「えっ? わたしが魔法を使える理由?」
「そーだよ。なんかコツとかあるわけ? あ、それとも素質の問題なのかな?」
ほむらちゃんと合流した翌日、学校への登校中に、さやかちゃんからキュゥべえと契約せずに魔法を使う方法を聞かれました。わたしはちょっと苦笑してしまいます。何故なら……
「まあ、素質と言えばそうなんだよね……わたしには、ほむらちゃんが今まで時間遡行で溜めてきた、膨大な因果の糸があるからね……」
「ああ……そういうことか……」
さやかちゃんが納得します。そうなんですよね。さやかちゃんの因果の糸は、この時間軸でも、そんなに多くないので、普通に考えれば無理です。
ただ、わたしの考えが正しければ、さやかちゃんが魔法を使える可能性はあったりしますが、それをさやかちゃんに教えるべきか迷いました。だって、さやかちゃんの性格的に、教えたら無茶しそうですし……
うーん、でもここで止めるのも酷かもしれません。多分さやかちゃんは、わたしと交わした『キュゥべえとの契約はしない』って言う約束を、守るために頑張ってくれているのだと思いますから。
その気持ちはとても嬉しいです。
実際のところワルプルギスの夜討伐のための戦力は、多いに越したことありませんし、もし、さやかちゃんが魔法を使えるようになったら、上条君の治療にだって参戦出来ますからね。
うん、ここは教えてあげた方がいいよね?
「それで、まどかはその大量の因果の糸を使って、奇跡を起こすってことか」
こんな風に言葉を続けてきたさやかちゃんに、相槌を打ちつつ、説明を続けることにしました。
「うん、まあ大雑把に言うとそうなるんだけど……これって因果の糸が溜まりすぎて、漏出を起こしたことで、発生した現象なんだよね……そして、その影響を受けてるのはわたしだけじゃない。この時間軸では、わたしと関わる人の多くが、わたしの因果の影響を多少なりとも受けてるの。だから、さやかちゃんもあの夢を見たんだと思う」
そう。わたしの因果の影響を受けているのは、わたしだけではありません。わたしと関わる魔法少女は、今のところみんな『過去の時間軸』の夢をみています。魔女に至っては、滅茶苦茶強いのが大量発生しているくらいなので、わたしと、特に繋がりの深いさやかちゃんなら、わたしの因果や魔力を切っ掛けに、魔法の力を引き出せてもおかしくないと考えていました。
さやかちゃんもわたしの言いたいことがわかったようで、なるほどと呟いた後、うーんと腕を組んで考えていました。
「でも、それってどうやってやるんだろ?」
「う〜ん、簡単に説明するなら、願い事を強く念じるって感じかなぁ? わたしのときは、ひたすら訓練して、手応え感じてきてた時に、魔女と遭遇して追い込まれて、強引に力を引き出したから、あんまり分かってないんだよね……」
さらっと死にかけた経験を打ち明けたわたしに、さやかちゃんが戦慄していました。うん、ごめんね。
わたしは、この気まずい空気を誤魔化すように笑顔を作りさやかちゃんにこう言います。
「さやかちゃんが魔法を使えるようになったら、一緒に上条君を治そうね!」
正直言ってから少し後悔しました。こんなこと言ったら本当に無茶しちゃうかも……
でも、今のわたしの言葉はちょっと嬉しそうだったから、きっと大丈夫だと信じよう。うん!
