転生者たちの集い   作:火野ミライ

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XXXX年X月X日X曜日XX時XX分XX秒(晴れ)

私の姉はお節介だ。

困っている人が居たら迷子だろうが、老人だろうが、スケバンだろうが、野良猫だろうが、誰だろうとなんであろうと関係なく助けてしまう。

 

「た、助けてくれ!」

 

「どうしたの?」

 

「もう、三日も食べてないんだ」

 

「分かった!ちょっと待っててね!」

 

 

私の姉は物忘れがひどい。

喧嘩をした理由、知り合いの名前、自分の持ち物、銃の撃ち方…… 例を挙げればきりが無いほどに色々な物を忘れる。

 

「ねぇ、お姉ちゃん」

 

「なに?」

 

「今日はお母さん達の仏壇にご飯のお供えしないの?」

 

「……………?あ、忘れてた」

 

「もう、しっかりしてよ」

 

 

私のお姉ちゃんは銭湯が好きだ。

良く一人で銭湯巡りをしている。時たま私も一緒に行くけど、銭湯を堪能しているお姉ちゃんは普段隠している素が出やすい様に感じる。

 

「やっぱ、風呂上がりのアイスは格別だね!」

 

「そこはラムネとかコーヒー牛乳じゃないの?」

 

「いや、俺、炭酸もコーヒーも牛乳飲めないし…」

 

「ふ~ん」(お姉ちゃんって自分の事、俺って言うんだ…)

 

 

私のお姉ちゃんは良くボーっとしてる。

特に部屋で一人でいる時に暇を持て合わしていると虚構を見つめている。そして急に嬉しそうに口元が笑っていたり、悲しそうな表情を浮かべたりとしていてちょっと怖い。

 

「____はぁ、活を入れるためとはいえ、それは無いよ」

 

「お姉ちゃん?」

 

「うわっ!?いつの間に居たの?」

 

「さっき、だけど… いったい何に文句言ってるの」

 

「あはは… あ、じゃあ私お風呂入って来るから!」

 

「…怪しい」

 

 

私のお姉ちゃんはヒーローだ。

どんな苦しい時でも、辛い時でも、空が赤くなった時でも、お姉ちゃんがそばに居てくれただけでなんとかなるような気がする。

 

「魔王とか勇者とか関係ない!アリスはもう私達ゲーム開発部の仲間で、家族なんだ!だから何度暴走しようが、乗っ取られようが、その度に私が体を張って止めて上げる!それに、一度も迷惑をかけない子供なんていなんだよ?」

 

「本当にアリスはみんなと一緒に良いんですか?今度は殺してしまうかもしれないんですよ」

 

「アリスが本心から私を殺したいんだったら話は別だけど、違うならたとえ殺されたとしても私はアリスを大切な家族だと思ってるから。それに魔王なら魔王でも最高最善の魔王になって、アリスの守りたいものを守ればいいだよ」

 

「最高最善の魔王………ですか?」

 

 

そしてなによりも、私のお姉ちゃんはバカだ。

テストの度に赤点ギリギリだし、今だに才羽や住所が書けなくて私に泣きついて来るし、よく銃を忘れたまま家を出ようとするし、見知らぬ他人の為にボロボロになって帰って来るし……

 

「ただいま~~」

 

「おかえr……って、その怪我どうしたの!?」

 

「ちょっと誘拐された子を助けようとしたら失敗しちゃって」

 

「も~~!手当てするからこっち来て!!」

 

「あ、はい」

 

 

私はそんなお姉ちゃんが……………苦手だ。

私そっくりの顔で誰に対しても笑顔で仲良くする姿。嫌味を言われても悲しそうな顔で何事も無かった様に振舞う姿。辛い事も悲しい事も全部、自分一人で抱え込もうとする姿。時たま見せる同い年だとは思えい風格。その全てが苦手だった。

 

 

 

 

……………だからと言って、永遠にさよならは望んで無かった。

 

「はぁぁ!!」

 

雷の如き素早さでお姉ちゃんが変身する【仮面ライダーリバイス】が多彩な能力を使用する怪物へと接近しては、すれ違いざまに一撃を叩きこんでは離脱。すぐさま最接近して攻撃を繰り返す。一見するとお姉ちゃんが優勢だ。だけど私の手は怖くて震えて、横で一緒に見守る二人に優しく手を握りしめられる。

 

「舐めないで!」

 

本人曰く様々な怪物の特徴を一つにしたと言う、私の知らないお姉ちゃんが忘れてしまった彼女が悲鳴のような叫びと共に両腕を両面に伸ばす。すると赤白い輝きが視界を走り体が、戦闘の余波で舞い上がった瓦礫がどんよりとしか動かなくなった。

 

世界がゆったりと動く中、怪物とお姉ちゃんが普段通りの速度動いている。それでもお姉ちゃんはどこか動きずらそうに走っている事からあの光の影響は受けているみたい。怪物の持つ柄の周囲にも円状の刃がある2本の小剣と、お姉ちゃんが持つ派手な斧・黒いローラーが交わり火花を咲かす。

 

「ハァァァアアアアーーーーッ!」

 

「ハァ!」『ボルケーノ!スタンピングストライク!

