東方光照譚―その手を差し伸べる―    作:たいお

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イザナミ「小説を読むときは、私にとってのイザナギさんのような…大切な人と一緒に楽しく読みましょうね」
満希「夫婦そろってノロケでしたとさ、ちゃんちゃん」



第10話 30年後と移住計画

「月への移住計画、か……」

 

 俺がこの時代にやってきて30年もの月日が流れた。

 

 

 

 ここで一つ、俺の身体に関して衝撃的な事態が発生した。

 普通、30年も時が経てば、髪の毛が抜けたり皺やシミが増え始めたりして外見が大きく変化するはずだ。それが普通の筈なんだ…。

 

 しかし、俺の肉体にはそんな変化が一切見られない。換算すると50年弱という年齢にも関わらず、10代後半の身体を保ち続けている俺の肉体。

 そのことに気付いた時には、俺の身体に何か異変があるんじゃないかと不安になって、一度永琳さんに見て貰ったこともあるが俺の身体はどこもおかしくないと診断された。

 

 能力といい不老といい……どないなっとんねんと突っこみたくなるよホント。

 

 さて、その話は後でするとして、この30年は実に平和なものだった。

 相変わらずアマテラスさんの家にお世話になっているが、家賃として生活費諸々も払っているし家事も全般こなせるようになったお陰で家事手伝いどころか代理もしっかりできる。

 コノハとも相変わらずだ。時々遊びに出掛けては何かと憎まれ口を叩き合うような間柄である。

 カグツチは最近小学4年生位の容姿にまで成長し、都内の学校に通って友達と勉強したり遊んだりの毎日。しかし、俺の事は赤ん坊の頃と変わらず慕ってくれているようで、休みの日には一緒に遊んだり出掛けたりしている。

 

「ええ、3年前に政府から全市民に発表されたあの計画…当日までもう一週間を切っているわ」

 

 そして、俺の目の前にいる永琳さんとも先ほどの3人と同じく、仕事や偶のプライベートなどで変わらず交流を続けてきた。

 30年間通い続けてきた研究室のテーブルを挟んで、俺は彼女から聞き馴染みのある単語を耳にした。

 

 

 

『月移住計画』

 

 それは3年前に突然政府から発表されたもので、月を人の住める環境にすることが可能という事で、都に住む人々を月へと丸ごと移住させるという大規模なプロジェクトだ。

 当時は馴染みのある土地を捨て、全く知らない場所へ移るという事に何割かの住民が不満を零していた。しかし『月に行けば更に長生きが出来る』『今の都は穢れが非常に多く、このままでは危険である』などといった政府の言に心を動かされ、今ではほぼすべての市民が月へ行くことを認めている。

 

 俺はこの計画については、特に気にしていない。例え環境が変わってもそこからやる事は何も変わらないだろうし。

 

「準備の方は進んでるかしら?忘れ物をしても取りに来られるような距離じゃないわよ、ここから月までは」

「ちゃんと確認もしてるんで大丈夫ですよ。永琳さんこそ、ちゃんと用意してますよね?」

「当然よ。今回の計画に携わってる者が準備不足なんてとんだお笑い草じゃない」

 

 まぁ、確かにそうだ。

 ちなみに今回の計画の内部はなるべく極秘にしておきたいという政府の思想によって、最近の俺は永琳さんとは別々の場所で働いていた。書類や買い出しも発送のみで終らせていたし、永琳さんの縁者の手伝いに駆り出されることもしょっちゅうだった。

 なので永琳さんとまともに話をするのは勤務前の研究室か、互いの休日が被る日かしかない。今日は前者だ。

 

「それにしても早いものね…あなたと出会ったから30年。随分とあっという間に感じたわ」

「30年、か……ホントに俺の身体、どうなってんだろ」

「老いない肉体、ね……以前検査をしてみたけれど身体に異常は見当たらなかったし、妖怪化の線も考えて妖力を探知してみたけど、あるのは霊力のみ…」

 

 外部・内部共に異常なしなのに不老の身体になっていた。

 以前、永琳さんに診てもらったときはそう判断されたが、やはりいきなり歳をとらない身体になったというのは自分でも驚くしかない。

 

