??「各章ごとにタイトルの形式が変わるのって新鮮かと思い、こうしたのであった」
満希「つまり……2章はずっとこんな調子か?」
??「決定事項なのであった」
第13話 いつの間にか数千年経ってるし金髪の子供に出会うし…わけがわからないよ
さて、俺が土の中から這い出して来て一日が経過しているのだが…驚くべき事実が発覚してしまった。
事情を呑み込めなかった俺は、たまたま近くを通りかかった穏やかな雰囲気の妖怪を引き留め、この辺りで何があったのかを問いかけた。
そして、その妖怪曰く…。
『私のお爺さんのそのまたお爺さんのそのまた……以下省略するけど、御先祖様から伝えられてきた話なんだけどね、どうやら何千年も前にこの辺りには大きな街があったらしいんだ。しかし、突然の大爆発が起きて都に攻め込んていた妖怪もろとも消し飛んでしまったそうだよ。……それよりも、お前の体をクワセローっ!』
との事。
俺が目覚める前に起こった強烈な光と轟音。どうやらあの正体は都や妖怪たちを軽く消し飛ばすほどの爆発だったようだ。だから近くを探っても都の面影が一切無い訳だ。
ちなみに急に襲い掛かって来た穏やかそうな妖怪は返り討ちにしてやった。というか全然穏やかじゃなかったな、あいつ。
そしてもう一つ気になる事がある。
そんな巨大な規模の爆発があったのにも拘らずこうして俺の体が無事なのはどうしてなのか、という事。普通、都を吹き飛ばすような爆発の中心にいたというのなら俺はとっくに死んでいた筈だ。なのにこうして生きている。
ただ、これは原因が少し分かるような気がする。
俺は首に掛けている、アマテラスさんからお守り代わりに貰ったネックレスを手に取る。
「…やっぱり、宝石の色が落ちてるな」
『私の神力が込めてある』
俺が妖怪と戦う前に、確かにアマテラスさんはそう言っていた。そしてそのネックレスは今、色素が抜け落ちてしまったかのように宝石の色も輝きも失っている。
もしかすると…あの時の爆発から俺の身を守ってくれたのは、このネックレスなんじゃないだろうか。あの時、俺のみを守るために込められている神力を消耗し、こうして力を失ったかのように色を失くしている。
確証はないが…俺はなんとなくそんな気がする。
「…さて、これからどうするかな?」
ネックレスを手から離した俺は、これからどのように動くか考えてみる。
月へ行く手段がない以上、俺はこのまま地上で過ごしていくことを強いられるんだが…適当に人を探してみるかな?このまま一人でブラブラしててもしょうがないし。
「…よし、それなら町がないか探してみるか」
取り敢えず人を見つけよう、俺はそう決めて気の向くままに歩きはじめる。
とは言うものの、こんな人の気が無いような場所の近くに人の住むところがあるとは思えないな、郊外って感じで。
これは、何時間か探し回るのを覚悟しないと人に出会えないかもしれないな。
「よし、そんじゃ少し気合を入れて――」
「キャアァァァァァァっ!!」
「えっ」
…早速近くに人がいるんですけど。そして、俺の固められた覚悟を返して。
って、そんな事を言ってる場合じゃない!今のは間違いなく女の人の悲鳴だった!
