雨が暴れ、風が吠える。落雷が町を照らす、夜の街。寝れずにいた私はカーテンを開け、ボーっと窓の外を眺めていた。…………っと最近お母さんが買った本の出だしみたいなことを言ってみる。まぁ、寝れずに外を眺めているのはホントの事なんだけどね。
「うん?」
なんか、大きな影が自然公園の方に落ちゃった。明日晴れていたら行ってみても良いかも!
そんなことを思いながらカーテンを閉めて、電気を消しお布団の中に入るのでした。むにゃむにゃ……
翌朝。嵐が去って雲一つない晴れ!
「よし、行こう!」
ペットのリニスを起こさないようにそっと家を出て自然公園に向けて走る。水たまりに向かってジャンプ~!ビシャ~ン♪長靴をはいている今しかできない遊びだね!
水たまりで遊びながらも目的の自然公園へと到着!この前お母さんが珍しく仕事が休みで、一緒にピクニックに来た時、花冠をプレゼントした公園。次、一緒に来れるのはいつかな? そんなことを考えながらも自然の公園の奥へと入っていく。
ジョギングをしているおじいさんやおばさんにあいさつしながらたどり着いたのは、いっぱい木が生えている場所! なんとなく、ここに何かある気がする☆
朝早い時間だから、ちょっと暗い… そういう時はこれ!
お父さんが作ってくれた最後の誕生日プレゼント!! ハンドガンタイプのデバイスでいつもはお母さんとお話しするために使ってるやつ!
私に
「およ?」
少し霧が出て神秘的になった公園の中を感に任せて探索してたら、大きな壁を見つけた。水色っぽい半透明の壁で Z の字がある。いや、よく見ると壁と言うか人っぽい。
「________」
巨大な人は私に気が付いたのか、呼吸のような音と共に何かを求める。分からない言葉、そもそも言葉と言うより音に近い。そのはずなのに何が欲しいのかはっきりと聞こえた。とぎれとぎれの音は『ひ・か・り』と三文字。
「光が欲しいの?」
私の言葉に小さくうなずく大きな人。お互いに違う言語で会話が成立した__他の星の人と会話をするための翻訳魔法と言うものはあるが__事に疑問を持つよりも早く、その人の頭の上にある宝石のような場所にデバイスのライトを当て続けた。すると今にも死にそうなほど小さな呼吸が大きくなってきた……気がする。
それでもマシになっただけ。昼間でもここは太陽の光が届きにくい場所__そのため冒険大好きの男の子達がよく探検ごっこをしている__今は朝になってそんなに経ってないし、霧もあるから薄暗い。デバイスが放つ光をより大きくするが、目の前の巨人には気休め程度にしかなってない。
「うぅ…」
デバイスの質力を最大にしても大した変化がない。思い通りにいかない現状に、そして巨人の力になってやれない私自身に嫌になって涙が流れる。お母さんならきっと、凄い魔法で巨人を助け出せるに。
「_____」
「……え?」
その場でしゃがんで泣く私に巨人が話しかけてくる。さっきより気持ち、軽くなっている音で慰めてくれたかのように。その様子はまるで、お父さんが死んで泣き続けていた私を抱きしめてくれたあ母さんのように暖かった。
ちょっと大きくなった今だから分かる。あの時、本当はお母さんも泣きたかったはず。なのに私に優しく包み込んでくれた。目の前の巨人も同じで今にも死にそうなのに、会ったばかりの私を慰めてくれる。
お母さんも巨人も優しい人。涙をこらえて立ち上がって、デバイスから光を与え続ける。『絶対に助けたい!』その思いが通じたのか、巨人の体は目をつむるほど眩しい光に包まれる。
「ふぁ~!」
光が収まると目の前には幽霊のような半透明ではなく、はっきりと姿が見える巨人が立っていた。青に銀に黒にちょこっと赤の体に、胸にはZ型のクリスタル。目は宝石のようにキラキラ輝いていて、頭のトサカの先にはひし形に切られたかのような形をしてる。
絵本で読んだ顔を覆う鎧のように見えるが、なんとなく違う気がする。
「_______」
あまりの大きさと存在感に見上げていた私に巨人はゆっくりと話しかけてきた。
「お礼なんて、途中であきらめそうになったし……」
「________」
私の言葉聞いて、巨人はしゃがんで語り掛けてくる。
「望み、欲しいもの?」
『それでも命の恩人だから』その後に続けられた言葉に少し考えこむ私。この前お母さんに『妹が欲しい』とおねだりした時はちょっと悲しい顔で頭をなでられた。なんで悲しい顔をしたのかは分かんないけど、難しいことだとはなんとなく分かった。
それじゃ、『お父さんに会いたい』。やっぱダメ!
