ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース   作:ゲオルギーJr

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紅茶か、カプチーノか

大海原を行く聖グロリアーナの学園艦。

そこから100キロメートル程離れた場所を別の学園艦が航行していた。

その学校の名はアンツィオ高校。イタリアの空気が漂う高校だ。

いたるところにシンボルであるピッツァが描かれた旗が飾られている。

 

そのアンツィオにあるカフェテリアのテラス席で一人の生徒が木製のイスに座り、くつろいでいた。

その近くにはもう一人別の生徒が立っている。

イスに座った生徒は空を眺めて呟いた。

 

「今日は実にいい天気だねぇ。カフェで休憩するにはうってつけの日だ」

 

中性的な顔立ちをしたその女性は少し低めの声で話している。

 

「シラクサちゃん? カプチーノを注いでもらえるかな?」

 

そういって小さなコーヒーカップを差し出されたもう一人の女子は

 

「分かりました、ジェノバ様」

 

と答え、濃厚なカプチーノをカップに注いだ。

 

出来立てのカプチーノをズズズッと飲んだ女性は、地平線の向こう側に薄っすらと浮かぶ艦影を見つけた。

本来、100キロメートルも離れた艦艇など見えるはずも無いのだが、

学園艦はあまりにも巨大であったため、影が見えたのだ。

 

「あれはどこの学園艦かなぁ? わかるかい、シラクサちゃん?」

 

何気ない質問に、立っている方の女子が答えた。

 

「恐らく、聖グロかと思います。ジェノバ様」

 

その学校の名を聞くと座った女性はカップの残りを一気に飲み干した後、こう言った。

 

「あのメシマズ校ねぇ……。面白い」

 

にやついた顔になった女性は椅子から立ち上がり、カフェを去っていく。

その背中には969の数字と<GENOVA>の文字が書かれていた。

アンツィオのエース、ジェノバが動き出したのだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

*

 

 

会長の元を去ったサザーランドは、パイロットの待機所にいた。

ここはスクランブル発進に備えるパイロットのための場所であり、滑走路のすぐ近くに設置されていた。

中には仮眠室やトイレ、テレビや小さなキッチンもあり、最低限の生活空間が確保されている。

ただ、スクランブルに備えるアラート任務はパイロット達にとって嫌な仕事であった。

何せ、発進命令が出たらどんなときも直ちに戦闘機に乗り込み、敵を迎撃しなければならないからだ。

いつ他の高校の戦闘機がやって来るか分からない……

そんな緊張感の元、パイロットはこの待機所で過ごすことになる。

 

聖グロリアーナでは一度の待機任務で二人のパイロットをスタンバイさせている。

サザーランドが着いたとき、既にもう一人は準備を済ませていた。

名簿を確認すると二人の番号とTACネームが記載されていた。

 

 <33 sutherland>

 <85 mayo>

 

サザーランドはそれを見ると困惑した。

もう一人のパイロットは今日初めて会う人物だが、読み方が分からない。

 

「何て読むのかしら、これ? マヨ?」

 

そこへ、一人の少女がやってきた。

青色のショートヘアで可愛らしい見た目をしていた。

 

「あっ、あの! 今日一緒に待機しますっ! 一年生のメイヨーですっ! 先輩っ! 今日はよろしくお願いしますっ!」

 

緊張しているのか空回りするほど力のこもった声で自己紹介をしたのが、

一年生のパイロット、メイヨーだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ああ、これメイヨーって読むのね。私は三年生のサザーランド、よろしくね。

もしかして緊張してる?」

 

優しい問いかけにメイヨーは弱々しく答えた。

 

「はぃ……。その、今日が初めてのアラート任務で……」

 

緊張で震えているメイヨーをサザーランドはそっと励ました。

 

「大丈夫よ、私がついてるから」

 

 

*

 

 

管制塔。

そこは学園艦周辺の空を管理する、航空管制官の生徒達が日々、働いている場所だ。

交代制で24時間、上空をレーダーによって確認し、指示を送る。

いわば空の見張り番のような存在であった。

 

そのレーダーサイトに怪しい反応が出ていた。

複数の機体が学園艦に向かってきている。

 

