ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース   作:ゲオルギーJr

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最終決戦(後編2)

<人間は追い詰められたときに本性を表す>と言われることがある。

今、聖グロリアーナのエース、サザーランドは極限まで追い詰められている。

それが顕著になっているのが、彼女の表情だ。その瞳孔は光を失い(レイプ目)、顔全体が汗だか涙だか分からない液体でびっしょり濡れている。艶のあったベージュ色の髪の毛もグシャグシャ。心臓は異常なほどの間隔で脈打ち、呼吸は著しく乱れ、まるで窒息するかのような勢いだ。

管制官や生徒会長の幸子はスピットファイアの燃料を気にしていたが、それよりもサザーランド本人が気絶するほうが早いかもしれない。

 

「ひゅーっひゅーっひゅーっひゅーっ」

 

息を吸うたびに、胸が苦しくなってくる。しかし一瞬でも息を止めたら気を失いそうなので止める訳にもいかない。

 

後ろから機関砲を撃つ音が聞こえる。

コックピットのすぐ横をTa-152の弾丸がかすめるたびに、恐怖で汗が吹き出てくる。

 

回避するために、機体を旋回させる。スピットファイアを大きく動かすたびに、強いGが体にのしかかる。

 

反撃のために、機関砲の発射ボタンを押す。20mm機関砲の反動が脳を揺らす。

 

 

今の彼女を突き動かしている原動力とは、一体何なのか。?

それは対戦相手のレッドバロンに向いているのは間違いないが、その感情とはなんだろうか?

以前の彼女は、レッドバロンに憎しみを抱いていた。それは同じ学校の仲間とも言えるパイロット達を蹂躙したことが要因だ。

だが今は不思議と、その怒りは消えていた。

 

 

「ひゅーっ、ひゅーっ。…………はっ、あはははははっ!

 

突如、サザーランドが笑い出した。

 

「あはっ、あはっ、あはははははっ!」

 

サザーランド本人にすら、なぜ自分が笑っているのか理解できなかった。

だがこれこそ、彼女の本性なのだ。

この戦いが、レッドバロンとの一騎打ちが楽しくて楽しくてたまらない。

瀬戸際まで追い詰められての、スリル満点の状況が大好き。

そして敵機に照準を合わせるとき、脳内にドーパミンが溢れ出てくる。

 

「ハーッハーッ、あははっ、あはっ」

 

ここで彼女はある言葉を思い出した。それは以前に、捕虜となったハルトマンから聞いた言葉だ。

 

<貴方からは、レッドバロンと同じ匂いがする>

 

強敵、すなわちエースとのギリギリでの戦いに快楽を覚えるサザーランド。

それはある意味、レッドバロンと一致していた。

レッドバロンがエース狩りと称して全国のエース達と戦っていたのは、自身が最強であることを証明するためだと、彼女は前に語っていた。

だがそれすらも一つの建前に過ぎなかった。本当はレッドバロンも、エースとのギリギリでの戦いで気持ちを満たすために動いていた。

その本心を、ようやくサザーランドは理解できたのだ。

 

「あははっ、何て心地良いのかしら! こんなに楽しい空戦、生まれて初めてよ!」

 

 

 

*

 

 

 

 

サザーランドの乗るスピットファイアを追い回す一機の戦闘機。

真っ赤なTa-152を操っているレッドバロンも、次第に自分の心の奥底に眠っていたものに気が付き始めた。

 

「ハーッ、ハーッ……。ここまでウチの攻撃に耐えたヤツは初めてかも?」

 

数分間に及ぶ熾烈なドッグファイトによって、レッドバロン側もかなり疲弊してきた。

これまで彼女がエース狩りで経験したエースとの対決は、僚機のハルトマンの援護もあって長くとも1~2分で勝利してきた。

だが今、目の前にいる聖グロリアーナのエースは3分以上戦っても疲れを感じさせず、むしろ速度が増しているようにさえ見えた。

そんな状況の中でレッドバロンは、ある期待を抱くようになってきた。

 

(コイツなら、ウチを倒してくれるかもしない)

 

この破滅願望とも言える期待は、彼女の性格と相反するものだ。彼女は過去に発言したように、全てのエースを倒して誰もが認める最強のパイロットになるのが目的のはずだ。

 

だがエース狩りを進めていくうちに、彼女には別の気持ちが湧いてきた。最初の頃は、他校のエースと戦い、勝利することに快感を覚えていた。しかし徐々に、その快感が薄れていく。言ってしまえば、()()()()()()()()()()()()のだ。どの学校のエースも、戦っていて手応えを感じない。いつも一方的な勝利ばかりで、スリルを感じない。

 

そして彼女自身が気が付かない内に、ある不安を感じるようになる。

もう自分と対等に戦える相手はいないのだろうか?

