ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース 作:ゲオルギーJr
プラウダ高校の学園艦に正午を知らせるベルが鳴った。
「時間だが……」
生徒会長の露音は電話機の前に待機していた。
理由はただ一つ、芬からの電話、つまり継続高校が降伏するのを待っていたからだ。
しかし、タイムリミットの12時を過ぎても電話が掛かってこない。
「芬くん、君がここまで愚かだとは……」
露音はすっかり、継続側が萎縮して降参すると思い込んでいたようだ。
頼みの綱だったサンダース付属の後ろ盾が消え、戦意喪失しているはず……。
だがその読みは甘かった。向こうは徹底抗戦の構えだった。
「我々に勝利できるとでも思っているのかね?」
ならば徹底的に叩き潰す。
それがプラウダ高校のスタイルだ。
「戦闘機を出したまえ。あの作戦で行くのだ!」
露音は会長権限で艦内全ての戦闘機に発艦命令を出す。
その数、実に100機。
圧倒的な物量で押し潰すだけの作戦のように思えるが、これには更なる仕掛けが潜んでいた──―。
*
継続高校ではプラウダとの決戦に備え、聖グロと継続両校のパイロット達が集結していた。
「さて、ああは言ったものの、どうやって戦おうかしら」
「ええっ!?もしかして先輩、何も考えてなかったんですか!?」
そのパイロット達の指揮を執ることになったサザーランドだが、特に上手い作戦が思いついている訳ではなかった。
「ちょっとサザーランド?元々降伏せず戦おうと言ったのは貴方ですわね?これで敗北したら貴方の責任ですわよ!」
「分かってるわよ。でも戦う気持ちは皆一緒でしょう?」
「そうだそうだ!」「プラウダなんて怖くないぞー!」
サザーランドの問いかけに周りのパイロット達が鼓舞した。
今彼女たちはまさに背水の陣である。
逃げられないと覚悟しているからこそ、その士気も高い。
「……絶対負けない」
とりわけ戦意に満ちているのは継続高校のエース、モルテンだ。
彼女にとっては、己の母校の命運をかけた戦いである。
「モルテン、あなたの力が必要だわ。協力してくれる?」
「……うん。一緒にプラウダを倒そう……」
やはり戦局の鍵を握るのはエースパイロット達だろう。
エース同士の連携が、勝利には絶対不可欠だ。
「そういえば、モルテンさんはどんな機体に乗っているんですか?」
「……ついてきて」
モルテンが格納庫の奥へと向かう。
そこにあったのは世にも奇妙な形をした戦闘機だった。
「何ですのこの機体?プロペラが前に付いていませんわ……」
「双胴の胴体だけど、単発エンジン?ますます謎ね……」
その機体はプロペラが何故か後ろに付いている推進式で、しかも双胴の部分があった。
コックピットの位置は高めで、武装は機首に集中配備されている。
でかでかと数字の1が書かれているので、これがモルテンの搭乗機なのだろう。
周りにいた人達から色物を見るような視線が機体に注がれる中、メイヨーだけがその正体に気が付いた。
「これはもしかしてスウェーデンの戦闘機、J21じゃないですか!?」
「……物知りだね」
J21はスウェーデンのサーブ社が開発した機体だ。
まるで震電とp-38ライトニングが合体した珍兵器のようなフォルムだが、れっきとした量産機である。
「まさか日本で運用している学校があるとは思いませんでしたよ」
「こんな奇天烈な戦闘機、役に立ちますの?」
「見た目だけじゃ強さは測れないわよ、ウェリントン」
性能は未知数だが、実戦でお手並み拝見といくしかないだろう。
滑走路周辺にけたたましいサイレンが鳴り始めた。
いよいよ戦いの火蓋が切って落とされた。
「来たわねプラウダ!」
「……行く」
「舞い上がってきましたわよ!」
「絶対に勝ちましょう!」
待機していた戦闘機達が次々と発艦していく。
先頭を務めるのは、リーダーのサザーランドだ。
継続側の10機と、聖グロ側の20機の計30機を束ねる大仕事である。
「継続高校の戦闘機、まるで統一感が無いわね……」
継続側の編隊は各国の機体がごちゃ混ぜになっていた。
しかも殆ど全てが大戦初期に使われたP-36ホークといった旧式の戦闘機ばかりである。
中には複葉機であるCR.42の姿すらあった。
贅沢を言える状況ではないが、お世辞にも頼りになる戦力とは言い難い。
これには継続高校が貧乏で、他校から中古の機体を安く買うしか戦力を整えられないという事情があった。
「管制塔へ。現在の状況を教えてください」
気を取り直してレーダーサイトに無線を送るサザーランド。
発進命令が出たのならば、近くにプラウダの戦闘機がいるはずだ。
「こちら管制塔。南東から複数の反応あり。そちらに向かってください」
「了解」
継続高校からの管制官の指示で編隊を南東に行かせる。
いざ戦闘開始、というタイミングで新たな無線が入ってきた。
「注意!南西からも複数の機体が接近している模様です!」
「二方向から来たわね。ならばこちらも二手に別れましょう」
サザーランドが指示を送り、一部戦力を南西に振り分ける。
しかし、更なる無線が管制官から送られた。
「注意!北東からも新たな反応が──―。え?北西からも!?」
「どういうことですの!?」
相次ぐレーダー反応に混乱する管制塔。
緊迫した戦況はパイロット達にも伝わっていた。
「もしかしてこれは……」
「全方位からの攻撃!?」
「……これは厄介……」
これがプラウダ側の作戦だった。
元々数の上で圧倒的有利を保っていたが、さらに分散することで継続及び聖グロ側が対処しきれないレベルでの飽和攻撃を一斉に仕掛け、包囲網を形成する寸法だ。
こうなっては編隊を崩し、個々で対応するしかない。
「プラウダの方達、乱戦に持ち込むつもりですの!?」
「全機に告ぐ、散開して手当たり次第に敵を落としなさい!」
身も蓋もない命令だが、こうするしかないだろう。
編隊はバラバラに散っていき、それぞれの方角に向かっていく。
「……数が多い……」
実際に相対すると、その戦力差を痛感させられた。
相手はこちらの倍以上の機数を保持しているのだ。
下手に突っ込めば袋叩きにされかねない。
「一人三機以上の撃墜がノルマよ!それが達成できなければ私たちは負けるわ!」
「三機ですわね?やってやりますわよ!」
「……やる……!」
「三機ですか。私もやってみます、先輩!」
それでも戦うしかない。
それが
日本空戦道史上最大クラスの戦い──―。
その勝敗は彼女たちの手に委ねられているのだ!
スウェーデンは国力の割に兵器開発が優秀ですよね。
戦闘機ではドラケンやグリペンとかが私のお気に入りです。
かの有名なボフォース40㎜対空砲もスウェーデン製ですね。
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