「あれ? こんな時間に飛行機が通過する予定なんて、ありましたっけ?」

「いや、私は何も聞いてないけど?」

 

管制塔が、にわかに緊張感に包まれてきた。

 

「無線で交信してみましょうか?」

「うん、そうした方がいい気がする」

 

管制官は周波数を合わせ、交信を試みる。

 

「こちらは、聖グロリアーナ女学院の管制塔です。そちらの所属をお聞かせください」

 

しかし、向こうからの応答は無かった。

 

「あー、これはアレですね。スクランブルですね」

「出しますか、発進命令」

 

そう言うと管制官はサイレンを鳴らすボタンを押した。

滑走路全体に甲高い警報音が響き渡る。

スクランブル発進の時間だ。

 

 

*

 

 

「機体は何に乗ってるの?」

「は、ハリケーンです……」

「今までの撃墜数は?」

「まだ、一機も……」

 

待機所でスタンバイしていたサザーランドはメイヨーに色々な質問をしていた。

とりあえず会話して、緊張感をほぐしてあげようという、彼女なりの気遣いであった。

そこへ、サイレンの音が響いてきた。

 

「来たわ、発進命令よ。滑走路に急いで!」

 

サザーランドは素早く頭を切り替え、発進準備へ向かった。

 

「うぅ……。初めての待機任務で発進までするなんて……」

 

弱々しいメイヨーも、それに続いた。

 

*

 

滑走路へ着くと二人の機体が既に用意されていた。

サザーランドはスピットファイアmk.Vb

メイヨーはハリケーンmk.llが使用機体だ。

 

「待ってたよ、お二人さん! さ、早く乗りな!」

 

そう言って、ヘルメットを被ったあの整備班班長が出迎えた。

 

サザーランドはすぐさまスピットファイアに乗り込むとエンジンを始動した。

排気筒からボォッと小さく炎が上がり、さらに出力を上げるとマーリンエンジンの唸り声が響いた。

発艦(学園艦からの発進なので離陸ではない)位置に向かいつつ、手慣れた操作でペダルや翼などの各部位のチェックを済ませた。

この間わずか30秒である。

今まで何回もこなした動作だけあって、全く迷いの無い動きだった。

 

 

一方メイヨーは散々であった。

 

「えーっと、エンジンの始動する場所は……どこだっけ!?」

 

初めてのスクランブルだったせいか、混乱して発進方法をど忘れしてしまった。

 

「大丈夫かい一年生のお嬢ちゃん? ハリケーンの始動はまず、このレバーをな……」

 

班長が優しくアドバイスをすると、ようやく落ち着きを取り戻した。

 

「あっ! 思い出しました! ありがとうございます!」

 

 

ハリケーンが動き始める頃、既にサザーランドのスピットファイアは発艦を始めていた。

 

「こちら33番から管制塔へ。発艦許可を求む」

 

管制塔はすぐに反応した。

 

「了解。サザーランド、発艦を許可します。いってらっしゃい!」

 

交信を終えると、スロットルを一気に上げ、素早く滑走路を走り発艦した。

高度を上げつつ、車輪を機内に格納する。

周囲を見渡すが、敵機の姿はまだ見えなかった。

 

「管制塔へ。敵の所在を教えてくれる?」

 

サザーランドが尋ねた。

 

「北西方向、距離40キロメートル、高度500メートル付近に所属不明機が複数、レーダーで捉えています」

 

管制官と交信していると、ようやくメイヨーのハリケーンが追いついてきた。

機体には数字の85が書かれている。

 

「お待たせしました、先輩! 援護位置に付きます!」

 

そう言うと、スピットファイアの斜め後方に機体を寄せた。

 

「私についてきなさい」

 

サザーランドは管制官の言う通りに北西方向へ飛び、メイヨーが続いた。

迫りくる敵に、二人で立ち向かうのだ。

 

 

一番好きな学校は?

  • 大洗女子
  • 聖グロリアーナ
  • サンダース付属
  • アンツィオ
  • プラウダ
  • 黒森峰
  • 知波単
  • 継続
  • その他(BC自由等)
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