黄龍さんの間違いでは?   作:メケ子

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第零話 龍之刻 1

荷物をたくさん持った女生徒は、同じクラスではないが見覚えのある顔だった。

確か、可愛いと噂されていた子だったかな?

助けたお礼を言われて、荷物を持ち直すのを見ていると、照れたようにこちらを見る。

 

 

「荷物を持ってて、前が見えなくて…」

 

 

先生も男生徒に頼めばいいのに!

そんな事を考えていると、時間が迫っているチャイムが鳴り響く。

 

 

「――あッ。あたし、もう行かなきゃ。これ、教室まで運ばなきゃならないの。」

 

「それなら、生物室までの通りだし、手伝うよ。」

 

 

流石に、彼女の目的地が通りにあるのなら、手伝っても問題はないだろう。

でも、彼女も顔見知り程度の私に頼むのは心が引けるのか笑顔で続ける。

 

 

「え…。いいわよ。ひとりで運べるから。」

 

「大丈夫!私って家の方針で護身術とかで鍛えてるからね。」

 

 

断る彼女に、ふざけながら力こぶを見せて、いくつかの荷物を代わりに持ち運ぶ。

少し困惑していた様子だったが、最後は笑顔でお礼を言って二人で教室へ向かう。

 

 

「本当はね、結構大変だったんだ。」

 

「女の子に頼む量じゃないよ。まったく!」

 

 

クスクスと笑い合いながら、彼女の隣を歩く。

 

 

「あたし、2-Aの青葉 さとみ。ブルーの青に葉っぱの葉、平仮名のさとみ。

あなたは?」

 

「私は、2-Cの緋勇 龍麻。緋色の緋に勇気の勇、難しい龍に麻縄の麻。」

 

「緋勇さんか。」

 

「幼い頃からの友達からはひーちゃんって呼ばれてるよ。」

 

 

改めて、自己紹介をして移動を続ける。

あだ名を言うと、おかしそうに笑って「じゃあ、ひーちゃんって呼んでもいい?」なんて聞かれたりして、和やかな雰囲気だ。

違うクラスだけど、仲良くしようね、なんて話している。

 

 

「でも、不思議ね。ひーちゃんみたいな人がC組にいたら、気づきそうなものだけど…。

今まで、うちの学校にいた事も知らなかったわ。」

 

「あれー?私ってば気配が薄いのかなー。」

 

「嫌味じゃないのよ?」

 

 

私の反応にさとみは、少し焦ったように否定する。

そして、前を向きなおして言葉を続ける。

 

 

「だってひーちゃんみたいな感じなら目立ちそうだから。」

 

「そう?でも私はさとみの事聞いた事あるよ、美人だって。」

 

「うそッ、そんな事言われた事ないよ。」

 

 

聞いた事のある話を言うと、照れながら笑う。

うーん、お世辞だと思われたかな…?

 

二人で何気ない話を続けていると、さとみも目的の教室に着く。

 

 

「それじゃ、ここでいいわ。ありがと、手伝ってくれて。」

 

「いやいや、私も楽しかったから問題ないよ。またね。」

 

「ほんと、助かったわ。じゃ、またね。」

 

 

別れの挨拶で目を逸らしたのが、よくなかったのか。

さとみは、教室に入る直前に誰かとぶつかり、荷物を落としてしまった。

 

ぶつかった相手は、私のクラスを覗いていた転校生だった。

転校生はチラリと見ては、荷物を無視して教室から出ようとしていた。

すると、教室から別の男生徒が近くに来た。

 

 

「おいッ、ちょっと待てよ――。」

 

 

声をかけられたからか、転校生は立ち止まる。

 

 

「ぶつかっといて、謝りもしないのかよ?」

 

「比嘉くん…。」

 

 

さとみの知り合いなのか、明らかに安心したような顔をする。

しかし、転校生は何も言わずに睨むように男生徒を見る。

 

 

「落ちた荷物ぐらい、拾ってやってもいいんじゃないか?

え?莎草――。」

 

「……あッ、比嘉くん、あたしは、大丈夫だから――。」

 

 

黙ったままの転校生との間で雰囲気が悪くなったのを感じた、さとみが声を出す。

転校生は、それを聞いて前を向きなおして歩き出す。

それを、比嘉くんとやらが声をかけたが、無視して行ってしまった。

 

 

「さとみ、大丈夫か?」

 

「うッ、うん。」

 

「ほら、拾うの手伝ってやるよ。」

 

「ありがと、比嘉くん。ひーちゃんも。」

 

 

落ちた荷物を拾いなおすのを手伝っていると、比嘉くん?と目があった。

不思議そうな顔をしている、彼にさとみが私の紹介をする。

 

 

「緋勇…?そういえば、なんとなく、見覚えあるなァ。」

 

「私も見覚えあるよ。さては、さとみの彼氏だな!」

 

「ちッ、違うわよッ!!腐れ縁なのッ!!」

 

「お、幼馴染なんだッ!!」

 

 

私の言葉に焦ったように顔を少し赤くして否定する二人。

幼馴染の腐れ縁なんて言うけど、思わずニヤけてしまう。

 

 

「俺は、さとみと同じ2-Aの比嘉 焚実。焚実でいいよ。」

 

「2-Cの緋勇 龍麻。あだ名は、ひーちゃんです。」

 

 

まだ少し赤い顔のまま、自己紹介をする。

少し落ち着いた空気になった時に、焚実は続ける。

 

 

「さっきの奴も、うちのクラスなんだけどな。莎草覚っていって三ヶ月ぐらい前に転校してきた。」

 

 

莎草という転校生は、東京から引っ越してきてから、住んでる場所も知らず、友達もいないらしい。

さとみは、心配だと呟くが、アレは周りに馴染もうとする気が全然しないなぁ。

 

 

「…はははッ、何か湿っぽくなっちゃったけど。

緋勇っていったっけ?よろしくな。」

 

「こちらこそ、よろしく!」

 

 

空気が少し和やかになった瞬間に周りが騒がしくなり始めた。

おっと、私も生物室に行かなくちゃ。

二人も周りに気付いたのか、挨拶をして別れる事になった。

 

 

 

 

生物室に入ると、ギリギリで先生が入る前に着席できた。

 

 

「龍麻、遅かったね。」

 

「サボりかと思ったのにー。」

 

「A組の美人さんと友達になってきたのさ。」

 

 

小声で友達と話すと、ズルいズルいと反感が来たが勝者の笑みでかわした。

新しく友達が増えた……それくらいの気持ちだった。

だからかな…この後の出逢いには何かが変わる気がした。

 

 

 

 




会話文多いのは、御許しください!
これでも、少しは文面変えたり主観を入れたり頑張ってます!
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