EVANGELION the DARKSIDE 作:cycle(サイクル)
---[NERV/エヴァンゲリオン初号機格納庫]---
「外観的な損傷は極僅かです、異常ありません。」
「内部も徹底的に検査したけど損傷は無し、これ以上ない完璧な状態で帰ってきたわ。」
そう言いながら画面と睨めっこする二人の女性、赤城リツコとその助手[伊吹マヤ]である。
彼女達はあの戦いの後、回収された初号機を徹底的に分析検査を行い、今全ての検査が終わったのだ。・・・その時。
[ウィィィイン!]
「二人ともお疲れ様♪」
「これ、ちょっとした差し入れです。」
両手にマグカップを持ったミサトと彼女の部下である[日向マコト]が菓子折りを持ち入ってきた。
マグカップからは湯気が出ており、暖かそうを通り越して暑そうだ。
「あら?あなたが入れて来るなんて珍しいじゃない。」
「いつも頑張ってるお礼・・・てやつよ、ほら・・・ちょっち熱いけどどうぞ。」
「ありがとうございますぅ・・・アチュッ!」
ミサトからマグを受け取ったマヤは早速口をつけるが、相当熱いのかすぐに離した。それ対してリツコは平然と飲む。
「・・・ちょっと濃いわね、でもありがとう。」
「えへへ、・・・そういえば初号機は?」
「異常なし、次すぐに使徒が来ても対応可能よ。」
「・・・パイロットが起きてればね。」
ミサトはそう言いながら近くの椅子を寄せて背もたれに軽く抱きつくように座る、その目はどこか遠くを見ていた。
「・・・シンジくんの事ね、彼なら心配いらないわ。バイタル的に異常はゼロ、次目覚めてすぐエヴァに乗せても問題は」
「そーじゃなくってー。・・・問題は彼が再び乗ってくれるかどうかよ。」
ミサトはそう言いながら思い出す、今日出会った少年の事を。
(この世の全てを諦めた様な、強大な暗闇のようなあの目・・・一体どこで何を経験したらあんな目になるのよ。)
「・・・ところでリツコさん、[彼女]の方はどうなんですか?」
「彼女?・・・ぁあ・・・、[レイ]の事なら心配いらないわ、あと二〜三週間すれば完治して前線に復帰可能よ。」
日向からの質問にリツコはそう語る、その言葉に日向は顔を俯かせる。
「そうですか・・・・・・偽善だってわかってるんですけど、やっぱり子供たちに最前線を任すなんて、正気じゃないですよね。」
「偽善事ね、・・・正気かどうかなんて、生き残ってから話しなさい。」
日向の口から漏れた言葉にリツコはスッパリと言ってのけた。
そしてこれ以降、彼女たちの間に会話は生まれなかった。
---[第三新東京市/中央病院]---
「・・・っ、・・・ぁぁぁ。・・・知らねぇ天井だな、どこだここぁ?」
シンジはそう言いながらゆっくりと上体を起こす、するとビックリするほど殺風景な景色が拡がっていた。
「・・・んだここぁ、もしかして病室か?」
シンジはそう解釈するとベッドから降り、病院着から近くにあった自分の服に着替える。・・・その時だった。
「・・・お前誰だ?」
シンジはそう言いながら睨みつける、そこにはポーカーフェイスで見つめる重症の少女がいた。
「・・・なんだお前?、一体何の用だ?」
シンジがそう問うと、少女はそっぽを向いてどこかへ行ってしまった。
「・・・チッ・・・なんもねぇなら来んなよ、・・・さぁて、どうすっかな。」
カバン片手にそう呟いた瞬間、慌ただしい足音が近ずいてきて
[ガララ!バン!]
