ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース 作:ゲオルギーJr
「何だと!?継続高校への攻撃が失敗した!?」
プラウダの生徒会長、露音は敗北の報告に激怒した。
「はい。エースのコサックも撃墜され、捕虜になったかと思われます」
「ぐぬうぅー、あの役立たずどもが!あんな小さな学校一つに負けたというのか!」
露音は腹いせに会長室のデスクに蹴りを入れた。
机の上にあった本が、床に何冊か散らばった。
「これでは私のキャリアが台無しではないか!くそっ!」
「お言葉ですが、ここは事実を受け入れるべきかと……」
「お前、私に指図をする気か!?生意気な口を聞くならシベリア送りにするぞ!」
(駄目だ、露音会長は既に正気を失っている……)
会長秘書は怒り狂う露音の姿を見て、この人物が会長の座から引きずり降ろされる日が、そう遠くないことを予感した。
*
「……着いた……」
「やっぱり、収容所は何処も薄暗い雰囲気なのね」
モルテンの案内で、継続高校の捕虜収容所に到達した三人。
早速、看守にコサックの居場所を聞いてみることにした。
「すみません、ここにプラウダ高校の225番のパイロットって居ますか?」
「225番?それなら一番奥の部屋に捕まってるよ。ほら」
看守から対応する部屋の鍵を受け取ったサザーランド。
収容所の奥に向かって歩きはじめる。
「プラウダに帰りたくねえべー」「シベリア送りは勘弁してけろー!」
あちらこちらから聞こえるのは、撃墜されたプラウダ高校のパイロット達の声だった。
どうやら彼女達は捕虜から解放されても、ろくな目に合わなそうだ。
「何かプラウダの人たちが可哀想です……」
「気にせず先に進むわよ」
同情する暇もなく、どんどん奥へ進んでいく。
そして目的の部屋の前に到着した。
「よし。この部屋ね」
「……ここにコサックが……」
鍵穴に先程の鍵を入れる。
するとガチャ、という音と共に扉が開いた。
「……あ?誰だよ」
中にいたコサックは、ベッドの上でヤンキー座りをしていた。
「なんでそんな座り方してるの?」
「別に、俺の自由だろ」
鋭い目付きで睨んでくるコサック。
いや、彼女の場合ガンを飛ばすと言った方が正しいか。
「私はサザーランドよ。あなたに聞きたいことがあるの」
「何だお前か。ん?隣のヤツは?」
「……私、モルテン……」
「モルテンもいんのか。エース揃い踏みだなオイ」
薄暗い部屋の仲、顔を合わせる三校のエース。
これほどの数が揃うのも珍しいことだろう。
「で、何について聞きたいんだ?わざわざ俺に質問する必要あんのか?」
「あなた、黒森峰のエースについて知ってることはない?」
サザーランドがそう言うと、コサックの表情が変わった。
「……知ってるぜ」
「本当に?」
「ああ、本当さ。だってソイツは俺の友達だからな」
「友達!?ちょっと詳しく教えてくれない?」
するとコサックがポケットから携帯を取り出した。
「奇遇だな。確かアイツも、お前の事を探してたぜ。聖グロのエースさんよ」
「私のことを?」
「ああ。今電話してやるよ。この時間だと、向こうも暇だろうしな」
電話をかけ始めるコサック。
相手は恐らく、黒森峰のエースパイロットだろう。
*
「センパイ、スマホ鳴ってますよ」
「マジ?今出るわ!」
黒森峰の学園艦──―。
鳴り響く着信音に、あの金髪赤目のギャル生徒が駆けつける。
そう、あの赤い戦闘機に乗っていたパイロットだ。
何故か今は素っ裸の状態である。
「もしもーし。アンタ誰ー?」
*
「よう。俺だ、コサックだ」
「あ、コサックじゃーん。何かあったー?」
「いや、ちょっとした成り行きでよ、以前お前が探してた奴がすぐ近くにいるんだ」
「え?ウチって誰か探してたっけ?」
「ほら、聖グロのエース。この前言ってたじゃねえか」
「あー!そう言えば。え?今近くにいるの?それってどういう状況?」
「それはあんまり言えねえが、とにかく目の前にいんだよ。どうだ、テレビ電話に切り替えるか?」
「あ、それタンマ。今ウチ、お風呂上りで全裸だから」
「お前こそ、どういう状況だよ……。とにかく変わるぜ」
そのまま電話をサザーランドに渡した。
「もしもし?」
「お?アンタが聖グロのエース?」
「そうよ。そう言うあなたも黒森峰のエースでしょ?」
「ご名答~!ウチが黒森峰のエースでえ~す!」
やけに軽い口調の挨拶に、内心イラッとするサザーランド。
こういうギャルっぽい性格の人は、彼女が一番嫌いなタイプの人間だ。
「あなた、最近色んな学校で目撃されてるみたいだけど、何してるの?」
「あ~、それ聞いちゃう?ま、いいや。アンタにも関係ある話だし……へっくしょん!」
電話越しにくしゃみをする声が聞こえた。
するともう一つの女性の声が入ってきた。
「センパイ、その格好だと風邪ひきますよ。私の知ったことじゃないですけど」
「ごめーんハルトマン。マジたすかるー」
(センパイ……?てことは、もう一人は後輩かしら?)
