Jホラー界不動のヒロインにTS転生してしまったらしい 作:peve
登場人物が増えます。
この小説にオリキャラを出す予定は、今のところありません。
力の1号、技の2号。
日本で一番有名と言っても過言ではない怨霊、山村貞子に転生した私だが、前世の自分は成人男性である。
遺伝子上はともかく、見た目はただの女児である──つやつやの黒髪を活動的にくくり上げた、輝くおめめの活発系美少女だと自負しているが──とはいえ、考え方、感じ方。判断の基準。そういった部分は、子供らしい振る舞いに務めてなお、男性としての記憶が強く出ているようだった。
つまり何があったかというと。
町の子供たちと夕方まで遊び回った挙げ句、やれ拾った棒が俺のだの、あいつがじゃんけんで遅出ししただの、(私から見れば)些細なきっかけで始まった男子たちの大喧嘩をこぶしで仲裁し、当然
今日は海辺に近寄らないようにしたんだけどなあ。
と、少しばかり反抗的なことを思いながらも、母のため息に込められた感情を読み取った私は頬を緩ませていた。
『こんなことで、この子、無事に
そんな、純粋な気遣いと心配に包まれた母の思念。
それはさておき。
話を戻すと。
私の性自認は、男性の記憶があるにも関わらず、女性である。
女性というか、普通に女の子である。
男の子のかっこうをしたいとも思わないし、ニチアサの放送が始まっている時代であれば特撮よりもプリキュアを見るはずだ。それは前世でも見てたけど。
ただ、男性と恋愛が出来るかというと、それはわからない。
私──貞子の通るルートによっては、上京し入団した劇団に所属する男性と真心からの恋に落ちたりとか、療養中の天然痘キャリアの男性に体を暴かれたりといった出来事が起こりうる。
しかしそういったセクシャルな──予見される──出来事に対し、どうも私の心は好悪どちらにも動かないのだ。
9歳の身体に引っ張られているのだろうか。現実感がないというかなんというか。
だからといって、前世の記憶に引っ張られて女性が恋愛の対象になるかというと、それもまた無さそうな気がしている。
同じ年ごろの女の子の裸体など何度も見る機会はあったが、特段、興味が湧くといったことはなかった。
これについては断言する。
蝶よ花よ……というにはいささか殺伐とした時期もあったが、女の子として育てられた私は、前世が男性だろうと、今世の女児の裸には欲情しない。
ゆえに。
だから。
放り込まれたお風呂場の
しっとりと垂れ、水面に浮かぶ髪の向こうからは、興奮するどころか。
むしろ反射的な恐怖しか感じるものはなかったのである。
「あ……なんでいるの、あなた」
動揺を隠す意味はないと知っているので、取り繕うことなく声を上げる。
すると、浴槽の少女は心外だというふうに片方の眉を上げ、遠慮を滲ませた上目遣いをしてこう言うのだった。
「帰ってくるの、わかったから。いっしょに入ろうと思って。……おねえちゃん」
初投稿、大好きな原作ということで、感触がとても気になります。
よかったら、評価、そして感想、ご意見をぜひ、よろしくおねがいします。
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