「聞こえてきたのは…こっちか!」
俺は声の方向を頼りに走り出す。
「見つけた!」
そして俺はその声の主である少女を見つけた。黒い髪をおかっぱにした和装の着物をきた10歳いかないくらいの女の子で、妖怪の前でへたり込んでいる。
そして人型の肉体で蛇の頭を模した妖怪はその少女に襲い掛かろうと、不気味な笑みを浮かべてジリジリとにじみ寄っている。
「おらぁ!!」
「フオォっ!?」
俺は女の子に襲い掛かろうとしている妖怪の横から跳び蹴りを放ち、遠目に吹き飛ばした。蛇の妖怪を吹き飛ばし終えると、着地して少女の元へと駆け寄る。
「君、大丈夫か!?」
「え…?…は、はひ」
「なんとか間に合ったか…。もう安心して良いぞ、俺が助けてあげるからな」
少女が困惑している事を見て、激しく変わる状況に頭の整理が出来ていない事を察した俺はそう言って女の子の頭を優しく撫でる。
コクコクと、何度も首を縦に振って返事をしてくれる少女。まだ表情は少し戸惑っているが、先程の窮地が無くなった影響か身体の緊張はある程度抜けてくれたようだ。
「さて…これ以上やるって言うなら、俺も遠慮しないぞ」
俺は少女の頭から手を離し、吹き飛ばした妖怪の方へと振り返りファイティングポーズを構える。
一方、妖怪も立ち上がって体勢を立て直す。
「幼女たん可愛いよ幼女たん、ハァハァ」
「…………」
…可笑しいな、疲れてんだろうか俺は。変な言葉を聞いてしまったような気がするんだが…。
いや、やっぱ気のせいだろうな。妖怪があんな犯罪者めいた発言するわけが――
「ああ、怯える表情や仕草が可愛いよハァハァ。連れ帰って思いっきりよしよししてあげるよ、そしてその後は寝床で…ハァハァ」
「……うわぁ」
気のせいじゃなかった。もう完全に犯罪者だコレ、ロリコンの域をひとっ跳びしてるよコレ。もう言ってる事が危なすぎるもの、この小説に規制がかかりそうだもの。
…とりあえずアレだ、これは早く始末しないと色々と大変な事になるな。
「ふえぇ…」
「その眼を待ってたよ幼女たん!さぁおじさんの胸に飛び込んで――」
「怖がらせてんじゃねぇぇぇぇ!!」
「えぶーっ!?」
両手を広げて女の子の元へ走って来た妖怪を、炎を纏った拳で殴り飛ばす。
ああもう、せっかく安心してくれてたのにまた怖がらせてるじゃんかよ。この場にいる時点で可哀想だよ、この子…。
「はうぅ、あのお化け怖いよぉ…」
「あー…うん、怖かったな。よしよし」
「コラー!そこのお前ー!その席はおれがいるべき場所――」
「なわけないだろうがぁぁぁぁ!!」
「ぶほあー!?」
吹き飛ばされた先で妙な事を言っている変態を、手の先から炎弾を放って更に吹き飛ばす。これ以上女の子の視界にあの変態を入れるのは教育上よろしくないし申し訳なさすぎる。
「よーし、もう安心だ。あの変な奴は倒してあげたからな?」
「は、はい…ありがとう、お兄ちゃん。…お兄ちゃんはもしかして、神様の使いの方ですか?」
「ん?いや、そんな大層な者じゃないんだけど……どうしてそう思ったんだ?」
「だって、さっき手から火を出してたから…洩矢様が遣わせてくださったお方なのかなって…」
「火……あっ」
そういえば…さっきから普通にこの子の前で能力使ってた。良く考えたら普通の人からしてみたら俺の能力って人外染みたものなんだよな…完全に忘れてたな。
…これはあまり人前で力を使うべきじゃないのかもしれないな…。
「ちょ、ちょっとした事情があってね……ところで、洩矢様っていうのは?」
「お兄ちゃん、守矢様を知らないんですか?」
「あー……この辺りに来るのは初めてでね。来たばかりで何も分からないんだ」
「旅の人だったんですね……あ、それで洩矢様というのはですね――」
「洩矢の地の民よ、そこから先は我が話をつけよう」
突如、声が聞こえてきた。
俺は先ほどの変態の声とは別だと気付くと、直ぐに周囲を目で探る。隣りの少女も同様に辺りを見回している。
前、後ろ、右、左……どこにも人の姿は見当たらない。ならば…。
「…上かっ?」
俺は、空を見上げる。
どうやら上が正解だったらしい、見た事の無い少女が空に浮かんでいた。
見た目は隣りの女の子と大差の無い…いや、この子よりもやや幼い容姿の女の子。
胴からスカートにかけては青で、腕の部分は白といった色合いの服装。
目玉のついた大きな帽子を頭に被っていて、髪の色は金色………金色?
「えっ…金髪?」
「も、洩矢様!?何故このような場所に…!?」
「えっ…洩矢様?」
ウソ…え、うそ?