それがフラグだったことを、後から痛感することになるとは、まだ、思っていませんでした……
いや、不安はあったんですよ? さやかちゃんが色々思い悩んでることは、この後交わした、上条君絡みの話からも分かっていましたし。
でも、いくらなんでも、まさかあんなことするなんて……思わないじゃないですか……
その日は、いつも通り学校へ行って授業を受け、放課後にはマミさんと見滝原のパトロールをするはずだったのですが、少し予定が変わります。
「えっ? ほむらちゃんと一緒に風見野のパトロールですか?」
「ええ。佐倉さんとゆまちゃんが、私と一緒に見滝原のパトロールしたいって言っているのだけれど、暁美さん一人に風見野を任せるわけにもいかないでしょう? だから、急で悪いんだけど鹿目さんにお願いできないかしら」
どうやらほむらちゃんと一緒に、風見野のパトロールをすることになったようです。ほむらちゃんの方を見ると、少し嬉しそうな雰囲気を感じました。わたしも、ほむらちゃんと一緒に見回するのは、凄く嬉しくなります。
ただ……さやかちゃんのことが気になりますけど……
取り敢えず今日はもう会えそうにないって、連絡入れとかないとね。
「じゃあ行こっか、ほむらちゃん!」
「ええ。行きましょうか、まどか」
こうして、わたし達はマミさんの家を後にすると、早速出発しました。さやかちゃんに、今日はもう会えなさそうだと連絡しとかないと。
風見野市へ出発してしばらくするとほむらちゃんが話しかけて来ました。
「まどか、何かあったの? 今日のまどかはどこか上の空に見えるけど……」
「うえぇ!? そ、そんなこと無いよぉ〜」
図星を突かれたわたしは変な声が出てしまいます。
確かに今日は、朝からずっとさやかちゃんのことを考えていました。
出会い頭に魔法の使い方を聞いてきて、何があったのかと思えば、どうやら今日もあの夢を見てしまったらしいのです。それも、今までより鮮明で具体的なものだっのだとか。
多分、上条君と仁美ちゃんが付き合ってるところも見たのだと思いますが、それなのに、今日も上条君のお見舞いに行くと言うのです。そりゃもう心配になります。
「ねえ、まどか。私は今まで何度もあなたに救われたわ。昨日だって……だから今度は私があなたの力になりたいの。今までみたいに護るだけじゃなくて、あなたの支えにになりたいの。だから、相談して欲しい。どんな悩みでも聞くことは出来るはずだから」
そう言いながら、ほむらちゃんはわたしの手を握ってきました。わたしはその手を握り返しながら答えることにしました。
そうだよね。ほむらちゃんはずっと、わたしのために戦ってきたんだから。そんなわたしが悩んでるところをみて放っておくはずが無いもんね。
わたしがさやかちゃんについての悩みを打ち明けると、ほむらちゃんは何とも言えない顔をしながらこう言ってきます。
「そうね……杏子にメンタルケアをお願いしてみてはどうかしら? 彼女なら、的確なアドバイスが出来るかもしれないわ」
そう言えば、杏子ちゃんは今までの時間軸でも、よくさやかちゃんのことを気にかけてくれていましたね。なんでも昔の自分と重ねてしまうのだとか。
そんな彼女なら、さやかちゃんの気持ちも少し分かるかもしれません。早速杏子ちゃんに連絡を入れておきましょう。
まあ、勿論パトロールが最優先なので、すぐには対応出来ないでしょうけど。
「うん! ありがとうほむらちゃん!」
「いえ、これくらい何でもないわ。それよりもうすぐ着くみたいよ?」
ほむらちゃんと話してるうちに、いつの間にか目的地である風見野市へ着いていたようです。ここからは魔女退治も兼ねているから、しっかり気を引き締めていきましょう。パトロール中、魔女を見つけたりもしたのですが……
「一瞬で終わったね……」
「私の時間停止と、まどかの火力があれば、この程度の敵、相手にもならないわね」
はい、そうなんです。ほむらちゃんが時間を止めて、わたしが必殺技を叩き込むだけで倒せちゃったんですよ。いや、あの魔女もかなり強かったんですよ? わたしと、ほむらちゃんの、どちらか片方しか居なかったら危なかったかもしれません。
でも、わたしの火力と、ほむらちゃんの時間停止が揃ってしまったら、もうこんなものです。
「後は、使い魔の処理だけど……結構バラけてるね? これは全部相手しないといけないかなぁ」
「仕方がないわ、ここは分担しましょうか。まどかは向こうをお願い。こっち側は私が担当するわ」
などと話していたところで、わたし達の携帯に通知が来ていたことに気付きます。差出人はゆまちゃんで
『○○通りに魔女が出ちゃった! しかも見た事ないくらい強い魔力を持ってるよ!』
とのことです。え? そこって、上条君が入院してる病院から、さやかちゃんの家までの道じゃない! しかも過去一強力な魔力持ちって!!
まずいよ。もしさやかちゃんや、一般の人が結界に巻き込まれていたら、マミさん達でも勝てるかわかんないもん!
「ほむらちゃんごめん! 使い魔はわたしが倒しとくから、先に行ってて貰っても良いかな? ほむらちゃんが行った方がはやいと思うからさ!」
「わかったわ。また後で会いましょう?」
そう言うと、ほむらちゃんは時間を止めたようで、一瞬でその場から消えました。
わたしも急いで使い魔たちを一掃してマミさんたちの元に向かわないと!
