新宿には3年生に上がる際に、転校する事になった。
家族との話し合いは鳴滝さんに任せたけど、最終的に殴り合いになって、叔父さんは鳴滝さんにボコボコにされてたなぁ……。
あれから、さとみと焚実とは軽く話すけど、莎草の話は禁句になった。
転校するまでの三ヶ月間、毎日道場で鳴滝さんに鍛えられる。
ちなみに、一回も勝てない。
悔しい!!
そんな事を考えて、道場の扉を開けたからか知らない人とぶつかってしまった。
「す、みません……。」
「あァ、大丈夫だから気にすンな。」
着物を着た、竹刀袋を持つ長髪の男性。
この人は、どこかで……?
「ああ、神夷。彼女が、弦麻の……。」
道場の奥から鳴滝さんが、その人に声をかける。
それを聞いて、彼は私の事をしっかりと見直す。
「ッ……。」
莎草との戦闘後に切り揃えてもらってから短くなった髪越しに眼が合うと、息を飲む音が聞こえた。
私は何かをしてしまったのかな…?
「なァ、名前はなんてんだ?」
「あ、遅くなりました。緋勇 龍麻です!よろしくお願いします。」
「たつ、ま…。」
懐かしそうに、眼を細めている。
父の事を思い出してんのかな?
「俺ァ、神夷 京士浪だ。よろしくな。」
「はい。」
それからの、今日の稽古を見ていてもらったけど…。
私が鳴滝さんに、吹っ飛ばされた時に笑ってたのは許さないんだからッ!!
「それにしても、お前が用もなくここに居座るのは珍しいな。」
「そうなんですか?」
「ああ、コイツには放浪癖があってね。私でも会えるのは数年に一度あるかないかなんだ。」
はぐれメタルかな…?
鳴滝さんの言葉に、ふんッ、と鼻を鳴らして無視してる神夷さん。
休憩に入り、お茶を淹れてくれるために鳴滝さんが席を外す。
神夷さんに顔を向けると、丁度眼が合った。
「神夷さんって…、私で誰を見てんですか…?」
つい、口が滑ってしまった。
言った後に、慌てて何でもありません!なんて言っても取り消せない。
「そうだなァ。鳴滝とかは弦麻とお嬢ちゃんを重ねるかもしれねェが、俺は…昔の仲間だな…。」
「……。女性だったりします?」
「わかるかい?」
当てずっぽうだったが、当たりだったらしい。
私の事をあまりにも大切に見つめるから、女の勘ってヤツが働いたのです!
「俺が、…惚れてたヤツに似てんだよ。お嬢ちゃんは。」
切なそうな雰囲気がする、神夷さんは小さく笑った。
「お、奥さんだったり?」
「ブッ、ははッ!だったら良かったんだかな。強い…女だった。勝手に俺が惚れてただけだ。別れてからは、それっきりさ。」
はあ~…。大人の恋ってヤツなのかな…。
一人で納得してた私の頭を撫でながら神夷さんは続ける。
「なァ。お嬢ちゃん、俺の事を‘京梧’ッて呼んじゃくれないか?」
「?いいですよ。……京梧。」
呼んだ瞬間に、勢いよく顔を上げて、私を見つめる。
正確には、私と重ねてる人物と、だろうけど。
よく、分からないけど神夷さんにとっては大事な事だったんだろう。
「……何をしてるいるんだね?」
お茶を持った鳴滝さんが私たちを見て、表情を無くしていた。
女子高生の顔をじっ、と見つめる成人男性。
おっと、怪しい感じだな~。
そう考えていると、お茶を机に置いて神夷さんに攻撃を始める鳴滝さん。
それにようやく気付いて、迎撃する神夷さん。
机に向かいお茶を飲む私の行動に分かれた。
壁や床の壊れる音を聞きながら、これは今日はお休みかな?と考える。
龍麻の髪は、莎草の攻撃により前髪長めのショートヘアになっています。
原作ひーちゃんのちょい後ろが長めな髪型のつもりです。