うたわれるもの 二人の白皇 (願望)   作:rollymarcury

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お待たせ致しました。


第四話

眩しい。

「んぅ?」

もう朝か、昨日は最後までやっちまったんだよな。

「…..」

やばいぞ。なんか今更緊張してきた。

「あれ?ハク、起きたんだ。おはよう。」

「あ、あぁ。おはよう。」

クオンは既に身支度を整えていた。

「早いんだな。」

「え?ま、まあ。す、好きな人に寝起きの顔見られるのってなんか恥ずかしいから。」

「….」

「ちょっと!何で黙るかな!」

「いや、すまん。なんていうか、お前女らしくなったよな?」

おい!今の絶対言わなくてよかった!

これはもう歯を食い縛るしか。。。

「そ、それはどういう意味かな?」

おや?尻尾をぶんぶん振り回してるがこっちには飛んでこない。

「私だって、ハクには可愛いって言われたいよ。」

営みというのはここまで変えてしまうのか?

「可愛いな、クオンは。とても。」

いや本心で言ってるのは確かだが少し弄りがいがある気がするぞ。

ここは攻めの一手!

「クオン。自分をそこまで思ってくれるのはとても嬉しい。ありがとな。」

頭を撫でてみる。

ますます顔が赤くなりこれ以上は沸騰しかねない勢いだ。

そしてクオンは顔を少し下に向けた。

「ハクは怠け者で、だらしがなくて、お金はすぐに使っちゃう。初めて会った時はあの装置を開けちゃったことを後悔したくらいに貧弱で私が面倒を見てあげなくちゃって思ったんだ。

でも関わっていくうちに分かってきたんだ。

ハクは、必ずやるって決めたことはやる人だった。私のことだって騙してしまえる。

自分がどんなに傷を負ったとしても。

けどそんなハクが好きなんだよ。」

「クオン…」

首から頬にかけてとても脈が速く、熱くなってくる。

「あぁ、これからはずっと一緒だ。」

優しく抱きしめる。

「ふふっ、ちょっとはやり返しができたかな。」

「ちょ!?今の演技ってことかよ!」

「本心だよ。」

思わずドキッとしてしまう。

本当に変わってしまった。

ここまで駆け引きが上手くなるとは。

すごすぎるぞ、営み。

「ハク、そろそろ朝食の時間だから早く着替えてね。」

「あぁ、わかった。」

着替えをしようとしてあることに気づく。

そういや双子達を見ないな。

あいつらも空気を読んでくれたってことなのかもな。

「よしクオン、行くぞ。」

「うん。」

ちなみにクオンはずっとこっちを見ていた。

既に見せ合った仲ではあるのだが、着替えを見られるのはなんだか小っ恥ずかしかった。

そして扉を開くとそこには──

「あ、の。その….」

「熱々」

「朝から情熱的でしたね、主様。」

……

いかん、流石に硬直してしまう。

とても申し訳なさそうにしているルルティエとなんの悪びれもしない双子達がいた。

それで少しは頭が動き始めた。

少しでもこの双子を信じていた自分が馬鹿だった。

「お前達…」

「空気を読んだ。」

「主様の邪魔は致しませんでした。」

「まぁ、そうだけどな?」

確かに昨日の夜からなんの音沙汰もなかった。

「そ、その、私が悪いんです!」

「ルルティエが?」

「はい、実はハクさまを起こしにいこうとしたらウルゥルさまとサラァナさまに止められたのですがクオンさまとハクさまの声が聴こえてそのまま…」

なるほど、まぁ一応双子達のおかげってことか?

あの場をルルティエに見られていたら流石に恥ずかしく死んでしまうところだった。

だが問題は、

「まぁ、その、なんだ。自分は気にしてないんだが、クオンの方が….」

そう、クオンは扉を開けてからずっと口をパクパクさせ顔を真っ赤にしていたままだった。

「クオンさま、ごめんなさい!」

ルルティエはクオンに向き直り頭を下げる。

その様子は傍目から見てもものすごく申し訳なさそうに謝っているのがわかった。

その態度を見てクオンは、

「い、い、いや!いいかな!うん!全然気にしてない!気にしてないから!!」

顔を真っ赤にしながら言ったのだった。

その様子はさっきの二人きりの時の女性らしさとはかけ離れたいつものクオンで少し笑みをこぼしたのをきっかけに。

「ハクは何でそんなに余裕があるのかな!」

クオンが平常運転に戻りかけてきた。

「い、いや余裕なんてなかったぞ。最初この3人を見た時は恥ずかしさで言葉が出せなかった。」

少しの間、場に沈黙が訪れたので話題を変えた。

「まぁ、その、な!腹が減ったからな。朝食を食いに行くぞ!」

我ながら強引で雑な文句だったとは思うがみんなはそれに乗ってくれた。

朝食の時間は少し気まずい空気が流れたものの、ルルティエが作ってくれた朝食のおかげで幾分か心が安らぎ、食べ終える頃には普段の空気に戻ったのであった。

 

── ── ── ── ─ ── ── ── ── ─

 

「そろそろ出ようと思うんだが、ルルティエも来てくれるか?」

「もちろんです、ハクさま!」

側から見ても相当な喜びようである。

「行ってしまわれるのですね。もう少しゆっくりしていってもよかったのですわよ?」

シスは自分がオシュトルではないと判明してからも態度は柔らかいままだった。

「自分もそうしたいのは山々だが、皆のところにも顔を出したいんだ。落ち着いたらまた来ようと思っているから、それまで待ってくれるか?」

ん?なんかこれプロポーズみたいじゃないか?

「オシュ…いえ、ハク様…」

ルルティエ?ココポに何を吹き込んだんだ?

ちょ!こっち突進してきてる!

