北の超特急、三門市行き   作:あきた百瀬

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※捏造設定しか出てきません。


5.

 

あれ?と奈帆は模擬戦中、しかも攻撃手である笹森の前でピタリと固まった。距離を取りたいのに伝達系統がまるで強制的にシャットダウンされたように脚に指令が届かない。

そんな大きな隙が見逃されるはずなく、笹森の孤月に一閃された奈帆の戦闘体はピシピシとヒビ割れし機械音が緊急離脱を告げた。

 

 

「うーん、逃げ切るかと思ったんだけどなーどうしたんだろ?」

 

「カメレオン初めて見たんじゃないですか?初見だとあれ反応難しいですよ」

 

 

カメレオンで接近した笹森は孤月の間合いギリギリで解除した。観戦中だった辻は犬飼と同じく「ああ、早すぎる逃げられるぞ」と後輩のミスを嘆いた。今までの奈帆の動きなら笹森が孤月を振るうより先に間合いから逃れられると思ったのだが…意外なことに奈帆は動揺したのか笹森を視認すると硬直した。

 

 

「あの子攻撃手との戦闘初めてだから慌てちゃったのかも」

 

「うーん、動揺したのとはちょっと違う感じに見えたんだけどな」

 

 

まあ、笹森の大金星には変わりない。少なくともこの戦闘での働きを見る限り奈帆ちゃんの実力はA級レベルに合わせても問題ない。姉弟子の鳩原と比べると射程が物足りないがずば抜けた機動力を活かしたヒット&アウェイ戦法はランク戦でも厄介そうだし、視野が広く目もいいのか索敵も上手いので銃手や攻撃手に追われても追いつかれる前に持ち前の機動力で振り切れる。

A級嵐山隊の時枝と佐鳥の2人と東隊の2人に奈帆と笹森、中学校が同じらしい6人が始めた模擬戦。二宮隊のミーティングまで観戦しない?と提案した犬飼に可愛がっている後輩と妹弟子が出る辻と鳩原は二つ返事で「観戦したい」と答えた。

女子が苦手な辻とあがり症で人見知りの氷見は未だにロクに会話が出来ない。隊長の二宮が大学の授業を終えて本部に来るまで1時間近くある待っている間、二宮隊の何もない整理整頓された隊室に籠るより映画じゃないけども何か見てた方が気が楽だろうという気遣いで内容に別段興味があって提案したわけではなかったが噂の新人である奈帆ちゃんが見れたのは予想外の収穫だった。

戦闘スタイルは戦ってくれない限り知りようが無い。ランク戦にも狙撃手というポジションから個人戦にも出てない奈帆ちゃんの正確な実力と戦闘スタイルをランク戦開始前に知れたのは大きい。あの機動力を知らずにいたら迂闊に取りに行って振り切られるか最悪返り討ちにされていてもおかしくない。

 

 

「奈帆ちゃんやっぱり太刀川隊に行くっぽい?」

 

「聞いてないけどランク戦開始まではこのままじゃないかな?東さんは経験積ませたいみたい」

 

「まあ、太刀川隊に入れたら毎日ランク戦だもんねえ」

 

 

こっちとしては手の内を出せるだけ出して欲しいので早いとこ太刀川隊に行って戦闘記録を生産して欲しいが東さんの指示となると鳩原の言う通り来季のランク戦までは残念ながら現状通りB級ソロの狙撃手だと思われる。

太刀川さんならともかく東さんは秘蔵っ子を簡単にお披露目してくれる気は無さそうだ。

 

 

「でも、犬飼先輩の言う通り最後ちょっと不思議でしたね」

 

 

急に動けなくなったみたいでした。という氷見ちゃんの言葉に奈帆ちゃんが落とされた状況を思い出してみる。落とされる直前、距離を取る為か反転しようとしていたように見えた、だから機動力的に追いつけない笹森くんは一か八か間合いギリギリで攻撃に移るしかなかったのだ。

しかし、賭けの勝者は犬飼が見る限りでは奈帆で辻も同じ意見だった。

ところが奈帆は笹森の姿を視認した途端に反転直前の姿勢で硬直してしまった。時枝を落とした際その機動力は最初から最後まで凄まじく、援護してきた佐鳥の狙撃をシールドも使わずに躱していたのにだ。

辻や鳩原の言うようにカメレオンに動揺するなら、そもそも不意打ちの狙撃にも動揺しそうなものだが…。

 

 

「普通に考えたら辻ちゃんや鳩原ちゃんの言う通りカメレオンに動揺したんだと思うけど、見た感じ心臓強そうだし動揺で動けなくなる子ではなさそうなんだよな」

 

「たしかに臆病な感じはないですね、物怖じしないというか」

 

「時枝くん落としに行く時に射程入れるためとはいえ突っ込んで行けるのに、攻撃手に寄られただけでビビるとは思わないんだよね実際あの機動力なら逃げ切れるはずだし」

 

「たしかに絶対不意をついたはずって狙撃も躱してましたね」

 

「佐鳥くんのね、あれどうやって反応したんだろ?ほぼ死角なのに」

 

「多分スコープの反射、あそこちょうど日が当たるから」

 

 

反応出来ないことは無いと思うよ、と簡単に言ってくれているが反射光が見えたところで普通は撃たれることは分かってもそこから完全に躱すのは無理だ、シールド貼るのが限界だろう。さらにほぼ死角といえる真横からの狙撃。

どんな、反射神経と視野なんだ…。

 

 

「当たる時は2人がかりだね、1人だと寄り切る前に逃げられちゃいそう」

 

「…俺ら多分振り切られますよ」

 

「そこは頑張ろう」

 

 

そろそろ、二宮さんも本部に着く頃だ。

来季のランク戦に向けて対策も建てないといけない時期だ。あの華奢な少女をどうやって攻略しようかな?と考えながら犬飼は仲間達と整理整頓された二宮隊の隊室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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