ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース   作:ゲオルギーJr

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会長命令

「えっ!?生徒会長の所に会いに行くんですか!?」

「……そんなに驚くことじゃないでしょう」

 

昼食を取り終えたサザーランドとメイヨーは、会長からの呼び出しを受けていた。

いや、正確にはサザーランドだけだったのだが……、

 

「せっかくだから、あなたも来なさいよ」

「生徒会長って、全生徒を代表するあの人ですよね?

 私如きが会いに行っていいのでしょうか?」

 

メイヨーにとって生徒会長とは天の上に立つような偉い人物として認識されていた。

実際、生徒数が数万人を超える学園艦で、

生徒会長と直接関わり合いがある生徒は、ほんの一握りだった。

 

「別にいいのよ。女王様じゃあるまいし」

「えっ、どうしよう。どんな服装で行ったいいんですか?」

 

「今のままでいいと思うわよ?」

「本当ですか?失礼じゃないですか?」

 

実際に生徒会長と対面することに、メイヨーは異様なまでに緊張していた。

 

「大丈夫よ。行きましょう」

「うー……、胃がキリキリしてきました」

 

こうして二人は会長室へと向かった。

 

 

 

*

 

 

 

「……先輩、やっぱり引き返していいですか?」

「何でよ、せっかく目の前まで来たのに」

 

会長室の扉の前で、二人は立ち止まっていた。

メイヨーが中々会長に会う決心がつかないからだ。

 

すると、おもむろに扉が開き、会長の幸子が出てきた。

 

「おいお前たち、こんなとこr―――

「うわーーーー!!?」

 

突然の登場にメイヨーは大声を上げてしまった。

そして身を隠すようにサザーランドの背中に逃げ込んだ。

 

 

「……誰だ、ソイツは?」

「あぁ、すみません会長、うちのメイヨーが……」

「ひいぃー……」

 

 

*

 

 

 

「……なるほど、それで驚いたのか」

「はい……。申し訳ございませんでした……」

 

一悶着ありながらも入室した二人。

結局、メイヨーも一緒に会長と話すことになった。

 

「お前は、まだ一年生だったな?まぁ気持ちは分からんでもない」

「正直、今も緊張してます……」

「大丈夫よ、そんなに怖い人じゃないから」

 

メイヨーの誤解も解けたところで、会長の話が始まった。

 

「さて、始めようか」

「今回は何でしょう、会長?」

 

幸子は先程自分が見ていた、周辺空域のデータを出した。

 

「これは、ここ数日に我が校の空域に侵入した戦闘機の所属を表したデータだ。

 さて二人とも、ここから何か分かることがないか?」

「えーっと、何ですか?」

「一つ、突出して回数の多い学校がありますね」

 

サザーランドは、そのデータの異常性に気が付いた。

 

「ああ、そうだ。その学校の名は大洗女子学園。それが今回のキーワードだ」

「大洗女子学園?初めて聞きました……」

「茨城を本拠地にする学園艦ですね」

 

キーワードが分かったところで、話は続く。

 

「そこで今回の任務だ。内容は単純明快。大洗を黙らせてこい」

「黙らせる、ですか?」

「要するに大洗の航空戦力を削いでこい、ってことですね」

 

「その通りだ。大洗の空域に侵入し、迎撃機を撃墜してくるんだ。

 エースを釣り上げれば、なお良いだろう」

「大洗のエース、ですか……」

 

エースの撃墜、それが最大の目標だった。

アンツィオの侵入回数はエースのジェノバを落とした後、激減した。

幸子は大洗にも同じことをすれば、空域に侵入する回数を減らせると考えたのだ。

 

「エースに対抗できるのは、エースだけ。だからお前を呼び寄せたのだ」

「なるほど、先輩を使って相手のエースを……」

「相変わらずえげつない事考えますね、会長?」

 

