あれからなんやかんやあったが、白上さんとのオーズ完成披露舞台挨拶は問題なく進んでいった。
それにしても実に有意義な時間であった。いうか生の渡部さんや三浦さんをこの目にした時は何回心臓が止まりそうになったかわからなかった。
渡部さんのキャラなんてまんま映司だった。まさにオーズになるべくしてなったと感じたし、三浦さんもめっちゃくちゃイケメンだった。昔セイザーXで純粋な性格のケインを演じてた頃からは想像もできないくらい色っぽかった。
残念だが本編の内容はネタバレのため語れないが、オーズファンなら必ず見るべき神作品であることは保証したい。白上さんも尊すぎて凄い泣いてたし。
映画本編を見終えた後、白上さんとはそこでお別れかと思ったが、何故かゲーセンやらショッピングやらに付き合わされた。いや、別に嫌じゃないし楽しかったよ?でも、スキャンダルになるのではないかという不安で頭がいっぱいだった。
だってもしファンに知られたら文春砲どころか文春レースガンぶっ放される案件なんだよ!
『あの……章二さん……私……うぅ……やっぱりなんでもないです…!』
別れ際に白上さんが何か言いたそうだったが、結局なんなのかは教えてくれなかった。
でもいつかは教えてくれるだろう。
でも白上さんには本当に感謝している。白上さんを始め、ホロメンの皆さんは俺が特撮好きでも全然気にしないと言ってくれた。
その時初めて、自分らしさを曝け出してもいいんだとわかり、思わず涙ぐんでしまった。
それ以降俺は特撮ファンであること隠すのをやめた。今俺のデスクにはフルボトルやらセンタイギアなど、家から持ってきた特撮の小物で溢れている。
「自分の価値は自分でーきーめーるものさー」
今日もオーズのOPを歌いながら、元気に仕事に取り掛かっていた。
すると後ろからロングヘアーで赤いリボンを着けている少女に声をかけられる。
「章二くんおはよう!」
「ときのさん、収録お疲れ様です」
彼女はときのそら。ホロライブに所属するアイドルの1人で、Vtuber黎明期にホロライブを支えてきたまさにトップアイドル。
元気かつ優しい物腰がなんとも魅力的であり、色々と個性的な人が増えてきたホロメンにおいて清純というポジションを保ち続けている。
彼女の優しさにはどれだけ心を癒されてことだろう。
でもAちゃんではなく、俺に声をかけるなんて珍しい。
「実は章二くんにお願いがあって…」
「はい?」
お願い?なんだろ?
「私も仮面ライダーが見てみたくて、何かおすすめがあったら教えて欲しいなぁって」
「マジですか!?」
俺が特撮好きと知られてから、特撮を見るようになったホロメンが増えたのは知っていた。
でもまさかときのさんまで特撮に手を出そうとしてるなんて思っていたかった。
「うん。最近みんながハマってるから、私も興味が湧いてきちゃって」
おぉ…なんて光栄なことだろう……そういうことなら喜んでおすすめの作品を紹介しなければ!
「初心者にならやっぱダブルかオーズがおすすめだよな……いやでも、ホラーが得意なときのさんになら、アマゾンズとかがいいのかな……」
「アマゾンズ?」
「これなんですけど」
ネットから探した画像をときのさんに見せる。
画像に映るの赤いピラニアと緑のトカゲのライダー。
仮面ライダーアマゾンズは、第4作目にして、昭和ライダー屈指の異色作である『仮面ライダーアマゾン』をリブートした作品。
作風としてはかなり陰惨かつ、カニバリズムを始めとするグロ描写が色濃く描かれている。
戦闘シーンでも、今のニチアサでは到底流せないような流血シーンや怪人の四肢が捥がれたり切り裂かれたりしてバラバラになるシーンなんかが、これでもかというほど盛り込まれている。一部からは仮面ライダー版ウォーキング・デッドと称されるほどの、ある意味伝説的な作品だ。
正直これはかなり人を選ぶ作品で、初心者にはあまりおすすめできないのだが、どうだろうか…?
「へぇ……仮面ライダーって子供向けだと思ってたけど、こんな作品もあるんだ」
「これは完全に大人向けですね。ぶっちゃけ初心者がいきなりこれを観るってのはかなり抵抗あると思うんですけど、どうしますか?」
「うん!せっかく章二さんが勧めてくれたし、これにしようかな!」
よかった。まあホラーゲームでもほとんど動じないときのさんなら
「ねぇ、せっかくだから一緒に観ない?仕事もそろそろ終わるよね?」
「いいですよ。ちょうど見返したいと思ってましたし」
という訳で、再び事務所の一室を借りての鑑賞会が始まった。
アマプラをテレビに接続してっと、これでよし。
「しつこいかもしれませんけど、本当にショッキングなシーンが多いですよ?いいですか?」
「わくわく♪わくわく♪」
「いいみたいですね、じゃあスタート!」
『俺はアマゾンになる前から自分で殺したものしか喰わない』
『何も傷つけず自分の手も穢さない。優しい生き方だけどなぁ…なーんの役にも立たないんだなぁ…』
『ALPHA』
『生きるってことは、他の誰かの命を喰らうってことだ!』
『この部屋は、僕の水槽ってことかな』
『僕はなんなの!?人を喰う怪物!?』
『OMEGA』
『僕は人間だぁぁぁぁぁ!!!』
『イユ…。俺がお前の痛みになれたら…』
『俺は、生きたい!生きたいんだ!!』
『なんで……俺達は生きてちゃダメなんだ!?』
『俺は最後まで生きるよ』
『NEO』
『アマゾンッ!!』
「どうでした?」
「うん……すごく面白かったよ。なんていうか、生きることの意味っていうのを色々考えちゃった」
アマゾンズはグロいシーンや救いのない展開がこれでもかというほど多い。だからこそ、命についての価値観や、互いを理解することの難しさ、自分らしく生きるということがどういうことなのかなどを知ることができる、紛れもない名作と言えるだろう。
「楽しんでもらえてなによりです」
「あ、そうだ!せっかくだから次の歌枠でアマゾンズの主題歌歌っちゃおうかな〜?」
「えぇ!?」
ときのさんが歌うArmour ZoneやDIE SET DOWN!?なにそれ超聴きたいんだけど!?
「それ本当に!?俺絶対聴きますよ!!」
「うん!楽しみにしててね!」
後日、ときのさんが歌枠で熱唱したアマゾンズはファンの困惑を誘うと同時に、特撮ファンからは歓喜の声が上がり、多くのスパチャが投げられたという。
今回はそらちゃんとのアマゾンズ鑑賞回でした。
最初はTHE FIRSTにしようかと悩みましたが、よりホラー要素の強いアマゾンズに決定しました。
次回は、あの子の話を投稿しようと思います。本作での彼女の在り方を決めたいと思います。