ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース 作:ゲオルギーJr
「このパイロットを探しているんですが……」
継続高校のエースパイロットに会うため、艦内を探索するサザーランドとメイヨー。
とりあえず道行く人に聞き込みをしていた。
「ああ、うちのエースかい?」
「知ってるんですか?」
聞き込みを始めてから五分足らずで、情報を持つ人に出会えた。
校内ではそれなりの有名人なのだろう。
「モルテンって子さ。一流のパイロットだよ。ただ……」
「ただ?」
エースの名はモルテンというらしい。
彼女のTACネームだろう。
「ちょっと人見知りなんだよ。だから人前に出るのが苦手っていうか……」
「人見知りの生徒なんですね」
これは少し珍しいパターンかもしれない。
基本的にエースパイロットは自己主張が強かったり、目立ちたがり屋だったりすることが多い。
人見知りや引っ込み思案のエースはどちらかというと少数派だ。
「今どこにいるか分かりますか?」
「多分図書館で静かに本でも読んでるんじゃないかな?間違ってたらごめんよ」
どうやらモルテンは図書館にいることが多いようだ。
有益な情報だろう。
「情報提供ありがとうございました」
「はいよー」
「行きましょう、先輩。図書館に!」
手がかりを掴んだ二人は早速、図書館へ向かってみることにした。
*
「ここですね」
校内の図書館へ到着した二人。
「入ってみましょう」
図書館の内装は古びていたが、歴史を感じさせる趣だった。
ここで写真を参考にモルテンを探すことにする。
「どこにいるのかしら?」
「……あの人なんか似てませんか?先輩」
メイヨーがそれらしき人物を発見した。
遠目からだが、写真の特徴と一致しているように見える。
紫色でボサボサヘアーの持ち主だ。
「…………」
その生徒は一人静かに読書をしていた。
読んでいるのは小説のようだ。
試しにサザーランドが声をかけてみることにした。
「すみません。ちょっt──―
「!!」
声をかけた途端、その生徒は驚いた表情で固まってしまった。
人に話しかけられるのが苦手なようだ。
「あ、ごめんなさい。読書中に……。今、人を探しているんです」
「…………」
緊張で目をパチパチさせるその生徒に、写真を見せてみる。
「この人物です。モルテンという名前らしいんですが、もしかしてあなたではないでしょうか?」
「…………」
生徒はコクリと頷いた。
やはり彼女こそ継続のエースパイロット、モルテンだった。
ジャケットの背中を見ると、背番号の1と<MOLTEN>の名が確認できた。
「お会いできて嬉しいです。私は聖グロリアーナのエースパイロット、サザーランドです。訳あって、あなたを探してました」
「……!」
モルテンはサザーランドがエースだと言うと、目を丸くした。
何か思うところがあるようだ。
「ここで話すのもアレなので、一旦外に出ましょうか」
「…………」
静粛な図書館で会話するのが気まずくなった彼女たちは、ひとまず場所を変えることにした。
*
図書館を出た三人は、近くのベンチに座った。
ここなら気兼ねなく話ができるはずだが……。
「…………」
相変わらずモルテンは一言も喋らない。
本当に無口のようだ。
それともコミュニケーション障害だろうか?
「ずっと黙り込んでますね、先輩」
「う~ん。これは面倒くさそうね……」
「…………」
このままでは埒が明かないので、サザーランドが会話を試みる。
「とりあえずお互いタメ口でいいわよね?私、サザーランド。あなたは?」
「……モル……テン……」
ようやくモルテンが口を開ける。
どうやら全く喋れないわけではないらしい。
「生徒会長の芬さんから、あなたに会って欲しいってお願いされたの」
「……会……長?」
「そう。だからあなたについて色々教えて欲しいの」
「……うん」
モルテンは必死に言葉を振り絞って自己紹介を始めた。
「私……モルテン。継続……二年生。エース……一応」
「え?あなた二年生なの!?じゃあ年下ってこと!?」
サザーランドが珍しく驚きの表情を見せる。
無理もないだろう。二年生がエースパイロットになるなど、滅多にないことだからだ。
「そんなに驚く必要あります?先輩」
「驚くわよ!だって二年生でエースになるパイロットなんて、早々いないわよ!」
基本的にエースパイロットの称号は、三年生が得るものである。
なぜならパイロットとしての成績、つまり撃墜数はそれまでの累計で計算されるからだ。
当然、最も在籍期間の長い三年生が多くなりやすくなる。
これは実戦経験などを積んで、練度が上がっていくのも一因だ。
「でも、成績は相対評価だから、有り得ない話ではないのでは?」
「一応ね。でも中々いないわよ。二年生エースなんて」
継続高校の三年生が不甲斐なかった可能性もあるが、どちらにせよ珍しいことには変わりない。
モルテンのパイロットとしての実力は本物のようだ。
「じゃあ、空戦でも期待できますね」
「そうね。プラウダとの戦いで頼りになりそうだわ」
「プラ……ウダ……」
突然、モルテンの表情がこわばった。
彼女はプラウダに対して怒りのようなものを感じているようだ。
「モルテン、あなた知ってるのね?近々プラウダが動きそうってこと」
「うん……」
「今、私以外にも聖グロのパイロットがたくさんこの学校に来ているの。起きるかもしれないプラウダとの戦いのために。継続高校を助けるためにね」
「……ありがとう……」
