音速の追跡者   作:魔女っ子アルト姫

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第35話

「追跡、大逃げ、何れも……マッハッ!!ウマ娘―――マッハチェイサー!!!」

「いいよいいよ~チェイス、もっとこっちに笑顔笑顔!!」

 

ノリノリでポーズを取るチェイスとそれをバッチリと撮影する剛、元々エンターテイナー気質な所がある彼女とお調子者な所がある剛は極めて相性がいいのか程よく騒ぎながらも撮影は滞りなく進んでいく。

 

「チェイスの奴、なんか普段以上にノリノリだなぁ……」

「HAHAHA!!そりゃそうだよMr.沖野。チェイスと剛ちゃんは紛れもないFamily何だからねぇ!!!」

「家族、まあそりゃそうか」

 

思い起こせばチェイスは家族の前だと基本的に笑顔だったし常に楽し気にしていた気がする、特に剛とは仲が良いのかそれが強い気がする。血が繋がった叔父というのもあるが、剛自身が強い愛情を示してくれているのもあるのだろう。

 

「うっしっ良い写真撮れたぜ!!次は是非とも走ってる姿を撮りたいんだが……トレーナーさんよぉ~チェイスを走らせるのってNGか?」

「いや全然OKですよ、寧ろ練習風景を映すのは当然ですし」

「Nice!!私もチェイスちゃんの走る姿を見たかったんだ、カッコいい所見せてくれよ~チェイスちゃん」

「勿論!!何せ私は―――マッハチェイサーですから!!」

 

両脚を揃えて数回転してから決めポーズを取るチェイスのお得意の動き、それも今回は何時も以上に回転に勢いがある上に笑顔にドヤ顔がプラスされている。チェイスにとってはこのハーレー博士という人も同じ家族なのだろう、胸を張ってコースへと向かっている途中―――

 

「WOW!!ひょっとして……YES!!Mr.剛デース!!」

「おっ―――なんだタイキじゃねえかハ~ウディ!」

「ハウディ~!!」

 

勢いよく走り込んで来て抱き着いてきたのはチームリギルに所属している最強マイラーの異名もあるタイキシャトル。最早タックルに値するような勢いだったのに慣れているかのように回転しながら力を受け流しつつ、まるで遊ぶようにタイキシャトルを抱きとめる剛。

 

「まさかトレセンで会うとは思いませんデシタ!!撮影デスカー?」

「応よ、お前さんも知ってるだろマッハチェイサー。俺の姪っ子なんだよ」

「WHAT!?初耳デース!!」

「言ってねぇもん」

 

元々アメリカ生まれであるタイキシャトル、如何やら日本に来る前から剛とは付き合いがあったらしくよく写真を撮って貰っていた関係にあったらしい。そんなタイキシャトルは此方を見ると笑顔を見せながら勢いよく抱き着いてきた。

 

「ハウディ~!!マッハチェイサー、一回会ってみたかったんデース!!」

「あ、あの力つよっ……!!」

「お~いタイキその辺りにしといてやってくれ、シャトルどころかロケットでチェイスが軽く窒息死掛かってる」

「OH!!ソーリー、Are you ok?」

「ア、アイムオーケー……」

 

ロケットのような破壊力を秘めたタイキシャトルのハグ、彼女自身の勢いもあるが体格も良い上にスタイルも良い。大きな胸でチェイスの顔を見事に覆い尽くしてしまっていた、何とかそこから脱出出来たチェイスだが……巨乳は凶器にもなる、と聞いた事があるが真実だった……と感触を楽しむ暇もなかった様子。

 

「WOW!!プロフェッサーハーレー、ハウディ~!!!」

「ハウディ~タイキちゃぁ~ん!!」

 

とハーレーにも抱き着くタイキ、此方は此方でご高齢だが兎に角パワフルな影響か真正面からそれを受け止めながらも全く気にしていない。

 

「ちょっとタイキ貴方いきなり―――」

「先輩待ってくださ~い!!」

「ありゃおハナさんにエルコンドルパサーじゃねぇか」

 

タイキシャトルを追いかけるようにやって来たのはチームリギルの東条トレーナーと怪鳥の異名を取っているエルコンドルパサー、スピカのスペシャルウィークとは同じクラスでありライバルでもあり、日本ダービーでは激しいデッドヒートの末に1位同着という結果も出した超強豪。リギルの名に恥じない実力者。

 

「って沖野君じゃない、ああそっか今日だったわね彼女の取材」

「ああ、これから走る姿を撮りたいっていうから向かってたんだ」

「OH!!それなら丁度いいデース!!トレーナーさん、ワタシマッハチェイサーと走りたいデース!!」

 

タイキシャトルは笑顔全開で東条にそう進言する。実際彼女はこれから東条の下でエルコンドルパサーと共にトレーニングを行う事になっている、そこにチェイスが入るというのは沖野と東条の両名が許可すれば可能ではある。

 

「俺は別に問題はないけどおハナさんは如何する?」

「そうね……エルと二人で走らせるつもりだったけど、悪くはないわね。お願いしても良いかしら」

「私も大丈夫です、胸をお借りするつもりで行きます」

 

チェイスとしても願ったり叶ったり。クラシック挑戦に向けて格上のウマ娘と対決するのはいい経験になる、しかも相手がマイル最強とも言われるタイキシャトルと凱旋門賞にて2着に輝いたエルコンドルパサー。いい経験にならない訳が無い。

 

「距離は如何するんだおハナさん」

「タイキの調整と調子の把握が目的だから、1600のマイルのつもりよ」

「んじゃチェイスにもマイルの経験を積ませるのに丁度いいな。宜しく頼むぜ」

「こっちも丁度いいから彼女の力を存分に見せて貰うわ」

 

チェイスの適性距離は中長距離、マイルも走れない訳ではないがその二つに比べたら少し苦手とするぐらい。だがそれ以上に超格上のウマ娘と戦えるのは素晴らしいの一言に尽きる、これならもっともっとチェイスは進化するだろう。

 

「マッハチェイサー、あの時のコスチュームチェンジって見る事出来ますカ~?」

「私も見たいデ~ス!!」

「勿論―――常備してます」

 

と先輩二人の前にノリノリで勝負服へと変身するチェイス、それを間近で見た東条は改めて目を丸くした。一瞬で勝負服に着替える事が出来るあれは矢張り便利と言う他ない。

 

「ベリーベリークール!!マッハチェイサー、超カッコイイデース!!!」

「私もそれ使ってみたいデース!!」

「チェイスで大丈夫ですよ」




外国産馬という事でタイキシャトルとエルコンドルパサーにご登場して貰いました。

チェイスの距離適性は
短距離:D マイル:B 中距離:A 長距離:A

こんな感じで中長距離レースが好ましい。

次回、タイキとエルとのマイルレース勝負!!

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