絶対“がっこうぐらし”の世界になんか負けたりしない! 作:フィットよりハイゼット
そんなに誉めても多分良いもの出せませんヨ?
──
世界は未だに平和で特になにかしら大きな問題は発生していない。
ゾンビ化、あるいはそれに近しいウイルス感染等に関する情報はあらゆる情報媒体を使って探してみたが一つも見付からなかった。
有名なバイオハザードシリーズやその他のゾンビ映画やアニメ漫画、それとアダルトビデオぐらいしか関係したものは出てこなかったため表向きには存在しないようだナ。
あぁあと調べるついでにゲームみたいな娯楽品をたんまり買い漁ってきた。勿論ゲームだけじゃなく漫画や映画アニメそれにプラモデルなんかも大量に買ってしまった。正直やり過ぎたと思っている。何せプラモデルだけで部屋の一つを埋め尽くしてしまったからネ。
ちなみに海外に引っ越してパンデミックをやり過ごすなんて事も考えてみたが、正直海外のほうが酷そうだし感染しない確証なんて多分無いし……なにより日本の方が環境的にも過ごしやすい。海外はあらゆる所に寄生虫の危険が潜んでるし蔓延してる病気の数も尋常じゃあない。さらに言えばあっちは銃が普通に使える世界だ、正直人間の方が怖い。
まだゾンビ化する危険しかない日本の方がいいと思って海外移住は諦めた。それに今から引っ越してる時間はないと思うし。今はこうして安全に町をドライブしておくのが一番最善な行為だろう。
ちなみに俺が何故目的も無くぶらぶらドライブしているかと言うと、土地勘がゼロだからだ。
あぁまてまて、そんな馬鹿を見る目で見るな。
これには理由があるのだよワトソン君。
俺は慣れるまで方向音痴だからな。こうして回っておかないと何かあって外に出ることになった場合知識や土地勘がなければ無駄に体力と資源を消費する事になる。俺はこういうのはしっかりしておきたいのだ。
それに……ここは『アニメの世界』だ。
俺からすれば現実の世界だが、それでも前世の奴らからすればここは二次元の世界。
もうすぐ多くの人間が死ぬかもしれない。
だがそれでも、それでも俺はちょっとばかしワクワクしてるんだと思う。
どんな天才だろうと一生体験できないような事を俺は体験しているのだからな、こうなるのも無理はないんじゃあないか?
誰だってそーなる、俺もそーなる。
実際アニメで見たあの駅を生で見たときはわりと感動したんだぜ?
しかし……転生した時から感じていたが、この世界は前世とはやはり何かが違う気がする。
確かに俺の見ている感じている世界は現実なんだが、こう……そう、まだアニメの『絵』を見ているような感覚が抜けないんだ。俺の顔は自慢じゃないがここまで整ってなかった。今はまるでアニメのモブみたいな顔に見えるのだ。
なんていうかデフォルメされてるような……
………なんかこれ以上探求すると世界の心理を覗いてSAN値が削れる気がするから止めておこう。
まぁそれは置いといてだ。
今日はたくさん色々見て回ったし、このくらいで撤収するとしますか。帰りにガソスタよってこ。
コンビニの駐車場から出るためにステアリングを握った───その瞬間だ。
≪──き、緊急ニュースです!巡々丘市で、人を襲う集団が──≫
「──来たか。」
ラジオから流れてきた言葉を聞いた瞬間俺は車を緊急発進させた。一秒でも早く拠点に引きこもり1日でも多くの日数を平和に暮らしたいがために気持ちちょっと足早に車を走らせる。
ん?なんだい“じゃあ最初から引きこもってろよKs”って顔してるね?
確かに平和に暮らすならそれもいいがさっきも言ったように万全を期したかった、ただそれだけなのだよ。なによりご近所さんから奇妙な者を見る目で見られたり変な奴が家のことジロジロ見てきたりしてたのがアレで家に居たくなかった!まぁ?それもこんな状況なら関係ないさ。
そう、今はそんな事関係ない。
今この瞬間は“感染が大きく広がる前に成すべきことを為すための時間”だ。
つまりそのためなら感染した奴を轢き殺してもモーマンタイ!自分の命大事に戦法でバシバシ轢いてさっさと帰るぞー!