もしかして、アレが神様?どう見ても小学生くらいの女の子なんだけど。
「我が領土に害を為す妖怪が近々出現していると、村の長より話を聞いている。妖気を察して来てみれば……小娘よ、何故このような場所にいる?」
「も、申し訳ありません…!あ、あの、母が体調を崩してしまって、この辺りには良い薬草が生えていると聞いて…」
「だが、貴様は一人で出歩いた所為で自身の身を危険な目に遭わせた…己の軽率さを今一度悔いるが良い」
「…うっ…」
何か、幼い子供が年上を説教するのってシュールな光景だな…。
っと…そんな事より、金髪の子が怖い顔しながら説教したせいで女の子が泣いちゃってるな。
うーん、ちょっとこの子のフォローに回っておこうか。
「まぁまぁ、こうして無事でいるんだし、反省もしてるから怒るのはそれくらいでいいんじゃないか?」
「……貴様は何者だ?」
「俺は暁宮 満希、この辺には初めて来た。…それよりも、君みたいな年の女の子がそう言う言葉遣いをするのは正直どうかと思うんだが」
「……えっ」
「えっ?」
ん?
俺、何かおかしなことを言ったか?…いや、別におかしなことは無かったと思うが。
けど向こうは何だか急に呆けたような表情をしているが……はて。
「…に、人間よ。貴様はわた……我の姿がどのように見えてるの……だ?」
「え?いや、変わった服に帽子に金髪に――」
「ちょ、ちょちょちょ!」
俺が喋っている途中、急に慌てだした金髪の女の子は俺の元へ降り立つと、素早く腕に手を回して俺を引っ張り出す。
「うおっ……おい、急にどうしたんだ?」
「あ、あのさ……どうしてわたしの姿が普通に見えてるの?」
「は?普通の姿?」
「いや、わたしってこんな姿だからさ…威厳が足りないんだよ、威厳が。だから民たちに馬鹿にされない様に自分の周囲に幻術を掛けて、威厳のある姿が見えるようにした筈なんだけど…」
幻術ねぇ…これまた摩訶不思議な事が出来るもんだな。
…って言っても、俺のこれまでの実体験の方がよっぽど摩訶不思議な気がしなくもない。
「…と言う事は、さっきの女の子は君の事が凄い神様に見えるけど、本当の姿はこっち…と?」
「あー…うー…、そ、そう言うこと…」
恥ずかしそうに顔を赤らめ、両手で帽子の唾を下ろして赤くなった顔を隠す金髪の女の子。
そう言えば、口調がさっきとは全然違うような…。
「その喋り方は?」
「あう…こ、こっちも今の口調が本物なんだよー…さっきみたいな話し方のほうが偉く見えるもん」
「あぁ…成程」
つまり、この子は容姿や口調で周りから馬鹿にされないよう、頑張って自分を偉く見せているという事か。口調を変えて、現実まで使って。
……健気や。
「ところで……何で金髪?」
「わたしも分かんないよ…生まれた時からこんな髪の色だったし」
ここ、日本だよな?知らない間に渡米してたとかは無いよな?
まぁ…分からないものは分からないし、あまり気にしない事にしよう。
「と、とにかく今はあの子を村に送ってあげないと!わたしも君に訊いておきたい事が結構あるし…」
「聞きたい事?それって……まぁ後でいいか。今はあの女の子を村に帰してあげないとな」
向こうで待ちぼうけをくらってる女の子のこともあったので、俺と金髪の女の子は早速行動に移し始める。
……のだが。
「幼女たぁぁぁぁぁぁぁん!!○○○するまで俺は諦めないぞぉぉ!!」
「なっ…あいつ、まだ居たのか!」
変態、復活。放送禁止用語レベルのワードを叫びながらという最低極まりない登場である。。
というかしぶといな…気絶するくらいの威力は出したはずなのに、というか逃げずにまた襲い掛かって来るって変な所で根性だしてるな、こいつ…。
「……もしかしてあいつが噂の妖怪?」
「ああ、そうだ。特に君は気を付けた方が良いぞ、あいつ重度の変態だから」
「違う、俺は変態じゃない。仮に変態だったとしても、幼女愛好家という名の変態紳士だ!」
「……あーうん、今の台詞でよく分かったよ」
「というか、結局変態じゃねーかよ」
救いようがないわ、この変態はホントに。
「まぁそう言うわけだから、君は下がってた方が良い。ここは俺がまた――」
「だいじょーぶだいじょーぶ。君は下がってていいよ。ここはわたしがやってあげるから」
「あ、おい!色んな意味で危ないぞ!」
俺が再びあの変態を追い払おうと一歩前に出た。
しかし、金髪の女の子はそれよりも一足早く先に出て俺を遮ると、警戒心の無い足取りで妖怪へと近づいていった。
「おお、急に出て来た新しい幼女も素晴らしいよハァハァ生脚露出可愛いよ絶対領域に俺の熱いパト――」
「おい馬鹿止めろ本気で規制されるから。……ってあれ?あいつも普通の姿が見えるのか?」
そう言えば、俺が本来の姿が見えてる時のあの子の反応を思い出す限り、妖怪もあの子が別の姿で見えている筈じゃないだろうか?