わたしは、その辺にわらわらいる使い魔たちに目を向けました。
『スプレットアロー』
無数の矢を一度に放つことで、広範囲の敵を一気に攻撃できる技です。
威力はそこまで高くないですが、少ない魔力消費で、面攻撃が出来るため、今よりずっと魔力の少なかった、過去の時間軸のわたしも、よく使っていた技です。
その一撃を受けた使い魔たちは瞬く間に消えていきます
「よしっ! 次々行くよー!!」
わたしは、次の獲物を求めて走り出しました。
変身中の強化された脚力で、わたしはあっという間に、目的の場所まで辿り着いていました。でも、先程より使い魔の数が多いです。スプレットアローでは、漏らしが出そうでした。と言うことで、わたしは、この時間軸において今まで1番使ってきた技を使うことにしました。
『マジカルスコール』
雨のような大量の矢を放つ技です。これだけの量を相手にするにはもってこいの技でしょう。
昨日使った時点でも、かなり矢数と威力は上がっていましたが、今回のは昨日よりもっと凄い。
まるでマシンガンのように放たれた矢は、どんどん使い魔たちを倒していきます。
「よし、終わった! 待っててねみんな! すぐそっちに行くから!」
わたしはそう言って、さやかちゃんの家の方角へ跳んでいきます。
メールに書かれていた場所まで辿り着くと、結界の入り口が見えてきました。
誘い込むような雰囲気の結界です。恐らく、1度入った者は、逃がさないタイプの結界でしょう。
わたしは、警戒しながら結界の中へと入っていきますが、特に何も起こらず最深部に着くことが出来ました。
まあ、既にここはマミさんたちが攻略済みなので、当たり前ですけどね。そして……
「……さやかちゃん!」
そこには、疲れ切ったような状態で、ほむらちゃんに抱き抱えられている、さやかちゃんがいました。
怪我は既にゆまちゃんが治療してくれているみたいですが、一体何があったのでしょうか?
さやかちゃんは、わたしの顔を確認すると安心したように眠ってしまいました。
「悪い、まどか……あんたから頼まれてたのに、結局こいつの無茶を止められなかった……」
杏子ちゃんが申し訳なさそうな顔で言ってきますが、そんなこと気にしないで欲しいです。
そもそも急な話だったのですから。わたしも、まさかこんなにも早く、さやかちゃんが無茶をするなんて思っていませんでした。
「ううん、気にしないで杏子ちゃん。むしろ、さやかちゃんのこと護ってくれてありがとう。マミさんも、ゆまちゃんも、ほむらちゃんも……ありがとうございます」
わたしは頭を下げました。すると、みんなが笑顔で答えてくれます。うん、やっぱりこの人たちと仲間になれて良かった。
「でも、鹿目さんと、暁美さんが、無事に駆け付けてきてくれて、本当に良かったわ」
「そうなんだよまどか。アイツの鎧が滅茶苦茶硬くてな……多分、あの守りを突破出来るのはアンタだけだぜ?」
と、マミさんと杏子ちゃんに、言われて魔女の方を見てみると、そこには、鎧を纏い剣を持つ、騎士風の魔女が立っていました。
その鎧には、一応間接らしき部分もあるみたいですが、隙間が小さすぎます。
確かにあれを倒そうと思ったら、火力が必要そうでした。
わたしは、気を取り直して、みんなの方を向きます。
「わかった。後はわたし達にまかせて、みんなは休んで。大丈夫。わたしとほむらちゃんなら、すぐに終わらせられるよ!」
「ええ、任せたわよ2人とも。美樹さんのことは、私達に任せてちょうだい」
マミさんの言葉を聞くと、わたし達は行動を開始します。まず、ほむらちゃんがわたしの身体に触れながら、時間を止めました。そして、わたしは弓に魔力を込め始めます。
あの相手は、今のわたしでも、中途半端な攻撃では傷すらつけられないほど硬そうです。ですが、問題はありません。
わたしが渾身の一撃を叩き込めばいいだけのことなのです。
わたしは、限界まで魔力を込めて、一撃を放つ準備に入ります
そして、わたしが矢を放った瞬間、ほむらちゃんは時間を動かし、そして
『スターライトアロー』
光り輝く矢が、魔女の胸部を貫き、魔女は消滅しました。
こうして、みんなを苦しめていた、騎士風の魔女との戦いが終わったのでした。
討伐が終わると、ほむらちゃんが何か呟いています。
「どうしたの? ほむらちゃん」
