デート・ア・ライブ~真理亜デストラクション~ 作:Kyontyu
「少年と試練」
「お、おい。これはどういうことだよ!」
思わず士道は叫んだ。
『ん? 侵入者撃退用ソフトウェア(嘘)が勝手に動き出したみたいだな。わたしにはどうすることも出来ないから、まぁ、頑張ってくれ』
次々と隊員たちが集まって来て、こちらに銃を向けて来る。
『逃げなくていいのか?』
「逃げるに決まってるだろうがッ! 行くぞ、四糸乃!」
「は、はい!」
士道は四糸乃の手を引いて駆け出した。
『あっ、待て!』
隊員たちが次々と躊躇なく引き金を引いて発砲し始める。
「クソッ!」
士道は路地に隠れる。少し顔を出して見ると銃弾がすぐ近くの塀に当って、塀の一部が欠ける。
「恵美、どうにかできないのか!?」
すると、フゥ、と息を吐く音が聞こえた。
『……しょうがないな。じゃあそこにあるサンダルを取ってくれ』
「ん? これか?」
士道は路地の真ん中辺りに落ちていたサンダルを拾う。何故か裏は携帯電話のようになっている。
『そうそれ。それは『さんだるフォン』だ』
「さ、さんだるフォン?」士道は素っ頓狂な声をあげる。
『まぁ百聞は一見に如かずとも言うし、010と入力して、通話キーを押してくれ』
「0、1、0、と……これでいいのか?」
『ああ』
と、士道の身体が光り始めた。
「おお! なんだこれは!」
光が収まるとなんだか胴の方に違和感。四糸乃は唖然となっている。
「士道さん、お、お、女の子だったんですか……?」
『いやー、これはビックリだねー』それに同意するようによしのんがコクコクと頷く。
「え? 嘘……」
声もなんだか高いような気がする。しかもこの声は聞き覚えがあった。
「まさか……四糸乃、鏡あるか?」
「え……あ、はい」ごそごそとポーチを探って鏡を取り出す。
そして、自分を見てみると……
夜色の長い髪、水晶の瞳、これは間違いなく十香だった。しかも何故か霊装を纏っている。
「恵美、これはなんだ……?」
『それは十香のアバターだ。いやーこれのデータ集めるの大変だったんだぞ。AST、SSS、DEMに〈ラタトスク〉の所有するデータを掻き集めたんだからな。一応天使も出せるぞ。さぁ、思いっきり行ってこい』
士道は路地から出る前に、四糸乃の方を向いた。
「四糸乃、一ついいか」
「あ、はい」
「俺は男だからな」
「………」
士道は再び道路に出る。と、同時にASTの銃弾が襲ってくる。
確かに、怖い。だが、それに勝るものが胸の中にある。
「四糸乃を、かならず助ける! 来い、〈鏖殺公(サンダルフォン)〉!」
すると士道の前に豪奢な玉座が現れた。そして士道は背もたれにある剣を引き抜く。
「……逃げるぞ! 四糸乃!」
士道は路地に戻って四糸乃を抱えて跳んだ。
今なら、飛べる。
士道は滑空するように空を駆ける。ASTたちがそれを追うようについてくるが、士道は攻撃せず、飛んできた銃弾を弾くことに集中する。
『士ー道ー、生きてるかー』
「……ま、まぁ、なんとかな」
『今、目的地に霊波を遮断する結界を作ったから、そこに逃げ込めばセーフだ。だがな、四糸乃、だっけ? その娘の精神状態が悪化しつつあるんだ。完全に悪くなれば救出は不可能だ。だから時間が無い。急いでくれ』
士道は少し悩んだあと、答えを決めた。
「……四糸乃、つかまってろよ!」
「え――」
そして急加速、ものすごいGが体にかかるが、今の体なら問題は無い。目指すは丘の上の公園。
うっすらと汗が滲む。
本当に、大丈夫なのだろうか……? いや、悩んでるヒマは無い。ただ――
「――突っっっっっ込めェェェェェェェ!」
衝撃とともに砂埃が舞い上がった。
と、急な脱力感が体を襲う。どうやら、十香のアバターが解除されたらしい。感覚で分かった。
「大丈夫か……四糸乃?」
そして士道はけほっ、けほっと咳き込んだ。
「は、はい、大丈夫です」
四糸乃はよろよろと立ち上がり、埃を払う。
「そうか、良かった」
士道は安心したようにどっかりと座りこんだ。四糸乃は寄り添うように隣に座った。
空はすっかりオレンジ色になってしまっていた。
「……わたし、一度士道さんにお会いしたことがあるんです」
「……みたいだな」
「でも、わたし、その後すぐ死んじゃったんです」
「え?」驚いた士道は四糸乃の方を見る。
「その時、分かったんです。『わたしを助けてくれるのはこの人だけだ』って」
「四糸乃……」
と、不意に四糸乃の顔が目前に迫った、と思うと、唇が重なった。
「……!」
と、視界がぐらぐらし始める。世界がごちゃまぜになって、青い海を渡り、深い混沌(カオス)に落ちる。しかもそれが永遠に続き……
「うわっ!」士道は跳ね起きる。
「やぁ、士道、成功だ」
私は士道に手を振った。
「四糸乃は!?」
「大丈夫だ。今、再生成に入ってる」
「そうか……うわっぷ」士道は口を押さえる。
「……頼むから、ここで吐くなよ」
士道は苦い胆汁を飲みこんで胃に戻した。
「あ、ああ……それよりも、ここは……?」
士道は周りを見渡す。部屋は薄暗く、殺風景だ。
「ここは……軟禁室みたいなところかな。士道が途中で暴れ出す危険性もあったし」
「……マジかよ」
「じゃ、ゆっくり休めよ」わたしは部屋の外に出て、鍵を掛ける。
「ああ、分かった。……って――」
「――ここから出せよ!」
キリのいい所で終わらせようと思ったら……短くなってしまいました。
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