北の超特急、三門市行き   作:あきた百瀬

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7.

「わーい今ちゃんのお菓子だ!」

 

「ここお茶どこですか?」

 

「分かりにくいから俺やるよ、奈帆ちゃんは座ってな」

 

 

奈帆はあまり気にしていなかったが村上は違った。同級生で従姉妹の柚宇に怖がらせてしまったので謝罪したいと伝えると「別に奈帆ちゃん気にしてないと思うけど、太刀川隊の隊室に呼んでおくね」と快く場をセッティングしてくれた。

事の顛末を聞いた太刀川は「村上情熱的だな」と笑い飛ばした。太刀川同様「気にしてないのに」と奈帆も少し困ったように笑っている。眉が下がっているせいかこういう笑い方をすると柚宇と奈帆は姉妹のように見えた。

鈴鳴支部は几帳面でしっかり者の今の目が行き届いていることもあり、隊室も共用部分も整然としているが太刀川隊の隊室は物が溢れ雑然とした生活感がある。お茶淹れましょうか?と言った奈帆を出水が止めたのは区切りがよく分からない空間を奈帆がまだ把握できてないからだろう。

意外だな、と村上は思った。柚宇の従姉妹でスカウトしてきたのが太刀川さんということもあって支部所属の村上も奈帆が太刀川隊に行くという話は知っていた。

太刀川隊の隊室に呼ばれたというのもあって、てっきり、もう馴染んでいるものかと思っていたがあまり出入りしている様子は見られない。

不思議だな。と今や来馬と帰宅後支部で話していたのだが…。

 

 

「そこは奈帆ちゃんじゃん!!!!」

 

「辛辣だね」

 

「奈帆とスポンサーの息子だか知らないがペーぺーじゃたしかに違うな、実力が」

 

 

国近先輩こと柚宇が教室で吠える程度には衝撃的な展開だった。太刀川隊に新しく加入したのは国近後輩こと奈帆ではなくスポンサーの息子だという新入隊員の唯我だったからだ。

まあ、仲の良い従姉妹ではなくてもちゃんとA級レベルの奈帆と入りたてでギリギリ昇格の唯我なら奈帆の方が絶対良いだろう。

影浦ですら「あれじゃ弱体化だな」と言及したくらいだ。烏丸が玉狛に行き、射程は若干短いが高精度の狙撃と機動力を持った奈帆を逃したのは太刀川隊にとって痛すぎる。

 

 

「これってリストラっていうの?」

 

「内定取消の方が近そうだな」

 

 

人気のない別棟の第2音楽室前の階段で奈帆と烏丸は並んで昼を食べていた。奈帆は夕飯の残りであるカボチャサラダを8枚切りの薄いトーストに挟んだサンドイッチ、烏丸は卵焼きが美味しそうなお弁当だ。

太刀川隊への加入が無くなったということで烏丸は奈帆がショックを受けていないか心配していたがそこまで気にしてる様子はない、玉狛に異動することになった烏丸に気を遣っているのかもしれないがB級での期間も伸びてきたので薄々察していたのかもしれない。

お互いそれなりにショックはあるにせよ呑気に構えていられるのは進路に困るような腕ではないからだ。烏丸はA級部隊へのスライドたし、奈帆の狙撃の腕ならA級やB級上位のチームから声がかかるはずだ。

 

 

 

「出水先輩は加古隊がいいんじゃないかってA級だし、それか東さんのところ」

 

「狙撃手2枚か…」

 

「だいぶ尖った編成になるよね…銃手か射手に転向しようかな」

 

「なら狙撃手でマスターになってからの方がいいぞ、スタートが楽だ」

 

「なるほど」

 

 

出水先輩からポジション転向するなら面倒も見ると言われたので一応意識はしてみたが烏丸の言う通り狙撃手としてポイントを獲得するのを優先した方が良さそうだ。

奈帆の狙撃手としての個人ポイントはランク戦に出ていないこともあり伸びは芳しく無いが、訓練成績とソロでの任務もあってあと数ヶ月頑張ればマスターに近づけるところまで来ている。狙撃手としてどこかの部隊に所属してポイントを稼ぐ方が良さそうとなると師匠で同じ狙撃手の東隊より他に狙撃手のいない隊に入れてもらった方がポイント稼ぐには近道に思える。

しかし、世の中そう都合よくいくものなんだろうか…。

 

 

 

 




早く櫻葉隊に押し込んでランク戦まで行きたいのに進みません…
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