そうして家へ戻る道中、俺は一瞬目撃した。
人が人へ襲い掛かる瞬間を。
(ウッソだろお前!?それはいくらなんでも早すぎるだろが!?)
法定速度ガン無視で車を走らせる。念のため家の門は閉じているがそれでも早いに越したことは無いだろう。それに誰かが侵入しないとは限らない。見るからに堅牢そうな家を見付ければ誰だってそこに保護して貰いたくなるだろう?少なくとも俺はそう考える。
しかし奴らの感染スピードが思ったよりも早いな。いや、この場合市民へ伝達された時には既に多くの人間が感染していた感じか。
こりゃあもしかしなくてもバリケード構築してる時間ねえかもなあ。
そう考えていると──
「ホ!? アッ」
キキィィィ!!ズガン!
おそらく感染した馬鹿が道路に出てきたのだろう。俺は咄嗟にブレーキを踏むが当然減速が間に合うハズも無く車はソイツを跳ねた。
だが俺はそのまま轢き逃げする事にした。見た感じ感染して奴らに転化してるのは確定だろうしそんな奴のためにわざわざ止まってやる暇なんてない。
通りすぎる時ガスガスッ!とタイヤが何かを踏みつけた感覚がした。あーうん、車高が若干高かったのってやっぱりこの時のためだったんスね。
それと、多分だがあの辺りはもう全滅してる。
減速した瞬間俺は見た。
近くにいた人間がすんげえ数の『奴ら』に襲われているのをな。多くの人間が悲鳴をあげながら奴らに食われていく様が、ほんのちょっぴりだが確実に見えた。
やっぱり思ったよりも感染スピードが早いなぁ
……しかし日本車の癖にえらく頑丈だなコイツ。フロントガラスに勢い良くぶつかったのにヒビも入ってないしボディもへこんでないっぽい。しかしぶつかった衝撃で頭蓋骨を粉砕してしまったのか血がベッタリフロントガラスに飛び散ってしまっている。汚ねぇし邪魔なので洗浄しておこ。
ふと、自分のいる道路の先に小学校があるのを思い出した。
“感染した子供を轢き殺すのは流石になぁ”なんて思いながら近付いていると──
二人の子供が「奴ら」に追いかけられていた。
「あーもうふざけんな!さすがにそれは見過ごせねえぞロリコン!」
ガッ!とアクセルを踏み込む。
固い金属で再構成されたミニバンはノーマルよりも重いハズなのに重量を物ともせず一気に加速して奴らの所へ突っ込んだ。
衝突する直前にブレーキを踏みながら減速しそのままドコドコッ!!っと轢き殺して安全を確保。若干行きすぎたのでバックしてから助手席の窓をなんとか開ける*1。
「君たち!車に乗って!」
「あっ…え?」
「だ、誰よアナタ!?」
「いいから早く!じゃないとさっきの怖いのが襲ってくるぜ!?」
そう言うと子供たちは賢明にもドアを開けて車内へ入ってきた。と言うより二人目のお姉ちゃんって感じの娘が即断即決した感じだ。おじさん君のような頭の賢いガキは好きだよ。
そうしている内に奴らが車に群がりバンバン叩いたり引っ掻いたりしはじめた。だが頑丈なこの車は傷一つ付けられちゃいない。窓ガラスもあんだけ叩かれてるのに割れる気配は一切ないしどうなってるんだこの車。
「しっかり掴まってろよ!」
「まって!学校のなかにまだ…」
「あれ見て助けられると思う!?」
そう言いながら校庭を指差す。
そこにはおびただしい数の感染した子供や教師?の姿があった。ってかマズイな、急ブレーキで発生したスキール音につられてどんどん集まって来てやがる。
「悪いが俺は
「でも……」
「るーちゃん……」
(……………ん?)
るーちゃん?
なんかどっかで聞いたことあるような……
いや今はそんなことどうだっていいわ。
「今度こそしっかり掴まってろよ!ぶっちぎってやるぜ!!」
「「えっ…きゃぁぁぁぁぁ──っ!?」」
ロケットスタートからの高速シフトチェンジで一気に加速する!障害物避ける瞬間だけ減速してりゃ数分と立たずに拠点へたどり着けるハズだぜ!