自分をギリギリまで追い詰めてくれるような、強いパイロットはいないのだろうか?

 

いや。一人だけ、彼女の願望を満たしてくれるパイロットがいた。

 

「そっか……。サザーランド、アンタこそが、ウチが求めていた強敵だったんだ!」

 

そう。彼女が真に求めていたものは、最強のパイロットという名誉ではなく、敵エースとの激しい戦い。それもどっちが勝つか負けるか分からない、瀬戸際での果たし合い。そしてそこで得られる緊張感と、ギリギリの勝負に勝ったときの達成感そのものだったのだ。

 

「久しぶりって感じ。こんなにハラハラドキドキさせてくれる相手。もう高校生ではいないかもって思ってたけど、まさか聖グロのエースがそうだったなんて!」

 

日本の空を飛び回り、エース達を打ち負かした末に、最後に辿り着いた聖グロリアーナのエース、サザーランドとの一騎討ち。もしこれに勝利できれば、彼女はこれまでの人生で最高の快感を味わうことができるだろう。

 

「もう最強の座とかどうでもいい! 今はひたすら、アンタとの勝負を楽しみたい!」

 

 

 

*

 

 

 

それは一般人にはとても理解できない世界だろう。

雲よりも遥かに高い空で、サザーランドとレッドバロンは笑っている。二人とも疲れきっているはずなのに、その顔は幸せそのものだ。

 

『ハーッ、ハーッ。サザーランドォ! 早くウチを落としてみなよ! さもなくばアンタを撃ち落とす!』

 

『ひゅーっ、ひゅーっ。上等よレッドバロン! あと2分足らずで決着をつけてあげるわ!』

 

二人の一騎討ちが始まってから3分。お互いに無線でそうやり取りをした。

サザーランドの言う2分という時間は、彼女の機体と体力が耐えうるタイムリミットでもあった。

 

「くぬううぅっ! ここが正念場よ、私!」

 

今にも限界を迎えそうな脳と体に気合いを入れ、サザーランドは攻撃を仕掛けていく。

 

 

スピットファイアを横転させ、バレルロールによる形勢逆転を狙う。

だがレッドバロンもこの動きに反応し、同じくバレルロールを行い有利な態勢を保つ。

ならばと今度はサザーランドはそれに縦方向の旋回も加えるが、レッドバロンのTa-152も旋回を始めたので上手く背後を取れない。

この二機の機動はローリング・シザースと呼ばれる空戦機動だ。以前にサザーランドがアンツィオ高校のエースであるジェノバと戦った際にシザーズ機動が発生したが、今回はバレルロールが合わさったことで、より高度なローリング・シザースに発展した。

 

 

「アンツィオの時と同じようにはいかない。シザーズでは駄目ね……」

 

 

これではらちが明かないと判断したサザーランドは、次に急上昇を始める。それからスロットルレバーを絞り、意図的に失速状態を作り出すことで敵機の後ろに回り込む戦法。

これはまさしく、かつて大洗女子学園のエースのムサシがサザーランドに使用した木の葉落としである。

 

『何それ? 大洗のサムライの真似っこ?』

 

だがレッドバロンも同じタイミングで減速したせいで、スピットファイアが降下しきっても後ろを取られたままになってしまった。

 

「くっ、私が手を焼いたマニューバも通用しないなんて……!」

 

木の葉落としを終えた直後は、機体の速度が低下してしまう。

このままでは不利なので、サザーランドはスピットファイアを更に降下させてスピードを補うことにした。

 

 

 

 

『逃がすかっての!』

 

急降下していくスピットファイアを、レッドバロンは追いかけていく。

 

「コサック! アンタのテクニック使わせてもらうから!」

 

