ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース   作:ゲオルギーJr

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時系列としては、TVアニメシリーズ第一話が始まる少し前くらいです


vsアンツィオ編(第一章)
聖グロのエース


春、太平洋の穏やかな海をとてつもなく巨大な艦艇が航行している。

それは日本の学園艦の一つ、聖グロリアーナ女学院だった。

 

その上空を一機の戦闘機が悠々と飛行していた。

シャープな機体に楕円翼のついたその戦闘機こそ、

かの有名なイギリスの戦闘機、スピットファイアだ。

機体には聖グロのシンボルである紅茶のエムブレムと数字の33が描かれていた。

 

しばしの飛行の後、その機体は高度を下げ、車輪を展開した。

安定した姿勢で誰が見ても完璧とも言えるような状態で滑走路へ戻ってきた。

エンジンとプロペラの回転が止まったかと思うと一人の少女がコックピットから降りてきた。

 

その少女はベージュ色の髪を持ち、とても美しい顔をしていた。

着用したジャケットの背中には大きく33の数字と「SUTHERLAND」の文字が書かれている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

降り立った少女の元に黄色のヘルメットを被り、レンチを持った人物が走り寄り、こう話しかけた。

 

「おう。どうだい、スピットファイアの調子は?」

 

ヘルメットを被っていたのは戦闘機の整備を担当する班の班長だった。

少女と同じ年齢の女性だったが、薄汚れた作業服のせいかオッサンのような印象を受ける。

少女は落ち着いた口調でこう返した。

 

「問題ないわ。いつも整備してくれてありがとう、きよみん」

 

その言葉に整備班の班長は自慢げに答えた。

 

「なんつったってエースパイロット様の機体だからな!こっちも気合いが入るってもんよ」

 

二人がお互いに信頼できる仲なのが、会話から伝わった。

そんな会話に水を差すかのごとく、べつの女子が二人に割り込んで話しかけてきた。

 

「サザーランド?会長がさっきあなたを呼んでいましたわよ。用が済んだらすぐに生徒会室に来いって」

 

その言葉に少女はため息をつきながら答えた。

 

「はぁ……。わかった。今すぐ行くわ」

 

ヘルメットを被った班長は煽るように笑った。

 

「ガハハハ!エースってのも大変そうだねぇ!」

 

そんな笑いをよそに少女は会長の待つ生徒会室へ急いだ。

 

 

*

 

 

学園艦に大きくそびえ立つ艦橋。

その最上階にあるのが生徒会メンバー達が活動している生徒会室だ。

数万人の生徒を抱える学校の中心なだけあって、部屋にはいつも慌ただしい雰囲気が漂っている。

 

その生徒会室の奥に位置するが生徒会長の席がある会長室だ。

会長室には生徒会長とその関係者以外は許可が無ければ一般の生徒は立ち入り禁止のルールがあり、そのおかげで生徒会室に比べると落ち着いている……はずだった。

 

<挿入歌;{Aces high} Iron maiden>*1

 

Run, live to fly, fly to live, do or die.

(走れ、生きるために飛び、飛ぶために生きろ。やるか、やられるかだ)

Won't you? run, live to fly. Fly to live.

(いいか?生きるために飛び、飛ぶために生きるんだ)

Aces high!

(大空のエースよ!)

 

<挿入歌終わり>

 

骨董品とも言えるような古びたレコードプレイヤーから流れるそのロックミュージックはかなりの大音量でドアに挟まれた隣の生徒会室に音漏れするほどだった。

しかし、生徒会のメンバーは動じる事がない。それが日常茶飯事だからだ。

会長のロック好きは生徒会の中で常識のように扱われていた。

 

 

そんな騒がしい会長室に呼ばれた少女は扉の向こうからでもハッキリと分かるように強くノックをした。

会長は気が付いたのか流れている音楽を止め、短くこう言った。

 

「入れ」

 

その指示通りに少女は入室し、生徒会長と面して言った。

 

「会長、隣の部屋まで思い切り音漏れしてましたよ」

 

少女の言葉に会長は言い返した。

 

「別にいいだろう。私はこの学園の生徒会長だ。この程度の事は許される」

 

ブラウン色の髪に女性用のスーツを着たその女性こそ、聖グロリアーナ女学院の全生徒の頂点に君臨する生徒会長であった。

 

「この英山幸子(ひでやまさちこ)の前には学園中の全ての生徒が無力だ。お前もその一人であることを忘れるな?何なら今ここで―――」

 

幸子の言葉を少女は遮った。

 

「はいはい、分かりましたから早く要件を教えてください」

 

思わぬ横槍に不満そうな顔を見せるも、幸子はこう言った。

 

「そうだな。その前に、お前の学年や所属、名前などを言ってもらおうか。私は既に知っているが、それがこの部屋のルールだからな」

 

その命令が出されると少女は自己紹介を始めた。

 

「はい。私は聖グロリアーナ三年生。航空科所属、空戦道パイロットの東雲エリス。

背番号は33番。TACネームはサザーランドです」

 

その自己紹介に満足した幸子は言った。

 

「よろしい。では始めようか」

 

そう言うと椅子から立ち上がり、演説を始めた。

 

「我々が所属するこの聖グロリアーナは、昔は誰もが認める日本一の高校であった。学問はもちろんのこと、サッカー、テニス、戦車、空戦などあらゆるスポーツで最強を誇っていた。だが今は残念ながら黒森峰をはじめとする他の学校に押され、以前のような栄光は失われてしまった……。我々はこのままで良いのだろうか?否!断じてそうではない!以前のような輝きを取り戻さなければ、この学園に未来は無いのだ!」

 

あまりに力強いこの演説は聞いている者の心臓にまで響きそうな程であった。

 

「そのためにはサザーランド、お前に色々と手伝ってもらうことにしよう」

 

幸子の言葉にサザーランドはひっそりと答えた。

 

「……私に拒否権は?」

 

その問いはすぐにかき消された。

 

「お前に拒否権はない!私とこの学園のために働いてもらう!There is no alternative ! (他に選択肢は無い!)*2

 

権力の横暴とも言えるような振る舞いにサザーランドは呆れた表情を見せた。

 

「じゃあ、私は何をすれば?」

 

渋々出たセリフに幸子はあっさり答えた。

 

「いや、現時点で特にお前に与える任務は無い。いつも通りの仕事をしてくれ」

 

じゃあ私は何で会長室に呼ばれたの?感情を必死に抑えてサザーランドは言った。

 

「分かりました。スクランブル待機に行ってきます」

 

そう言って退室しようとするサザーランドを幸子は引き止めた。

 

「お前は今からアラート任務だな?だったら一応言っておく。今この艦の近くを別の学園艦が航行している。もしかしたら戦闘機を飛ばしてくるかもしれん。念のため注意しておけ」

 

会長からの助言も聞き耳半分でサザーランドは待機所へと向かった。

 

 

*1
日本語で<撃墜王の孤独>。1940年のイギリス空軍とドイツ空軍による戦い、バトルオブブリテンを題材とした歌。

*2
イギリスの元首相、マーガレット・サッチャー氏の口癖




聖グロに接近しつつある学園艦・・・
何だかパスタの香りがしてきました。

一番好きな学校は?

  • 大洗女子
  • 聖グロリアーナ
  • サンダース付属
  • アンツィオ
  • プラウダ
  • 黒森峰
  • 知波単
  • 継続
  • その他(BC自由等)
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