 

互いの刃が強固に変化した肉体を傷つけ合い、火球を受け二人共ダメージを負う。どんよりとした空間が終わりを告げ両者共に地面を転がり、手に持っていた得物は風に乗り地面を滑る。

 

「____」『FATALITY!

 

「っあ、ぶ、武器……」

 

体勢を立て直したお姉ちゃんが懐から新たに取り出した恐竜の着ぐるみを着た猫のスタンプを起動させる。一方、怪人に変身子は武器を失った事に気が付いて辺りを見わしていた。

 

「あった!」

 

「ハァァ…………」『フェイタリティ!Come on!フェイタリティYeah!Yeah!

 

見つけた小剣の元へハイハイで向かう彼女を他所に、お姉ちゃんはベルトにセットしたスタンプを傾けてその姿を変える。

 

デスアップ! 湧き上がるオモイ!重なるケツイ!築く刹那は、アーカイブ!仮面ライダー!フェイタリティリバイ!バイス!リバイス~!

 

決していい意味ではない英単語を頭文字とした【仮面ライダーフェイタリティリバイス】へと変わったお姉ちゃんは武器を回収し立ち上がった怪物へ、先程のまでの雷を思わす速度と比べると劣るがそれでも常人を遥かに超える速度で距離を詰めて胸部へ掌を乗せ、力任せに押し出す。

 

「キャアァァァーーーーーー!?!?」

 

ダウンロード!チーター!

 

ジタバタと後方へ飛ばされていく怪物の行き先へと先回りする為にスタンプ台の回転させた後、懐から取り出した新たなスタンプを猫のスタンプに読み込ませ再びベルトを操作。

 

DLCチーターリミックス!

 

能力を開放した直後、黄色のベールに包まれて目にも止まらぬ速度で駆けだし倉庫の前に立ち止まると振り返りながら手裏剣を放つお姉ちゃん。放たれた刃を狂いなく怪物の背中に突き刺さり、建物壁にたどり着く事なく地面に横たわる。

 

「なめないでよ、モモイちゃん!!」

 

Fリバイスへとなってから手加減されている現状に怒り心頭な彼女はお姉ちゃんが使うスタンプとは同じようで違うものを取り出すと自身に押印。指先からメスの様な爪が伸びるとお姉ちゃんに向けて切りかかる。

 

ダウンロード!クロサイ!』『DLCクロサイリミックス!

 

次々と迫りくる攻撃をさばきながら同じ手順でオレンジ色のスタンプを読み込ませ力を発動させたお姉ちゃん。スタンプとな同じオレンジのオーラを身に纏うとゆらゆらと浮遊し、何とも言えない動きで怪物を翻弄すると隙を見ては反撃を入れていく。

 

メンバー!』『レックス!バット!コブラ

 

やがて腹部に強烈な蹴りを受けた怪物は痛みで動きを止める。その様子をしっかりと見つめながらお姉ちゃんは必殺の一撃を放つ為、ベルトのスタンプを操作。先程までとは違いスタンプを読み込ませる前に上部のボタンを押し、これまで通りスタンプを傾ける。

 

コンビネーション

 

「私は……ただ……」

 

「はぁぁぁあああああーーーーーー!!」

 

跳び上がったお姉ちゃんが両足を揃え、怪物目掛けて放つ跳び蹴りは見事に命中。火柱が上がり、怪物は元の少女に戻った。彼女が持っていたスタンプが遠くの方へ転がっていく中で、変身を解除したお姉ちゃん。

 

「______!なんで、なんでぇ……」

 

「…………ごめん」

 

静かに涙を流す彼女に膝を突き優しく抱きしめるお姉ちゃん。こうして仮面ライダーの代償で忘れられた少女の暴走は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

だけど____

 

「終わったねモモイちゃん」

 

「さすがはモモイです!」

 

彼女が落ち着いたタイミングでお姉ちゃんの元へ声をかけながら歩いていく。

 

「お疲れ、お姉ちゃん」

 

「あ、うん…………」

 

私が声をかけた瞬間、愛想笑いを浮かべたお姉ちゃん。その姿に嫌な予感を感じ、思わず立ち止まる。そんな私達の雰囲気を感じたのか周りも静かになり、呼吸と風がの音がうるさく鳴り響く。

