ガールズ&ファイター 聖グロリアーナのエース   作:ゲオルギーJr

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アンツィオ編最終回です



vsアンツィオ編エピローグ

「はぁっ、はぁっ……。上手く着艦できるかな?」

 

聖グロリアーナ学園艦の滑走路に向けて、高度を下げる戦闘機。

ボロボロになったそのハリケーンを操縦しているのは、一年生のメイヨーだ。

ジェノバとの戦いに敗れ、撤退している途中だった。

 

「タイヤ、壊れてないよね?」

 

着艦のために車輪を展開しようとしたが早速、問題が発生した。

片方の車輪が損傷して、展開できなくなっていた。

 

「うぅ……。仕方ないか……」

 

なので止む無く、車輪を使わない胴体着陸を試みた。

滑走路に降りたとたん、ドスンと大きな音が立つ。

 

「あ、これやっちゃったかも……」

 

物理的な衝撃が、メイヨーに掛かる。

派手に砂ぼこりを巻き上げながら、ハリケーンは何とか着艦した。

 

「おうおうおう、派手にやってくれたな?お嬢さん」

 

もはや原型をとどめていない状態で着艦した機体に、整備班の班長が駆け付けた。

 

「おい一年生のお嬢さん、大丈夫かい?」

 

操縦席のドアを開け、パイロットの安否を確かめる。

 

「いたたた……。何とか無事です……」

 

メイヨーはボロボロになりながら、班長の手を借りて機体を降りた。

 

「よくこんな風になるまで戦ったもんだ。

カーボンが無かったらとっくに死んでるんじゃねえか?」

「はい、特殊カーボン様様ですね……」

 

戦車道にも使われる特殊なカーボンは、実に不思議な物質であった。

何があっても人名を守るこの物質が無ければ、戦車道も空戦道も存在しなかっただろう。

 

「そういや、サザーランドの奴はどうなった?」

 

班長が質問した。

 

「先輩は今も戦い続けています。無事だといいんですが……」

 

メイヨーが心配そうに答える。

 

「大丈夫さ。あいつぁエースだからな。早々やられることはねえよ」

 

そう言って班長は、メイヨーの肩をポンと叩いた。

 

「そうか……、そうですよね。先輩はエースですもんね」

 

班長の言葉にメイヨーは勇気づけられたようだ。

 

「いまさらだが、自己紹介を忘れてたね。

 あたしゃ三年の工藤清美(くどうきよみ)

 この学校で戦闘機とかの整備やってる班の班長さ。

 きよみんって呼んでもええよ」

 

薄汚れた作業服を着ている彼女、工藤清美はこう見えて一流の整備士だ。

優れたメカニックで戦闘機はもちろん、自動車や戦車まで整備できる。

唯一の欠点は、雰囲気がオッサン臭い点だけだった。

 

「工藤さんですか!いつも整備ありがとうございます!

 私は一年生のパイロット、TACネーム<メイヨー>です!

 これからもよろしくお願いします!」

「おうおう。こちらこそよろしくな」

 

 

二人が自己紹介をしていると、一機の戦闘機が滑走路に降りてきた。

 

「ん?ありゃスピットファイアじゃねぇか?」

「もしかして……先輩!?」

 

それは間違いなく、サザーランドのスピットファイアだった。

エース対決に勝利し、学園艦に戻ってきたのだ。

二人が機体に駆け寄っていく。

 

「無事だったか。あたしの言った通りだったねぇ」

「先輩、勝ったんですね!」

 

コックピットから降りたサザーランドが答える。

 

「ええ、何とかね……。二度とあんな奴とは戦いたくないわ」

 

どうやらジェノバに対する印象は最悪だったようだ。

 

「先輩、私サザーランド先輩にお願いしたいことがあるんです」

 

急にメイヨーがお願い事を言ってきた。

 

「何かしら?聞かせて頂戴」

 

「はい。私、先輩みたいなエースパイロットに憧れていて……。

 いつか私もエースになりたいなって思ってるんです。

 そこで、どうすればエースになれるか考えたんです」

 

「そう。それで?」

 

「そしたら、思いついたんです。

 先輩の戦いを間近に見て勉強すれば、エースの座に近づけるかもって。

 だから……」

 

サザーランドが問いただす。

 

「……だから?」

 

するとメイヨーが大声で言った。

 

「私を、先輩のウイングマンにさせてくださいっ!」

 

ウイングマンとは僚機、言ってしまえば相棒のようなものである。

 

「そうね……」

 

この提案はサザーランドにとっても、悪くないものだった。

空戦では一機で単独行動するよりも、二機で行動した方が安全だ。

エースにとっても、それは例外ではない。

 

「わかったわ。私と組みましょう、メイヨー」

 

サザーランドはメイヨーのお願い事を聞き入れた。

 

「本当ですか!?やったー!」

 

願いが叶ったメイヨーはとても嬉しそうだ。

 

「ただし、私についていけば他のエースとの戦いに巻き込まれるかもしれない。

 あなたに、その覚悟はできてるの?」

 

サザーランドが釘を差す。

 

「……承知してます、先輩!」

 

メイヨーは決意を抱いて答えた。

 

「いいでしょう。じゃあ、色々手続きをしないとね」

「はい、先輩っ!」

 

今、聖グロリアーナに新たなコンビが誕生した。

それは三年のエースと、一年のルーキーという変わった組み合わせだった。

 

「おうおう。こりゃ面白そうなタッグができたねぇ」

 

それを見つめていた班長、清美は二人に大きな可能性を感じていた。

エースとルーキーが生み出す、大きな力の可能性だ。

 

 

*

 

 

聖グロリアーナの捕虜収容所―――。

そこは学園艦の底の方に存在していた。

薄暗く、不気味な雰囲気を出すこの場所は、学校の闇を集めたような所だ。

ここには撃墜された敵パイロットの他、他校から潜入し検挙されたスパイや、

問題行動を多く起こした生徒などが収容されていた。

 

「あーあ、まさかこの僕が撃墜されるなんてねぇ……」

 

その収容所にある牢屋の一室にアンツィオのエース、ジェノバがいた。

 

「アンツィオの女子全員が悲しんでるかもなぁ……」

 

訳の分からないうわ言を呟いていると、看守が一人やってきた。

 

「おい969番、食事だ」

 

そう言うと看守は、フィッシュアンドチップスの皿を出した。

 

「……またソレかい?いい加減飽きたよ、その料理」

 

「うるさい。捕虜の分際で食事にケチをつけるな」

 

持ち場を離れた看守が戻っていく。

 

「はぁ……。イタリア料理が恋しいよ……」

 

冷めた魚のフライを食べながらジェノバは一人、牢屋の中を過ごした。

 

 

*

 

 

とある学園艦の一室に二人の生徒がいた。

 

「ふーん、あんたが噂の新人ルーキー?」

 

金髪で赤目だったその生徒は、ギャルのような出で立ちだった。

 

「何ですかセンパイ、新人ルーキーって?」

 

もう一人の生徒は比較的小柄で、少しダウナーな雰囲気を醸し出していた。

 

「あー、ミスった。毎日がエブリデイみたいになっちゃった」

「もう少し頭使って下さいよ、センパイ」

 

この二人について分かっていたのは、

背中にそれぞれ80と352の番号が書かれていることだけだった。




というわけで第一章、完!

一番好きな学校は?

  • 大洗女子
  • 聖グロリアーナ
  • サンダース付属
  • アンツィオ
  • プラウダ
  • 黒森峰
  • 知波単
  • 継続
  • その他(BC自由等)
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