ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース 作:ゲオルギーJr
サンダース大学付属高校、学園艦の会長室。
会長もとい、プレジデントの久米子はニュース速報でプラウダの動きを知った。
「はえ~。まさか本当にやる気なんだね露音ちゃん」
パソコンのニュースサイトをスクロールしながら情報を漁る。
そこに別の生徒会メンバーがやって来た。
「プレジデント。こうなると例の手紙の件は……」
「あ~。さっちゃんの手紙ね。どうしよっかな?」
サザーランドから手渡された幸子の手紙には、もしプラウダが有事を起こしたら、聖グロと共にサンダース付属も継続側に支援を送る旨が記述されていた。
これに関して久米子はサンダース側として未だ正式な返事を出していない。
「さっちゃんには悪いけどさぁ、ちょっと気が変わったんだよね。いわゆる乙女心ってやつ?」
「はあ。と申しますと?」
ここへ来て方向転換する久米子の心。
それはサンダース側が支援の内容を変更することを意味していた。
だがこの時点では、まだ誰にも知るすべは無かった。
*
「う~、何か急に寒くなってきましたね」
継続高校を目指してフライトを続ける聖グロの飛行編隊。
発艦からおよそ一時間。
周囲の温度が急激に低下し始める。
目的地は北方で、初夏でもまだ冷える地域だった。
気象学的に言えば、亜寒帯気候というやつだ。
「ね、私の言った通りでしょう?防寒対策はしなさいって」
「そうですね先輩。今の服装で丁度いいくらいです」
サザーランドの厚着指定は、この気温低下を意識したものだ。
過剰とも思える防寒対策だったが、結果的には大正解だった。
「……くしゅん!」
無線越しに誰かがくしゃみをするのが聞こえた。
恐らくウェリントンだろう。
「おやおや?防寒を怠った間抜けなパイロットがいるようね?」
サザーランドがこっそりからかう。
「い、今のは単なる花粉症ですわ!決して寒くなった訳ではありませんの!」
「え?もう花粉の季節は終わってるわよ?やっぱり寒いんじゃない?」
「ヒノキの花粉シーズンはまだ終わってないですわ!」
「あー、また始まりましたよ……」
放っておくとすぐ喧嘩を始めるエースと二番手。
お互いもう高校三年になるというのに、まるで小学生レベルの口喧嘩だ。
「ほら先輩方。そろそろ目的地が見えてきましたよ」
メイヨーの言う通り、編隊は継続高校学園艦に接近していた。
遠方に奇妙な形の艦影が見える。
「あれが継続高校ですの?何だか変な形ですわね」
学園艦は本来、航空機の発着をするために空母のような形状をしているのが基本だ。
だが継続高校に関しては、まるで巡洋艦のような船体をしていた。
『こちら継続高校管制塔。そちらの所属をお聞かせ願いますか?』
『こちら聖グロリアーナ飛行隊。貴校への着艦を希望します』
空域に侵入したところで、管制官の無線が聞こえた。
編隊長としてサザーランドが受け答えする。
『……もしかして援軍の方達でしょうか!?』
管制官が嬉しそうに質問をしてきた。
『ええそうよ。あなた達を支援しに来たわ』
『ありがとうございます!どうぞ着艦してください!』
あっさりと降りる着艦許可。
よほど待ちわびていたのだろう。
「何か私たちが正義の味方みたいになってきましたね、先輩」
「こうも歓迎されると、悪い気はしないわね」
「こんな弱小校如きに、偉大なる聖グロリアーナが助けてあげに来たんですわ!この程度の待遇は当然でしてよ!」
編隊は先頭から順に高度を下げ、着艦を始めていく。
誤って追突事故を起こさないように、サザーランドが降りる順序を指定した。
「残るは私だけね……」
全ての機体を送り終えると、エースが最後に着艦した。
*
『管制塔より。継続高校へようこそ!』
無事滑走路へ降り立った聖グロリアーナの飛行隊。
辺りは着艦した機体で渋滞を起こしている。
これは継続高校の滑走路周辺のスペースが狭いせいだ。
元々の艦のサイズが小さいので致し方無かった。