するとレッドバロンは片目をつむって照準を合わせることに集中する。Ta-152の機首武装である、30mmモーターカノンを命中させるためだ。

このモーターカノンによる一撃必殺を狙う戦法は、プラウダ高校のエースであるコサックが得意としていたものだ。

 

「あの動き……。プラウダのエースと同じね。なら動きは読めるわ」

 

Ta-152の機首から発射される30mmの弾丸。当たればひとたまりもないが、サザーランドはスレスレで回避していく。コサックとの対決で、モーターカノンの癖は掴んでいるからだ。

 

「ちっ。30mm弾が当たらないなんて……!」

 

結局、レッドバロンは30mm弾を一発も当てることなく弾切れになってしまった。

だがTa-152には20mm機関砲が残っているので問題はない。

 

 

 

 

更に1分が経過。

二機はシザーズや急降下での撃ち合いをした結果、交戦高度は6000m付近まで低下した。メイヨーが最後に残したアドバイスを参考に、サザーランドはこの高度での空戦に持ち込んだのだ。

ここならばスピットファイアMk.24はTa-152より速く動ける。

 

「残り1分……。何としてでも、ここでレッドバロンを落とすわ!」

 

速度有利を得たことで、今度はサザーランド側が攻めることができた。旋回戦によって、スピットファイアは敵のTa-152を照準に捉えつつあった。

が、ここで彼女はある課題に直面した。

 

「20mm砲の弾が少ない……。さっきの戦いで消費しちゃったからかしら」

 

操縦席の計器類に表示された残り弾数がわずかまで減少していたのだ。これはガーランド率いるMe-262シュバルベとの空戦で弾を使用したのが原因だが、それによりTa-152に撃ち込める分の弾薬は限られていた。

 

蘇る弾切れのトラウマ。以前プラウダ高校との大規模な空戦で、サザーランドは敵エースのコサックとの対決中に弾切れを起こし、あわや敗北というところまで追い詰められた。幸いそのときはメイヨーが助けてくれたので勝利できたが、今は僚機も不在。弾切れになれば即敗北だ。

 

「落ち着いて。確実に当たる時を狙って……」

 

サザーランドは旋回しつつ、必殺のタイミングを計る。

だがレッドバロンはなかなか決定的な隙を晒してはくれない。スピットファイアの照準に入りそうになると、あっという間に急旋回で逃げられてしまう。

 

 

 

ここでサザーランドは察した。レッドバロンの自分のパイロットとしての力量は完全に互角だと。ゆえに小手先の空戦機動(マニューバ)ではお互いに決着をつけられないと彼女は予測した。

 

「げほっげほっ! ……そろそろタイムリミットが近いみたいね……」

 

遠のきつつある意識によって、サザーランドは自分の体も機体も限界を迎えつつあることを感じていた。

 

「あと30秒……」

 

サザーランドは考える。30秒というわずかな時間で、黒森峰のエースを倒す手段を。

それもあらゆる空戦機動(マニューバ)が通用しないという前提で。

 

 

 

 

 

「……あるじゃない。あの戦法が!」

 

土壇場で、サザーランドは一つの戦法を思い出した。

それはかつて、彼女自身がバカだといって嫌悪していた戦法だった。

 

「バカでも何でもなってやるわ! レッドバロンに勝つためならば!」

 

サザーランドは急旋回をして、スピットファイアをレッドバロンのTa-152に向かわせる。

その機動は回避のためではなく、まして背後を取るためでもない。

 

真正面からの技術もへったくれもない、ヘッドオン対決に持ち込むためだ。

これは継続高校のエースで、かつてプラウダ高校を相手に共闘したモルテンが好んでいた戦法だった。

 

「お願いモルテン! 私に力を貸して!」

 

 

 

真正面から急速に接近していくスピットファイアに、レッドバロンも意図を理解した。

 

「ヘッドオン!? マジで!?」

 

普通の場合、相討ちになりやすいヘッドオンは回避するのが定石だ。

 

「いいじゃん! 受けて立つし!」

 

だがレッドバロンは何が何でもサザーランドとの決着をつけることを望んでいたため、このヘッドオン対決に乗ることにした。

 

 

 

 

 

『レッドバロンンンンンンンン!!!』

 

