音速の追跡者   作:魔女っ子アルト姫

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ランクSSを漸く育成出来ました記念で投稿します。

やっぱりスズカって育てやすいですよね、やっぱり彼女が№1!!


第119話

「んっ~……朝以外に走ったのは久しぶりですがいい物ですね」

 

真夏の太陽が燦燦と日差しを大地へと向けて放ち続けている、正直な事を言えば酷く暑いが此処は峠の頂上である為か風が常に吹いており汗をかいている身体に涼やかな空気を提供してくれる。それに身を委ねながらも自販機でℓサイズのペットボトルを纏め買いする。自販機で此処まで飲み物を買った経験なんてない、が今の自分には色んな意味で潤沢なので気にしない。

 

「飲み物買ってきましたけど……飲めます?」

「アタシは飲む~」

 

とゴルシが平気そうな顔をしながらスポーツドリンクを受け取って一気飲みしていく、矢張りこの人は身体の耐久度的な話で言えばウマ娘の中でも上から数えた方が早いんだろうなと思いながらも他のメンバーへと目を向けるのだが……

 

『む、無理ぃ~……』

 

日陰になっている草地に五体投地しながらダウンしていた。こうしてみると矢張り皇帝と女帝は凄かったんだなぁと、今更ながら思い知るチェイスであった。

 

「だらしねぇ~な、アタシがこんなに元気なのにお前らそれかよ」

「む、無茶言うんじゃないわよ……むしろ、何でアンタはそんなに元気なのよ……?」

 

とスカーレットから声が飛んできた。今日から始まった合宿、早速天倉町の洗礼というかチェイスが何年もやり続けて来た事を体験した面々はそのキツさに驚愕していた。最初こそ普通に走れていたが徐々に舗装状態が悪い川沿いの道に移行していくにつれて徐々に崩れ始めて行くものを感じ、そして遂に姿を現した峠の道……。

 

「ね、ねえチェイス本当に会長たちも此処、走ったのぉ……?」

「走りました、息こそ乱れましたがお元気そうでした」

「テ、テイオーさんそれは会長さん達だからだと思いますぅ……」

「同感、ですわ……」

 

峠の中を走っている山道、道路の状態もそこまで良くないのもあるが頻繁にカーブが牙を向いて来た。通常のレースではあり得ない程に身体を振られる上に当然のように勾配もきついので身体に掛かる負荷は通常の坂路トレーニングの数倍。

 

「こ、これがチェイスの強さ、の根源……!!」

「悪路、には強いつもりでしたけど……勝利の法則が、見えない……」

 

バジンもビルダーも流石に辛そうにしている、というよりもスピカメンバー全員が辛そうにしている。それを見て沖野は流石にキツかったかな……と思いながらも一番心配な者に目を向けた、オルフェーヴルである。一番下になる彼女にとって一番辛い筈―――

 

「ハァハァハァ……へっなんだこの位、全然、大した事ないじゃん……?」

 

なのだが、彼女は休憩所の壁に寄り掛かるようにしつつも立ちながらも強気な言葉を口にし続けていた。ゴルシを除けば一番元気な姿を見せている事に沖野も驚愕した。

 

「嘘でしょ……オルチャン、大丈夫、なの……?」

「こ、このぐれぇどうってこと、ねぇよ……!さあ、ダウンヒルに行こうぜ―――あの坂でスピード出したら気持ちいいぜ……!?」

「―――走ってみたいわ……!!」

「それで元気出すスズカ先輩って何なん」

 

バジンが思わずツッコミをする位には元気なオルフェーヴルモチベーションが分かりやすいようでわかりにくいスズカ。そんな面子にドリンクを渡している時に沖野はチェイスに尋ねてみた。

 

「車で来たけど、運転するだけでも割とキツかったぞ……一体何時からこんな所走ってるんだ」

「さあ……もう10年かもうすぐ10年かぐらいだと思いますよ」

「マジかよ……」

 

どちらにしろ約10年という事になるのか、ある意味納得がいく。こんな所をずっと走り続けたらそりゃ足腰は鍛えられるし体力も根性も付くはずだ。ミホノブルボンは長距離に対応する為に坂路を続けてあれだけの強さを得た、それと同じようにチェイスも坂路を走り続けた。だがその年月はブルボンよりも圧倒的に長い。

 

「こんな所を10年って……なんか信じられない……」

「でもここの走り込みがチェイスさんを三冠にしたって思うと納得しちゃうね」

 

それには皆同意だ。確かにこれなら強くなる、そしてここを走り切れるようになった時自分達は更なる高みに登る事が出来るという確信もある。此処を天倉町を合宿場所に選んだのもよく分かる。

 

「さてと……そろそろ下りますか。好い加減に下らないともっと暑くなって辛くなりますから」

 

それを聞いてゲッ~と声を出しつつも立ち上がり始める、大分回復してきている辺り流石スピカのメンバーだ。

 

「オルフェは俺と一緒に車で下るぞ」

「ンでだよ走れるっつの!!」

「焦るなってこの中じゃ一番経験が薄いんだから」

「チェ……」

 

不満げにしつつも指示に従って車に乗り込んでいくオルフェ。いざ走ると一気に気性こそ悪くなるが聞き分けが悪い訳でも無いので、何だかんだで指示に正当性さえあればしっかりと聞いてくれる。

 

「今日は日が高い時に走ってるが、明日からはこれを毎朝行う」

「ま、毎朝ですかぁ!!?」

「マジぃ……?」

 

毎朝にこれをやるのかと思うと酷く萎える……というか本気でやりたくない……。

 

「文句は言わない、その代わりにクリムさんに頼んで飯は豪華にして貰う事になってる」

「因みに朝は何時起きにします?私基本4時起きなんですか」

「……流石に6時ぐらいにしてやってくれ」

「朝日が見えないじゃないですか……分かりました、私4時起きで走ってから皆さんと走ります、これで良いですか?」

「いや、どんだけ朝日みたいんだよお前」

 

尚、チェイスは合宿中はマジで2往復を続けたのであった。

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