ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース   作:ゲオルギーJr

36 / 57
vsプラウダ編エピローグ

プラウダ高校との戦いと、その勝利を祝った宴会が終わった翌日──―。

サザーランド率いる聖グロリアーナ女学院の飛行隊が撤退した継続高校には、サンダース付属の救援物資を積んだ輸送機が飛来してきた。

 

「こちらサンダース付属高校所属のC-5ギャラクシー。貴校へ救援物資を届けにきた」

 

途轍もなく巨大な輸送機、C-5ギャラクシーを操縦しているのは、短髪でボーイッシュな生徒だった。

 

「あんた達みたいな弱小校を、サンダースが助けに来てやったのよ!感謝しなさい!」

 

その隣にいた、そばかすが目立つ生徒が無線に割り込んできた。

 

「ちょっとアリサ?また反省会を受けたいの?」

 

「ヒイッ。マム、それだけは勘弁してください……」

 

その生徒を、リーダー各らしき金髪の生徒が戒めた。

 

「こちら管制塔。サンダース付属高校の皆様、大変感謝します。どうぞ着艦してください」

 

管制官からの着艦許可を受け、滑走路に降りるC-5ギャラクシー。

まるでクルーズ船のようなスケールだ。

そのあまりの大きさに、周囲は騒然とした。

 

「でっか!」「戦車も積めるんじゃない?」

 

その民衆の中には、エースパイロットのモルテンもいた。

彼女もまた、サンダースからの救援物資を心待ちにしていた。

 

「……開いた……」

 

胴体の先端部分がパカッと開いたと思うと、貨物室から大量の物資が段ボール箱に入って積み降ろされた。

届けられた物資に、継続高校の生徒達が群がる。

 

「すごーい!色々入ってるー!」「これを待ってたの!」

 

箱の中には食料や医薬品、その他生活必需品がみっちりと詰め込んであった。

しかも、その箱が山積みに輸送されてきたのだ。

 

「何これー?チョコレート?」「美味しそうな蜂蜜だー!」

 

お菓子や嗜好品など様々な食料が入っている。

しばらく贅沢が出来なかった継続高校の生徒や住民にとって、これほどありがたい事もないだろう。

 

「……甘いもの、久しぶりに食べた……」

 

モルテンが、運搬されたバタークッキーにかじりついた。

これからは輸送船の運航なども、順次再開される予定だ。

継続高校の物不足も、これで解消されていくだろう。

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

長野県、中立高校──―。

以前プラウダと継続による会談が開催された地で、再び両者の代表が集まっての話し合いが行われた。

内容は、両校の関係改善のための和平交渉だ。

 

「継続高校生徒会長の小峰芬です。よろしくお願いいたします」

 

芬が継続側の代表者としてテーブルに着く。

ただ、芬以外のメンバーは一新されていた。

 

「プラウダ高校の副会長です。諸事情により、露音会長の代理を務めさせて頂きます」

 

プラウダ側に座ったのは、まさかの代理人だった。

会長秘書曰く、露音は体調不良で会談の参加を見送ったらしい。

推測するに、今回の一大作戦が失敗して気が滅入ったのだろう。

 

加えて、今回は新たな学校が交渉の席に着いた。

 

「はーい。サンダース付属のプレジデント、久米子でーす」

 

それはサンダース付属高校だ。

今日の会談において、二校の仲介役に名乗りを上げたのだった。

 

「じゃあ早速だけど、ウチが提案する和平案を見せるねー」

 

久米子が一枚の文書を取り出す。

内容としては今後しばらくの間、継続とプラウダの両校はお互いに戦闘機を管轄空域に侵入させないこと。

また、お互いの学園艦に出入りする船や飛行機を妨害しないこと等が講和条件となった。

それに追加して、両校の生徒同士の交流を再開させる旨も記述されている。

 

「継続高校の代表者として、この案に賛成します」

 

これらの条件は継続側にとっては、有利になるだろう。

問題はプラウダ側の賛否だが……。

 

「プラウダ高校としても、異論はありません」

 

あっさりと承諾した。

恐らくプラウダ側も疲弊して、これ以上の対立は避けたいのだろう。

結果的に、両校とも意見が一致して和平交渉はスムーズに進んだ。

 