『サザーランドオオオオオオッ!!!』

 

二機は高速に距離を縮め、同時にありったけの弾丸を撃ち込んだ。

お互いの20mm機関砲から放たれる弾丸が、スピットファイアとTa-152の胴体と翼を貫いていく。

 

どちらの攻撃が炸裂したのだろうか。二機が交差した瞬間、大きな音と衝撃と共に大爆発が起き、辺りは煙に包まれた──―。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ女学院学園艦の管制塔。

そこで働く管制官たちと、駆けつけた生徒会長の幸子はレーダーからエース対決の行く末を見守っていた。

 

「二機が交差します!」

 

高度6000m付近、二機がレーダー上で重なったように見えた直後、全てのレーダー反応が消失した。

 

「あれ!? レーダー反応が……」「これは一体……?」

 

混乱する管制官たちに対し、幸子はひと言つぶやいた。

 

「相討ち……か」

 

その言葉を聞いた瞬間、その場にいた全員が肩を落とした。

サザーランドはレッドバロンと真正面から対決したが、引き分けに終わったのだろうか?

 

 

 

 

 

と、皆が落胆しかけた、そのときだった。

 

「おや?この機影は……?」

 

完全に消失したと思われた二機のレーダー反応のうち、一機の反応が復活したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じく、聖グロリアーナ女学院の滑走路。

ウェリントンは双眼鏡から空の様子を凝視していた。隣には整備班の班長の清美もいる。

 

「無理だと思うよ、ウェリントンのお嬢さん。いくら双眼鏡を持っても雲の上の様子は……」

 

「しっ! 今わたくしは集中してるんですわ!」

 

清美からツッコミを入れられてもなお、ウェリントンは空を睨み続ける。

 

 

 

 

 

「あら!? あの機影は……!?」

 

「えっ!? 何か見えたのかい!?」

 

ウェリントンは空から落下してくる二機の機影を発見し、叫び声を上げた。

一機は炎上しながら錐揉み回転し、墜落していく戦闘機。

そしてもう一機は、黒煙を上げながらも必死に飛び続ける戦闘機。

 

「勝敗が決したんですわ! 勝ったのは……」

 

「あの戦闘機は……」

 

二人は目を凝らして、飛行している方の戦闘機。すなわち勝った方の機体が何なのかを突き止めた。

 

 

 

 

 

「スピットファイアですわ! サザーランドのスピットファイアですわよアレ!」

 

「ホントかい!? サザーランドの奴、勝ったのかい!?」

 

雲の中から雄姿を現したのは、機体に33と書かれたスピットファイアMk.24。つまり、サザーランドの搭乗機だ。

それを見たウェリントンと清美は大はしゃぎして、ハイタッチした。

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

「この機影……。サザーランドのスピットファイアです!」

 

自校のエースが勝利したことが分かった瞬間、管制塔の室内は大歓声に包まれた。

 

「すごい! 本当に勝ったんだ!」「あのエース、やりやがったな!」「よっしゃー!黒森峰を倒したぞー!」「こんなドラマチックな瞬間に立ち会えるなんて……!」「これはすごい。今までの管制官生活で一番嬉しい日で決定ですね」

 

管制官たちが歓喜の声を上げるさなか、幸子は腕を組んで頷いた。

 

「……よくやった、サザーランド。お前こそ、我が聖グロリアーナ女学院のエースに相応しい人物だな」

 

 

そこにサザーランドから無線が入る。

 

「管制塔へ。着艦許可を」

 

それを聞いた管制官は、元気いっぱいに返答した。

 

「こちら管制塔。着艦を許可します。おかえりなさい!」

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

ボロボロになったスピットファイアが、聖グロの滑走路に降り立つ。

エンジンは切れ、車輪も展開できない有様なので、やむなく胴体着艦を選んだ。以前サンダース付属高校にて(ヤードポンド法のせいで)胴体着艦を経験していたので、なんとか成功した。

 

「すげえ! サザーランドの機体だ!」「わーい! エースが帰ってきたー!」

 

着艦したスピットファイアの周辺に、どんどん人が集まってきた。

それは整備員をはじめ、他の空戦道パイロット、管制塔の管制官たち、カメラを構えた報道陣、挙句の果てには何も事情は知らないけど集まった野次馬根性の生徒たちもチラホラいた。