「あっ、いえ……実は美樹さやかを救出した時、彼女を叩いてしまってね。それに少し、言い過ぎてもいたから謝っておきたくて……」
ああ……わたしはまだよく知らなくてわからないけど、さやかちゃん。今回は相当な無茶をしたみたいだからなぁ……
まあ、眠る直前のさやかちゃんの表情から言って、多分彼女は気にしてないと思うけど。
わたしはそんなことを考えながら、ほむらちゃんに言いました。
「そっかぁ、じゃあさ、一緒にわたしの家までさやかちゃんを連れて行って、さやかちゃんが起きたら一緒に話せば良いんじゃないかな? きっとさやかちゃんも喜ぶと思うよ?」
「そうね……じゃあ、そうさせてもらうわ。ありがとうまどか」
「ううん! 気にしないで! わたしだってさっきほむらちゃんに助けてもらったもん! それじゃあ行こっか!」
わたしは手を差し出します。ほむらちゃんはその手をしっかりと握ってくれました。
「ええ、行きましょうまどか。あなたの家に」
そう言って、わたしの手を引いてくれるほむらちゃんに付いていき、わたしはみんなと少し話をしてから、わたしの家に帰っていきました。因みにその時、マミさんから、さやかちゃんが何をしたのか聞きました。
なんでも、あの魔女との交戦中に、わたし達の加勢を待つ話になったとき、唐突にさやかちゃんが、使い魔の群れに突っ込んでいったとの事です。
そこでさやかちゃんは、何とわたしと同じように、魔法の力を自力で発現させて、魔法少女の姿に、変身して見せたらしいです。
でも、禄に戦闘経験がなく、過去の時間軸の夢もわたしほど具体的に見ていないさやかちゃんが、いきなり『因果魔女』の使い魔たちに勝てるわけもなく、ゆまちゃんが気を取り直して治療する間もなく、ボロボロになっていったそうです。そこに、あの騎士の魔女が突進してきたところで、何とか駆け付けたほむらちゃんが時間を止めて、救出してくれたという訳でした。
いや、うん……想像以上だよ……さやかちゃん…… まず生身で使い魔の群れに突っ込むって何!? わたしだってそんなことしてないよ!? いや、でも、うーん……わたしも今朝さやかちゃんに勘違いさせそうなこと言っちゃったしなぁ……ちょっと罪悪感があるかも…… それに、わたしはあまりさやかちゃんに頼る気無かったくせに
『さやかちゃんが魔法を使えるようになったら、一緒に上条君を治そうね!』
だなんて言っちゃって……さやかちゃんが焦るのも無理はないよね……
よし、決めた。これからはもっと積極的に頼らせて貰おう。さやかちゃんが安心できるように。さやかちゃんがもう二度と危ないことしないように。
と、考え事しているうちに、家に着いたみたいです。わたしたちは、玄関を開けて、家に入ると、そのままわたしの部屋に向かっていって、さやかちゃんをわたしのベッドに寝かせました。
「まどか、少し席を外しても大丈夫かしら? 知久さんから、話をしてみたいと言われていて……」
「うん、大丈夫だよ。お父さんによろしく伝えといて」
「わかったわ。それじゃあ行ってくるわね」
そう言うと、ほむらちゃんは部屋から出て行った。さやかちゃんはまだ眠っていました。わたしは、さやかちゃんの顔を見ながら考えます。
今回のことで、わたしは改めて実感しました。わたしは、さやかちゃんとの会話で、消極的になりすぎていたのです。
マミさんや杏子ちゃんたちの時は、自分の思いをはっきりと伝えられることができたのに、さやかちゃんには、遠慮してしまっていました。
幼馴染ゆえに、関係を壊したくなくて……怖くて……
だから、今回こそはちゃんと、本心を伝えようと思います。
さやかちゃんは、どんな反応をするかな? 喜んでくれるといいな。
そんなことを考えているうちに、さやかちゃんが起きました。それに気付いたわたしが、さやかちゃんの手を握ると、眠る前と同じように、安心したような表情になってくれました。そして、わたしに謝ってきました。
「ごめん……本当にごめんね……」
何度も謝ってくれました。わたしは、さやかちゃんの言葉に対してこう言います。
「ううん、いいんだよさやかちゃん。わたしこそごめんね。わたしがあんなこと言ったから、焦っちゃったんだよね? わたしね、本当はさやかちゃんのこと止めたかったの。危ないことして欲しくなかったから。でも、わたしにはさやかちゃんを止める資格が無いんじゃないかなって思っちゃって、それで……」
