ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース   作:ゲオルギーJr

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本章第二のエース登場です。
何か変な喋り方になってます。


知波単之撃墜王

とある学園艦にて──―。

 

 

「うーむ。わっち、汝に問う。<はんばあがあ>とは何ぞや?」

 

身長が150cmも無さそうな少女が、こんな質問をしてきた。

驚くことに、空戦道のジャケットを着ている。

つまり、パイロットということだ。

こんな体格でまともに操縦席に乗れるのか、疑問視してしまう程である。

 

 

「カグツチ殿、どこでそんな言葉をお聞きになり申した?」

 

隣にいた、もう一人のパイロットがそれに答える。

こっちは普通そうなパイロットだ。

ただし、口調を除けば。

 

 

「あゐや、たまたまそんな言葉を何処かで耳にしてのう。中々頭から離れないのじゃ」

 

体格に似つかわしくない、おばあさんのような喋り方をする少女。

 

「このアラハバキ、僅かながら知っておりますぞ。

 <はんばあがあ>とは西洋の食べ物でござゐ候。

 何でも、小麦を使った生地、確か<ばんず>と言われた代物也。

 そこに肉や野菜を挟んで食す、と」

 

自らをアラハバキと名乗る生徒。おそらく、自身のTACネームだろう。

 

「おぉ~、流石はアラハバキ殿。して、何処でそれを食せるのじゃ?」

 

「いや、カグツチ殿。それは此処では難儀ぞ。この高校、和を重んじる校風也。

 故に西洋的な代物は徹底的に排除されてござい。

 汝の欲する<はんばあがあ>も、これまた然り」

 

どうやら二人はハンバーガーについて話しているようだ。

だがどういう訳か、この学園艦では入手できないらしい。

 

「む~、為らばゐっそ艦内でなくとも良ゐ。他所ではどうじゃ?」

 

「噂によれば、さんだあす付属という地にて目撃されて候。そこゑゆけばよろし」

 

唐突に出てきたサンダース付属の名前。

それを聞くと少女は躍起になった。

 

「好し!これからそのさんだあすとやらに参る!隼共を出せゐ!」

 

「承知致した、カグツチ殿!」

 

 

カグツチ──―。

それは知波単学園のエースパイロットの名だった。

背中には数字の771とKAGUTUCHIの文字があった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

第三のエースが、戦場へ参ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

「ヘルプ!ヘルプミー!」

 

サンダース学園艦上空──―。

ここで数十分前から勃発した空戦は、サンダース側が劣勢になっていた。

 

「知波単の実力、思い知れ!」

 

その相手は知波単学園だった。

千葉県を本拠地とする、古い日本の伝統を厳守した学校だ。

そこの戦闘機が、サンダースの空域に侵入していた。

 

 

「オーノー!」

 

「このグラマンめ!妙にしぶとい!」

 

サンダースのF6Fヘルキャットを知波単の一式戦闘機、隼が追いかける。

ヘルキャットの方は既に弾丸で穴だらけだ。

それでも黒煙を上げながら、粘り強く飛び続ける。

 

「ジーザス!」

 

「いざ、とどめだ!」

 

隼が敵に最後の一撃を加えようとした。

そのときだった。

 

 

「Stop it you!」(そこまでだ、あんた!)

 

突如、上から別の機体が襲来する。

 

「何者!?」

 

そして機銃が降り注ぎ、隼は撃墜された。

 

 

「Oscar kill!」(オスカーをキル!)

 

助けに来たのはサンダースのエース、ミニットマンだ。

サングラスをかけて、ノリノリでF4Uコルセアを操縦している。

もちろん、サザーランドとメイヨーも一緒だ。

 

 

「何ですか?オスカーって」

 

「ウチじゃ隼のことをオスカーって呼んでるのさ」

 

「これもサンダース独特の言い回しね」

 

オスカーとは、一式戦闘機隼に対してアメリカ軍が付けたコードネームだ。

サンダース付属のパイロットはそれを使用していた。

 

「そのオスカー、まだまだたくさんいますよ」

 

メイヨーの言う通り、上空には知波単の隼が10機程度飛行していた。

サンダース側は殆ど損傷した機体ばかり。

かなり押されている状況だった。

 

「さて、ミニットマン。どっちが多く落とせるか勝負しましょうか?」

 

「Are you challenging me?」(私に挑むつもりかい?)