これまでサザーランドは、敵を迎撃する防御側についていた。

それが今回攻撃側、つまり空域に侵入する側につく事になったのだ。

彼女にとって、あまり心地の良いものではなかった。

 

「一応聞きますけど、拒否権は?」

「There is no alternative. (それ以外の選択肢は無い)」

「ひぃ、これが噂の権力濫用ですか……」

 

生徒会長の権力は絶大だ。

一般の生徒では到底逆らえない。

それはエースパイロットでも同じだった。

 

「さあ滑走路に行け!これは会長命令だ!」

「はぁ……。行きましょう、メイヨー」

「了解です、先輩……」

 

二人は会長からの命令のもと、渋々滑走路へ向かった。

 

 

 

*

 

 

 

「来たね、お二人さん。会長から話は聞いてるよ。色々大変だねぇ」

 

滑走路に来た二人を迎えたのは、整備班班長の清美だった。

 

「まったくよ。まあ今に始まった話じゃないけれど」

「先輩……、心中お察しします」

「そう気を落とすなって。逆に考えれば会長に信頼されている証じゃないかえ?」

 

生徒会長の横暴っぷりは、一般の生徒たちにも知られているようだった。

 

「そういや、今回飛んでいく先は……」

「大洗女子学園って学校です」

「きよみんは大洗について何か知ってるのかしら?」

 

清美は大洗の名を聞くと、懐かしい思い出があると言い出した。

 

「いや、ちょいと前にねぇ、あそこの自動車部って所と車で競争したことがあってさ。

 いわゆるカーチェイスってやつかねぇ」

「カーチェイス?何をしたんですか?」

「その話、面白そうね?詳しく聞かせて頂戴」

 

「ほら私ってさ、戦闘機以外にも車とかの整備もできるわけよ。

 で、趣味でレーシングカーもどきみたいなの作っちゃってさぁ」

「まさかそれで競争したんですか?」

「何それ。そんな面白い話初めて聞いたわよ」

 

どうやら自前の改造車で、大洗の自動車部と競争した話のようだ。

 

「あんまり言いふらすと風紀委員から怒られそうだから、話したくなかったんだわさ」

「あー、そういうの風紀委員取り締まってますもんね」

「この話は三人だけの内緒にしましょう」

 

風紀委員とは学園艦の治安維持を担当する委員のことだ。

艦内では警察のような役目を担う。

自校の生徒がカーチェイスをした話がバレたら面倒ごとになるだろう。

 

 

「さ、そろそろ出発の時間かねぇ」

「そうね。機体の準備をお願いできる?きよみん」

「そういえば、私のボロボロになったハリケーンどうなりましたか?」

 

メイヨーの乗機であるハリケーンは前回の戦いで酷く損傷していた。

 

「問題ないさね。とっくに修理は済ませたさ」

「本当ですか!?あの状態の機体を……」

「流石のメカニックね」

 

格納庫に行くと、確かにメイヨーのハリケーンは完璧に修理されていた。

燃料も満タン、いつでも飛べる状態だ。

 

 

「よし、行きましょうか、メイヨー」

「はい、先輩!」

 

二人はそれぞれスピットファイアとハリケーンを始動し、滑走路へ入る。

 

「こちら33番及び85番、管制塔からの発艦許可求む」

「こちら管制塔。発艦を許可します」

 

高度を上げ、二機は聖グロの学園艦を後にした。

 

「大丈夫かねぇ、あの二人……」

 

それを見送った清美は何か心配そうな様子だった。

 

「大洗の<サムライ>とやらに目をつけられなければいいけどねぇ」

 

彼女はそう呟くと、機体整備の作業に戻った。

 




大洗はどんな戦闘機を使ってくるのやら……。

一番好きな学校は?

  • 大洗女子
  • 聖グロリアーナ
  • サンダース付属
  • アンツィオ
  • プラウダ
  • 黒森峰
  • 知波単
  • 継続
  • その他(BC自由等)
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