「シンジくん!目が覚めたのね!!」
扉を壊さん勢いで開けながら葛城ミサトが息を切らしながら入ってきた。
「っせぇなぁ、あんま大声出すなよ・・・頭に響くだろ?。それにここぁ病院だ、他の患者に迷惑掛かんぜ?」
「ぁ・・・そうね、ごめんなさい。でも目覚めて良かったわ。」
「フンッ・・・ところで葛城さんよぉ、あれからどんぐらい経った?」
「あれからって、あぁ・・・三日よ、あなたは三日間程ここで眠っていたわ。」
ミサトはそう言いながらシンジの手を引き、病室から共に出た。
「もう既に退院許可は出てるの、あとはあなたの居場所を」
「居場所?・・・おいおい待てよ、俺ぁここに長居するつもりゃねぇぜ?」
シンジはそう言いながら手を振り払う、想定外の行動だったのかミサトは驚きポカンとした。
「・・・そもそも、何年もずっと追跡や監視するような組織と共に戦うだなんて、そんなのこっちから願い下げだぜ。」
「監視って、あなた何を言って・・・ぁ゙ぁ゙ぁ゙・・・」
シンジの言い分に反論しようとしたミサトだったが、その瞬間呆れと怒りが混じる声で唸りながら頭を抱えた。
(監視は絶対うちの保安部の事ね、確かにサードチルドレン基シンジくんの捜索を始めたのも数年前、そして発見と同時に監視も始めたならこの子の発言と辻褄が合うわ。)
「・・・一応聞くけど」
「水に流す訳には行かねぇ!」
(トホホ〜やっぱりかー、どうしよう)(´;ω;`)
ショックなのを隠せずシュンと落ち込むミサトを端にシンジは目を閉じ考え込む。
(一体何者だったんだあの重症娘、一般市民かどうかは一旦選択肢から除外して・・・あの赤眼は間違いなくアルビノ系の赤だ、髪色や肌色の薄さ的にもアルビノの特徴と合致する点は多い、・・・だとすればだ、あいつは今隣のこいつと一緒でNERVの関係者か?。)
そう思いながらシンジは右目を開けミサトを見る・・・そして「はぁ」と諦めるように溜息をつくと彼女に向き直り言葉をかけた。
「なぁ葛城さん、ひとつ聞いてもいいか?」
「・・・なによ」
「あんたらの仲間に俺と背丈の変わらないアルビノいるか?髪色は蒼銀色で・・・瞳が赤いやつ。」
「背丈のちっこい・・・蒼銀色の髪した赤い瞳の・・・・・・ぁあ、レイの事ね。・・・ちょっと待って、レイに会ったの?」
ミサトはそう聞きながらシンジの肩を掴む、その手をうざったそうに払ったシンジは何度目か分からない溜息をつきながら答える。
「っはなせ!ったく!・・・ぁあ会ったよ、レイって名前なのは知らなかったがな。なんせ病室の扉の隙間越しに覗かれた程度の情報だしな。」
「そう・・・よかった、あの子も目覚めてたのね。」
ミサトはそう言うと胸を撫で下ろす、その仕草に疑問がさらに生まれたシンジはミサトに問うた。
「葛城さん、聞いてもいいか?。あの女・・・レイと言ったか?、あいつ何者だ?」
「・・・一応話しとこうかしら、ついてきて。」
シンジの問いに答えず同行を命じ歩くミサト、そんな彼女の動きにシンジはすぐに[ここでは話せない事]と察し黙ってついてった。
---[NERV/仮眠室]---
彼女の後をついていき、何故か仮眠室についたシンジは椅子に座るともう一度問うた。
「さぁて葛城さんや、ここまで黙ってついてきてやったんだ。それなりの事を話してくれるんだろうな?」
シンジのその言葉にミサトは一つ深呼吸すると重そうに口を開け話し出した。
「・・・[綾波レイ]、あなたと同じ14歳で現在実験の影響で重傷を負い入院中、出自不明・・・経歴は殆ど白紙でエヴァンゲリオン零号機のパイロット。他の事は一切不明。」
「一切?どういう事だ?、あんたん所のパイロットだろ?、関係者のくせになんもわかんねぇのか?」
「公開されている情報は全て吐いたわ、それに私が
諦めるように肩を落としながらそう言うミサトにシンジは余計に不審がる、その証拠に右手を口元に持っていき考え込む姿勢になっている。
(関係者にもここまでの情報しか与えられていない・・・か、どこか他組織のスパイか?俺を監視するように見ていたし・・・・・・いや待てよ、NERVは政府公認の特務組織だ、そう易々とスパイが入り込めるようなザルじゃないはず・・・だとすれば、考えられる事は。)
「・・・・・・っぁぁぁ、
シンジはそう小さく呟きながら呆れるように仰け反るとその反動を使いながら立ち上がる、そしてそのまま流れるように仮眠室から出ていこうとするが急に立ちどまり斜め上を向いた。