 

しかしエース二人にとっては、むしろ格好の稼ぎ時だった。

互いの撃墜数をかけて勝負するほどの余裕っぷりだ。

 

「くそっ!何だこいつら!?」

「我々が押しているはずだぞ!」

 

「HAHA 12.7mm go brrr!」(12.7ミリが火を吹くぜ!)

「やるわね。私も負けられないわ」

 

スピットファイアとコルセアが、縦横無尽に空を舞う。

知波単の戦闘機は見る見るうちに数を減らしていった。

 

「3 kills!」(三機目撃墜!)

「私も三機目よ!」

 

「うわあ、これは敵に同情するレベルですね……」

 

無双しているエース二人を、メイヨーは遠目で眺めていた。

自分の入る余地がないからだ。

 

「Highway to the Danger zone!」(危険地帯へ一直線だ!)*1

「懐かしいわね、その歌」

 

映画の歌を歌いながら、ミニットマンとサザーランドは敵機を落としていく。

これまでの劣勢が、たった二機でひっくり返されてしまった。

知波単側にとっては、歯がゆい思いだろう。

 

「奴らはエースか!?こちらにもエースが欲しいが……」

「我らがカグツチはいずこに?」

 

すっかり混乱状態になった隼のパイロットたち。

彼女たちが待ち望んでいるのは、自分たちのエースパイロットだった。

エースが来れば、もう一度戦況を優位にできるかもしれない。

 

 

「こちらサンダース付属高校管制塔。敵航空戦力の大半を消滅確認!」

 

「Hey サザーランド、こっちは5キルしたぞ」

「あいにくね、私も同じ数だわ」

 

「これがダブルエースの強さですか……」

 

たった一人でも戦況を覆すエースパイロットが二人揃ったらどうなるのか?

その答えが、今目の前にある光景だった。

気が付けば知波単の戦闘機が周囲から消え去ってしまった。

 

 

 

「おや?ちょっとお待ち下さい……」

 

「どうしましたか?」

 

突然、管制官の言葉が濁る。

それは何か状況が変化している合図だった。

 

「New one?」(新手かな?)

「だとしたら歓迎ね。まだ全然戦い足りないから」

 

新たな敵の出現の予感を、エース達は感じ取った。

あれだけ落としたのに、まだまだやる気満々の様子だ。

 

「警告!当空域へ新たに接近する複数のレーダー反応を確認!」

 

予感は的中した。

エース達の前に、新たな戦闘機が現れようとしている。

 

「ミニットマン、第二ラウンドの準備はいい?」

「Well yes!」(臨むところさ!)

 

気合い十分、いつでも応戦可能だ。

 

 

 

「あの機体は……!?」

 

メイヨーは近づきつつある敵機の種類を特定しようとする。

その機影から、彼女は答えを出した。

 

「あれは四式戦闘機、疾風です!」

 

「Frank has come!」(フランクのお出ましか!)

「私たちに相応しい相手かしら?」

 

四式戦闘機、疾風(米軍コードネーム:フランク)──―。

大戦後半に大日本帝国陸軍航空隊の主力を努めた戦闘機。

アメリカの高性能機、P-51マスタングなどと渡り合った機体だ。

知波単学園の主力であることは間違いないだろう。

 

 

「ぬおぉ~、<はんばあがあ>が食べたゐのじゃー!」

 

四式戦闘機の編隊を指揮する人物。

それこそが知波単学園のエース、カグツチだった。

 

「カグツチ殿、敵が来ましたぞ」

 

僚機の一人にアラハバキもいる。

合計で五機の疾風が、サンダースに迫っていた。

 

 

『Come on!』(来いよ!)

『相手してあげるわ!』

 

『わっちは止まらんぞゐ!』

 

 

激突する三人のエース。

加熱する空戦の行方は誰にも分からない──―。

 

 

*1
映画トップガンの主題歌、デンジャーゾーンの歌詞。




大洗の設定集ですが、この章が終わったらサンダースと知波単とまとめて出します。

一番好きな学校は?

  • 大洗女子
  • 聖グロリアーナ
  • サンダース付属
  • アンツィオ
  • プラウダ
  • 黒森峰
  • 知波単
  • 継続
  • その他(BC自由等)
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