そうなると、俺の心配って大したものじゃなかったんじゃ…。
そして一方の女の子はというと、俺の方を横目で見つつ、小さく笑って見せた。
「うんにゃ、この妖怪に対して幻術を解いてあげたんだよ。普通なら急に姿が変わってビックリするはずなんだけどね…」
「…変態にはその辺の変化は大したことないんじゃ?それよりも、何でわざわざ本当の姿をあいつに見せてるんだ?」
「ああ、それはね……」
女の子が説明をする最中、変態は勢いよくジャンプすると女の子に目掛けてダイブしようとしてきた。
「幼女たぁぁぁぁぁぁぁん!まずはその足で俺の顔を挟んで――っ!?」
女の子目掛けて空中から迫ってきていた変態。しかし、その姿は女の子に届くことは無かった。
距離が足りなかったわけでも、女の子に避けられたわけでもない。
妖怪の身体は、止められたのだ。
突如、地面から現れた白い蛇のような生き物が妖怪の身体に巻き付いたために。
「こうして近づいてくれた方が、無駄に歩かなくなって楽できるし、ね♪」
そう言って諏訪子は一瞬にして妖怪の眼前に現れると、掌から強力な光の玉を造り、発射する。
放たれた光の玉は妖怪の腹部に深々と突き刺さり、白蛇も妖怪の体から離れたことにより妖怪をどんどん遠くへと吹き飛ばしていく。
「幼女たぁぁぁぁぁぁぁ………―――」
ロリコンとしての執念を感じる叫びをあげつつ、変態は山を越えて遥か彼方へと吹き飛ばされていった。星になった変態、と。
そして変態を片付けた金髪の女の子は俺の元へと戻ってくる。それにしても今の光の玉、かなり強い力を感じた…やっぱり神と言われてるだけあって、あれくらいの力は当然なんだろうな。
「はい、終わったよ。どう?わたしの力は」
「ああ、正直に言うと凄かったよ。まだまだ本気じゃなかったんだろ?」
「ふふーん、当然でしょ。わたしの力はこんなものじゃないよ♪」
誇らしげに胸を張る女の子の姿が微笑ましく見え、俺は思わず苦笑する。力は本物のようだけど、こういう所はやっぱり見た目相応な所があるんだな、と思って。
…それはそうと。
「お前の素の話し方……普通にあの子に聞かれてるけど良いのか?」
「…………あっ」
「あの洩矢様が…普通の女の子みたいな話し方を…?」
「し、しまったぁ~~~!?」
この後、女の子の誤解を解く…というより女の子に知られた真実を隠すために金髪の女の子が必死になっていたのは余談である。
――終
○おまけ○
ロリコン「幼女たーん!その足で俺の顔を挟んで――」
諏訪子「残念、蛇さんに捕まっちゃったね」
ロリコン「あ、こういうのはいいんでロリの生足下さい。please please」
満希「何この強かさ」
ちなみにここでのケロちゃんは周りには神らしく一生懸命振る舞うという、自分の立場に振り回されている感じにしています。聡明なキャラにして見た目とのギャップを感じさせるのも良いですが、こっちの方が書いてて楽しそうだったので。