「オッケー。これで決まりだね」

 

文書に継続、プラウダ、そして仲介役のサンダース付属の代表者達がサインした。

交渉成立である。

 

 

 

「では、我々はこれで……」

 

会談が終わり、プラウダ側のメンバーは退室した。

それに続けて芬の継続側も退出しようとするが……。

 

「あー待ってよ。実は君たちに話があるんだよね」

 

久米子がそれをストップした。

何やら話したいことがあるらしい。

 

「何でしょうか?」

 

「戦闘機の話さ。君たち、例の空戦でほぼ全部の機体を失ったでしょ?」

 

継続高校所属の戦闘機は、プラウダとの戦いで壊滅的被害を受けた。

このままでは空戦道を続けられなくなるだろう。

 

「そこでさぁ、ウチの戦闘機を格安で売ってあげるって話よ。どう?悪くないでしょ?」

 

「戦闘機、ですか……。詳しく教えてください」

 

芬としても空戦道の立て直しは急務だったので、サンダース側の提案を聞き入れることにした。

 

「F2Aバッファローって戦闘機さ。今なら特別価格でセールするよ」

 

「バッファローですか?うーん……」

 

これは以前サザーランドが訪問した時のビジネストークと同じ内容だ。

ただ、今回は事情が少し違う。

F2Aバッファローは聖グロから見れば低性能の旧式機だが、継続高校にとっては安価で使いやすい機体である。

それを特別価格で買えるなら、まさに買い時というものだ。

 

「いいでしょう。では5機を購入します」

 

「5機だけ?あのね、戦闘機は消耗品だよ?どうせなら10機ぐらい景気よく買おうよ」

 

「あっはい……。じゃあ10機でお願いします」

 

「よし、交渉成立!キミ、いい買い物をしたよー!」

 

ここで久米子お得意の営業トークが炸裂し、商談は成立した。

サンダース側は、要らなくなった機体を処分することができた。

しかも継続側に恩を売ることもできた。

まさに一石二鳥である。

こうして中立高校での会議も幕を下ろした。

サンダース付属の一人勝ちと言っても良い終わり方であったが、プレジデントの久米子は果たして最初からこうなる事を予測して、自校の戦闘機を派遣しなかったのだろうか?

それは彼女だけが知ることだろう──―。

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、何て強さだ。私が格闘戦で負けるとは……」

 

そう言い残して墜落したのは、大洗のエースパイロット、ムサシの操る零戦だった。

それを撃墜したのは……。

 

「ふふーん♪これで大洗も攻略完了って感じ?」

 

「中々楽しめましたよ。無名の割には、ですけど」

 

あの黒森峰のエース、レッドバロンと僚機のハルトマンだった。

それぞれレッドバロンは赤く塗装されたFw-190d-9。

ハルトマンは機首に黒いチューリップが描かれたBf-109G-6に搭乗していた。

これは以前の機体を改装したものらしい。

 

「ドーラ*1、いい感じじゃん?A型より使いやすいかも」

 

「私のG型メッサーも、F型より好調ですかね」

 

レッドバロンが何やらメモを取り出し、大洗の校章に斜線をマークした。

見れば、あらゆる学校の校章に斜線が付けられている。

恐らく、今まで落としたエースパイロットの所属校を記録しているのだろう。

 

「もう大分攻略したかなー?後は聖グロとサンダースくらい?」

 

「ああ、聖グロのエースの件は残念でしたね。まさか不在とは」

 

「それな。ま、ストレス発散には良かったけど」

 

「ともあれ、センパイの計画が完了するのも時間の問題ですね」

 

そのまま二機は黒森峰の学園艦への帰路についた。

 

 

「サザーランドねぇ……。ウチを満たしてくれるといいけど」

 

 

湧きたつレッドバロンの欲望。

彼女は一体、何を目指しているのだろうか?

 

*1
D形のFw-190の愛称




というわけで第四章は終わりです。
残るはラストの第五章。

一番好きな学校は?

  • 大洗女子
  • 聖グロリアーナ
  • サンダース付属
  • アンツィオ
  • プラウダ
  • 黒森峰
  • 知波単
  • 継続
  • その他(BC自由等)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。