北の超特急、三門市行き   作:あきた百瀬

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8.

 

 

「思い出せないよ〜」

 

「相手が覚えてたらダルい奴だ」

 

 

記憶よ蘇れ〜と悪あがきなのか教室でぴょんぴょん跳ねている奈帆が言うには櫻葉隊のオペレーターである風早先輩にボーダー以外で会ったことがあるらしいがどうにも思い出せないらしい。

かといって入隊時期が同じなだけでポジションも学年も違う風早先輩について知っていることなど俺もない。

まあ、可哀想だし加賀美先輩にでも聞いておくよと伝えたのだが

 

 

「風早ちゃん?うーん私もよく知らないなあ、荒船くん学校一緒でしょ?なんか知らない?」

 

「学年違うし俺も辻と同じクラスってことくらいしか…あ、たしかスポーツテストの成績が良いって言われてたからそれじゃねえか?元運動部同士なら大会とかですれ違ったじゃね?」

 

「それじゃない?」

 

「たしかにありえそうっすね」

 

「早かったな、解決」

 

 

運動部に入ったことないので詳しくは無いが大会ならそれなりに人がいるだろうし、話をしなかったとかで印象が薄かったんだろう。

この推理が正しかった場合、教室で跳ね回ったり頭を叩いたり右往左往していた奈帆には悪いがそんなに気にするような話でも無かったように思える。

 

 

「でも、意外だな〜風早ちゃんが運動神経良いの」

 

「奈帆も走るのは早いが結構鈍臭いとこあるからな、比例しないんだろ」

 

「人間向き不向きがあんのは太刀川さんが証明してんだろ」

 

「「…たしかに」」

 

「分かりやすいな、すごく」

 

 

奈帆も穂苅先輩の言う通り走る時以外はわりとボケッとしてるし、風早先輩もそのタイプなんだろう。

 

 

「風早先輩?!」

 

「あら、木虎ちゃん」

 

 

懐かしい顔に木虎は驚いた。進級と共に校舎から忽然と消えた数少ない尊敬できる先輩がそこにいた。最後の試合結果が良くなかったのか卒業前に酷く憔悴していたので元気そうな様子に安心する。

 

 

「風早先輩がなんでボーダーに?」

 

「陸上辞めちゃったから…トリオンが足りなくてオペレーターなんだけどね」

 

「陸上を…!?」

 

 

生徒会と部活動、それも部活動である陸上では全国レベルを両立していた先輩がまさか陸上を辞めているとは…。

てっきり陸上に本格的に打ち込むために県外の高校に進学したのだと思っていたが話を聞いてみれば進学したのは同じく三門市内の六頴館だというから驚きだ。

一体何があってあそこまで打ち込んでいた陸上を辞めて前線には出ないとは言えボーダーに来たのか、木虎は静かに微笑む風早に聴くことが出来ずに見送った。

 

 

 

 

風早亜矢

櫻葉隊オペレーター。辻ちゃんと同級生だが会話したことはない。

お嬢様学校の中等部から六頴館に進学した、数少ない木虎が素直に尊敬する先輩だった。元陸上部なので帰宅部だが運動神経は良い。

 

 

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