サザーランド達が味方だと知ると、モルテンの緊張がとけた。
すると今度は悲しそうな顔をみせた。
「会長、悪くない……。悪いの全部、プラウダ……。会長責めるの、違う……」
「え?どうしたのよ急に?」
モルテンが唐突に芬の擁護を始めた。
どうやら理由があるらしい。
「ここ、悪口言う人いる、会長に……。なんで解決できない、って……。でもそれ、会長のせいじゃない……」
モルテンが言うには、最近起きている継続高校の物不足が会長である芬の責任だと非難する人がいるらしい。
だけどそれは違う。会長は悪くない。全部プラウダのせいだ、というのが彼女の主張だった。
「ええそうね。共にプラウダと戦いましょう」
「サンダース付属高校の皆さんも一緒です!」
「……うん」
戦車を盗んだりと、継続側に全く罪がないわけではないが、今は迎合した方が都合が良いだろう。
とりあえず、継続のエースとの連携は取れそうだ。
「さて、これでオッケーね。明日に備えられそうだわ」
「何も起きないのが一番ですが……」
用件を済ませ、その場を立ち去ろうとする二人。
「待って……」
するとモルテンが不意に呼び止めた。
「ん?何かしら?」
「黒森峰……エース……知らない?」
何故か黒森峰のエースについて聞かれるサザーランド。
ミニットマンからのも合わせ、これで二回目だ。
「だから知らないわよ」
「……そう……。じゃあいい……」
結局何もなく終わるモルテンとの会話。
一体黒森峰のエースについて、何を知りたかったのだろうか?
「それよりも、今私が気になるのはプラウダのエースだわ」
サザーランドの興味は、プラウダ高校のエースパイロットについてだった。
「どんな人なんでしょうかね、先輩」
「さあね。でもソイツさえ対処できれば、勝利できると思うわ」
プラウダのエースとは何者なのか?
空戦道でもそれなりの規模を誇る学校のエースなので、かなりの強者である予感はしていた。
*
北の寒い海を航行する、プラウダ高校学園艦──―。
その艦橋に位置する会長室。
生徒会長の入一露音はジャム入りのロシアンティーを飲みながら、生徒会役員との会議に臨んでいた。
「計画の進み具合はどうかね?」
「偉大なる同志会長。問題ありません。今のところ順調です」
「よろしい。では予定通り、明日実行できそうかね?」
「はい。ただ一つ、気掛かりなことが……」
露音の前に座っていた生徒が、何かの書類を取り出した。
それは極秘情報の通信を記録したものだった。
「継続高校に潜伏する、我が校の諜報員が、継続以外の学校の生徒を頻繫に見かけるようになったとのことです」
「ほう。一体どこの学校かね?」
「神奈川の聖グロリアーナ女学院です。どうやらそこのパイロットが頻繫に活動をしているようです」
「なるほど。あの鉄の女、よく嗅ぎ付けるものだ……」
露音がティーカップを飲み干すと、生徒に指示を出した。
「今から10分以内に、225番のパイロットをここに連れてこい」
「225番というと、あの……?」
「そうだ。我が校のエースだ。もし時間内に連れてこなければ、君はシベリア送りだ」
「はいっ!直ちにィッ!」
そう言うと、前に座っていた生徒は大急ぎで部屋を出た。
*
プラウダ高校の艦橋近くに置かれた一台の戦車。
そのT-34中戦車の上に、一人の生徒がヤンキー座りをしていた。
黒いジャージに、ニット帽を被った女性である。
「ふんふふふーん♪」
イヤホンで音楽を聴いていると、生徒会メンバーが駆けつけてきた。
「同志コサック。偉大なる同志会長がお呼びです」
仕方なく楽曲をとめ、耳からイヤホンを外す。
「あの独さ──―。いや会長が俺を呼んでんのか?」
「そうです。10分以内に来なければシベリア送りとのことです」
生徒は渋々、T-34の車体から飛び降りた。
「ああ、
彼女がまさしく、プラウダのエースパイロット、コサックだ。
背中には225の数字と<COSSACK>の文字が見える。
「本当は戦いたくないんだぜ……」
コサックは髪をかきむしりながら、会長室に走っていった。
今回初登場のエース二人を分かりやすくいうと
モルテン:典型的コミュ障キャラ
コサック:ゴプニク(ロシア辺りのヤンキー)
みたいなイメージです。
一番好きな学校は?
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大洗女子
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聖グロリアーナ
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サンダース付属
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アンツィオ
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プラウダ
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黒森峰
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知波単
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継続
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その他(BC自由等)