「それってつまり、人間なのに不老不死になってるってことですよね?」

「不死かどうかは現状では判断しかねるけど…30年という時の経過にも関わらず容姿に全く変化が見られない辺り、そう言えるわね。…興味深い」

「あの、モルモットを見るようなその視線ヤメテください。怖いんで」

 

 実験したいとウズウズとしている永琳さんに見られて嫌な汗が滲む感覚を覚えつつ、俺は荷物を纏めて外出の準備を行う。今回も永琳さんの知人の手伝いだ。そしてここから早く逃げないと本当に実験体にされかねないよ、ヤバいよ。

 

 そうして今までにない速さで準備を整えた俺が立ち上がった時、背中から永琳が一言。

 

「ところで満希、最近新しい薬を開発したのよ。水にもしっかり溶けて無味無臭、飲料に混ぜれば完全に気付かない優れものよ」

 

 逃げろー!逃げろー!

 

 そしてこれからは永琳さんの出す飲み物は絶対に飲めない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 そして一週間後。

 

 ついに3年前より宣言されていた月移住計画が、今日行われる時となった。

 市民は皆、月へ行くためのロケットを設置した大きな広場へと向かい次々とロケットに乗船している。市民の数が多く誘導も手間がかかりそうだが、離れた場所で見ている限りでは1時間もあれば全員がロケットに乗り込むことが出来るだろう。ロケットの数も十分に用意されているし、乗り損ないも考えられない筈だ。

 

「それにしても…月って生身で生活できるような環境だっけ?そもそも月が人の住める場所だってどうやって特定できたんだか」

 

 今更な質問を誰ともなく投げかけつつ、俺は空を見上げて今は宙に浮かんでいない月に思いを馳せる。

 

 結局、俺がいたあの頃に戻れるようなそぶりは欠片も見当たらないまま月へと行くことになってしまった。なんだか、更に今までの日々が遠くなっていくように感じてしまう。

 

 蓮子やメリーと他愛無い話をしたり、サークル活動と称して一緒に遊んだりしていた頃が懐かしい。まぁ30年も経っているのだからそう思うのも無理はないかもしれない。あいつら、結婚できるてるか?ちゃんと幸せな生活を満喫できてるだろうか?まぁ二人とも浮いてるとはいえ美人だし、心配しなくても問題ないかもな。

 

 そうなると、問題は俺だな。

 

 理由は分からないが歳を取っても体が老いないのを感じる限り、多分長生きが出来るようになっている筈。

 そうなると、いつまでも永琳さんやアマテラスさんに甘えてばかりではいられないだろう、自分の力で生きていくこともしていかなければならない。

 

 ……俺も、変えていかなきゃなら――

 

 

 

 

 

≪緊急事態!緊急事態!東の山より大量の妖気がこの都に向かってくることを観測、外の妖怪がこちらに向かってきています!その数およそ8,000!≫

 

 俺の思考は、耳に喧しく響く警告の言葉によって遮られてしまう。突然だから思わず体をビクッと撥ね上がらせてしまった、なんともカッコ悪い。

 

 いや、そんな事よりも……!

 

「妖怪が来てるって…まずいだろ!」

 

 なんてこった、まさかこんなタイミングで妖怪が攻めてくるなんて…!いや、そもそもここ30年、都に妖怪が今まで攻めてこなかったのが不思議なくらいだ。

 何故、今頃になって進行してくるんだ…?

 

≪防衛隊は直ちに東門へ向けて出動し、妖怪の進行を食い止めてください!市民の皆様は引き続き、落ち着いてロケットへ乗船してください!≫

 

 ……どうやら悠長に考え事をしてるヒマは無くなったらしい。ロケット近くの建物からは武装した何百人もの人たちが東の方に向かって乗り物で移動し始め、市民も先ほどよりも慌てた様子でロケットに乗り込もうとしている。

 

「8,000、か…」

 

 ふと、先程の放送に遭った情報を口に出して反芻する俺。

 