「・・・あぁそうだ言い忘れてた、変な権限使って強引にここに所属させようもんなら。今知った
天井の監視カメラに向けてそう言ったシンジは今度こそ出て行った。
---[第三新東京市/郊外の山]---
NERVから出たシンジは真っ直ぐ郊外へ行く道を歩き、追っていた保安部を撒くと拠点に帰ってきた。
そこには中型のテントが貼ってあり、付近には折り畳み椅子と持ち運びできる食器家具が一通り置きっぱなしになっていた。
「たくっ、三日もほったらかしたせいで結構埃被ってんな、めんどくさいが・・・仕方ない。」
シンジはそう言うと食器家具を持ち、水で満タンのバケツに一つづつ入れて軽く洗うと収納袋に仕舞った。
その後シンジはテントに入り入口を閉めると、中に放ってあった寝袋に入り込んだ。
「・・・ふぅ、妙な一周間だったな、三日前は変な化け物と戦わされるわ、その前には熊や猪に襲われるわ、更にその前には変な幻覚見るわで、ろくな目にあってねぇな。」
シンジはそうぼやきながら寝返りを打つ、同時に彼は使徒戦の二日前を思い出していた。
(妙な幻覚だったな、街中が紅蓮に染まり荒廃していて、空は妙な模様が浮かんでいた。デカい柄入りの月に・・・あとは空飛ぶ戦艦もあった・・・そして極めつけはあの白い多眼の巨人・・・あいつは一体・・・。それに近くにあったあの逆三角・・・あれは三日前に見たあの砦そっくりだった・・・因果関係があるのか・・・あるいは。)
「・・・考えていても仕方ないか、取り敢えず明日に備えよう。」
シンジはそう言うと、寝袋に深く入り眠りについた。
---[NERV/司令室]---
「それで、そのエリアの市街地で撒かれた挙句反応をロストしたのか。」
「申し訳ございません、また明日必ず捜索します。」
日の沈みきった暗い司令室にてそのような会話が行われていた、少なすぎる照明が照らすのは電柱のように経つ男と同じ様に直立する警備員・・・そして座った状態でサングラスを怪しく光らせる男の三人だけだった。
「わかったご苦労、もう下がって良いぞ」
「了解しました。」
警備員はそう言いながら外へ出ていった、そして残った二人だけで会話が行われた。
「どうする碇、あの少年がいないと我々の計画は遂行が難しいぞ。」
「問題ない、既に明日あの山全域に警備員を送る司令を送った、否が応でも我々に従ってもらうさ。」
碇と呼ばれた男がニヤリと気味の悪い笑みを浮かべながらそう言うが、隣に立つ男はひっそりと溜息をつきながら思った。
(そう上手く行けば良いがな。)
---[第三新東京市/郊外の山]---
日付が変わり日が昇る時間帯、シンジは目を覚ますと同時に複数の気配を感じた。
(・・・親父か、チッたくっ・・・無駄な労力かけさせんなっての。)
シンジは心の中でそう愚痴ると寝袋から這い出て大型リュックに詰め込む、そして近くにあった収納袋も押し入れると靴を履いてテントから出ていった。
(勿体ねぇがテントは捨てるしかねぇな、まぁ元々拾い物だったし別にいいか。)
テントから離れた所にあるかなりの急傾斜を駆け下りながらひたすらに逃げる、しかし逃走予定経路には五~六人の黒服がスマホ片手に待ち構えてるのが見えた。
(クソッタレが、そんなに俺を手駒にしたいのか?!)
心の中で愚痴をこぼしたシンジはルートを変更し山を駆け下りる、その音は速度の割に静かで、気づかれることなく脱出に成功した。
「あんのクソヒゲ、朝から余計な事を・・・しかしマジにどうすりゃいいんだ?」
そう言葉を漏らすとシンジは歩き出した、周囲に対し最大以上の警戒を行いながら慎重に進んで行く。
・・・そして歩くこと約一時間、シンジはある団地の前で立ち止まった。
「・・・・・・廃墟か、・・・まぁマシな方か。」
そう言うとシンジは団地の中へ入っていく、そして今にも崩れそうな階段を上り適当な部屋のドアを開けた。
「・・・うわっ開きやがった、・・・手入れもクソもねぇなこりゃ。」
そう吐き捨てるとシンジは部屋に入り荷物整理を始めた。
(寝床は寝袋でなんとでもなる・・・食器類や器具もOK・・・っとなるとあとは肝心な食料か。)
そう思いながら財布片手に立ち上がり外に出るシンジ、・・・しかしその瞬間意外な出会いを果たした。
「・・・・・・あなた、何故ここにいるの?」
まず初めに一年近く更新を怠ってしまい申し訳ございませんでした。
リアルの方で本業に本腰入れていた結果、こちらを放ったらかしにしてしまっていました。
次回がいつになるかわかりませんが、なるべく早く投稿する予定です。