BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第169話
【BLACK EDGE 其の169 子供を連れて】
地下にある施設の中から子供達を発見したブラッド達は、そこから脱出しようとしていた。
「これで全員か?」
トラックに子供達を乗せ終えると、シャドーがフェアに聞いた。
「これで全員。あとは脱出するだけだけど…………」
フェアはそう言うとトラックの進行方向を見る。トラックの進行方向にはシャッターがあり、その隣にある機械をアルファが操作していた。
そしてしばらく経ってシャッターが開く。
「よし、これなら脱出できるな。しかし、この馬車はどうやって操作すればいいんだ?」
ブラッドはそう言ってトラックのコンコンと叩く。
「君たちじゃ、これは操作できないだろうしね。僕が操作するよ」
出口までのシャッターを操作したアルファがみんながいるところまで戻ってきながら言った。
「お前操作できるのか?」
ブラッドが聞くとアルファは胸を張って答える。
「僕を誰だと思ってるのさ! あらゆる武器を開発できる天才博士のアルファ様だぞ!!」
フェアと同程度の身長の子供が、そうやって威張っても何の威厳もない。
だが、この子供がシャッターを操作して開けたり、この施設の機械について理解しているのは確かだ。
そうなるとこのトラックを操作したことのない人間が操作するよりも、アルファに任せた方がいいかもしれない。
「分かった。それじゃあ、頼む」
そして子供達を乗せたトラックに全員乗り込むと、アルファがトラックを操作し始めた。
最初は運転席に座っても足や手が届かないからどうするのかと思ったが、手と足に機械を取り付けると、それを伸ばして操作した。
トラックはシャッターが開き通れるようになった通路を使って、施設内を通っていく。
「もう少しで出口のはずだよ」
アルファはそう言ってみんなに伝える。
もう少しで脱出できる。そう思った時、施設内がまた大きく揺れた。
トラックも揺れの影響で左右に蛇行する。しかし、アルファの運転技術でどうにか倒れることはなく持ち堪えることができた。
だが、揺れがあったあと、トラックが止まった。
「やはり予想通りここを通ってきたようだね……」
そして前方からある男の声が聞こえた。
「追ってきてると思ってたが、待ち伏せしてたとは…………」
トラックのライトに照らされたプロテクターを前身に身につけた男。
その男が前方を塞いでいた。
「赤崎博士…………」