それらの群衆は機体を取り囲むように集結していた。

 

「はあっ、はあっ……」

 

スピットファイアのキャノピーが開いた。

サザーランドは自力で立ち上がると、右手で拳を振り上げガッツポーズした。

すると周りの群衆が歓声を上げて、報道陣のカメラが一斉にフラッシュをたいた。

 

「すごいよ。あんた英雄だよ!」「あの怪物じみた技量の黒森峰エースを倒すなんて!」

 

次々と称賛を浴びるなか、サザーランドは、ある人物の姿を探した。

 

「メイヨー……。メイヨーはどこ?」

 

 

 

 

 

そのメイヨーはというと、群衆の外側でそわそわしていた。彼女はサザーランドに最後の無線を伝えた後、尾翼を喪失したテンペストで何とか学園艦に帰還していた。

 

「はあぁっ……。やっぱり先輩はすごいなぁ……」

 

すると集まった生徒たちから、メイヨーを探す声が聞こえた。

 

「メイヨーって誰だ?」「サザーランドの後輩らしいよ」

 

そして円陣の外側にいたメイヨーの背中を、清美が叩いた。

 

「いってきなよ、メイヨーちゃん。先輩が待ってるからさ」

 

「えっ、清美さん!? ちょっ、押さないでください!」

 

清美にそそのかされて、メイヨーは群衆の中に押し込まれていく。流されるがまま、彼女は円の内側、サザーランドの待つところまで押し出された。

 

 

 

「メイヨーっ!!」

 

「せ、先輩!?」

 

二人が目を合わせると、周りが見ている中にも関わらず、サザーランドはメイヨーを抱きついた。

 

「メイヨーぉっ、ありがとうぅ。あなたのおかげでここまで帰ってこれたわぁっ……」

 

サザーランドは涙ながらにメイヨーを抱きしめる。

 

「は、恥ずかしいです。先輩……」

 

メイヨーは周りの視線を気にしているが、サザーランドとハグをした。

 

 

 

しばし抱き合ったあと、サザーランドはメイヨーの顔を見ながらこう言った。

 

「メ、メイヨー……。その……いい……?」

 

珍しくサザーランドがぎこちないセリフを言うと、メイヨーは困惑した。

 

「え? いいって……何をですか?」

 

するとサザーランドは黙って目を閉じて、口をすぼめた。

それを見た周りの生徒たちがざわつき始める。

 

「あー、これは……」「キスシーンって、映画みたいだなオイ」

 

ここでようやくメイヨーはサザーランドの意図を知り、顔をいっそう赤らめた。

 

「キ、キスですか!? 先輩と……?」

 

最初はためらう様子だったが、メイヨーも目を閉じて口をすぼめる。

 

「…………」

「…………」

 

お互いの顔を近づけさせる。

そしてそのまま唇を接触させ、二人はキスをした。

 

そのロマンティックな情景に、周りは静まり返る。

そしてキスを終えると、サザーランドはメイヨーにこう告白した。

 

「メイヨー。私は、あなたのことが大好き。あなたは?」

 

この告白に、メイヨーは恥ずかしそうにしながらも答えた。

 

「私も、先輩のことが……す、す、大好きですっ!」

 

そう言ってもう一度、二人がハグをすると、周りから拍手喝采が起きた。

 

「これはこれは、見事なプロポーズでした」「恋愛小説みたいに甘酸っぱい二人だなー」

 

円陣の外側にいたウェリントン、清美、そして幸子も、二人に拍手を送った。

 

「妬ましいほど、美しい関係ですわね」

 

「いやー、こりゃ一生モノの思い出だねぇ」

 

「会長ではなく一人の生徒として、あの二人を祝福しよう」

 

 

 

 

こうして、黒森峰のエース、レッドバロンとの対決は幕を閉じた。

サザーランドとメイヨー、そして聖グロリアーナ女学院の勝利だ。

 

 

一番好きな学校は?

  • 大洗女子
  • 聖グロリアーナ
  • サンダース付属
  • アンツィオ
  • プラウダ
  • 黒森峰
  • 知波単
  • 継続
  • その他(BC自由等)
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