 正直、この戦力はキツイ。

 今建物から出て来た防衛隊の人数はざっと見、約500人程度。恐らく準備が事前にしっかりできていた者が先発として向かったのだろう。以前自衛隊の数は3,000だと聞いているため、残りの2,500もそう遠くない内に東門へ向かうはずだ。

 だとしても、その戦力差は目に見えている。何せ相手は8,000体、それに引き替えこちらは先発がその10分の1にも満たないほどだ。後から増援として増えていくとは言え、5,000の差は覆せない。

 

 加えて厄介なのが戦力一個一個の質だ。

 妖怪一匹の実力は普通に考えて人間以上のスペック。更にこちらの防衛隊には能力者は隊長クラスで数人程度しかおらず、近年妖怪の進行が無かったことによる実戦経験不足が目立っている。

 一応、こちらには妖怪に対抗できる近代武器が備わっているが…条件が悪すぎるとしか言えない。質より量も、量より質も叶っていない様では。

 

「いいかお前たち!何があっても妖怪どもを街に入れるんじゃないぞ!」

 

 あれは、防衛隊員の人たちか。

 外見も屈強そうだし、何とかしてくれそうな空気…だけは醸しだしてくれているが。

 

「ふっ…別に倒してしまっても構わないでしょう?」

 

 あ、終わった。フラグ立ちましたわ。もう負け確定の濃いフラグが経った今立ちましたわ。

 

 まぁ、そんな死亡フラグを立てていった防衛隊の人たちは置いておくとして…。

 

 出発目前にして現れた妖怪の群れ。多勢に無勢。……ついでに死亡フラグ。

 

 そんな状況の中、俺がとるべき行動は……。

 

「…となると、行くしかないか」

 

 そう、妖怪の大軍を止めに行く事だ。

 

 このまま保身のためにロケットに乗って居ても、妖怪の群れがこちらにやって来る可能性は高い。何せ相手の数は8,000、防衛隊の防御を掻い潜ってこちらにやって来る線だって考えられる。

 それに俺も能力持ちの一人だし、集団の敵を一掃するのには向いている力がある。まぁ俺が行ったところで文字通り微力程度にしかならないだろうが、行かないよりはマシだろう。

 

「よし、なら早速…」

 

 

 

 

「行っては駄目よ、満希くん」

「っ……アマテラスさん」

 

 俺の目の前に、アマテラスさんが歩み寄ってきた。

 その表情はいつになく真剣。

 どうやら俺が妖怪の群れに向かっていくことを好としていないようである。

 

 まぁ俺は防衛隊みたいに特殊な訓練を受けている…わけでもないから、こういう事態に首を突っ込んでほしくないのは当然か。

 

「あなたとはもう何年もの付き合いだもの。あなたがさっきの放送を聞いたらどうするかかなんて直ぐに分かったくらいにね」

「…そんなにわかりやすいですかね?俺って」

「そうね…こういう事に関して言えば誰よりも分かりやすいかな、あなたってば」

 

 自分ではよく分からないのだが…客観的に見られるとそんなにわかりやすいのか?俺って。

 

「満希くん、あなたは……あなたは本気で誰かを助けたいと思って動ける人よ。今まで一緒に暮らしてみても、それが凄く伝わってくるほどに。…だからこそ、私は怖いの」

 

 怖い?

 

 俺は言葉にはせず、視線で抱いた疑問を彼女に投げかける。

 

「あなたは…誰かを助けようとするあまり、自分を蔑ろにしている気がするの。ううん、気がするんじゃない、まさに事実なのよ。カグツチちゃんの時なんて、死んでもおかしくような状況だったって聞いているもの」

 

 確かに、あの時は色々とヤバかった。

 あの時イザナギさんが力を貸してくれていなかったら…きっと二人を救えなかっただろうし、余計な死体が一つ増えてしまう結末も考えられたであろう。

 

「…このままあなたを行かせてしまったら、もう二度と会えなくなってしまうような気がしてしまうの。あなたがこの30年間、ただ平和に暮らしていただけじゃない事は一緒にいた私が良く知っている。力を付けている事は知ってる。だけど…」

 