「ふう。ようやく現地到着ね」
パイロット達が機体から降りていく。
サザーランドの編隊長としての仕事も一休みだ。
「……はっくしょん!」
コックピットから降りたウェリントンがまたしてもくしゃみをする。
明らかに周りに比べて薄着の格好だった。
「大丈夫ですか、ウェリントンさん?寒いなら……」
「だからこれは花粉症ですわ!」
「はあ……。しょうがないわね」
見かねたサザーランドが何かをウェリントンに投げ渡した。
それはコートのような衣服だった。
「……何のつもりですの?」
「予備の防寒着よ。一応持ってきてたの」
「貴方に優しくされる思いはありませんわよ」
「駄々こねてないで早く着なさい。風邪ひいて戦力が減ったら困るから」
ウェリントンは渋々、コートを羽織る。
「……あったかいですわ」
「そう。なら良かった」
そう言うとサザーランドは足早にその場を去った。
「優しいですね、先輩。もしかしてこうなることを予測して……?」
「勘違いしないで。あれは単なる偶然よ」
「本当ですか先輩?目が泳いでますよ?やっぱりツンデr──―
「下らないこと言ってないで、生徒会長のところに行くわよ」
図星なのか、サザーランドが更に歩行速度を上げた。
「あっ先輩、待ってくださいよー!」
それを追うように、メイヨーも小走りした。
*
継続高校の生徒会長に会うべく、艦橋を目指すサザーランドとメイヨー。
歩いていくうちに二人は、学園艦の様子がおかしいことに気が付いた。
「妙にシャッターが閉まってる店が多いわね……」
「言われてみればそうですね。まだ昼なのに」
もう日が昇りきっているというのに、閉店している店が多い。
しかもそれは飲食店、雑貨屋、美容室など多岐に渡っていた。
「あれ、あそこは長い行列ができてますよ」
「あれは……、スーパー?」
更に歩くと人々が並ぶスーパーマーケットが見えた。
最後尾には入店30分待ちの看板が掲げられている。
「人気のお店なんですね」
「うーん?あそこチェーン店だったと思うけれど……?」
サザーランドの記憶通り、そこは一般的な商店だった。
少なくとも、こんな平日午前中の時間帯に行列ができる店ではないはずだ。
「そういえば先輩、喉渇きません?自販機とかないですかね」
「あ、あそこにあるわね。……あら?」
飲み物を買うために自動販売機の前に行く。
しかしどのボタンも売り切れのランプが点灯していた。
「しょうがないわね。コンビニを探しましょう」
「ちょうど向こうにありますよ!」
今度はコンビニへ入店する。
しかしそこでは異様な光景が広がっていた。
「……どういう状況ですかこれ!?」
「棚が全部すっからかんだわ……」
見ると商品がほとんど陳列されていない。
店内は閑散としていた。
「あーごめんなさいお客様。今色々切らしてまして……」
啞然とする二人に、アルバイトの生徒がやってきた。
どうやらあらゆる物品が入荷してこない状態らしい。
「色々っていうか、全部品切れ状態よね?」
「一応ミネラルウォーターくらいなら残ってますよ」
仕方なくペットボトルの水を二本購入し、退店する。
「この学校では何が起こっているんですか、先輩?」
「異常事態だわ。ともかく会長のところに急ぎましょう」
水分補給をしつつ、二人は会長室に向かっていった。
その道中でも、行列のできる商店や何も売ってないコンビニが存在していた。
それはつまり、学校全体が深刻な物不足であることを示している。
一体なぜ、継続高校がこんな状況になってしまったのか?
それは生徒会長の小峰芬が知っていた──―。
継続高校会長の小峰芬の芬という漢字は見慣れないかもしれませんが、これはフィンランドを意味する漢字です。(フランスを仏と表すのと同じ)
常用漢字ではないので本来なら人名としては使えませんが、あまり気にしないでください。
一番好きな学校は?
-
大洗女子
-
聖グロリアーナ
-
サンダース付属
-
アンツィオ
-
プラウダ
-
黒森峰
-
知波単
-
継続
-
その他(BC自由等)