僅かな情報の断片で、二人の間柄を察したサザーランド。
もしそうなら、サザーランドとメイヨーの関係に近いかもしれない。
「え~っと、何の話だっけ?そうだ、ウチが言いたいのは、アンタを倒すってことだわ」
「は?私を?それはどういう理由で?」
「それ説明すんのダルいからパスで。んじゃ!」
無理やり通話を切ろうとする相手。
「ちょっと待って!あなた、名前は何なの?私はサザーランドっていうけど」
「ふーん、サザーランドねー。多分覚えとくわ~。そいじゃ!」
「だから切らないで!名前を教えなさい!」
「え~、しつこ~い。コサックから聞いといて~」
「あなたねぇ……。あ、切れちゃった」
結局、名前を聞くことなく通話は終わってしまった。
「どうだったよ?面白い奴だろ?」
「不愉快だったわ。名前も聞きそびれたし」
「……黒森峰のエース、何て名前……?」
この場で黒森峰のエースの名を知っているのは、コサックしかいないだろう。
「あいつのTACネームはレッドバロンさ」
「レッドバロン……。そういう名前なのね、アイツは」
「……初めて知った……」
黒森峰のエース、レッドバロン──―。
彼女は何故、他の学校に頻繫に姿を現しているのか?
また、サザーランドを倒すと意気込んでいる理由は何なのか?
それをコサックに尋ねようとするが……。
「知らねえよ。俺もアイツが何を目指して行動してんだが理解できねえ。ただ一つ言えるのは、レッドバロンは強いパイロットとの戦いを欲してるってだけだ」
「強いパイロット?それはエースってこと?」
「多分な。全国のエースに戦いを挑んで勝利する……。全ての学校のエースを撃墜するまで、アイツは止まんねえだろうぜ」
「……意味が分からない……」
レッドバロンの目指す先は、一体どこだろうか?
それが分からなくても、サザーランドには確信があった。
「理由は分からないけど、遅かれ早かれレッドバロンとは戦うことになりそうだわ」
「言っておくが奴は強いぜ。俺は何度か模擬戦をやったが、全部負けた。少なくとも、俺はアイツの実力を認めてる。悔しいがな」
「……私も、レッドバロンには勝てなかった……」
コサックもモルテンも、筋金入りのエースだ。
その二人すら圧倒する、レッドバロンの実力──―。
サザーランドにとって、最大最強の敵となるかもしれない。
「先輩は、黒森峰のエースとの戦いを望んでいるんですか?」
「いいえ。ただ、降りかかる火の粉は打ち払うまでよ」
本人が望むにしろ、望まないにしろ、エースである以上は戦わなければならない。
それが、
レッドバロンとの対決も、一種の
次回でプラウダ編は終わりです。
黒森峰については、次の第五章で掘り下げます。
一番好きな学校は?
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大洗女子
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聖グロリアーナ
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サンダース付属
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アンツィオ
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プラウダ
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黒森峰
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知波単
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継続
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その他(BC自由等)