黄龍さんの間違いでは?   作:メケ子

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第零話 龍之刻 3

炎が見える。

周りが騒がしくなる中で、私はその炎の中にいる人影を見つめる。

あれは、誰だろう。

 

疑問に感じた瞬間、意識が上がる感覚があり、目が覚める。

 

 

「あーあ、久しぶりに見たなぁ。」

 

 

幼い頃から、たまに見ていた悪夢。

それは、きっと私がまだ赤ん坊の頃に残っている記憶なんだろうな。

 

ボーッとしながら、学校へ行く準備を始める。

あの夢を見ると、意識がハッキリと覚醒するせいか、二度寝ができないのだ。

 

部活もしてない、帰宅部なのに朝早くから家を出て、学校へ向かう。

私って、結構優等生なのでは…?

そんなふざけた事を考えながら、歩いていると声をかけられる。

 

 

「ひーちゃん、おはよッ。」

 

「おはよう、さとみ。」

 

「昨日は荷物運ぶの手伝ってくれて、ありがと。」

 

「そんな、気にしないで!また何かあったら、手伝うよ。」

 

 

寒さで丸まった背中を伸ばして、さとみに挨拶を返す。

さわやかな1日だなぁ。

 

昨日のお礼を改めて、言われるが次に頼まれた時の約束を取り付ける。

さとみは、頼まれたら一人で頑張りそうだからね。

苦笑いをしたさとみは、よろしくお願いします、なんて軽く頭を下げるから自分でも思ったのだろう。

 

 

「そうだ!良かったら友達の第一歩として、放課後に比嘉くんも誘って、お茶でもしない?」

 

 

それは、私がお邪魔なのでは!?

そんな考えで、悩んでると急に声を小さくして。

 

 

(うちの学校、放課後の寄り道は禁止だから。放課後にC組に迎えに行くから待ってて。)

 

 

結構、強引に約束させられたかな。

私が了承すると、嬉しそうに目を輝かせる。

いつの間にか、教室近くの廊下まで着いていて。

 

 

「じゃ、また後でね。ひーちゃん。」

 

「はーい、ちゃんと前見て歩きなよー。」

 

 

私に手を振りながら歩くさとみに、注意しつつ私も教室まで移動しようとすると、別の声がかかる。

 

 

「見てたぜ、緋勇。さとみに気に入られたな。」

 

「いや、そりゃ嬉しい事だね。さとみみたいな可愛い子に気に入られたらさ!」

 

 

からかうつもりで、私に声をかけたのに冷静に返答した私に少し悔しそうな焚実がいた。

でも、すぐに嬉しそうな顔をして、さとみの事をフォローする。

 

ふむ、確実に焚実はさとみに好意を持ってるな。

ニヤけた私の顔を見て、なんだよ、なんて聞いてくるけど、笑って誤魔化す。

第三者が口出ししても、良い事ないよね。

 

 

「おッ、そうだ。放課後、喫茶店でも寄ってかないか?友情の証に、さとみも誘ってさ。」

 

「…ふはっ、さっきさとみにも誘われたよ。本当に仲いいねぇ!」

 

 

同じ内容を聞かされた瞬間に、我慢してたのに笑ってしまった。

照れたように、頭をかく焚実に放課後の約束をする。

そのまま、別れるつもりだった……。

 

 

「離して下さいッ!!」

 

 

女の子、それも同じクラスの子の声だった。

その声の方向を見ると男生徒がその女の子の手を掴んで何処かへ連れて行こうとしていた。

 

 

「ちッ、何で誰も助けてやらないんだ?」

 

 

怒った顔の焚実がそちらへ向かうのを見て、私も着いていく。

焚実が来た事で、女の子は安心した顔をする。

男生徒は、不機嫌そうな顔でこちらを向く。

 

 

「何やってんだよ、嫌がってるじゃないか。その手を離せよ…。」

 

 

男生徒は黙ったまま動かなかったが、もう一度強い口調で言えば、舌打ちしながら女生徒から手を離した。

自由になった女生徒を私の後ろに隠す様に立つと、男生徒は忌々しいとばかりに睨んでくる。

 

 

「緋勇を睨むのは、やめろよ。アプローチするにしても、こういう場合は、ちょっとマズいんじゃないの?」

 

「…莎草さんが、連れて来いっていってるんだ…。」

 

「莎草が…?」

 

 

莎草…、確か昨日教えてもらった転校生だったっけ。

莎草って友達いないんじゃなかったかな…。

 

もう一人の男生徒が近づいてきて、後ろにいた女生徒に手を伸ばす。

それを、さらに前に出て防いでいると舌打ちが聞こえる。

 

 

「女だろうが、邪魔するなら怪我するぞ。」

 

「そう言われて、クラスメイトを渡す程薄情じゃないつもりだけど?」

 

「緋勇さん……。」

 

 

押し問答をしてるのに気付いてくれた焚実が私の前に来てくれた。

脅すように退けるように言われるが、動かないで守ってくれている。

 

 

「どうしたんだよ、いったい。何で、莎草の言いなりになってんだよ?あいつに何か、借りでもあるのか?」

 

 

焚実が聞くと、怯えながら男生徒は話し出す。

 

 

「あいつは…、怖しい奴だ。」

 

「はァ…?」

 

「あいつには…。あいつには、誰も逆らえない。いずれ、お前にもわかるさ。あいつの怖しさが…。」

 

 

何が言いたいのかは分からなかったが、彼らが莎草を恐れているのはわかる。

それでも、女生徒を渡すわけにはいかない。

そう思っていると焚実もそう思ったのか、言葉で彼らに女生徒を渡す気はない、と宣言してくれる。

 

何を言っても退く気がない事がわかったのか、悪態を吐いて行ってしまう男生徒達。

それを見送ってから、女生徒は安心したように息を深く吐く。

 

 

「あ…ありがとう、比嘉くんッ。緋勇さん。」

 

「あァ、大丈夫だった?」

 

 

質問に肯定する彼女に、続けて理由を聞く。

でも、彼女にも理由がわからないらしく、抱き締めるように自分に肩を摩りながら、怖かった…と答える。

その答えに考え込む。

 

そういえば、初めて莎草が私の教室を見に来てた時に彼女はキツめに言葉をかけてなかったか…。

思いついた時には、女生徒がもう一度お礼を言ってから立ち去ってしまった。

見送ると、彼女が入った教室の更に奥の廊下に莎草が立っていた。

何かあるのか、と思ったが何も言わずに立ち去ってしまった。

 

 

「あいつ…、何を見てたんだ?」

 

 

焚実の言葉と共にチャイムの音が鳴る。

その音を聞いて、私達も慌てて教室に行く為に別れた。

 

放課後に、女生徒が再び莎草の元に連れて行かれると知らずに。

 




原作設定資料では、青葉ちゃんは龍麻にほんのり好意を持って、比嘉くんは青葉ちゃんに恋心を持ってます。
ひーちゃん、モテますよね!

1番最初の夢は、アニメ版の東京魔人學園の部分から出してます。
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