BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第290話
【BLACK EDGE 其の290 剣の歴史】
倒れたブラッドにリトゥーンの剣が襲い掛かる。ブラッドは剣を横にしてどうにか防ぐが、リトゥーンが体重をかければ、ブラッドの剣は折れてしまいそうだ。
「僕の勝ちだな……」
そう言ってリトゥーンは勝ち誇る。しかし、そんなリトゥーンに、
「それはどうかな……」
ブラッドはそう言うと転がった状態のまま、剣に力を入れる。
無理矢理剣を押し込んできたことにリトゥーンは驚く。
切れ味の違いからリトゥーンの剣の刃がブラッドの持つ剣にゆっくりと沈んでいく。
このままではブラッドの剣は折られてしまう。
それでもブラッドは剣を引っ込めることはなかった。
「くっ、……これ以上やっても無駄だ…………な、馬鹿な!?」
途中までリトゥーンの剣に押し負けていたはずだが、突然リトゥーンの剣の方が刃こぼれし始めた。
「どうなってるんだ……」
「この剣は歴代の闘技者の捕まった剣だ。多くの者と戦い、そして大切に使われてきた。そんな熟練の剣が、赤ん坊の剣に負けるかよ」
そしてブラッドは寝っ転がった状態のまま、リトゥーンの剣を切断した。
切断された剣を見て、リトゥーンは涙目になる。
「そ、そんな、僕の剣が、僕が負けるなんて……」
そして武器のなくなったリトゥーンはブラッドを恐れて、一歩二歩と下がっていく。
そんな中、ブラッドは立ち上がった。
「さてと、お前の自慢の剣はなくなった。これからどうする?」
ブラッドがそう聞くと、リトゥーンはビビり焦るようにして舞台から降りていった。
リトゥーンを倒したブラッドだが、優勝候補を倒したことで、周りにいる選手から目をつけられてしまう。
ブラッドは三人の選手に囲まれた。囲まれたブラッドは剣をしまうと、素手で戦おうとするが、襲いかかってこようとした選手達は突然地面に突っ伏した。
「な、なんだ……」
「身体が重い……」
そしてそんな三人の選手の奥から、黒いフードを着た男が現れた。
「やっと出てきたな。ニキータ」
「待たせたな。……私も他の選手にちょっかいを出されてな。少し手こずった」
ニキータは気を失っている大男を片手で引きずってきている。
ニキータはその男を投げると、ブラッドを囲んでいた選手達にぶつけて、四人をまとめて場外に追い出した。
「おいおい、そんな堂々と術を使っていいのか?」
ブラッドが聞くと、
「ああ、今回だけは特別だ。そういうスパーク様の命令だからな」