「お、おい速度落とせってがあああああああ!」

動かない!重い!折れる!

「それじゃあ、お世話になりました。」

「ええ、また来てください。できれば今度はフミルィル殿も一緒に…」

「あはは、それじゃあ行こっか。ほらハクいつまでココポと遊んでるのかな?」

「遊んでないことくらい見りゃわかんだろ!助けてくれ!」

「ルルティエ!体調にはくれぐれも気をつけるんじゃぞ。いざとなったら医者を呼んでやるけぇのぉ。」

「ルルティエも元気でね。あなたが認めたお人なら信じられますわ。」

「ルルティエよ、達者でな。」

「ありがとうございます。お父さま、お姉さま、お兄さま。行ってきます。」

「それとハク様、最後にこれを…」

おずおずと恥ずかしげに手にした何かをこちらに差し出した。

「こ、これは…」

それはいつか見たことのある──

「チャモックの肝です…また精をつけにいらしてください。」

「あ、ありがとう。」

「は、はい!」

やはり無下にはできないよな。

調理してあるみたいだし、旅の途中にでも食べよう。見た目はあれだが、匂いは旨そうだ。

「あ、あの…どうか、ルルティエのことを。」

それもいつか聞いたことのある言葉だ。

「ああ、ルルティエのことは任せてくれ。

シスの代わりに自分がルルティエを護ってみせる。」

声を落とした真剣な口調が自然に出たことに自分でも驚いてしまう。

「私も負けてられないですわね。」

ん?

まぁ聞かなかったことにしよう。

「それじゃあ、またな。」

「ええ、お待ちしていますわ。」

 

── ── ── ── ── ── ── ── ──

 

だんだんと彼との距離が離れていく。

あのお方はオシュトル様としてお会いした時から青い空の似合うお方だった。

自然と歩調は速くなり声を大にして──

「いつか私をお嫁に貰ってくださいまし!」

と言うと彼は困ったような顔で笑うのだった。

 

── ── ── ── ── ── ── ── ──

 

「次はエンナカムイに行こうと思っている。」

これは朝食の時間にも話したことだった。

「うん、私もネコネには会いたかったかな。」

「はい、私もネコネさまにお会いするのは久しぶりです。」

それはよかったんだが…

なぁ?なんでまた自分が馬車を引くことになっているんだ?

「不服そうな顔をしても駄目かな。」

「そうです、ハクさま。」

「なんでだ!」

「だってその子達、ハクから離れようとしないんだもの。」

「ハクさまは女たらしです。。。」

彼女達曰く、ウルゥルとサラァナが自分のことを離さずにずっと密着している光景を目に入れないための措置とのこと。

「なぁ、お前達もなんか言ってやってくれ。」

「楽勝。」

「これが私達と主様の成せる愛の御技です。」

「「はぁ。」」

すごい睨んでるよ!あの二人!

「でもしょうがないかな。ハクは一人じゃ満足できないんだもんね?」

「おい!人聞きの悪いこと言うな!反論できないのが尚のことタチが悪いわ!」

「お会いしていない間に何があったのかは存じませんがやっぱりハクさまは浮気性になられてしまったのですね。」

「いやちが、くはないけど!誰でも彼でもって訳じゃない!自分はルルティエのことだって大好きだ!」

やばい、勢い余って本心が!

ルルティエは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

クオンと双子達は自分のことを見つめている。

状況悪化させてどうするんだよ!

「主様。」

「主様の器は一人の女性ごときでは満たされないのですね、でしたら私達が。」

「いや!もうわかったから!自分が悪かったから勘弁してくれ!」

「はぁ、もうハクったら仕方ないんだから。私は良いって言ったよ。みんなを愛してってでも目の前の女の子を一番にしてあげてって。だからね。」

クオン、分かってくれているんだな。

本当にありがた…いだだだだだ!

「こういう時は私達を一番にしてね?」

「痛い!何で締めてくる!」

「むしゃくしゃしたからかな!」

「確かにこの件に関しては全面的に自分が悪い!

だがこの気持ちは本物だ!それだけは信じて欲しい!」

「分かってるよ。多分ここにいるみんな。」

「寵愛。」

「私達はまだ愛を囁いてもらったことはありませんがいつでも準備出来ています。」

「あの時のハクさまの目は信じられます。」

「お前達…」

「だけどね?それとこれとは別なんだよ?

ハクだって私達が他の男の人とこういったことしてたら嫌でしょ?」

想像したら少し…いやかなりざわつく。

何だ?この気持ちは?

自分の感情を読み取ったのかクオンは続けて言った。

「その気持ちは例え相手がどんなに親しいヒトであっても生まれるものなんだよ。」

「そう…か。」

これまで自分は彼女達に好きとは言ったがそもそもそれがおかしかったのだ。

他のヒトにも愛を囁く。

普通ならとてもじゃないが許されることではないだろう。

だが彼女達は…

「ありがとう、お前達。その心にどれだけ救われていたのかやっと理解した。これからも惑わせることはあるだろうが、一緒にいてくれないか、クオン、ルルティエ、ウルゥル、サラァナ?」

「ハクは相変わらずだもん。私が面倒見てあげなくちゃいけないかな。」

「はい、ハクさまからもう離れたくありません。」

「お側に。」

「これからもお仕えさせてください、主様。」

彼女達の言葉に胸が苦しくなる。

無理をさせているのだ。

ちゃんと気持ちを一人一人に伝え、安心させなければならない。

そうすることが自分にできる精一杯の誠意だ。

「これからもよろしく頼む。」

「うん!」

「はい、ハクさま。」

「「御心のままに」」

こんな自分勝手を許容してくれる彼女達には感謝してもしきれない。

絶対に幸せにしてみせると改めて誓った日だった。




次はエンナカムイでお会いしましょう。
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