お父さんが死んだと分かって無い時に言って、周りの大人をこもらせた記憶があるもん!
他は『魔法が使えるようになりたい』とかかな~……… 魔法? そうだ!
「空が飛びたい!」
男の子ぽい願いだけど、女の子も憧れるもの。そもそも飛行魔法は全員が覚えられるわけじゃなくて、私みたいに元の魔力が絶望的な人とか、体質的に無理な人がいる。と言うか、飛べない人が殆ど。たしかお父さんも飛べなかったはず。
「やっぱダメだよね」
そもそもこの巨人がそれを飛べるかどうかも分からない。この巨人に出来ない事は叶えようにないよね…
「………………」
下を向く私に巨人はゆっくりと手のひらを近づけてくる。それはまるで乗れと言っているかのように。
「良いの?」
私の質問に巨人は嫌な顔一つせずにうなずいた(表情変わってるかどうか分からないけど)。
私が手のひらに乗ったことを確認した巨人はゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと飛びあがった!
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1分弱の空の旅を終え、巨人と出会った場所に戻って来た。
「ありがとう、巨人さん!」
お礼を言うと巨人さんはゆっくりとしゃがんで私の目を見てくる。
「_______」
「ウルトラマン、ゼット? ……巨人さんの名前?」
頷く巨人、ゼットさん。向こうが自己紹介したから、返すのが礼儀だったよね!
「私はアリシア。アリシア・テスタロッサ!」
「____!」ピコン!ピコン!
自己紹介が終わった後、ゼットさんの胸の宝石が赤色に点滅をはじめ、点滅に合わせて音が鳴り響く。すると片手を地面に置き少し苦しそうになったゼットさん。確かお母さんが『赤の色の点滅は危険信号』って言ってたよな……… っは!
「もしかして、私が飛びたいって言ったから?」
首を左右に振り、私の言葉を否定するとゼットさんは話してくれた。
・悪いことを考えている人達がいる事
・戦うにもこの星では3分くらいしか肉体を保てない事
・昨日の戦いでこの星で過ごすために最適な状態へ擬態できなくなった事
・私さえよければ、戦うために力を貸してほしいと
『命を落とすかもしれない頼み事だから、嫌って言っていい』と最後に付け足して、私の返事を静かに待つゼットさん。
「……………分かった! やるよ、私」
「デュア」
私の言葉に力強くうなずいたゼットさんは、光に変わって私の中に入っている。とっても暖かくて優しい光。私と一つになっているのが分かるけど、苦になってなくて、むしろここまでの疲労が消えるように感じるよ!
こうして私は、宇宙の平和を守る光の巨人と一心同体となって私の知らない世界を飛ぶ。そして私とゼットさんの初めての戦いはすぐそこまで迫っていたことなど、思ってもいなかった。
>ウルトラマンゼット(最後の勇者?)
前回は5000年近く生きていたゼットの性格が表に出ていたが、時間がたつにつれて前世の性格が表に出て始めた。なお彼はこの後、掲示板に事後報告しに行って、スレ民に怒られた模様。
>アリシア・テスタロッサ
「魔法少女リリカルなのは」に登場する悲劇の少女。本来辿る運命を無邪気と好奇心でブレイクした人。魔法が文明の基盤となっている惑星「ミッドチルダ」が出身。