進撃のウマ娘 作:ガバ・ブラウン管
オレにとっては懐かしい街の喧騒が聞こえる。ここは…マーレか?やはりオレは夢を見ていたようだ。だが、楽しい夢だった。久しぶりにエレンと話せた気がする。
あぁ、戻れるものなら戻りたい。
「ライナー、お前のせいだ」
は?いきなりどういう事だ。ベルトルト…
「ライナー、お前のせいだ」
マルセル?何で…
「ライナー、君のせいだ」
マルコ…そうか、オレが…オレが全部…
「ブラウン副長のせいで俺は死んだ」
「ライナーのせいで死んだ」
「ブラウン副長が守れなかったから死んだ」
もう、もう辞めてくれ…!
「きて、起きてよー!ライナー!」
「うわぁぁぁっ!?はっ、こ、ここは…オレは一体…」
目の前にはテイオーの美少女顔が不満げな顔でオレを覗いていた。大声でビックリさせたか?
「すっごい魘されてるっていうからボクが助けに来てあげたのにー!いきなり叫ぶなんて、どんな夢見てたのさー!」
「あぁ、すまないテイオー…ただ、考えたくも無い未来や過去を見ていただけだ。気にしないでくれ」
「ふぅーん。ボクの事忘れてたくせに、昔の事は覚えてるんだねっ!ふーんだ!」
しまった、余計な事を言ってしまった。こういう時、アイツらなら適当にあしらって終わりなんだが、テイオーは違うよな。
「悪かったって、この通りだ。さぁ、トレーニングとやらに行こうぜ。トレーナーが待ってる」
「ン?今日は違うよ。今日はチーム選考の選抜レース!」
「へぇ、そりゃ大変だな。頑張れよテイオー」
「何言ってんのさー!ライナーとエレンも出るんだよ?」
「は?お前、何で…あぁクソ、そう言うことかよ。オレの記憶が無いところで出る事になってたのか」
「さ、行こっ!エレンもまだ寝てるかもしれないし、起こしに行こうよ!」
「あぁ……そうだな、実質訓練兵のようなものか(ボソッ)」
「なんか言った?」
「いいや、何でもない。行こうか、テイオー」
そうして、オレたちはエレンを起こしレース場に向かった。芝の上は何故だか気分が上がる。今すぐにでも走り出したい気分だ。
「良いか皆の衆!このレースでは、お前たちの大事な大事なチームや担当トレーナーを決めるための極めて重要なレースだ!くれぐれも手は抜かないように!」
「「はっ!」」
おっと、エレンとオレが訓練兵時代の癖でつい教官らしい人に敬礼をしてしまった。
「……やる気があるのは結構だが、そのポーズはやめておけ。要らん誤解を招きかねんぞ」
何?心臓を捧げるポーズはしてはいけないのか。驚いたな。
さて、そうこうしているうちに出走らしい。オレは7番のゼッケンを配られた。エレンは6番、つまり隣だ。隣がエレンだったので、チラリと横を見るとエレンもコチラを向いていた。
「よぉ、エレン。前みたいには行かんぞ」
「言ってろライナー。俺は勝つからな」
「見てろよ…?」
今か今かとゲートが開くのを待つ。大丈夫、レースのルールは昨日覚えた。オレはドベにはならないぞ。
「出走準備整いました…レース、初めッ!」
ゲートが開く。出遅れてなるものかっ!
「うおおおおっ!どけっ!オレはマーレの戦士、ライナー・ブラウンだぁぁぁぁっ!」
あっという間に先頭に躍り出る。出だしは順調だ、あとはこの距離を維持するだけ!
「くっ、させない!」
「逃げ!?くそっ!」
「お前は馬鹿すぐる。あんなに飛びしたら疲れるのは自明が理」
「やるなライナーっ!」
後ろから他のウマ娘達の声が聞こえる。行ける。
「このまま逃げ切ってやるっ!うおおおおおっ!」
「そうはさせないよーっ!ボクが居るからね!」
「テイオーか!くっ、速い!?」
突如、後ろで閃光が起こった気がした。エレンが巨人化したか!
「ウォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
「負けるかぁぁぁぁっ!」
オレもすかさず腕を噛み切り、巨人化する。
瞬時に傷は治り、速度のギアが上がる。
「ッ!本気を出したね二人とも!でも、絶対は…ボクだぁぁっ!はぁぁぁぁぁっ!」
エレンとテイオーが横に並ぶ。まずい、抜かれる。くそっ、アイツらに負けたくない!思い出せ、何か、何かないか!?
そうだ!もう一度スタートすれば良い!パラディ島で兵士としてやり直したオレだからこそ出来る技だ!
脚を一度溜め、鋭く蹴るっ!やった、抜かせた!
「負けないよっ!」
「ウォオオオオオオオオオッ!」
「ぐっ、ガァァァァァッ!」
苦しくはない。もっと、ギアを上げろ…!
「止まれシンゲキエレン、トウカイテイオー、ヨロイライナーッ!既にゴール済みだ!」
「ウォオオオオオオオオオッ………あ"!?」
「グォァァアアアアアッ!……んな!?」
「負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!……へっ!?」
「全く…貴様らのスタミナは無限か!?早くターフを出ろ!トレーナー陣がお待ちだ、急げ!」
「「「はいっ!」」」
レース場を抜けると、そこには人だかりが出来ていた。
「一着のトウカイテイオーさん、俺と夢を掴まないか!?」「トウカイテイオー、私と一緒に夢を掴みましょう!」「トウカイテイオー!私は.」「トウカイテイオーっ!僕は…」
「オイ、あんたら。少し迫りすぎだ。テイオーが怖がったらどうする?」
もの凄い人数がテイオーに迫っていた物だから、オレは思わずテイオーを庇ってしまった。だが、普通の人間ならそうするだろう。
「ライナーの言う通りだ。お前らすこしやり過ぎだ。少しは控えろ」
エレンもオレに加勢する。とりあえず、テイオーはここから離さなくちゃな。
「行くぞテイオー。一度寮に戻ろう、エレンはどうする?」
「俺も寮に戻ろう。寮まで俺たちで護衛しよう。少なくとも、巨人化の力とウマ娘の膂力なら並大抵の人間は瞬殺だろ」
「それもそうだな。よし、行くぞテイオー」
「う、うん…///かっこいいなぁ…(ボソッ)」
オレたちはテイオーを栗東寮に帰した。途中、しつこいトレーナーがいたから蹴り飛ばしておいた。ありゃ死んだな。今のオレたちの蹴りはアニの蹴りに匹敵するレベルでやばいからな。
「さぁ、ついたぞテイオー。エレンはこの後どうする?」
「俺は部屋に戻るとする。テイオーを頼んだぞ」
「あぁ、オレは誰かを守る事に関しちゃ一人前なんだ」
「そうか」
そう言ってエレンは美浦寮に帰って行った。
「そういやテイオー。一つ聞きたいんだが良いか?」
「うぅ…なぁに?ボクに答えられる事なら何でも答えちゃうぞ!」
「テイオー、お前の夢って何だ?」
「そりゃあ勿論!カイチョーみたいになる事!具体的には〜、まず無敗の三冠ウマ娘になる事!でもちょっと不安かも。だってライナーとエレンがライバルならいつまで余裕でいられるかわかんないもん!」
「何言ってるんだ。お前は無敗の三冠ウマ娘になるんだろ?お前ならやれる」
あの日夕日の中でエレンに言った言葉をテイオーにも言う。だが、今は状況が違う。エレンやテイオーとは殺し合い、憎み合う必要は無いんだ。
「えへへ、ありがと!じゃあさ、ライナーの夢って何なの?」
「オレの夢か…そうだな、まだレースについて詳しくは無いが…もう、負けたくは無いな。オレは今まで負け続きだからな。テイオー、お前にもいつか勝ってみたいもんだ」
「フフン!待ってるからね!絶対だよ!約束!」
「あぁ。絶対、な」
今からでもその時が楽しみだ。その為にはまず、オレ自身が強くならないとな!訓練、頑張ろう!
なお未来