デート・ア・ライブ~真理亜デストラクション~   作:Kyontyu

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第八話

「少年と試練」

 

「お、おい。これはどういうことだよ!」

 思わず士道は叫んだ。

『ん? 侵入者撃退用ソフトウェア(嘘)が勝手に動き出したみたいだな。わたしにはどうすることも出来ないから、まぁ、頑張ってくれ』

 次々と隊員たちが集まって来て、こちらに銃を向けて来る。

『逃げなくていいのか?』

「逃げるに決まってるだろうがッ! 行くぞ、四糸乃!」

「は、はい!」

 士道は四糸乃の手を引いて駆け出した。

『あっ、待て!』

 隊員たちが次々と躊躇なく引き金を引いて発砲し始める。

「クソッ!」

 士道は路地に隠れる。少し顔を出して見ると銃弾がすぐ近くの塀に当って、塀の一部が欠ける。

「恵美、どうにかできないのか!?」

 すると、フゥ、と息を吐く音が聞こえた。

『……しょうがないな。じゃあそこにあるサンダルを取ってくれ』

「ん? これか?」

 士道は路地の真ん中辺りに落ちていたサンダルを拾う。何故か裏は携帯電話のようになっている。

『そうそれ。それは『さんだるフォン』だ』

「さ、さんだるフォン?」士道は素っ頓狂な声をあげる。

『まぁ百聞は一見に如かずとも言うし、010と入力して、通話キーを押してくれ』

「0、1、0、と……これでいいのか?」

『ああ』

 と、士道の身体が光り始めた。

「おお! なんだこれは!」

 光が収まるとなんだか胴の方に違和感。四糸乃は唖然となっている。

「士道さん、お、お、女の子だったんですか……?」

『いやー、これはビックリだねー』それに同意するようによしのんがコクコクと頷く。

「え? 嘘……」

 声もなんだか高いような気がする。しかもこの声は聞き覚えがあった。

「まさか……四糸乃、鏡あるか?」

「え……あ、はい」ごそごそとポーチを探って鏡を取り出す。

 そして、自分を見てみると……

 夜色の長い髪、水晶の瞳、これは間違いなく十香だった。しかも何故か霊装を纏っている。

「恵美、これはなんだ……?」

『それは十香のアバターだ。いやーこれのデータ集めるの大変だったんだぞ。AST、SSS、DEMに〈ラタトスク〉の所有するデータを掻き集めたんだからな。一応天使も出せるぞ。さぁ、思いっきり行ってこい』

 士道は路地から出る前に、四糸乃の方を向いた。

「四糸乃、一ついいか」

「あ、はい」

「俺は男だからな」

「………」

 士道は再び道路に出る。と、同時にASTの銃弾が襲ってくる。

 確かに、怖い。だが、それに勝るものが胸の中にある。

「四糸乃を、かならず助ける! 来い、〈鏖殺公(サンダルフォン)〉!」

 すると士道の前に豪奢な玉座が現れた。そして士道は背もたれにある剣を引き抜く。

「……逃げるぞ! 四糸乃!」

 士道は路地に戻って四糸乃を抱えて跳んだ。

 今なら、飛べる。

 士道は滑空するように空を駆ける。ASTたちがそれを追うようについてくるが、士道は攻撃せず、飛んできた銃弾を弾くことに集中する。

『士ー道ー、生きてるかー』

「……ま、まぁ、なんとかな」

『今、目的地に霊波を遮断する結界を作ったから、そこに逃げ込めばセーフだ。だがな、四糸乃、だっけ? その娘の精神状態が悪化しつつあるんだ。完全に悪くなれば救出は不可能だ。だから時間が無い。急いでくれ』

 士道は少し悩んだあと、答えを決めた。

「……四糸乃、つかまってろよ!」

「え――」

 そして急加速、ものすごいGが体にかかるが、今の体なら問題は無い。目指すは丘の上の公園。

 うっすらと汗が滲む。

 本当に、大丈夫なのだろうか……? いや、悩んでるヒマは無い。ただ――

「――突っっっっっ込めェェェェェェェ!」

 衝撃とともに砂埃が舞い上がった。

 と、急な脱力感が体を襲う。どうやら、十香のアバターが解除されたらしい。感覚で分かった。

「大丈夫か……四糸乃?」

 そして士道はけほっ、けほっと咳き込んだ。

「は、はい、大丈夫です」

 四糸乃はよろよろと立ち上がり、埃を払う。

「そうか、良かった」

 士道は安心したようにどっかりと座りこんだ。四糸乃は寄り添うように隣に座った。

 空はすっかりオレンジ色になってしまっていた。

「……わたし、一度士道さんにお会いしたことがあるんです」

「……みたいだな」

「でも、わたし、その後すぐ死んじゃったんです」

「え?」驚いた士道は四糸乃の方を見る。

「その時、分かったんです。『わたしを助けてくれるのはこの人だけだ』って」

「四糸乃……」

 と、不意に四糸乃の顔が目前に迫った、と思うと、唇が重なった。

「……!」

 と、視界がぐらぐらし始める。世界がごちゃまぜになって、青い海を渡り、深い混沌(カオス)に落ちる。しかもそれが永遠に続き……

 

「うわっ!」士道は跳ね起きる。

「やぁ、士道、成功だ」

 私は士道に手を振った。

「四糸乃は!?」

「大丈夫だ。今、再生成に入ってる」

「そうか……うわっぷ」士道は口を押さえる。

「……頼むから、ここで吐くなよ」

 士道は苦い胆汁を飲みこんで胃に戻した。

「あ、ああ……それよりも、ここは……?」

 士道は周りを見渡す。部屋は薄暗く、殺風景だ。

「ここは……軟禁室みたいなところかな。士道が途中で暴れ出す危険性もあったし」

「……マジかよ」

「じゃ、ゆっくり休めよ」わたしは部屋の外に出て、鍵を掛ける。

「ああ、分かった。……って――」

 

「――ここから出せよ!」




キリのいい所で終わらせようと思ったら……短くなってしまいました。
感想、コメント、待ってます。
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