 そこまで言うと、アマテラスさんは酷く心配した表情を浮かべたまま俯いてしまう。こんな表情をするアマテラスさんは、案外初めて見るかもしれない。

 

 心配しているアマテラスさんには悪いが、俺は嬉しく思っていた。

 俺の事を身を案じてこんなに心配してくれる人がいる。そう思うと胸にジンと込み上げてくるものがあるのだ。家族や友達以外の人からこんな風に思われるというのは。

 …ああもう、何か目が熱くなってきたな…。

 

 俺は内心から湧き上がる嬉々感を表に出さないようにしつつ、ゆっくりと口を開いて語り出す。

 

「アマテラスさん…俺の事を知っているなら、俺がアマテラスさんの言葉にどう返すのかも、分かるんじゃないですか?」

「……………」

 

 アマテラスさんは何も言わない。変わらずに俯いたままだ。

 そして俺は、言葉を紡ぐ。

 

「俺はもう後悔したくない。それだけですよ」

 

 後悔なんてもう十分に味わってる。あの時、どうして自分はこうしなかったのかとつくづく思いを駆り立てられる事がある。

 『あの時』だってそうだ。俺は何も出来なかった、俺が臆病だったばっかりに、力が無かったばっかりに。

 

 だから俺は、俺に今できることをやりたい。そうしないと、俺はあの二人に会わせる顔が無いから……。

 

 俺が言い放つと、アマテラスさんは観念したように大きく溜め息をつく。

 

「……やっぱり頑固者ね、満希くんって」

「今更ですよ、そんな事」

「それもそっか。……なら、せめてこれを受け取ってちょうだい」

 

 アマテラスさんは俺に鎖の付いた装飾品を手渡してきた。

 これは……どうやらネックレスのようだ。銀色の外装に包まれた赤い宝石が煌びやかに輝いている。

 

 綺麗な石だな……それに何だか不思議な雰囲気をこの宝石から感じる。神々しさと言うか力強さと言うか…なんだかそんなものが手から伝わってくる。

 

「このネックレスには私の神力をしっかりと込めてあるの。いざという時にあなたの身を守ってくれるはずだから。……私は市民の誘導を優先しなければならないから一緒には行けない、だからそのネックレスに…あなたの無事を祈ります」

「アマテラスさん……ありがとう」

 

 俺は受け取ったネックレスを力強く握って手に収めると、妖怪が来ている東門へ向けて駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

「ヒャッハー!人間どもは根絶やしだーっ!」

「全員、踏ん張れぇ!なんとしてもここを守り通すんだ!」

「シネェー!」

「太郎っー!貴様…よくも太郎を!」

 

 走る事十分程度、俺は目的の場所である東門へとたどり着いた。

 

 到着早々俺の目に飛び込んできた光景は、正に壮絶の一言。

 

 妖怪の軍団は鋭利な牙や爪を以て、殺意を剥き出して襲い掛かっている。中には口から火を吐いている妖怪や、空から妖力で出来た弾を発射している妖怪もいる。

 それに対して、人間側は電気銃や実弾銃を用いて距離をとって戦うスタイルが主を占めている。中にはビームサーベルのようなリボルゲインのような物を持って接近戦に臨んでいる防衛隊員も何割かいる。

 

「シャアァ!」

「いかん、避けろ太郎!」

「ぐあぁ!?……く、くそ…こんなところで…」

「太郎!太郎ーーーーっ!!」

 

 っ!銃を持っていた太郎が妖怪に急接近されて、そのまま倒されてしまった。やはり遠距離で戦っている人は近距離戦に慣れていないようだな、見ていてわかる。

 

「くそっ……太郎の敵討ちだ!我が名は太郎、参る!」

 

 やられた太郎の近くに居たのは友人だろうか、太郎と名乗った男は怒る様子を現しながら太郎を……ややこしいな。じゃあさっきやられた人を太郎Aとして、今敵討ちをしようとしてる人を太郎Bにして…待てよ?その前にもう一人太郎がやられてたような…

 

「くっ…敵の数が多い!太郎、連携して一気に撃破していくぞ!」

「了解したぜ太郎!」

 