わたしは言葉につまり、涙を流してしまいました。すると、さやかちゃんがわたしの名前を呼びかけてこう言いいました。
「ありがとう」
わたしは素っ頓狂な顔をしてしまいました。どうして感謝されるのか分からなかったからです。
わたしが戸惑っていると、さやかちゃんが続けて話し始めた。
「あたしのことを心配してくれてありがと。嬉しかった」
そう言って、今度は笑顔を見せてくれました。わたしは、その言葉でとても救われた気がしました。なのでわたしは、今度は嬉し涙を流しながら、さやかちゃんに抱きつきました
その後、部屋に戻ってきたほむらちゃんが、さやかちゃんが、既に起きていることを確認して、頭を下げました。
「叩いてしまってごめんなさい」
と。それに対して、さやかちゃんも笑いながら
「良いよ。悪いのはあたしだし。それより、今までまどかを護ってくれてありがとう」
と言いました。わたしもほむらちゃんも驚いたけれど、すぐに微笑みました。
それから、ほむらちゃんとも握手をしていました。
その時のさやかちゃんの表情は、凄く穏やかなものでした。まるで、長い間抱え込んでいたものが無くなったかのように。
「あの、ところで、魔女は……?」
さやかちゃんが不安げに聞いてきた。そんなさやかちゃんに対してほむらちゃんが
「勿論まどかが仕留めたわよ?」
と答えました。いや、ほむらちゃんも一緒に仕留めたでしょ? でも、そんなほむらちゃんの反応が嬉しくて、わたしは思いっきり胸を張りました。
そんなわたし達の反応を見たさやかちゃんは、今度こそ安心しきった顔になり、なにやら決意を秘めた目にりました。
本当に良かった。今のさやかちゃんなら、もうあんなことはしないでしょう。上条君とのことがどうなっても、きっと大丈夫だと思います
こうして、さやかちゃんが、今日見た悪夢から始まった、一連の事件は幕を閉じるのでした。
***
「杏子、ゆま、マミ、それから今日のさやか。まさかこんなに戦力の揃った時間軸が実現するなんて……凄いわまどか」
「えへへ〜♪」
安心しきったさやかちゃんが、また再び眠ってしまった後、わたしとほむらちゃんはリビングに移動して、今までの振り返りとこれからについて話し合っていました。そんな中ほむらちゃんがそう言ってきたので、思わず照れてしまいます
「上条君の怪我の治療も、わたしの力を最大限引き出せるようになれば、治せるだろうし、後は打倒ワルプルギスの夜だけ! と言いたいところなんだけど、こうなってくると、キュゥべえが何を企らんでくるか怖いよね……」
わたしがそう言うと、ほむらちゃんも同意してくれました。
「ええ……今回のさやかのことで、私たちに対する警戒を強めたはずだもの。そろそろ手を打ってくるでしょうね……」
そうなのです。わたしと、さやかちゃん。キュゥべえの管轄外の魔法使いが二人いる訳ですから。グリーフシードを必要としない魔法使いが、周りの魔法少女と共闘している。それではあの生物の仕事が成り立ちません。
それに、わたしと契約して絶望させることも、まだ諦めていないはずでした。
なので、放っておけば誰かしらの魔法少女に、何かを吹き込んで来るはずなのです。
うーん、そうなる前になんとかしたいけど……あ、そうだ!
「ほむらちゃん、こんなのはどうかな……?」
「えっ? そうね……私もその手を考えなかった訳では無いけれど。またあなたの負担が大きくないから……?」
と、少し困り顔で言うほむらちゃん。
確かに、決して負担の小さい仕事ではないけれど、大丈夫。わたしは一人じゃないのだから
「大丈夫だよ。わたしが辛い時は、ほむらちゃんが支えてくれるんでしょ?」
そう言って微笑むと、ほむらちゃんは一瞬呆気に取られたような顔をした後、
「分かったわ。あなたに任せる」
と言ってくれました。よし、そうと決まれば早速準備を始めないと!!
読んでいただきありがとうございます。
何やら、思わせぶりな終わり方をしましたが、やること自体は、『まどか☆マギカ』の二次創作において、たまに見かけるような感じで、特に目新しいことはありません。
どちらかと言うと、キャラ同士の掛け合いがメインの話になっています。
第6話『わたしが繋いだもの』
お楽しみに!