 

「ねぇ、マキ」

 

彼女の情報を持って来て、一緒に戦いを見守っていたマキに静かに声をかけるお姉ちゃん。

 

「な、なにモモ」

 

「この子、誰?」

 

「____っ!」

 

放たれた言葉に息を飲んだの誰だろう?尋ねられた言葉に絶句してるマキ?身近な人を忘れた事に不安を覚えたユズ?それても血の気が引いて立っているのもやっとな私かも……

 

「じょ、冗談ですねモモイ?そんな酷い事を言うなら殴りますよ!!」

 

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめ…………」

 

現実を受け入れられずにお姉ちゃんと距離を詰めるアリス。原因を知っているからこそ膝から崩れ謝り続ける少女。一方の私は言葉を失い立ち尽くす。

 

「なにを謝る必要がある?」

 

他にか言わなきゃと荒くなる呼吸を無視して口を開こうとしたその時、第三者の声が響き渡る。声の元へ視線を向けるとそこには黄色の皮膚を持つ異形の怪物が、地面に散らばるスタンプを集めていた。

 

「お前は!? そのスタンプで一体何をする気だ!!」

 

「サルヴァツィオーネのアクマイザー、イール。そこの小娘を支援していた悪魔さ。才羽モモイ、いや同種仮面ライダーリバイ、共に来い。同じ悪魔として歓迎しよう」

 

「誰が!」

 

イールと名乗った怪物がお姉ちゃんを勧誘するがきっぱりと断るとレックスのレリーフのスタンプを自身に押印。するとお姉ちゃんの身体から私達の髪色を黒くし、瞳の色を青にした白と青のメッシュを付けた少女が姿を現した。

 

「ベニイ!」

 

「あぁ!」

 

お姉ちゃんの中から出て来たのはお姉ちゃんに力を貸す悪魔らしい。その名を【ベニイ】と言い、彼女はお姉ちゃんと同じベルトを腰に巻く。

 

『『ギファードレックス!』』

 

「「変身!」」

 

『『アルティメットアップ!ギファードレックス!』』

 

「一気に行くぜ!」

 

変化した肉体の上から鎧を身に纏ったふたりはお姉ちゃんの言葉と共に駆け出しイールへと拳を振るう。だけどお姉ちゃん達の攻撃はいなされ、レイピアの様な武器で反撃をくらう。どうにかお姉ちゃんをアシストしようと銃を構えるも、右へ左へ激しく3人に照準が定まらない。

 

「二人共!!」

 

マキが投げた武器を受け取ったお姉ちゃんとベニイは何度も鎧から火花を散らしながらも果敢に立ち向かう。だけど戦局はイールが優先のまま。

 

「ふん、お遊びはこの辺で終わりだ。この怪人スタンプ手に入った今、当初の目的は果たした!!」

 

それだけ言うと自ら作りだした赤い渦の中へと消えて行くイール。

 

「逃がすか!」

 

「おい待てってモモイ!」

 

その後を追い渦に入るお姉ちゃん、さらにその後を追いベニイが渦の中に消えて行く。そしてそのまま渦は閉じて周囲には戦闘の後しか残らず、その日中にお姉ちゃんが帰ってくる事は無かった。これは防衛室長が連邦生徒会を乗ったる事件が起きる前日の出来事。




>ベニイ
才羽モモイと契約している悪魔で仮面ライダーバイスに変身する。
名付けの時にたまたまその時手に持っていた紅色の色鉛筆が名前の由来であり、その事に関してベニイは物申した。結局変更される事は無かったが、なんだかんだ本人?もこの名前を気に入っているようだ。

>フェイタリティキャットバイスタンプ
レックスと猫のゲノム情報と色彩の力が込められたバイスタンプ。
正面のレリーフはT-レックスのきぐるみを着た猫が棚の上で寝ている物で、棚枠の下は変身中に他のバイスタンプをスキャンする事が可能。

>フェイタリティリバイス
才羽モモイにとっての「リバイス・真」や「五十嵐」枠の強化形態。
色彩の力が宿っている分、記憶の消費量は少ないが身体へのダメージが大きい。
パンチ力:152.5t/キック力:288.3t/ジャンプ力;ひと跳び203m/走力:100メートルを0.8秒

>イール
「サルヴァツィオーネ」に所属する一グループ「アクマイザー」の一人。
その正体はイールへと転生した転生者。長年積み重ねて来た戦闘能力は才羽モモイとその悪魔ベニイが変身する「アルティメットリバイス」に引けを取らない。

>ヤミースタンプ
イールの支援を受けて才羽モモイの友人であるミレニアムモブが制作した怪人スタンプ。
シャムネコヤミーの力が込められている。
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