 ってこっちで戦ってる人も太郎かよ!しかも二人!となると最初にやられたのが太郎A、次にやられたのが太郎B、敵討ちの太郎C、連携の太郎Dと太郎Eだな。

 えーっと、太郎Dが敵の数の多さに舌打ちをすると、近くにいた太郎Eに呼びかけて互いに背中を守り合う態勢を取り始めた。

 

「太郎、向こうの跳んでいる奴を打ち落とせるか!?」

「任せな太郎、俺の銃の腕前を嘗めんなよ!太郎はそっちの太郎と一緒に向こうの太郎の援護に行ってくれ!」

「了解した!あちらの元に駆けつける、行くぞ太郎!」

「分かりました!」

 

 ……おい、ちょっと待てコラ。

 

「太郎、助けに来たぞ!」

「ありがとう太郎!おお、太郎も助けに来てくれたのか!」

「当然ですよ、太郎さんは太郎兄さんの親友なんですから当たり前です!」

「太郎…ありがとう…!」

「さぁ、感動の場面は後だぞ太郎、太郎!先ずは向こうの太郎と合流し、向こうで孤立している太郎を救援、その後周囲の太郎たちを集めて一気に叩くぞ!」

「はい、行きましょう太郎さん!」

「ああ、行こう太郎!待ってろ太郎、そして太郎!今助けに行くぞ!」

 

 

 

 

 

「……太郎ばっかりじゃねぇかぁぁぁぁ!!!」

『ギアァァァァァ!!?』

 

 あまりの太郎率に俺は思考するのが面倒くさくなり、気が付いたら盛大なツッコミと共に、身体に炎を纏って妖怪の群れに突撃していた。

 炎に直撃した妖怪たちは奇声を上げながら吹き飛んでいったが……今はそんな奴らどうでもいい。俺が今一番ツッコミを入れたいのは…。

 

「おいアンタら!さっきから太郎太郎うるさいわ!っていうか何でこんなに太郎が多いんだよ!」

 

 この謎の太郎集団だ。何なんだこいつら、俺ここに来てから太郎しか名前を聞いてないぞ!とんだゲシュタルト崩壊だよ。

 

「きゅ、急に出てきていきなり何を言い出すのだ君は!仕方ないだろう、太郎という名はよくあるだろう!?」

「ねーよ!文書の例のトコでしか見た事ねーよ!そんな単調な名前付けてる奴、現実で聞いたことないわ!」

「な…バカにするんじゃない!いいか、太郎という名は『赤ん坊に何を付けたらいいか思いつかない時にとりあえず付けられる名前第一位』を持つほどの人気を持つのだぞ!」

「それを人気とは言わんわ!適当って言うんだよ世の中では!いや、それにしても多すぎるわ!」

 

 と、俺と太郎……一号でいいや、太郎一号が言い争っていると、言い争いの最中は黙っていた妖怪たちが急に騒ぎ始めた。

 

「な、なんだテメェは!新手の人間か!」

「いきなり仲間をブッ飛ばしやがって……ただじゃおかねーぞ!」

「おっと…こんな場所でふざけてる場合じゃ無かったな」

 

 まぁ基本的に太郎ズの所為なんだがな。

 俺は妖怪たちの視線が自分に向けられている事に気付き、妖怪たちの方へと向きなおす。

 仲間をやられたことで全員殺気を込めた睨みを俺に向けてきている。仕方ないとはいえ…だいぶ迫力があるなコレ。

 

 まぁでも、やるしかないよな。

 

「こちとら神を相手に喧嘩や組手をやってるんでな……簡単にはやらせないぞ」

 

 紅蓮の色の炎を身体から吹き上がらせ、俺はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

 

 

「行くぜ、妖怪」

 

 

 

――終

 




余談。妖怪軍団と防衛隊のシーンは最初はグロ描写前回で書いてましたが、あんまりテンションが上がらなかったのと雰囲気が暗くなりすぎるのとで没になりました。やっぱりギャグは書いてて楽しいですね。

さて、古代編も第一章も残すところ1~2話。
第二章からは守矢2神を筆頭に原作キャラをどんどん登場させていく予定ですので、どうぞお楽しみに!
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