なんか発進する時に何人か轢いた気がするけど関係ねえ!肉の塊がなんだってんだ!
「あ、あの!あんぜんうんてん……」
「そうしたいのは山々だが、騒音を生み出す車にアイツらは群がってくる習性があるらしくてね。ちんたら走ってたら前にいる奴が道塞いでたりして車が使えなくなるかもしれない。」
「で、でもぉ……ぐわんぐわんして……」
「や、ヤバい…これ胃が……あっ!前!」
「うおっ!?」
なんだ!?いや、車が事故ってるのか!運転手が感染してたのか轢いた奴タイヤに巻き込んでスベったか知らねぇが車が障害物として存在するのは面倒だな。
ん?なんだあのトラック、やけにスピード出してるじゃあないか。……おいおいおいどうなってんだそりゃあ!?
野郎マジかよ!ゾンビ化してるのにトラック走らせてるじゃあねえか!!
いつからここはバイオハザードの世界になったんだよ!元からだったな!(白目)
「上等じゃねえか──コーナー二個も抜けりゃあバックミラーから消してやるぜ!!」
「いやそれこの場面で言うセリフじゃ……」
「ぁぁぁぁぁぁ目がまわるぅぅぅぅ!!」
この
ここの大通りは町の中でも一番長く、この先700m先にY字の分岐がある!そこを左に曲がれれば俺の拠点付近まで出られる!
それまでノーミスで障害物共を避けるんだ!
あ、ゾンビは構わず轢きます。
ドガン!
「轢いてる!轢いてる!」
「ぴゃぁ…」
「クソ!振りきれねぇ!俺は悪い夢でも見てるのかァ?5トントラックごときに追っかけまわされるだとぉ!?冗談じゃねぇ!」
ドチャッ
「冗談じゃないのはこっちのセリフよぉ~!?」
「きゅー……」
「ちょっとるーちゃん気絶しないで!私をコイツと二人っきりにしないでぇ!?」
「来た!しっかり掴まってろよォ!!」
「え?え!?」
仕掛けるのはこの先の三連続障害物コース。
ステアリングから感じる感覚に任せ邪魔な所に止まる車の間を走り抜ける。こういう場面ではドリフトよりグリップ走行の方が早いんだよォ!
なんか集まってるけど知ったことじゃねえ!
ハイクを詠め!カイシャクしてやる!
ドガガガ!
よっしゃあ!この勝負貰ったァァァァァ!?(ギャギャギャギャ!!)
あっぶね!一瞬滑った!
「ねぇ滑った!今滑ったんだけど!?」
「気のせいだ!……ナニ!?一転突破だと!?舐めてんじゃねえぞこの野郎ォ!」
「この野郎はこっちのセリフだっての!!」
「ならこれならどうだぁ!?」
「チクショウ聞いてないし!」
今度は障害物が複雑に入り組んでていくら重量のあるお前でも(ぶつかれば)減速せざる終えないだろう!
だがこの車は──ハイゼットは違う!そもそもぶつからず避けるから確実にお前を突き放せる!
通る道は狭い…ここで失敗すれば俺たちはあっという間にペシャンコだ。
だがしかし、俺はここで勝負を決めに行く!
行くぞ!
障害物がズラリと並ぶ道路の隅っこ──そこにある僅かな隙間に車体を通す!ッチ!進行方向にまで障害物が並んでるじゃねぇか!ここはタイヤをわざと滑らせてブレーキングドリフトで走り抜けるしかねぇ!うぉぉぉぉぉぉ!
ズギャァァァァァアアッ!ドガンッ
「──抜けた!!」
「『抜けた!』じゃ無いわよこのアホ!あとさりげなく轢き殺してんじゃないわよ馬鹿!」
「トラックは!?」
バックミラーを見てみれば──やはりな!
奴は車に衝突して大きく減速してやがる!対してこちらは最小限の減速のおかげで距離を大きく離している!ハハハ!5トントラック風情が俺に勝てると思うなよな!
