミシミシ、と嫌な音と激痛が走る。
攻撃が一度緩んだ瞬間に、龍星脚を放ち吹き飛ばす。
「ひ…緋勇……。」
「焚実、怪我は?」
「俺もさとみもないッ!でも、お前が……ッ!」
爪が掠ったのか、頬から血が流れていた。
そして、気付くのが髪の毛だった。
私の髪の毛がざんばらに、切られていた。
別に髪に対して思い入れがある訳でもない。
それでも、少し嫌だ、と思った。
「邪魔ヲスルナッ!!」
「何さ、話せるのか。莎草……私を怨んでくれ。」
きっと、この集中した氣を喰らったら莎草はどうなるのか、わからない。
だから、アイツの意識がある内に、言った。
「雪蓮掌ッ!!」
私の出した氣が凍るように冷たくなって莎草に襲い掛かる。
暴れまわっていた莎草の動きが、ゆっくりになっていく。
そして、完全に動かなくなった。
「ウオォッッ!!カッカラダガ溶ケル…」
まるで崩れていく様に、溶けていく莎草を見届ける。
死にたくない、と泣き叫ぶ莎草の最後を。
そして、莎草はこの世から消えた。
「いったい、何が…、何がどうなっているんだ……。莎草は…。」
「……。」
動揺している焚実の言葉には、何も答えられない。
その間に、さとみが目を覚ました。
「ひーちゃん……。」
「あァ、緋勇が救けに来てくれたんだぞ。」
「う…ん…。莎草くんは…?」
「あッあァ……。」
さとみの疑問に焚実は私の方を向く。
不可解なモノを見る目で。
「莎草は……、私が殺した。」
「え……?」
「緋勇、お前…。」
二人との関係をこれで終わっても構わない。
約束も二人も護れた。
でも、私も知らなくてはならない事が増えた。
病院へと向かう二人を見送り、私は鳴滝さんの道場へ向かう事にした。
着いたのは、深夜。
扉をそっと開けると鳴滝さんがずっと待っててくれた。
「無事に還って来たようだな――。よく生きて還って来た。」
「鳴滝さん……。」
疲れ切った私の頭を撫でて、安心したように誇らしげに笑う。
私の言いたい事は分かっていたのだろう。
それでも、今日は休むように言われて、お言葉に甘える事にした。
1997年12月19日
早朝、道場で目覚めた私の前には変わらずスーツで決まっている鳴滝さんがいた。
一瞬、夢かと疑ったのは内緒だ。
朝ごはんを、いただきながら昨日の話を聞く。
「龍麻さん…。君には先天的な武道の才がある。やはり、君の身体には緋勇の血が流れている――。あの弦麻の血が―――。」
「鳴滝さん、私は父の様にはなれません。だけど、強くなりたい。」
「そうか……それでは、大切なものを護り抜く自信はあるか?」
「……。ある。」
覚悟は決めた。
未だ私の言葉は、若輩の戯言。
それを真実にするために、私は強くなりたい。
「大した自信だな。」
哀しそうに笑い、鳴滝さんは続ける。
いつでも、護ろうと思って護れるものではない。
何かを失った時その哀しみに耐えられるのか……。
それを、乗り越えられなければ、強くなる事はできない。
だから―――。
「……新宿に行きたまえ。新宿の真神学園へ―――。」
「真神学園……莎草がいた?」
「ああ、君は行かなければならない。君の<力>を必要とする者たちのために―――。」
それでも、<力>をうまく使えるように、鳴滝さんの下古武術を学ぶ事になった。
きっと、これから辛い事もあるのだろう。それでも、
「よろしくお願いします!!」
頭を下げる、もうこんなやるせない気持ちにはなりたくないから!
はいはーい!!
東京魔人學園剣風帳、24周年!!
おめでとうございます!
間に合ったー!!