現代。超能力がありふれた世界。
個性と呼ばれ、超常が日常に昇華し、浸透した時代。
ヒーローと呼ばれる職業が現実になった世界。
次世代の若手ヒーローを育てる学校が主流の日本。
「···············よし。準備万端!」
「大丈夫か?忘れ物ないか?」
「大丈夫だよじーちゃん!もう8回も確認したんだ!」
今日、1人、また1人と伝説が羽ばたいて行く。
「いてきまーす!」
彼もまた、その1人だった。
世界の何処にも存在しないカードゲームを現実に召喚し、相手を自分の
スタンバイ、メイン1、バトル、メイン2、エンドの工程で攻撃することができる。
デッキからの手札で、魔法、罠、手札誘発を起こせる。
ターンのインターバルは約3分。
「ここが雄英高校···············」
毎年偏差値が70を超える雄英高校ヒーロー科。
その試験は正に国内最高峰。
攻略するのは至難の業だ。
しかし、そこを超え、3年間をやり切った者だけが、一人前のヒーローになれるのだ。
「筆記試験は兎も角、実技試験はきっと、凄い徹底した試験のハズ···············」
「ハイスタートー!」
「···············へ?」
「オラオラどうしたァ!?実践じゃ誰も待ってくれねぇぞ!!」
突拍子もなくスタート。
何が徹底した試験だ。
「とりあえず··········デュエル!」
5枚デッキから取り出す。
「最初は··········翻弄するエルフの剣士を召喚!」
・翻弄するエルフの剣士(効果モンスター)
ATK/1400 DEF/1200
効果:このカードは攻撃力1900以上の相手の攻撃では破壊されない。
「相手がロボットなら、遠慮無く行くよ!バトル!」
ビシッ!ズバァッ!
『ブッコロシテヤル!ニンゲンドモ!』
『8タイ1ダゼ!リンチニシテヤル!』
「メイン2!魔法発動!サンダーボルト!」
・サンダーボルト(通常魔法)
効果:相手の場のモンスターを全て破壊する。
「よし、これで大体片付けた···············ターンエンド!」
このロボット、なかなか上手くプログラムされており、集団戦でリンチにされる受験生も多かった。
「インターバル、残り1分···············終了まで大体5分··········これなら行けるぞ!」
中型ロボット達を倒しながら、ポイントを稼ぎまくる。
すると、ものすごい轟音と共に超巨大な影が周囲を覆い隠した。
「な、なんだあれ!」
「と、とりあえず逃げろーーッ!」
説明の際に名が挙がった0ポイント超大型仮装ヴィラン。
この大きさで所狭しと暴れ回る。
阿鼻叫喚の嵐の中、遊阪もその列に紛れていた。
あんなものは流石に倒せない。
ズガァァン!!
「うそでしょっ!?」
急に振り返った超大型が大きく腕を振り下ろす。
「ここからならまだっ···············っ、あれ!?」
1人だけ、つまづいて転んでしまった女子受験生がいた。
「た、助けて··········!!」
「危ない!早く立ち上がるんだーッ!」
しかし、腰が抜けて立ち上がれない様子。
このままでは潰れてしまう。
「クソッ··········!!」
思わず走り出し、女子受験生を庇う。
「下がって!」
「いやぁぁぁぁ!!!」
悲鳴の中。死ぬかもしれない状況で。
彼は何故か冷静だった。
「罠カード発動!聖なるバリア-ミラーフォース-!」
・聖なるバリア-ミラーフォース-(罠カード)
効果:相手の攻撃宣言時に発動できる。攻撃表示の相手の場のモンスターを全て破壊する。
バリアに触れた超大型は、電子機器がイカれ、急速に活動を停止した。
『破壊する』の定義は不確定であり、人間であれば個性発動中の行動不能、機械であれば再起不能という感じである。
「大丈夫ですか!?」
「あ··········ありがとうございます!そうだポイント!私まだポイント取れてなくて··········!」
『そこまでーーーッ!!』
「あ、ああぁ···············」
そのままへたりこんでしまった。
世の中にはどう頑張っても向いていない職業というものもある。
悲しいかな、彼女には夢はあったが、素質がなかったのだろう。
そんな哀れな者にかける言葉は無い。
「····················」
静かに立ち去るのみだった。
〜1週間後〜
「やべー受かったかな··········いやどーだろ、でもまぁ···············」
筆記試験は自己採点で合格ラインを超えた。
後は実技試験だけである。
周りと比べると、ポイントはそれなりに低い。
あの時庇ったのが裏目に出ている。
「おーい!雄英から手紙だぞ!」
「マジで!?ちょ、早く持ってきて!」
封筒を開けると、ミニプロジェクターらしきものが作動した。
「なんだこれ?」
『私が投影された!』
「うおっ!?うるさっ、オールマイト!?」
突如として画面に出現したNo.1ヒーロー。
嬉しさと驚きと緊張感が走る。
『遊阪少年!君の試験結果は素晴らしかった!個性の件も、こちらで承諾済みだ!
「まさか··········!!」
『来いよ、遊阪少年!ここが君の、ヒーローアカデミアだ!』
「いよっしゃぁぁ!!!」
こうして、彼はヒーローへの第1歩を踏み出したのであった。