「よし、このまま俺の拠点に向かおう。あそこには色々備えがあるからな。」
「………もう、それでいいわ……」
どうした?なんだかやけに疲れてるじゃあないか。まあこんな世界にいきなり放り込まれたんだ、しょうがないよなあ(すっとぼけ)
その後俺たちは無事に拠点にたどり着いた。
幸い近くに奴らはほとんど居なかったのでささっと車を入れて門を閉じる。ちなみにご近所さんたちは軒並み家には居らず居たとしてもそこらを徘徊する一団のお仲間になっていた。あとはそうだな…念のためにホームセンターで買った木材と針金で作った簡易的なバリケードを内側に設置しておくか。
煉瓦で作られた高い塀のおかげで突破される可能性は低いが、一応内側に突破された用の足止めを置いておくに越したことは無いだろう。
備えあればなんとやら、だ。
障害物を設置し終えたら塀に梯子を掛けて外の様子を確認する。やはり奴らが俺の出した音に連れられて塀に群がってきているのがよぉ~く確認できた。間違いなく音に連れられて反応している。
なお奴らはしばらくすると遠くで車が事故ったかガソリンスタンドが爆発したかの音に釣られてすぐ消えてしまった。
それと携帯を開いて試しに警察に繋げようとすると数えきれない程の人が通報しているのか回線がダメになっていた。これに関しては確か「学園黙示録」で語られていたような気が…兎に角一斉通報が終われば携帯は二度とネットに繋げられないと考えるべきだろう。通報が終わる=する人間が居ない=厳重に管理され維持されてきたライフラインが破壊される、という事だ。幸いな事に原発はかなり遠くにあるから放射能に関しては心配はほぼ必要ないだろう。
とにかくこれで安全は確保された。
問題は……
「そろそろ夜食にしようか。飯は食えるか?」
「ん…私は大丈夫よ、誰かさんのせいで降りて早々ゲーゲーしちゃったからむしろ腹ペコなぐらいだわ。」
「それについては申し訳ない。君は?」
「……たべられ、ます…」
「なら問題ないね。…そうだ、今夜はあの地獄を生き延びた生存祝いとして豪華なのにしよう!」
「私も“るーちゃん”も育ち盛りだし、こんな世界じゃ食料も早めに食べなきゃ腐るわ。丁度いいしたくさん出しなさい!」
「…」クイッ
「どうしたのるーちゃん?…あー、そう言えばそうだったわね。るーちゃんは少食だから半分は明日に出してちょうだい!」
「了解了解。」
……この娘たちだなぁ。
予定の無い保護で正直ヤバいかもって思ってたが、この娘たち賢いというか物分かりがいいというかなんというか……本当は今すぐ親の所に行きたいだろうに泣きもせず言うことを聞いてくれる。特に姉っぽい娘が物分かり良すぎて少し不気味なぐらいだ。まだ12歳ぐらいにしか見えないのによく出来た娘だよ。“るーちゃん”と呼ばれた方も人見知りだが良くコミュニケーションを取ろうとするし手間が掛からない。
………それにしてもかなり食うなこの娘?
~
深夜
外は未だに騒がしく騒音が止まない。時折爆発音も聞こえるし、本当に世界が終わっているのだと流石に痛感させられる。
一方俺は子供二人に空いてる二人部屋を与え、寝室でナイフとスコップを磨いていた。ナイフ……というか刃物はおおよそ二種類あり、良くイメージされるようなサバイバルナイフと刃渡りの長いマチェットを俺は所持している。どちらも使用者からの評価が高い代物であり刃の耐久性と殺傷力が非常に高い。
スコップだけではやはり不安だったのでマチェットも購入させていただいた。しかしこういう刃物も悪くないな。
おっと、扉をノックされた。なんだ?
『私よ、中に入れてほしいの。』
「……君か。鍵は掛かってないよ。」
「失礼するわ。」
入ってきたのは姉っぽい方の………あっ
そう言えば俺達自己紹介してないじゃん。元社会人として不甲斐なし……!!
部屋に入ってきた姉っぽい娘。彼女は俺の前に立つと歳の割にキリッとした目付きで目を合わせてきた。
「私、回りくどい事は嫌いなの。
単刀直入に言うわ──アナタも転生者なの?」
「………ふぅン。そう言うことか」
世界は狭いとは言うが、まさかこんなこともあり得るとは思わなんだ。なんか驚きすぎて一周回って冷静になったわ。
言い忘れていましたが
この小説は“1のストック”と“999のインスピレーション”によって成り立っておりますのでそこの所よろしくお願いします(?)